騎士様のヒーローアカデミア   作:只の暇人

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ヒーロー殺し編の始まりです


第三章:騎士と職場と英雄殺し
ヒーロー名という厨二名


とある町の屋上

 

 

 

「………………」

 

身体中に包帯を巻いて赤いボロ布を頭に巻いた痩せ型の男が新聞を凝視していた。

 

『カンタベリー騎士 ヒーロー界隈に疑問の一手』

『ヒーロー協会は市民との関係の見直しを検討』

『一部市民はデモ行為』

 

大きく取り上げられたキシノのニュース。

それを見て包帯男はハァ…と息を吐く。

 

あの時(・・・)のガキが、よくも大それたことをしでかすもんだ…」

 

包帯男はハァ…と再び息を吐くと、初めて出会った時を思い出す。

 

『どこのドイツか知りませんが受けたケンカは買いますよ!』

『あなたの理想を押し付けられても迷惑なんですけど』

『私はヒーローではなく騎士ですよ』

 

「………………ハァ…」

 

包帯男はゆっくりと立ち上がる。

 

「もしお前も贋作になるなら………粛清だ」

 

 

 

 

 

 

 

一方、キシノ達は………

 

「緑君達にも来たんだ。体育祭の話」

「うん、もう町中この話に持ちきりだからね」

 

体育祭の活躍に町中の人々から凄かったなどの称賛を得たキシノ達A組。

 

「特にキシノさんの話題は一番注目してたからね」

「まぁ優勝者だし一番話題になる人物だからね。そのおかげかこんなに手紙をもらっちゃって」

(どうやってポケットに入ってたんだろう?)

 

物理的におかしいくらいポケットから大量のファンレターを取り出したキシノ。

 

「たった1日で注目の的。あぁ、穏やかな平穏よさようなら」

「そんな大袈裟な…」

「お前ら席につけ」

 

相澤が登場の瞬間さっきまでワイワイ騒いでいたクラスメイトが訓練された軍人のように席についた。

 

「…先生って実は元軍人なんですか?」

「いや、一から十まで合理的なヒーローだ。そこは合理的指導力の賜物だな」

「はぁ、成る程?」

 

いまいち納得に及ばないキシノ。

 

「それはともかく、ヒーロー情報学の特別授業がある」

 

クラスメイトから緊張の面持ちを感じ取る。

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案を決めてもらう」

「「「「「「胸膨らむヤツキタァああああああ!!!」」」」」」

 

ほとんどのクラスメイトがハイテンションに叫んだ。

 

「おお!これが噂の厨二病発表会ですか!」

 

ガガクゥ!

 

しかしキシノの的外れな発言に一気にローテンションになった。

 

「おいキシノォ。なんて事言うんだよ」

「………違いました?自分のかっこいい名前をつけた後周りに言われて恥ずかしさで爆発するんですよね?」

「どこの情報だよ!?その出鱈目エピソード!」

「…ッフ」

 

キシノの天然が炸裂し。つっこまざるを得ないクラスメイト。

聞いてた相澤はややウケだ。

 

「と言うのも先日話した『プロからのドラフト指名』に関係している。指名が本格化するのは経験を積んだ2,3年から、つまり今回来た指名するのは将来性に対する興味に近い。卒業までに興味が削がれたら一方的にキャンセルされるのはよくある」

「大人は勝手だ!」

「いるよね。一時チームを組んでも次はいらねーやと突き放す奴らが」

 

机を叩いて悪態をつく峰田とやや呆れ顔のキシノ。

 

「頂いた指名がそんまま自身へのハードルになるんですね!」

「そ。で、その指名の集計結果がこうだ」

 

 

轟  4123

爆豪 2529

キシノ 1956

 

以下略………

 

「例年はもっとバラけるんだが、この3人に偏った。

「だー!白黒ついたー!」

「あれ?キシノ三位?もっとあると思ったのに」

「思ったよりも好意的なのが多かったですね」

「これで好意的?どんぐらい来ると思ってたんだよ」

「約200ぐらいは」

「少なっ!?」

「これを踏まえ…指名の有無関係なく『職場体験』へ行ってもらう」

 

職場体験

 

それはプロヒーローがどのような活動をしているのかを知るためのイベントだ。

 

「お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に経験してより実りのある訓練をしようってこった」

「それでヒーロー名か!」

「俄然楽しみになって来たァ!」

「仮面のライダーか戦隊ナントカジャーとかかなぁ」

「キシノ、お前時々バカなとこあるよな?」

殴り(殺し)ますよ」

「待て待て!今殴ると書いてなんで呼んだんだよ!」

「静かにしろそこ」

 

相澤が威圧し,みんな黙った。

 

「とにかくだ。適当に名前つけたら「つけたら地獄を見るわよ!」

 

突如扉から艶かしいポーズを取りながらミッドナイトが入室して来た。

 

「この時の名が!世に認知され、そのままプロ名になっている人多いからね!」

「「「「「「ミッドナイト!」」」」」」

「まぁそう言うことだ。その辺の査定をミッドナイトさんにしてもらう。俺はそう言うのできん」

「………つまり名付けに失敗したヒーローがいたということですか」

「キシノさん、しー!」

 

ボソッとキシノが皮肉ったことを言い、緑谷が注意を促す。

………一瞬だけ相澤がキシノをジロリと睨んだ気がした。

 

「将来自分がどうなりたいのかどうしたいのか。名前をつけてイメージが固まりそこに近づける。それが『名は体を表す』ってことだ」

 

『オールマイト』とかな。

 

「………」

 

自分自身のイメージを思い浮かべるキシノ。

そして配られたボードに書き始めた。

 

「じゃあそろそろここに立って発表してね」

(発表形式かよ!!?)

