ファルスは自身の姿を見て驚愕する。
「何だ…この鎧は…それに…これは」
ファルスは直ぐ様異変に気付いた。
「折れていた筈の左腕が動く…それに身体も軽い」
「スゲェ…不死身の剣士…怪我も治癒するとかマジでファンタジーだなおい」
「お前のふぁんたじぃと言う言葉…意味は分からんが今は置いておく…今なら岩石蠍をどうにか出来そうだ」
ファルスは軽くジャンプする。
ブンッ
だが軽くジャンプした筈のファルスはそのまま屋根を突き破り跳んで行ってしまった。
「……力の制御出来てねぇじゃん…」
燈矢は苦笑いしながら呟いた。
「何だこのジャンプ力は!?軽くジャンプしたつもりなのに!?」
ファルスは知らなかった。
仮面ライダーファルシオンのジャンプ力はひと跳びで97.4mもある事をーー
「ッ!」
上空でファルスが見たのは、同胞達が5匹もの岩石蠍に蹂躙されている様だったーー
「クッこれ以上やらせるか!!」
ファルスはそのまま着地し、走る。
(ッ!速い!これなら)
仮面ライダーファルシオンの走力は100m1.6秒の速さーー
大抵の魔物ではファルシオンのスピードを捉えるのは難しいだろう。
ファルスは直ぐ様、先程左目を潰した岩石蠍の前に跳び出し拳を構えた。
『ギュイィィ?』
「ハァッ!!」
ドンッ
ファルスは岩石蠍の顎を捉えた。
そしてアッパーを喰らった岩石蠍はそのまま中を舞い、吹き飛ばされる。
「…ダメ元でパンチしてみたが……何だこのパワー…パンチ一発であの岩石蠍を吹き飛ばした?」
ジャンプ力や走力も凄まじいが、仮面ライダーファルシオンのパンチ力は60.2tある。
その気になれば岩石蠍を肉弾戦で倒す事も出来るであろうーー
「…いや驚いている暇は無いな、これ以上はやらせん!!」
ファルスは無銘剣虚無を構える。
『ギィシャアァァァァァァァァァァ!』
岩石蠍の一匹がファルスに向かって鋏を振り降ろした。
「ッ!」
ガギンッ
ファルスは無銘剣虚無で岩石蠍の鋏を受け止めた。
「スゴイな…此処までの力を発揮出来るとは…なっ!!」
ファルスは岩石蠍を力だけで押し返した。
「あの岩石蠍をこうも簡単に……ッ」
ファルスはある異変に気付いた。
それは自身の脳裏に、自分と同じ姿の剣士が
「……今のは…無銘剣虚無に選ばれたエルフに…この姿になった者は伝承では無い…じゃあ何だ?」
『ギィィィィィィァィィィィ!!』
考え込んでいると、岩石蠍の一匹が突っ込んできた。
「ッ!」
ファルスは咄嗟に脳裏に浮かんだ自分の闘い方を真似する。
ファルスはブレードライバーに挿し込んだエターナルフェニックスライドブックを取り外し、無銘剣虚無に読み込んだ。
【
ファルスは無銘剣虚無で不死鳥を模した十字の斬撃を岩石蠍に放った。
ザクッ
十字の斬撃はそのまま岩石蠍の硬い鎧を貫き、岩石蠍は十字四等分に斬り裂かれ絶命する。
その光景にファルスは驚愕する。
「あの岩石蠍の硬い鎧が…こんなにあっさり…」
『ギギィィ』
残り4匹の岩石蠍は、蜘蛛の子散らす様に逃げ出した。
「ッ!逃がすか!」
ファルスは覇剣ブレードライバーに無銘剣虚無を収め、トリガーを一回引き抜刀した。
【必殺黙読!抜刀…!不死鳥無双斬り】
そして不死鳥の炎の翼を広げ飛び出し、赤く染まった斬撃を放った。
斬撃の射程に入った2匹の岩石蠍を一刀両断し、別方向に逃げた岩石蠍に狙いを定めるーー
そして無銘剣虚無を左腰にある必冊ホルダーに納刀しトリガーを引き抜刀するーー
【虚無居合!黙読一閃!】
抜刀したと同時に不死鳥の翼を再び展開し、残りの2匹に向けて飛び出す。
ファルスが2匹の岩石蠍を追い越すと、残りの岩石蠍は一刀両断されていた。
「……凄まじいな」
ファルスは肉片となった岩石蠍を見つめながら、変身を解除した。
「これが……無銘剣虚無の真の力…」
「ファルス様!」
負傷したエルフの兵士達がファルスの元に駆け寄ってきた。
「ご無事でしたか!」
「あぁ…動ける者は怪我人の手当と岩石蠍の死骸の回収をしろ!岩石蠍を操っていた者がいるかもしれん…気を緩めるな!」
『ハッ!』
ファルスの命令に即座に取り掛かるエルフ達ーー
「……ハァ」
ファルスはそんな光景を見ながら溜息をつく。
「……彼奴は無事か?」
ファルスは呟いた。
そんな燈矢はと言うとーー
「だから俺じゃねぇってのに!!」
「では何故岩石蠍の近くを彷徨いていた!!」
エルフの兵士に捕まり再び地下牢へ連行され尋問されていた。
「だからその岩の蠍がどんな生き物なのか気になったから見に来ただけだって言ってんだろうが!!」
「興味本位で魔物に近づく馬鹿など居るか!!」
エルフの尋問は難航していたーー
「………お前は何をしている…」
「ファルス!こいつらに言ってくれよ!俺は無実だって!」
「貴様ファルス様を呼び捨てだと!?この無礼者が!」
「………ハァ」
その光景を見て、ファルスは再び溜息をつく。
「すまない…そいつの言っている事は真実だ…お前の言う通り興味本位で魔物に近づく馬鹿なのだこいつは」
「は?…いやファルス様…いくらなんでも…それは」
