ハーメルン・アウトサイダーズ   作:夢野飛羽真

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燈矢の今後とミーアの師匠

「まずはハーメルン大陸についてだね、此処ハーメルン大陸は大きく別けて12の国が存在してね」

 

ミーアは何も知らない俺にハーメルン大陸に存在する12の国を事細かに説明してくれた。

 

まずハーメルン大陸の中央部・ヴァルハイト帝国

 

大陸最大の軍事力と技術力を誇る大国で魔族や魔物を悪とする宗教が国教として根付いているらしいーー

 

北部にある人間,オーガ,天狗の共存国・ホムラ国

 

山岳地帯に築かれた城塞都市で大殿と呼ばれる人間が主で、和風の街並みが特徴的…和風の国があるのか…

 

北部にあるドワーフ王国・イグニス王国

 

火山地帯を利用した鍛冶技術を持つドワーフの国で火山が活発なため、噴火に備えて洞穴を掘ってその中で生活して……火山地帯で住むとかどんな忍耐だよ…

 

東部砂漠地帯の魔王が統べる国・ヴァルザード魔王国

 

魔族達の王「魔王」が統治して住民の多くが竜人で帝国との長きにわたる冷戦が続いてる…やっぱ戦争があるのかこの世界でも…てか魔王とか最高にファンタジーだな!

 

同じく東部砂漠地帯の魔法国家・サンドリア王国

 

さっきミーアが言ってた国だな…魔法に秀でた人々が治める国で水や風の魔法を用い、砂漠で生活しているのか

魔法を使う者が貴族階級となり、魔法の才能がない者は低い身分に置かれるねぇ…貴族とかいんのかこの大陸…

 

西部の海運国家・マリスティア公国

 

海洋貿易の中心で貴族と商人が政治を担い、海軍も強大かぁ…

海かぁ…上京してから行ってなかったなぁ…

 

西部の島々の海賊国家・シャークヘイブン

 

海賊王「グランドシャーク」が治めるが、統制は取れていない…大丈夫かこの国?

あぁ、他国と戦争になると団結するんだ…意外と仲良いな…

 

南部の小国・エルシア王国

 

帝国と交易を行いながら生き延びている小国…帝国におんぶに抱っこってことかよ大丈夫かこの国?

 

南部の要塞国家・ヴァル=ガード

 

刻印魔法を駆使して外敵から身を守る要塞都市ねぇ

えっ?一度行ってみたい?へぇ~

 

オークの国・グルドム王国

 

オークの国もあるのか…筋力重視のオーク社会で戦士階級と工匠階級に分かれているねぇ

魔王派の国で、魔王派の国以外との交易も消極的か…

 

ゴブリンの国・グリン=フォレスト

 

オークの国があるならゴブリンの国もあるか…

ゴブリンたちが暮らす森林国家。狡猾な戦術が得意ーー

魔族の国の中でも珍しく、人間の国と同盟を結び交易をしている…意外だな…俺のゴブリンのイメージと違うな…

 

リザードマンの国・リザード=ヘルム王国

 

湿地帯に築かれた国家で、水中戦闘に優れる…まぁリザードマンだしそりゃそうか…

人間の国、魔王の国の双方の国と交易を行っており、中立の立場を保つ…へぇ~

 

「後は国じゃないけどボク達エルフと生活圏が近い吸血鬼とかもいるよ、取り敢えずハーメルン大陸の説明は以上かな」

 

「情報量多くて全て把握出来るか謎だわ…」

 

「嫌でも覚えなさい…あんたが生活するのに必須条件よ」

 

頭を抱えて項垂れる燈矢に喝を入れるファルスーー

 

「それにしても君ホントに面白いね!」

 

ミーアは燈矢をじっと見つめながら言った。

 

「面白い?俺がか?」

 

「面白いさ!魔力の無い人間なんて初めて見たからね!」

 

「魔力の無い人間?人間って魔力を持ってるもんなのか?」

 

燈矢は首を傾げながら聞いた。

 

「人間であれ何であれ、魔力はこの大陸に生きる者なら個人差があれど生まれながら持つ物だ」

 

