ニコの依頼を引き受けると共に、俺はエルシア王国に向けて走る。ニコが契約書に記載されていた内容を指摘してきた時の驚きと憤りがまだ胸の中に残っていた。
「ちょつ、揺れる揺れるぅ!?」
その最中、ライドチェイサーの後ろにいるニコから苦情が来る。彼女の声には少しの恐怖と不満が混ざっていた。俺は背中越しに彼女の声を聞きながら、眉をひそめた。
「お前が勝手についてくると言ったからだろうが」
俺は冷たく言い放つ。山道を走るライドチェイサーは激しく揺れ、その振動が背中越しに伝わってくる。
「だとしても、レディの扱いはもっとなんとかしなさいよ!」
ニコの声はさらに大きくなり、彼女の怒りが増していた。彼女の抗議には一理あったが、俺の立場からすれば彼女が勝手についてきたという事実は変わらなかった。
「・・・クソが」
俺は小さく呟きながら、ライドチェイサーのハンドルを握りしめた。火山地帯のイグニス王国からエルシア王国へと向かう道は険しく、時折激しい揺れが俺たちを襲った。俺は前方に集中しながらも、ニコの存在を無視することはできなかった。
「こんな道を走るとは思わなかったわよ」
彼女の言葉には諦めとも取れるニュアンスが含まれていた。
俺は振り返らずに前方を見つめながら、心の中でため息をついた。
この依頼を無事に完了させるためには、彼女との関係をうまく調整する必要がある。
「お前も少しは我慢しろ。これは仕事だ」
俺は短く答える。彼女にはこれ以上無駄な言葉を交わす気はなかった。
山道で走る最中、突如聞こえた地鳴りのような音に俺は警戒を強めた。
見つめた先には、巨大な岩石が動き出しているのが見える。それは、岩石蠍だった。その名の通り、岩でできた巨大な蠍が山に隠れていた。
「あっあっあれはぁ岩石蠍!?」
岩石蠍を見たニコは騒ぎ始める。
「どうするのよぉ!あいつはかなり強力で、普通の攻撃じゃ傷一つつけられないわよ!」
ニコは声を高めながら叫んだ。
俺は冷静にハンドルを握り、背中越しに彼女の不安を感じ取った。
「黙ってろ」
俺の言葉は短かったが、その声には冷静さと自信が込められていた。
ニコはその声に一瞬驚いたように息を呑み、「うわっと」と小さく呟いた。
山道の揺れが強くなり、岩壁の影から岩石蠍がその巨体を現した。
その体はまるで岩山の一部が動いているかのようだった。
ニコの声には明らかに恐怖が混ざっており、彼女の心臓の鼓動が背中越しに伝わってきた。
懐から取り出したのは、黒いグリップに紫のガードパーツが施された片手銃。この世界では本来ならばあり得ない武器――ブレイクガンナーだ。
俺はグリップを握り、銃口を岩石蠍に向ける。
『GUN』
トリガーを引くと同時に、ブレイクガンナーから飛び出した紫の光弾が岩石蠍に直撃した。
その硬い岩の外皮が一瞬にして砕け散り、岩石蠍は絶叫しながら崩れ落ちる。
「ガァアアアア!!」
光弾が次々と岩石蠍の体を貫き、その巨体は瞬く間に破壊されていく。岩石蠍の体はまるで砂のように崩れ落ち、その硬い外皮は粉々に砕け散る。
ニコはその光景に呆然としながらも、その武器の力に驚愕していた。彼女の声には畏怖と興奮が混ざり合い、ブレイクガンナーの存在感が彼女の心を掴んでいた。
「嘘ぉ……」
俺は次々と岩石蠍を撃ち抜き、その度に岩石蠍は死んでいく。その圧倒的な威力は、まるで岩石蠍の体がガラス細工のように脆く崩れていくかのようだった。
ニコはその光景に目を奪われ、言葉を失っていた。
俺はそのままブレイクガンナーを構え、次の岩石蠍に照準を合わせる。
「邪魔をするな」
その言葉と共に、俺は再びトリガーを引く。紫の光弾が次々と岩石蠍を貫き、その巨体は瞬く間に崩れ落ちていく。山道には岩石蠍の残骸が積み重なり、その光景は圧巻だった。
ニコはその光景に呆然としながらも、その武器の力に驚愕していた。彼女の声には畏怖と興奮が混ざり合い、ブレイクガンナーの存在感が彼女の心を掴んでいた。
「なっ何よ、その武器」
ニコは震える声で尋ねるが、俺は答えない。その武器の秘密はまだ彼女には明かさない。
俺はそのままブレイクガンナーを構え、次の岩石蠍に照準を合わせる。ライドチェイサーは激しく揺れながら山道を走り抜け、俺は岩石蠍を次々と倒していく。ニコの声は背後から聞こえるが、俺はその言葉には答えず、ただ前だけを見つめていた。
「なっ何よ、その武器」
「仕事道具だ」
俺は冷静に答えながらも、そのまま向かう。
「仕事道具って、そんなの、どの国でも見た事ないわよ。あんた、どこで手に入れたの」
ニコがそう尋ねるが、その問いには答えられない。彼女にはまだその情報を明かす必要がない。
「お前に教える必要はない」
そう答えて走り続ける。彼女にはまだこの武器の秘密を知らせる気はない。俺は前を向いて、ライドチェイサーのハンドルを握りしめる。背後からは岩石蠍の死骸が地面に崩れ落ちる音が聞こえ、その振動が伝わってくる。
火山地帯のドワーフ王国(大陸北部)
正式名称:イグニス王国
特徴:火山地帯を利用した鍛冶技術を持つドワーフの国。
文化:火を崇拝し、鍛冶職人や魔導技術者が多い。戦士としての気質も強い。
特記事項:火山が活発なため、噴火に備えて洞穴を掘ってその中で生活している。
南部の人間の国(大陸南部)
正式名称:エルシア王国
特徴:帝国と交易を行いながら生き延びている小国。
文化:騎士道を重んじるが、帝国と異なり、傭兵や冒険者を積極的に受け入れる。
特記事項:帝国と魔族の国の間に位置し、外交のバランスが難しい。