エルフの兵士はまるでこの世の物では無いものを見る様な目で燈矢を見た。
「何だよその目は!岩の蠍を一目見たいと思って何が悪いってんだよ!」
「………ファルス様…こいつ本当に…」
「あぁ…こいつの身柄は私が預かる…里長にもそう伝えろ」
「……分かりました…ファルス様が付いているなら里長も何も言わないでしょう…ファルス様の慈悲に感謝しろよ人間」
エルフの兵士はそう言い残し地下牢から出ていった。
「何だよ人を珍獣を見る様な目で見やがって!」
「お前はまずこの大陸の常識を身に着けろ…出なければこの大陸で生きていけんぞ」
「ハァ…まぁファルスが俺の安全を保証してくれるなら文句はねぇけどさぁ」
「勘違いするなよ?お前はエルフの里の侵入者である事に変わりないのだからな…私がお前を監視する事でこの里に滞在する事を許可しているだけだ」
「…………」
燈矢はジト目でファルスを見つめる。
「……何だその目は」
「いやさっきから気になってたんだけどさ…そろそろお前とか貴様とかって呼ぶのやめてくんない?」
「ではなんと呼べば良いんだ?私はお前の名を知らんのだが?」
「……あっそう言えばそうだったか…俺はファルスの名前を知ってたから忘れてたわ」
「……ハァ」
ファルスは本日何度目か分からない溜息をつく。
「いやぁ悪い悪い!俺は加藤燈矢!この世界とは違う異世界から来た唯の人間だ!よろしくなファルス!」
「……異世界から来た…か…本来ならこんな話信じられないが…お前の常識知らずさ加減を見るに…本当なのだろう……では燈矢…お前の今後についてだが…一度私の家に来てもらう」
「えっ…出会って早々家に招待?…えっもしかしてファルス俺にーー」
「叩き斬るぞ貴様」
ファルスは無銘剣虚無を握り締めながら言った。
「冗談だろうが本気にするなよ!」
燈矢は後ろに下がりながら弁明する。
「全く…お前の本を私の知り合いに見てもらうためだ」
「この本をか?」
燈矢はエターナルフェニックスワンダーライドブックを手にする。
「そうだ…それを使用した事で無銘剣虚無の真の力を目の当たりにした…それと無銘剣虚無には何か関係がある筈だ…知り合いの魔道具技師にそれを調べて貰うのさ」
「……魔道具技師?」
「……お前の居た世界には居ないのか?魔道具技師」
「魔道具技師の前に魔法が無い世界から来たからな」
「……そうか…取り敢えず行くぞ」
ファルスは考えるのを止め、燈矢の手を掴み地下牢を出る。
「おいおい引っ張らなくても逃げねぇよ」
「良いからさっさと来い」
燈矢はファルスに引っ張られながら里内を歩くーー
そして一軒の民家に辿り着いた。
「あれだけファルス様とか崇められてんのに随分普通の家だな?」
「悪かったな普通の家で…元々私は平民の小娘だからな…無銘剣虚無を授かってから里の者達の態度が変わっただけだ」
「ほ〜ん…」
燈矢は考えながら頷く。
「何を考えてるのかは知らんがさっさと入れ」
「お?おう」
燈矢はファルスに連れられ、家に入った。
そしてとある部屋の前に連れられる。
「
ファルスが声を掛けるが、何も返答は無かった。
「……彼奴またか…フンッ!」
ファルスはドアを蹴り破り、中に入って行く。
『うわぁ!ファルちゃん!仮にも自分の家だろ!何で毎回扉を蹴り破って来るのさ!』
『喧しい!貴様がさっさと出てこないのが悪い!扉はいつも通りお前が責任を持って直せ!』
『酷い!蹴り破ってんのファルちゃんじゃんか!』
『貴様がさっさと出てくればこうしなくて済むんだ!』
『横暴だぁ!ファルちゃんの鬼!悪魔!』
『私を悪魔と一緒にするか貴様ぁぁぁぁぁ!!』
「………修羅場だなぁ」
部屋の外で待機していた燈矢は苦笑いを浮かべながら呟いた。
「なんだよぉお客が居るなら居るって言ってくれよぉ」
「事情が事情なんだ、結界を張ってからでないと話も出来ん」
「便利でしょ?
「御託は良いから早く進めろ!」
「ちぇ〜…さてとファルちゃんが五月蝿いから自己紹介からやろうかお客人…ボクはミーア・シュトロード…しがないてぇんさぁい魔道具技師さ!宜しくね!」
ミーアは燈矢に握手を求める。
「おっおう!俺は加藤燈矢!異世界から来た唯の人間だ!宜しくなミーア!」
燈矢はミーアと握手を交わした。
「異世界?…へぇ~異世界って本当にあるんだ!スゴイなぁ!」
「……自分で言っといて難だがよ…そんなあっさり信じてくれんのか?」
「そりゃ信じざる得ないんだよねぇ…だって燈矢君の中に
「……分かるのかミーア?」
「ファルちゃんボクを見くびり過ぎだよ?これでもサンドリアの大魔法学院を主席で卒業したてぇんさぁいだよボク?」
「……そう言えばそうだったな…普段があれだから忘れていたよ」
「ファルちゃんさっきからボクの扱い酷くない!?」
ミーアは泣きながら訴える。
「サンドリアに大魔法学院…知らねぇ単語ばかりだな」
「異世界人である君からしたらそうだろうね、それじゃ…君の今後の為にも教えておくとしようか」
ミーアは此処、ハーメルン大陸について語りだした。