「人間は使えるかはその人の才能に左右されるけどね、大抵の人間は微量ながら魔力を持っているよ、それに比べて君には魔力が一切感じられない…この大陸に生きる者ならどんな生物でも感じられる魔力が一切ね…だからこそ君はこの世界の人間じゃないって確信出来るのさ」

 

ファルスとミーアが燈矢の質問に答えた。

 

「……俺は魔法使えねぇのか…なんか惜しいなぁ」

 

「魔力は無いけど魔法は使えるよ?」

 

落胆する燈矢にミーアは何気なく答えた。

 

「魔力が無いのにどうやって使うんだよ?」

 

「君は知らないのかい?ファルちゃんは魔力がーー」

 

「無銘剣虚無の力で魔法が使えないんだろ?」

 

「聞いてるみたいだね?じゃあそんなファルちゃんがどうやって此処で生活していると思う?それはね!ボクが作った魔導具のおかげなんだよ!」

 

ミーアはニヤけながら言った。

 

「そう言えばファルスが言ってたな、それで?その魔導具技師って何だ?」

 

「ボク達魔導具技師は魔法が使えない人達の生活を豊かにする為に魔導具を作る生産職の事さ」

 

ミーアは立ち上がり、戸棚の中から宝石を取り出した。

 

「これが魔導具の心臓になる魔石だよ!ボク達魔導具技師はこの魔石を使って様々な魔導具を作り出すのさ!例えばこの家に使用している魔道結界とかね!」

 

ミーアはテーブルの上に置いてあるランタンに触れる。

 

「これが魔道結界、無銘剣虚無によって魔力を失ったファルちゃんの為にボクが作った魔導具なんだ!光と風の魔石を動力で使用していて、光と風の魔力で会話や姿なんかを隠蔽出来る優れものさ!更にランタンとしての役割も担ってるから日常的に使用出来る!因みにこの魔導具は何処にも売ってないボクのオリジナルだよ!まぁサイレントストーンって魔導具と効果はほぼ同じだけど魔導結界は風の魔石に加えて光の魔石も使用してるからね!」

 

ミーアが意気揚々と魔導具の説明をしている中、ファルスは溜息を吐き燈矢は唖然としていた。

 

「スゲェ熱弁してるな…」

 

「すまない…ミーアは魔導具の事になるといつもこうなんだ」

 

「あっ!そうだ忘れてた!」

 

熱弁していたミーアは何かに気づき、部屋へと戻ろうとしていた。

 

「おい何処へ行くミーア!」

 

ファルスがすかさず止める。

 

「いやぁ〜それが魔王国へ納品する魔導具を作ってる途中だったから仕事に戻ろうかな〜って…」

 

「仕事に戻る前にやってもらわなきゃいけない事がある!燈矢!」

 

「えっ?お、おう」

 

ファルスは燈矢に呼び掛け、燈矢はエターナルフェニックスワンダーライドブックを取り出した。

 

「ん?…何だいこの……ほん………ファルちゃん…これどうしたの?」

 

ミーアはエターナルフェニックスワンダーライドブックを見た瞬間、明らかに様子がおかしくなった。

 

「燈矢の持ち物にあった物だ、お前ならこれを調べられると思ってな…仕事があるのは承知だが鑑定してもらえるか?」

 

「………」

 

ミーアは無言でエターナルフェニックスワンダーライドブックを手に取る。

 

「………」

 

「どうだミーア?これも魔導具の一種なのか?」

 

「……いや…これは魔導具じゃないよ…魔石どころか魔力すら感じ取れない…寧ろファルちゃんの聖剣に似た何かだよこれは…」

 

「やはりそうか…」

 

ファルスは先程の戦闘での出来事をミーアに話した。

 

「この本を燈矢君が開いたら聖剣からベルトが出て、謎の鎧に身を包んで岩石蠍を意図も簡単に退治…ねぇ」

 

「あぁ…無銘剣虚無に選ばれた先達の記録には無かった現象だ…だからこそお前に鑑定して貰いたくてな」

 

「なぁミーア、ファルスがお前ならわかるかもって言っててな…何かわかるか?」

 

燈矢がミーアに尋ねると、ミーアは首を横に振った。

 

「………ごめんボクにもこれが何かは分からないや…ただはっきり言えるのは…ファルちゃんはこれ以上それを使わない事だね」

 

「何?」

 

「ファルちゃんさ…その剣のせいで魔法が使えなくなって…今度はその本のせいでどうなると思う?…ファルちゃん言ってたよね?その鎧を身に纏ったら折れた腕が修復されたって…恐らくだけどさ…ファルちゃん聖剣とその本が一つになったせいで()()()()()()()()()()()()()?」

 

「…死ぬ事が出来ない?良いことではないか、この里を守れる様にーー」

 

「良いこと?…良いことな訳無いじゃん!!

