ハーメルン・アウトサイダーズ   作:夢野飛羽真

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相生相剋記 五の巻

「甘蕉などではない!バロンだ!」

「さぁ、俺を楽しませてくれぇ!」

 

 バロンと正広の戦闘が始まるとすぐに、互いの得物がぶつかり合う。バロンは大剣の重い斬撃をバナスピアーで上手くいなし、突き攻撃をいれる。

 

「すばしっこい奴め、小賢しいわ!」

「……ぐあッ!」

 

 だが、オーガは懐に来たバナスピアーを掴み取り、一撃を確実に入れた。その一撃は重く、深く、バロンに大きなダメージを与えた。

 

「オラオラオラァッー!さっきの威勢はどうしたァ!」

「チッ、腎力が足らぬというのなら……!」

 

 速度はバロンの方がやや上だが、パワーは正広に軍配が上がっていた。このままでは此方が不利、埒が明かない……と、そう判断したバロンは、腰のロックシードホルダーから紅色に染まっている果実の錠前を取り出した。

 

「はあっ!」

【マンゴー!】

 

 バロンはバナナロックシードをドライバーから外し、オーガ特有の巨体を鎧消滅の衝撃で弾き飛ばす。

 

「なんだ?」

【ロック・オン!】

 

 バロンの鎧が消えたことに警戒したオーガはバックステップで後に下がると同時に、戦極ドライバーの刃が下ろされた。

 

《カモン!マンゴーアームズ!》

 

 するとクラックからマンゴーアームズが現れ、バロンへと装着される。

 

「ふん、姿が変わったところで何になる!」

《ファイトオブハンマー!》

 

 その姿は戦場で飛び交うものとは違う、鮮やかな赤い堅牢な鎧、そして気品あるマントがなびいていた。

 

「吾妻鬼よ、俺を侮るな」

 

 バロンはメイス型のアームズウェポン、マンゴーパニッシャーを取り出した。

 

「おっ……?槌矛かァ……いいなァ、胸が躍るぜぇ!」

 

 大剣とマンゴーパニッシャーがぶつかることで、ガン!という鈍い音が戦場に木霊する。

 

「ふん、吾妻鬼も所詮はこの程度か」

「なッ……?!」

 

 各部に取り付けられたブロック型メタルアーマーが正広のさきほどの一撃をものともせずに受け止めた。

 

「天下を取る俺の敵ではないな。はっ!」

 

 そう言い放つと同時に、力任せにマンゴーパニッシャーを腹へと叩き込んだ。

 

「……がっ!」

 

 バロンからの鈍重な打撃に、正広も思わず呻き声を上げる。それを好機と捉えたバロンはカッティングブレードを二回下ろした。

 

「これで終わりだ!」

「おのれぇ……!」

《マンゴースカッシュ!》

 

 エネルギーを纏わせたマンゴパニッシャーを最後の足掻きをする吾妻鬼、東嶺正広に叩き込む。

 

「ぬわああぁぁぁぁッ!!」

 

 マンゴーアームズの特異な膂力はオーガをも吹き飛していた。爆散した正広の遺骸は東嶺藩陣地に落着し、東嶺軍を大混乱に陥れていた。

 

「すごい……!」

 

 蔦谷忠篤の忘れ形見、蔦谷忠邦はただただ、バロンのその強さに終始圧倒されていた。いや、あの東嶺正広を倒した者だ。尊敬と同時に畏怖の念も抱いた。

 

「大事はないか?蔦谷の若頭よ」

「ああ、貴君のおかげでな……名を聞いてもよろしいか?」

「俺の名は宗戒、いづれ天下を取る男だ。……だが今は目の前のコイツらが先だな」

 

 バロンは忠邦に対して意外にも丈夫な武者だな、と感心しながらも東嶺藩陣地に目をやる。

 

「宗戒殿、ご助力と我が父の仇討ち、感謝します……」

「礼など良い、忠邦、勝つぞ」

 

「蔦谷の兵どもよ!我が父、忠篤の弔い合戦じゃあ!」

 

「うおおおおぉぉぉぉ!」

 

 蔦谷軍は藩主を失ったが、蔦谷忠邦の指揮と仮面の武者、バロンの奮闘による反撃が始まった。

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