騎士様のヒーローアカデミア   作:只の暇人

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別の事で時間をかけすぎた………


Ex2:キシノのクエスター珍道中

「な、何事なんこれ?」

 

雄英高校のエントランスに人だかりができていて唖然と見ている麗日。

その人だかりの中心からトンテンカンと何かを作っているかのような音が聞こえる。

 

「誰か作ってる?」

「てかこれじゃ通れねーよ」

「皆さん!道をお開けください!」

 

飯田の号令に人だかりから道ができ、その中心にいる人物が見えた。

 

「あれ?キシノさん?」

「んあ?」

 

キシノがトンカチ片手に口に釘を咥えながら箱と看板を作っていた。

 

「んぁー、ひほひふんおはおー」

「キシノさん、まず咥えながら話さないでください」

「…緑君おはよー」

「おはようございます………じゃなくて、何作ってるんですか?」

「『クエスター目安箱』」

 

簡潔に答えながら一つの箱を完成させた。

 

「学校通っているといえクエスター活動をしとかないと」

「…クエスターってチェック厳しいのか?」

「一ヶ月以内に活動しないとサボってると見做されて罰金を支払わなければなりません。安くて十万前後程」

「じゅ…っ!?………払えなかったら?」

「クエスターの資格諸共身包み剥がされます」

 

クエスターの罰則に聞いてた緑谷達は戦慄した。

 

「………こんなところかな?」

 

キシノは『キシノのクエスター目安箱』と書かれた看板を完成させたあと、エントランスに集まっている生徒達に大声で呼びかける。

 

「私に手伝って欲しいまたは協力して欲しいと望むならこの目安箱に依頼を書いて入れてください!」

 

複数人の生徒達は顔を見合わせ、『依頼申請書』と書かれた紙に書いて目安箱へ投入する。

 

「次々と入れとる…」

「よほど手伝って欲しい内容なんだね…」

「だといいんだがな」

「せ、先生!?」

 

いつの間にか相澤が後ろに立っていた。

 

「キシノを便利屋かなんかと勘違いしてるんじゃないか?」

「クエスターは便利屋みたいな仕事ですからあながち間違ってはいませんよ」

 

相澤はキシノと会話しながら目安箱に入っていた依頼書を吟味する。

 

「あの…先生何を」

「先生は受付兼監督官ですよ。合理的視点で私にやらせるクエストを選ぶんです」

「要はキシノにやらせる依頼を合理的に厳選する役目を負う事になったわけだ。面倒だが、ある意味合理的判断だ」

 

相澤が次々と厳選していくが、わずか数分で終わってしまう。

 

「あれ?もう終わったん?」

「先生が登場した途端にみんなそそくさと離れたみたいで」

 

不思議そうな麗日にキシノは端的に答えた。

 

「きっとキシノにいかがわしい事を頼もうとしたんじゃねーの?」

「オメーじゃあるめぇし」

 

峰田の発言に切島がズバッと切り捨てた。

 

「ところでさ、その依頼ってあたし達も出せるの?」

 

芦田が思い出したとばかりに問う。

 

「クラスメイトだけじゃなく『この高校にいる人みんな』もですよ」

「みんなってことは先生も?」

 

麗日の問いにキシノは頷いた。

 

「教師もOKなら丁度いい。お前の実力を測るのに最適なもんがある」

 

相澤の手から『依頼書』を渡されたキシノ。

 

「えと、『宝探し』?」

「ああ、『特定の場所に隠されたお宝を探し当てる』。クエスターはどんな依頼でもこなすをモットーにしているならこれくらいはこなせるだろう」

「最初の試練って訳ですね。分かりました。この依頼受けましょう!………放課後からで」

「合理的判断だ」

 

 

 

 

 

 

 

放課後…

 

「…ここが宝の隠し場所ですか」

 

メモを見て、ある建物を見ながら訝しげに見つめるキシノ。

木製の建物で、平行に並んだ窓ガラスとチョンと飛び出ている赤い屋根と古めかしい時計が時を刻んでいる。

 

「『雄英高校旧校舎』お宝を隠すにはもってこいの場所ですね」

「ああ、この旧校舎に隠されたお宝を回収して俺に届ければ依頼完了だ」

 