 

ファルスの呟きを聞いたミーアは激昂した。

 

「ッ!?」

 

「死ぬ事が出来ないのが良いこと?そんな訳無いでしょ!?ファルちゃん不老不死になるんだよ!?ただでさえ不老長寿のエルフが死ぬ事さえ許されない!なんでファルちゃんばっかりそんな目に遭わなきゃならないのさ!!里の為にファルちゃんは死ぬ権利すら奪われるんだよ!?死は生きる者に必ず訪れるものだ!それは不老長寿のエルフも例外じゃない!」

 

「ミーア…」

 

ファルスはミーアの怒りを聞き押し黙ってしまう。

 

「ッ!…ごめんファルちゃん……ボクまた()みたいに…」

 

「……いや…お前の気持ちに気づいてやれなかった私のせいでもある…すまない」

 

「………」

 

燈矢は2人の間には敢えて踏み込まなかった。

 

2人の過去を知らない自分が此処で入っても状況が悪化すると考えたからだーー

 

「……燈矢君もごめんね…気を遣わせちゃって…」

 

「いや俺は良いよ…二人は親友なんだろ?…部外者の俺が口を出して良いことじゃねぇし……まぁ半分は俺のせいかもだけどな」

 

「……」

 

燈矢はミーアからエターナルフェニックスワンダーライドブックを受け取る。

 

「俺はこれが何なのかは分からねぇ…でも俺が持ち込んだコレのせいでファルスが苦しい目に遭うって事だろ?…なら俺にも責任がある…」

 

「いや…私は寧ろ感謝しているよ…それのおかげで無銘剣虚無の真の力を知ることが出来た」

 

「ファルちゃん…どうしてもそれを使って闘わなきゃ駄目なのかい?」

 

ミーアは悲しそうにファルスを見つめながら言った。

 

「……すまないなミーア…だがこれは私の使命でもある…里の為に闘うのは無銘剣虚無を受け継いだ私の…な…」

 

「………そっか」

 

ファルスの言葉を聞き、ミーアは一言呟く。

 

「…じゃあ魔導具技師として…ファルちゃんの親友として…ファルちゃんを支えなきゃね」

 

ミーアは無理矢理笑顔を作り言った。

 

「………」

 

「……力になれるか分からねぇが…俺もファルスを支えるよ…多分だけど…俺がこの世界に来たのはファルスを支える為なのかもな」

 

ミーアの作り笑顔を見た燈矢は、この世界に留まることを決意した。

 

「……良いのかい?君が望むなら確証は無いけど元の世界に戻る方法を探す手伝いはするつもりだったけど?」

 

ミーアは燈矢に尋ねる。

 

「ファルスに不老不死の(こんな)力を与えたのは俺でもあるんだ…そんな俺がのこのこ元の世界に帰れるかよ…最後まで付き合うつもりだ」

 

「…本当にそれで良いのか?」

 

「男に二言はねぇよ、ファルス…あんたの使命…俺にも半分背負わせてくれねぇか?」

 

燈矢は笑顔でファルスに握手を求める。

 

「………本当に御人好しだな…お前は」

 

ファルスは苦笑いを浮かべながら燈矢と握手を交わした。

 

「ボクも忘れてもらっちゃ困るからね!」

 

握手した二人の手にミーアも手を重ねた。

 

「ボク達三人で一心同体だね!」

 

「一心同体であり三位一体って訳だな」

 

「……全く…お前達は…」

 

ファルスは静かに笑みを浮かべていた。

 

 

ヂリリリリリリ

 

 

『ッ!?』

 

いい雰囲気の中、ベルの様な物が鳴り響く。

 

「いい雰囲気がぶち壊しじゃねぇか!!」

 

「誰だろうな〜」

 

