入学試験から数日後………
「うーん、まだですか?」
『まだです。動かないでください』
制服姿のキシノに機械じみた声と耳飾りのメイドが採寸を測っている。
『終わりました。採寸を終了します』
「………ねぇ、これって必要なこと?」
『必要です。雄英に入学したのですからこれくらいはやりませんと』
何か間違っている気がすると思ったが、とりあえずされるがままとなる。
「………行く前に姫様と話をしたかったな」
「戻ってくるのはかなり後になる。寂しいだろうが、君が立派なヒーローもとい騎士の姿を見せれば姫様も安心するだろう」
若干不貞腐れるキシノにエヴァが嗜める。
「しかし、ついに新入りも雄英入りか」
「たしか団長元雄英生でしたっけ」
「まぁな。だが私はヒーローよりも今の地位が性に合っているのでな」
「確かに。私もヒーローより騎士ですから」
エヴァの学生時代が気になりつつも、食事を済ませ玄関へ向かう。
「キシノ、私から言えることは一つだ」
「『騎士の心得を忘れるな』ですね。では、行ってきます」
騎士の兜を被り、キシノは雄英の学校へと向かうのだった。
雄英高校
幾多のヒーローを生み、選出してきたマンモス高校。
ヒーローのなんたるかを学び、そして人々を守るために存在する学校だ。
そんな中キシノは『1-A』と書かれた紙を見ながらうろうろしている。
「ここら辺のはずだけど………のっけから遅刻なんかしたら団長に怒られるなぁ」
やや不安げに行くべき教室を探すキシノ。
するとドンッ!と誰がにぶつかった。
「わっと、大丈夫?」
「すみません、そちらこそ大丈夫です………か………ってあなたは!?」
キシノにぶつかった相手は、緑色のモジャモジャ頭の少年こと緑谷であった。
「あれ?君は確か試験の。合格したんだね」
「はい!なんとか合格できました!あと援護してくれてありがとうございました!!」
バッ!と90度お辞儀を披露する緑谷。
「いいよいいよ。ところで………えっと………」
「………あ、名前ですね。僕は緑谷。緑谷出久です」
「なるほど。緑君だね」
「緑君っ!?」
なかなか斬新な名前を言われてびっくり仰天な緑谷。
「私はキシノ。キシノ・ガーディアン。将来最高の騎士になるために学びにきたよ。よろしくね」
「こ、こちらこそ!」
握手を差し出されて、緊張混じりの緑谷は思わず両手で応えてしまう。
「緊張しすぎ。で、緑君。1-Aの教室は何処かな?」
「あ、でしたら僕も向かうところなので一緒に行きましょう」
不思議な縁があるなーと感慨深くキシノは思う。
そしてようやく目的の教室に辿り着き、扉を開けると、
「机に足をかけるのをやめたまえ!先輩方への失礼だとは思わないのか!?」
「思わねーよ!端役(モブ)が!!」
メガネの人が見た目含めなかなか悪そうな少年を嗜めようとしているが無視されている。
「………雄英ってあんな犯罪者みたいなのも入学できるんだね」
「………幼馴染がすみません」
キシノの率直な感想に緑谷は複雑な顔で謝った。
「今俺を犯罪者つったのはだれだ!!」
キシノの感想が聞こえたらしく悪そうなクラスメイトが大声を上げる。
「あ、ごめん。私だわ」
「なんで正直に答えちゃうの!?」
馬鹿正直なキシノに思わずつっこむ緑谷。
悪そうなクラスメイトはキシノの近づく。
「テメェ、確かクソデクとつるんでた鎧ヤローだな?」
「(クソデク?)鎧ヤローとは失礼な。敵から転生したような人に言われたくありません」
「(ビキッ!)ンダトォッ!?」
「き、キシノさん!?かっちゃん!?」
ナチュラルに煽るキシノにかっちゃんと呼ばれた悪そうなクラスメイトは耐性が低くブチギレ。
周りのクラスメイト達はハラハラした様子で見守っている。
「上等だ!テメェぶっ殺す!!」
「よーしかかってこい。カンタベリー護身術の真髄を叩き込んでやる」
戦う気MAXのかっちゃんとシュッシュッとシャドーボクシングするキシノ。
「ままま待った待った待った!ダメだって!!」
「よすんだ2人とも!ここで喧嘩はダメだ!」
「あわわわわ!2人ともダメやで〜!」
緑谷とメガネの少年、そして試験であった少女が仲裁に入る。
かっちゃんはグルルルルとキシノを睨みつけているが、キシノは少しして手を下ろす。
「ごめん、ちょっと大人気ないことした」
「わ、わかってくれればいいよ」
「おいおい、ここはヒーロー科だぞ。荒くれの溜まり場じゃねーんだぞ」
いつのまにか汚くて胡散臭そうなおじさんがキシノの後ろに現れ、
「もしもし?今学校に不審者が………」
「アホか。こんななりだが俺は一応教師でここの担任だ」
(((((自覚はあるんだ…)))))
警察に電話しようとするキシノに自称担任教師は待ったをかける光景にクラスメイト達はそう思った。
体操服に着替え、グラウンドに集合し、担任教師・相澤消太は言う。
