「甘蕉などではない!バロンだ!」
「さぁ、俺を楽しませてくれぇ!」
バロンと正広の戦闘が始まるとすぐに、互いの得物がぶつかり合う。バロンは大剣の重い斬撃をバナスピアーで上手くいなし、突き攻撃をいれる。
「すばしっこい奴め、小賢しいわ!」
「……ぐあッ!」
だが、オーガは懐に来たバナスピアーを掴み取り、一撃を確実に入れた。その一撃は重く、深く、バロンに大きなダメージを与えた。
「オラオラオラァッー!さっきの威勢はどうしたァ!」
「チッ、腎力が足らぬというのなら……!」
速度はバロンの方がやや上だが、パワーは正広に軍配が上がっていた。このままでは此方が不利、埒が明かない……と、そう判断したバロンは、腰のロックシードホルダーから紅色に染まっている果実の錠前を取り出した。
「はあっ!」
【マンゴー!】
バロンはバナナロックシードをドライバーから外し、オーガ特有の巨体を鎧消滅の衝撃で弾き飛ばす。
「なんだ?」
【ロック・オン!】
バロンの鎧が消えたことに警戒したオーガはバックステップで後に下がると同時に、戦極ドライバーの刃が下ろされた。
《カモン!マンゴーアームズ!》
するとクラックからマンゴーアームズが現れ、バロンへと装着される。
「ふん、姿が変わったところで何になる!」
《ファイトオブハンマー!》
その姿は戦場で飛び交うものとは違う、鮮やかな赤い堅牢な鎧、そして気品あるマントがなびいていた。
「吾妻鬼よ、俺を侮るな」
バロンはメイス型のアームズウェポン、マンゴーパニッシャーを取り出した。
「おっ……?槌矛かァ……いいなァ、胸が躍るぜぇ!」
大剣とマンゴーパニッシャーがぶつかることで、ガン!という鈍い音が戦場に木霊する。
「ふん、吾妻鬼も所詮はこの程度か」
「なッ……?!」
各部に取り付けられたブロック型メタルアーマーが正広のさきほどの一撃をものともせずに受け止めた。
「天下を取る俺の敵ではないな。はっ!」
そう言い放つと同時に、力任せにマンゴーパニッシャーを腹へと叩き込んだ。
「……がっ!」
バロンからの鈍重な打撃に、正広も思わず呻き声を上げる。それを好機と捉えたバロンはカッティングブレードを二回下ろした。
「これで終わりだ!」
「おのれぇ……!」
《マンゴースカッシュ!》
エネルギーを纏わせたマンゴパニッシャーを最後の足掻きをする吾妻鬼、東嶺正広に叩き込む。
「ぬわああぁぁぁぁッ!!」
マンゴーアームズの特異な膂力はオーガをも吹き飛していた。爆散した正広の遺骸は東嶺藩陣地に落着し、東嶺軍を大混乱に陥れていた。
「すごい……!」
蔦谷忠篤の忘れ形見、蔦谷忠邦はただただ、バロンのその強さに終始圧倒されていた。いや、あの東嶺正広を倒した者だ。尊敬と同時に畏怖の念も抱いた。
「大事はないか?蔦谷の若頭よ」
「ああ、貴君のおかげでな……名を聞いてもよろしいか?」
「俺の名は宗戒、いづれ天下を取る男だ。……だが今は目の前のコイツらが先だな」
バロンは忠邦に対して意外にも丈夫な武者だな、と感心しながらも東嶺藩陣地に目をやる。
「宗戒殿、ご助力と我が父の仇討ち、感謝します……」
「礼など良い、忠邦、勝つぞ」
「蔦谷の兵どもよ!我が父、忠篤の弔い合戦じゃあ!」
「うおおおおぉぉぉぉ!」
蔦谷軍は藩主を失ったが、蔦谷忠邦の指揮と仮面の武者、バロンの奮闘による反撃が始まった。