キシノと同じく旧校舎を見つめる相澤。

その顔はどこか懐かしそうだ。

 

「よし、それなら早速探検だ!」

「おい、注意事項………はいっか」

 

相澤は先に入ろうとするキシノを止めようとして、やめた。

 

「…おい、いつまで隠れてるんだ?」

「おっとバレたか」

 

近くの茂みからプレゼント・マイク含む教師陣とA組が現れた。

 

「クエスターの仕事ってのに興味あってな。一回見てみたかったんだ」

「非合理的だな。ただの野次馬だろう?」

「そうとも言う!シビィー!」

「とは言っても私達はクエスターの名前は知っていても中身まではまだ知らないわ」

『先輩達とは違う経験を持つ人だからこそ気になると言う訳です』

『我々ヒーロートハ似テイルヨウデ違ウヨウナモノダカラナ』

 

ミッドナイトと13号、黒いプロテクトスーツを身につけたような『分身』個性のエクトプラズムもキシノが気になっている様子。

 

「でもあたしも行きたかったな〜宝探し」

「わかるぜ。宝探しというロマン溢れる物は」

 

不貞腐れた芦田と同意する上鳴。

 

「2人とも、これはキシノさんの試験みたいな物だから…」

 

緑谷がフォローを入れる。

 

キィ

 

「お?噂をすればだな?」

 

扉を開く音を聞き取ったプレゼント・マイク。

彼以外全員も同じ方向を見る。

 

「あれ?皆さんなにやってるんですか?」

「そりゃお前………こそ何があったんだ?」

 

出てきたキシノの質問に軽く返そうとして、ズルズル引きずっている大きな麻袋を見て指摘するプレゼント・マイク。

 

「これ?なんだかゴソゴソしてたし怪しかったから殴って捕まえました」

 

そう言って中身を出したキシノ。

殴られて目を回している中年男性が出てきた。

 

「宝探しのつもりがとんだトラブルだな。ま、ヒーロー業界では想定外も起こるもんだ」

 

とりあえず目配せで中年男性を捕縛を指示する相澤。

 

「そんなことより!お宝見つかったの!?」

 

芦田が興奮した様子で詰め寄る。

 

「見つかりましたよ。ほら」

 

そう言ってキシノは『装飾の凝った箱』と『古ぼけた鉄のボール』を出した。

 

「………箱は分かるけどそのボールはなんだよ」

「さぁ?よく分かりませんが一応持っとこうと思いまして」

 

鉄のボールを見て頭を捻らせていると、緑谷が気づく。

 

「あ、もしかしてタイムカプセルなんじゃ」

「タイムカプセル」

「子供時代に宝物を入れて大人になったら取り出すというあれだな!」

「おそらくこの雄英の大先輩が埋めた物だろうな」

 

タイムカプセルと聞いてワクワクしながら話し合っていると、

 

「ねぇ中身は何かな?」

「そうですね」

「ちょっ!?勝手に開けちゃ…」

 

中身が見たい芦田に急かされ、キシノはタイムカプセルを開けた。

 

「オープン!………ん?」

 

中に入っていたのは劣化して古ぼけたけん玉が5つと1通の手紙だった。

 

「け、けん玉?」

「これがお宝?」

「けん玉好きやったんかな?」

「何書いてるんでしょうか?」

「き、キシノさん勝手に読んじゃ………」

 

が、緑谷の説得虚しくキシノは手紙を読んだ。

 

『私はしがない雄英生徒の1人。生まれて初めてあなたに恋をして、3年もその思いを出すことができず、こうして手紙に書くことにしました。あなたはきっと私を忘れてしまうだろう。しかし、私はあなたが忘れられない。その美しき姿に記憶の底まで刻まれた私はいつもあなたを思い続けています。私の恋心と共にこの中に封印します。いつかこの思いが私を輝ける道を示すと信じて

 

 

 

PS.私はどちらかというとヒーローよりもけん玉職人になりたいです(笑)』

 

 

 

「「「「「「………………」」」」」」

 

一同沈黙。

 

パシッ

 

「あ」

 

