騎士様のヒーローアカデミア   作:只の暇人

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侵略する者

「「「「「救世主を讃えよ!!」」」」」

「「「「「救世主を崇めよ!!」」」」」

「「「「「救世主を迎えよ!!」」」」」

 

インヴェーダーの兵士たちが大声を上げて賞賛する。

 

「舐めやがって!」

 

1人のヒーローが“個性”を使って戦おうとした。

 

「そこまでだ」

 

だが1人のインヴェーダー兵が一つの玉のようなものを出すと、玉はパカリと開いて起動する。

するとヒーローの“個性”が小さくなっていく。

 

「何!?個性が使えない!?」

「お、俺もだ!」

「俺はほんのちょっとしか出せないぞ!」

「貴様ら汚染種族どもは特殊能力を持っているらしいからな。試作だがこの妨害装置は良い働きをしている」

「バカな!?個性を妨害だと!?」

 

地球に住む人々の9割が個性待ちとなっている今にとって“個性”を妨害され、制限された人々はほぼ無個性と同意義となる。

 

「死にたくなければ大人しくしてろ」

「ぐっ」

 

戦う個性(ちから)を奪われたヒーロー達はなす術がなかった。

 

 

 

 

 

キシノサイド

 

「…ふぅ。姫様、ここまでで結構です」

「大丈夫か?」

「本調子じゃなくとも動けるだけまだマシです」

 

全回復とはいかないがキシノが立ち上がり、インヴェーダー司令官と対峙する。

 

「…ああ、汚れた魂がまた一つ現れたか」

「…幾つか質問しますが………あなた達はなんのためにこの雄英に………この地球へやってきたの!?」

「…我らは選ばれしものたち。この地を救世主の元へ返さんとする戦うもの達。貴様らのような…汚染された者達を浄化するのだ」

「浄化………幾つかの町や国を滅ぼしたのも浄化というんですか」

「そうだ。この地は貴様らによって汚された。故に貴様らを滅ぼし、救世主のために美しい星を作るのだ」

「話し合いで解決するって方法は無いんですか?………少なくともヒーローはそれを望んでいます」

「人間は他の人間と共に生きていくことができる。だが、世界を蝕む害虫と話し合うバカがどこにいると?

 

兜をかぶっているため表情は分からない。

しかし、その視線は明らかに侮蔑の構った見下しであった。

 

「………俺達は害虫扱いか」

「論ずるに値しない。だが喜べ!貴様らの魂は我らの救世主の帰還のための糧となるのだ!」

 

インヴェーダー司令官は大剣を振り上げる。

 

「先生!」

 

ヒュッ!パシッ!

 

「ぬ?」

「ヒーローはそう簡単にやられたりしないわよ!」

 

ミッドナイトが鞭を使ってインヴェーダー司令官を妨害する。

その隙をついてキシノがかける。

 

「スマッシュパー———」

 

右手を振り上げると、インヴェーダー司令官が盾を前に出す。

そして盾はガバッと大きな口を開けた。

 

「—-いいっ!?」

 

巨大な口が噛み付いてきたが、ギリギリ下がって回避した。

 

「生きた盾ですか」

「厄介だけどこいつは相当強いわ」

「はい。………それに…」

 

見上げるキシノ。

そこには飛びながらジーッとキシノ達を見ているハーベスター。

 

「キシシ」

 

ハーベスターの鎌から電気が迸る。

 

「!ショートくん!!」

「っ!?」

「シャアア!!」

 

轟は咄嗟にコヒメを庇いながら氷で雷を防ぐ。

 

「キシャシャシャシャシャシャ!」

 

ハーベスターは鎌を振り回し、少しずつ氷を削っていく。

 

最初のようにぶった斬ることはせず少しずつ切りながら轟に迫っていく。

 

「何やってんだあの虫は?」

「まずい!あれは少しずつ削ってじわじわと甚振ろうとしているんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

(………何やってるんだ俺は?)

 

徐々に削られつつも氷をだし続けてコヒメを守っている轟。

 

(この虫も、あのデカいのも、オールマイトを除けば間違いなく強い。普通ならプロヒーローに任せるのがセオリーだ。………なのになんで俺はこの娘を守ってるんだ?)

 

チラッとコヒメを見ると、しっかりと轟の服を掴んでキシノを見続けている。

明らかに泣きそうな顔なのに目を瞑ろうとも反らそうともしていない。

 

「………コヒメ、早く離れろ。この氷が壊されたら…」

「ダメだよ」

「!?」

「あたしはガーディアンを信じてる。ガーディアンは貴方を信じてる

「………」

「だから、貴方は貴方を信じて」

「…俺が………俺を?」

 

轟が自分を信じるというコヒメの言葉に躊躇うように口にする。

父親のこと、母親のこと、そして自分自身のことをごちゃ混ぜに思考して答えが出せないでいると、

 

『まだ迷ってるのショート君!』

 

会場中にキシノの声が響き渡る。

 

『ここは戦場だよ!訓練でも模擬戦でも無い本物の戦場。油断すれば確実に死にますよ!』

 

よく見るとキシノの兜にミッドナイトが持っていたマイクが引っかかっていた。

間抜けに見えるが、キシノは振り返らず続ける。

 

『貴方が何に迷っているかは知りません。でも、現場で迷いを見せれば助けたい人は助けられず、自分自身を危険に晒すことになります。それでも迷いが晴れないのなら、私が貴方の迷いを背負ってあげます

「?」

『詳しくは聞きません。でも貴方は進むべき道がわからないんですよね?そんな時は誰かに頼るって選択肢がありますよ。1人で無理なら2人で、2人が無理なら3人で、3人なら4人で、…いえ、いっそ二十人全員で相談し合いましょう。もう大丈夫。貴方は1人じゃ無い』

「………」

 

ふと轟の中で何かがストンと収まった気がした。

 

 

 

 

 

–––俺は、親父を否定することだけを考えていた–––

 

「シャアア!!」

 

–––けど、俺は間違っていたんだな–––

 

「轟君!!」

 

–––なら、俺が目指すヒーローは………–––

 

「オールマイトのように誰かを守るヒーローになることだ!!」

 

ハーベスターが氷を破壊した瞬間、右手から炎を出してハーベスターの顔に直撃した。

 

「ギィイアアアアアアアアア!!?」

 

顔面に大きな火傷を負ったハーベスターは、痛みでふらつきながら会場から去って行く。

 

「ハーベスター!どこへ行く!?」

 

司令官は呼び止めるも、ハーベスターはすでに去ってしまった。

 

「ショート君!」

「………誰かさんのお節介のおかげで迷いは収まった。ここからは俺達(・・)が相手だ!」

「ええ!私達です!」

「…汚れた汚染種族共が…!」

 

戦いの最終局面が近づいてきた。

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