「今からお前達には個性を使って体力測定を行う」
曰く、自らの個性がどれだけ優れているかアピールしろとのこと。
それを聞いたキシノは微妙な顔になる。
(私の個性は分かりづらいタイプだから無理かも)
そんな時爆発少年が個性の爆発でボール投げを700M以上を記録した。
それを見て触角の生えたピンク色のクラスメイトが「面白そう!」と口にした。
「面白そう…か。君達はヒーローになる為の3年間をそんな腹積もりで過ごす気か?」
相澤先生の雰囲気が変わる。
「よし、それじゃあこうしよう。トータル成績最下位の者は見込みが無いと判断し、除籍処分といこうか」
「「「はああああ!?」」」」
(追い詰めて実力を出させる………昔を思い出すな………)
クラスメイトが叫ぶ中、キシノは遠い目になった。
「んじゃ始めるぞ。まず50M走から」
ここからはダイジェストで結果を出します。
50m走
『4秒98』
「意外と早いな!」
「ただ走ってただけなのに」
「早くなる個性かな?」
「あははは………(苦笑)」
ちなみに緑谷は普通並のタイムだ。
握力
「ふんっ!!」
「うおっ!400k超えたぞ!」
「ゴリラ並だな」
「失敬な」
走り幅跳び
「アイキャンフラァァァイ!!」
「砂場越えちゃったよ!?」
「身体能力の個性かな?」
いろいろ飛んで球投げ
「ソォイ!!」
「509.4mだ」
「「「「「おお〜」」」」」
平均的な無個性よりかなりの上位に組み込まれているキシノの記録。
それでも体を弾きまくるブドウ君や無重力で♾️を叩き出した試験の少女(確か名前はうららちゃん)(うららちゃん!?)と比べたら負けるが。
「うーん、イマイチかな?」
微妙な顔のキシノ。
「は?結構どころかヒーローとしてもいけると思うぜ?何がイマイチなんだよ」
上鳴と呼ばれた少年がキシノに問う。
「ちょっと投げ方がずれちゃって飛距離が伸びなかったの。それに私の個性はみんなみたいに個性的なのと比べて分かりづらいタイプなんだもの」
「分かりづらいってどんなだよ?」
赤髪ツンツンの切島が尋ねる。
「私の個性は鍛えれば鍛えるほど強くなる。腕を鍛えれば腕の力や動かしやすさ。足なら速さや小回り、目を鍛えると遠くまで見えたり命中しやすさが上がるの。それだけじゃなくて格闘術みたいな技能や工作のような技術も鍛えられる。みんなからは『まるでレベルアップしたみたいだ』って言われたっけ」
「………つまりどんな感じだ?」
イマイチわかってない上鳴。
「鍛え続けたらワンパンで終わらせちゃうかもしれない個性。だから個性名は『レベルアップ』」
「うわ、ゲームみてぇだなそれ!」
「それドンドン最強になっていくやつじゃん!羨まし〜」
「それほどでもないよ(実は他にもあるけどね)」
個性『レベルアップ』
それがキシノの個性。
鍛えれば鍛えるほど強くなるこの個性はいずれヒーロー界No. 1のあの男とタイマンはれるのではないかと、相澤は懸念するようにキシノを見る。
(オールマイトのワン・フォー・オールとはまた別の個性…っ!?彼女は一体…っ?)
(あのクソ騎士野郎…!一番になるのは俺だ!)
様子を見ていた緑谷と爆発少年・爆豪勝己はそれぞれキシノに対して複雑そうな顔になる。
閑話休題(それはそれとして)
結果として、キシノの体力測定は総合的に一番となり、緑谷は紆余曲折あって最下位となってしまったが、
「実は除籍の話、嘘だから」
「「「ハァァアア!!!??」」」
「アッハッハッハッハ!!」
それを聞いた緑谷達(特に緑君)のなんかすごいリアクションにキシノは大爆笑。
そんなこんなで、緑谷達は1-A組ヒーロー科として活動することとなったのだ。
キシノとA組の名前呼び
キシノ=キシノ、キシノさん、キシノちゃん、キシノ君(爆豪のみクソ騎士)
緑谷=緑君(み、緑君って………)
爆豪=爆弾魔(誰が爆弾魔だ!!殺すぞ!!)
麗日=うららちゃん(うららちゃん!?)
飯田=メガネ(め、メガネ………)
切島=エイジ君(そんな呼ばれ方初めてだわ)
芦田=ミナちゃん(ちょっと恥ずかしいなー)
蛙吹=カエルちゃ「梅雨ちゃんと呼んで」………梅雨ちゃん
峰田=ブドウ君(オイラ峰田なんだけど)
八百万=モモちゃん(も、モモちゃん!?嬉しいですわ!)
常闇=ヤミヤミ(………いい響きだ)
尾白=オジロ(まんまだね…)
砂藤=タラコ君(おまっ!?唇見て言っただろ!)
口田=岩男君(………(えぇ〜と言いたげな顔))
耳朗=プラグちゃん(いやプラグじゃないって!!)
葉隠=幽霊ちゃん(幽霊じゃないよ!)
上鳴=デンデン(電気のほうだよな?カタツムリじゃないよな!?)
轟=ショウト君(………)
瀬呂=テープ君(いや確かに個性はセロテープだけど………)
青山=輝きウザ男(シンプルひどい!!)
障子=アシュラ(三面六手か)
もしかしたら変わるかも