するとダンマリの爆豪が強引に手紙を奪い取り、

 

「笑えるかクルァァァァァァアアアアアアア!!!!」

 

怒り全開でバリっ!と破って地面に叩きつけた。

 

「人をおちょくるのも大概にしやがれクソがぁぁあ!!」

 

まるで敵みたいなすごい形相でストンピングをかます爆豪。

 

「何が(笑)だこのやろーー!!!」

「俺たちの青春を汚しやがって!!」

「けん玉職人になりたいじゃねーんだよ!!」

「っていうか気持ち悪いポエム書くなよ!!」

 

峰田、切島、上鳴、芦田、佐藤、常闇、耳朗も激しい形相でストンピングをかます。

 

「ムゴ!ムゴ!ムゴ!」

 

すると猿轡されて捕まった中年男性が抗議するように反応する。

 

「?どうしました?」

 

キシノは中年男性の猿轡を外す。

 

「き、君たち!私の学生時代の思い出をなんだと思ってるんだ!今更恥ずかしい内容だったのを思い出して隠滅を図った私の思いがわかるか!」

「あの手紙はあなたのですか」

「「「「「「お前かいぃいいいい!!!」」」」」」

 

なんとこの中年男性は元雄英生徒だったのだ。

 

「なるほど。学生時代に恋をしたけど奥手すぎて手紙と共にカプセルに閉まったけども不意に思い出して証拠隠滅のために不法侵入して運悪く私に見つかったと」

「………こんなんで俺たちの大先輩だってんだから情けねえったらありゃしねぇ」

 

納得したキシノだが、プレゼント・マイク達教師陣は頭を抱えた。

 

「くそ〜。こうなったらキシノ!もう一つ箱があっただろ!あれで口直しだ!」

「そうだ!まだあれがあった!」

「ねね!早く開けて!」

 

装飾の凝った箱を思い出してキシノに急かす峰田、上鳴、芦田の三人。

 

「…相手は相澤先生ですよ」

「チクショーーー!!そうだったー!」

「俺たちに夢はないのかァァァァァ!?」

「終わった!あたし達は終わったのよ〜!!」

 

だがキシノの一言に泣き崩れてしまった。

流石の相澤も看過出来ず髪の毛が逆立つ。

 

「…オメーら俺をなんだと思ってんだ」

「合理至上主義?」

「正解」

「オイコラ山田」

「だけど安心して!ちゃんと苦労に見合った報酬を用意しているのさ!」

 

するとネズミなのかクマなのか、答えはたった一つを目で語ってそうな人物・根津校長が資金の入った小箱を持って現れた。

 

「校長さん!」

「君の行動は見させてもらったよ。今回の依頼と特別手当を足してこれくらい用意したよ」

「ありがとうございます」

「こういうのがクエスターという物なのか?」

 

キシノのやりとりを見て疑問符を浮かべる飯田。

 

「これはまだ簡単な部類ですよ。一部では共同作戦やら魔獣退治やらとか多いんですから」

「これは失礼しました!」

 

キシノに指摘されて即座に敬礼して謝った。

 

「魔獣?」

「それはともかく先生、あの箱の中身は何が入っていたんです?」

 

キシノは装飾の凝った箱について相澤に聞いてみる。

 

「………内緒だ」

「え〜?教えてくださいよ〜」

「いやだ。合理的黙秘権を使用する」

 

相澤は頑なに答えない。

 

「む〜。マイク先生とミッド先生は知ってます?」

「それはだな…むぐっ」

「それはね…むぐっ」

「そこまでだ」

 

バラそうとしたプレゼント・マイクとミッドナイトを捕縛布で口を塞ぐ。

 

「なんで教えないんですか先生。もしかして恥ずかしい物でもあるんですか?」

「ほぅ?相澤先生の恥ずかしいものか?」

「これは証拠を確認せざるを得ませんなぁ?

「先生の?見たい見たい!」

「見やがったら次出す宿題を5倍にする」

「「「「「「悪魔かよ!!!?」」」」」」

 

そんなこんなで、キシノのクエスター活動は終わりを告げたのだった。




ちょっと銀魂ネタぶっ込んでみました。
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