ミーアは部屋の隅に置いてあるアンティーク電話の受話器を取った。

 

「はいはいエルフの里シュトロード工房ですよ?…あぁ師匠!久しぶり!ーーー」

 

ミーアは電話越しの相手に笑顔で会話した。

 

「電話?この世界電話があるのか!?」

 

「電話というのが何かは知らんが…あれは魔導通信機と言う魔導具だ…私も詳しくは知らんのだが、なんでも遠くに居る相手に声を届ける魔導具らしい」

 

(まんま電話じゃねぇか…)

 

燈矢はファンタジー世界に電話がある事に驚愕すると同時に、心の中でツッコミを入れた。

 

「へぇ~そうなんだ!…あれ?でも師匠?師匠の工房ってサンドリアだったよね?師匠の魔力今エルシア辺りに感じるんだけど……えっ?魔石の発注?…確かにエルシアで発注掛けたけど……えっ?()()()に依頼した?運び屋って噂の運び屋?何でまた……あぁ〜…分かった!届き次第修理しとくね!でもわざわざボクに頼まなくても師匠なら修理なんて直ぐでしょ?…ぶ〜師匠ボクを何だと思ってるのさ!ボクは師匠の弟子なんだよ!魔導具に関してボクが手を抜く訳無いでしょ!?…まぁ分かったよ!大丈夫だよ!ボクはてぇんさぁいだからね!あっ!ボクの工房にも遊びに来てね師匠!待ってるから!…うん!」

 

「スゲェ笑顔だな」

 

「ミーアにとって()()は掛け替えのない師だからな」

 

「ファルスは会ったことあるのか?ミーアの師匠に?」

 

「あぁ、と言っても一度だけだがな」

 

ファルスと燈矢の二人はミーアの笑顔を見ながら話す。

 

「うん!…うん!待ってるからね師匠!じゃあね〜!」

 

ミーアは受話器を戻した。

 

「ごめんね〜今ボクの師匠からで、エルシア王国に運び屋が居たからボクに魔導具修理をさせる為に魔導具の運搬を依頼したんだって!ついでにボクが発注を掛けてた魔石を運び屋に届ける様に手配してくれたらしくてさぁ!いやぁ助かったよ〜!運び屋って他の運送とは違って速いからさぁ!」

 

「その運び屋ってなんだ?」

 

燈矢は首を傾げた。

 

「あぁ知らないよね、運び屋って言うのはこの大陸で知られてる有名人だよ!『どんな場所だろうと必ず依頼の物を届けそして、それを邪魔する物には死を与える死神』ってね!」

 

「……随分物騒だな…死神かよ」

 

「でもさっきも言った様に運び屋の運搬は他とは比べ物にならないくらい速いんだよ!魔導具技師としては凄くありがたいんだ!」

 

「運び屋か…私は会ったこと無いが…相当の手練れらしいな」

 

ファルスは腕を組みながら言った。

 

「でも師匠ったら…運び屋に依頼してくれたのは嬉しいけどさぁ…どうせなら会いに来てくれても良かったのに…」

 

「…ファルスにも聞いたが…ホントに慕ってるんだな」

 

「当然だよ!師匠はボクの憧れの魔導具技師だよ!さっき使ってた魔導通信機!何を隠そうあれを作ったのは師匠なんだよ!」

 

「…まさかの電話の製作者かよ」

 

燈矢はファンタジー世界で電話を作ったミーアの師匠に一度会ってみたいと考えた。

 

「そんなに凄い魔導具技師なら俺も会ってみたいな」

 

「燈矢君もそう思う!フフン!実はね実はね!師匠は昔魔導具技師協会の会長だった凄い魔導具技師なんだよ!」

 

「魔導具技師協会?」

 

「魔導具技師を育成し輩出するどの国にも属さない組織の名だ、大陸全土の魔導具技師は全て協会から輩出された者達なんだ…勿論、ここに居るミーアもな」

 

燈矢の疑問にファルスが答えた。

 

「へぇ~その魔導具技師協会の元会長がミーアの師匠かぁ…スゲェな」

 

「でしょでしょ!燈矢君も会ったら分かるよ!ボクの師匠、ミリアリア・オルテナルスの凄さ!」

 

ミーアは満面の笑みで自身の大好きな師匠を自慢した。

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