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一の巻
ハーメルン大陸の北の山岳地帯にて、ホムラという名の国があった。彼の国は手にすれば真の将軍にもなれる名刀、『焔天』を欲して幕府、大名、武将が相争う戦国乱世となっている。
そのような世で『焔天』を手に入れ、将軍を目指す若人が一人いた。彼は今日も各処を駆く。
◆◆◆
悲鳴、絶叫、怒号、哀願。
群雄割拠の戦国時代、何処からか…否、何処からでもそんな声が聞こえる、そんな時代。
此処もホムラ国ではよく見るごく普通の農村だ。山に囲まれた、小川が流れる、そんな地で百姓が汗を流して米を作る。
そんな普通の村で普段ならば家から煙が立ち上り、美味そうな匂いが漂い始める夕刻に差し掛かろうとしていた。
しかし、今日は違う。家から立ち上ったのは大きな炎、農村に漂い始めたのは血生臭い鉄の匂いだった。そして村は賊に囲まれ、百姓は血を流して全てを奪われていく。
略奪する盗賊、逃げ惑う村人。
ブウゥゥゥゥゥゥゥン!
そんな日常と平穏が壊された村に突如として現れたのはローズアタッカーに乗った一人の男。彼は大きな音を鳴らしながら盗賊の集団に突入してくる。
「うおっ?!」
「なんだぁ?!」
「貴様がこの村を襲っている賊の首領か。」
驚いている盗賊の下っ端をよそに赤い襟の黒の着物を身に纏う男はローズアタッカーから降りると盗賊の中で最も大きな体格を持つ男を睨みつけてそう言った。
「なんだテメェは!」
彼は略奪を邪魔されたことに激昂する盗賊の首領の質問に答える形で、怒りのこもった大きな声を出して宣言した。
「俺の名は駆紋宗戒、近い未来に将軍になる男だ。無抵抗な百姓を虐げる卑怯者どもめ、貴様らは俺が倒す。」
そう宣言し、拳を握り締めた宗戒は着物の中から戦極ドライバーを取り出すと腰に装着した。
「変身」
【バナーナ!】
宗戒はかけ声を言うと取り出して起動させたバナナロックシードを戦極ドライバーにセットする。
【ロック・オン!】
《カモン!バナナアームズ!》
そして戦極ドライバーのカッティングブレードを下ろすと、宗戒の頭上に開いたクラックからバナナを模したアームズが降りてきて彼の頭に装着され、アンダースーツも生成される。
「甘蕉?!」
「バロンだ!」
《ナイトオブスピアー!》
なんとか生き残った村人が巨大なバナナ頭に驚いている中、宗戒がそう叫ぶとバナナアームズが展開、鎧としてアンダースーツに装着されると、彼は仮面ライダーバロンに変身した。
「なんだ?!コイツ、姿が変わったぞ?!」
「テメェ、サムライじゃねぇようだな。」
変身したことに盗賊達が驚く中、バロンのヴァルハイト帝国の騎士の甲冑のような意匠を見た盗賊の首領がそう言うとバロンはバナスピアーを突き出して、彼らを挑発する。
「それがどうした?貴様らでは俺に勝つ事はできない。」
バロンの余裕を持ったその言葉に盗賊の下っ端が反応すると、他の盗賊達もそれに同調した。
「黙っていれば好き勝手言いやがって……カシラ!やっちまいましょうよ、こんな奴!」
「そうだ!そうだ!」
「やっちまえ!」
そんな五月蝿い彼らに向かってバロンは一言呟く。
「かかってこい、雑魚ども。」
そうしてバロンは盗賊との戦端が開かれると即座に蹴りを入れて首領を燃え盛る家屋の中へと吹き飛ばし、その内に蹴りの反作用の勢いを利用してバナスピアーの刺突を下っ端の盗賊一人に入れて倒す。
「オラァッ!」
「ぐはっ……?!」
続けて、バロンに斬りかかってきた盗賊三人に斬撃を避けながらバナスピアーで打撃を入れ、火花が散る。
「コイツ…強いぞ?!」
「テメェら、敵は一人だ!日和るんじゃねぇぞ!!」
仲間がやられている様子を見た盗賊達が萎縮しているのを炎の中から首領が戻ってきて喝を入れると、十名程度の盗賊達は叫びながら突撃する。
「殺せ!殺せ!」
「やっちまえ!」
「数が多いな、煩わしい。」
突撃バカしかいないのか、と呆れた様子のバロンがそう言いながらカッティングブレードを三回下ろした。
《バナナスパーキング!》
バロンはバナスピアーを地面に突き刺し、盗賊の足元からバナナ型エネルギーを連続発生させて盗賊達に攻撃すると彼らは爆散した。
「「ぐわあああああああ?!」」
「……倒せたか。」
バロンは爆発後、バナスピアーを抜いて立ち上がると、盗賊を倒したことを確認して変身を解除した。
「…………」
戦極ドライバーを着物の中にしまった宗戒が辺りを見回すと日は暮れており、家は燃えていた。