(え〜、これはなかなか度胸が………)

 

まさかの発表形式にたじろぐクラスメイト。

その時教卓に赴くヒーロー名を発表する第一号、青山。

 

「行くよ」

 

スッと己が考えたヒーロー名は…

 

「輝きヒーロー『Ican not stop twinkuling。訳して『キラキラが止められないよ☆』』

「長いし読みづらいし存在そのものがウゼェ!」

「いつにも増して酷い!」

 

敵意マックスなキシノに叩き潰されたのだった。

 

「じゃあ次あたし!ヒーロー名『エイリアンクイーン』!」

「プレデターに食われるヤツ?」

「あったわねそんな映画。しかもそれ血が強酸性を目指してる節があるからやめなさい!」

「え〜…?」

((((((バカヤロー!))))))

 

つづいて芦田が発表するも、またキシノの口出しに何故かミッドナイトが、あー…と言いたげに頷いたのでクラスメイトが微妙な顔になる。

 

((((((最初に変なの来たせいで大喜利っぽい雰囲気になったじゃねーか!!))))))

 

本人達にとっては真面目に出したつもりだろうが、聞いた側はウケ狙いにしか思えなかったので空気がおかしくなる。

 

((((((次変なのが来たら抜け出せなくなる!))))))

 

クラスメイトから別のベクトルで緊張感が募る。

そんな時蛙吹が前に立つ。

 

「ケロ。次私いいかしら」

「梅雨ちゃん!」

「小学校の時から決めてたの。梅雨入りヒーロー『FROPPY(フロッピー)』」

「かわいい!親しみやすくていいわ!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」

 

(((ありがとう梅雨ちゃん(フロッピー)。空気が変わった!!)))

 

清涼剤とばかりに空気は皆が心から安堵でフロッピーコールを連呼する。

しかしキシノは微妙な顔でツッコむ。

 

「そこはス○ッピーじゃないんだ」

「確かにカエルつながりだけど彼はちょっと…」

「ダメだよ梅雨ちゃん!あのドジっぷりも可愛いもんだから!それにあの名言の『サンキューフォックス。もうダメかと思ったよ』で人気者になれるかもしれないから!」

「むしろダメな部分が強くて私は採用できないわ」

「2人とも何の話をしてるの?」

 

ミッドナイトが待ったをかけると、2人は真顔で返す。

 

「「カエルの話ですが?」」

「あ、はい」

((((((バッサリいった………))))))

 

そんなこんなで他の皆もヒーロー名を次々と発表する。

………キシノの一言も交えて。

 

切島「俺は剛健ヒーロー・烈怒頼雄斗(レッドライオット)だ!」

「お!つまりオールマイトみたいな大男の大回転攻撃の!」

「それダブルラリアットじゃねーか!」

 

耳朗「ヒアヒーロー・イヤホン=ジャックね」

「ハァイジャァック…」

「何その言い方」

 

障子「触手ヒーロー・テンタコル」

「タコですいません」

「………」

 

瀬呂「テーピンヒーロー・セロファン!」

「貼り付ける男!セロファンダーマッ!」

「ダーマッ!?」

 

尾白「ぶ、武闘ヒーロー・テイルマン」

砂籐「被った………甘味ヒーロー・シュガーマン」

「分かるマーン」

「古くね?」

 

芦戸「あらためて、リドリーヒーロー・ピンキー!」

「お菓子ちょうだい!」

「あげないよ!」

 

上鳴「スタンガンヒーロー・チャージズマ!」

「チャージングゴー!」

「ダメだろその掛け声!」

 

葉隠「ステルスヒーロー・インビジブルガール!」

「女の子だったんですね」

「今までなんだと思ってたの!?」

「珍人」

「んなっ!?」

 

八百万「万物ヒーロー・クリエティです」

「ただし物は胸から出る」

「えっ!?」

「出鱈目教えないでくださいまし!」

 

轟「ショート」

「シンプルですね」

「ああ」

 

常闇「漆黒ヒーロー・ツクヨミ」

「我が名はダークフレイムフェニックス」

「闇の炎に抱かれて眠れ!」

「乗るな乗るな乗るな」

 

峰田「もぎたてヒーロー・グレープジュース!」

「ぶどうジュース飲みたくなったな」(キュルルル…)

「あれ?寒気が…」

 

口田『ふれあいヒーロー・アニマ』

動物(アニマル)だけに?」

「………………(ちょっと恥ずかしい)」

 

「さっきからウルセェよ!クソ騎士!」

 

流石に我慢の限界でキシノに怒鳴る爆豪。

 

「思ったことを口にして何が悪い?」

 

しかしキシノはふんっと鼻を鳴らしてふんぞり帰る。

 

「そんなことより、爆豪はどんな名前か決めたの?」

「当たり前だわクソが。俺のヒーロー名は『爆殺王』だ」

「おお!世界一の敵として名を馳せそうだね!」

「確かにそれはやめた方がいいわ」

「何でだよ!」

 

ヒーローらしくないネーミングに不採用された爆豪。

 

「爆発さん太郎に改名しろよ」

「するか!」

「どうせつけるなら『爆裂王』でいいんじゃない?ウケ狙いなら『爆死王』か『自爆王』でもいいけど」

「ギャハハハハハ!」

「爆死に自爆てw」

「ぶっ殺すぞてめーら!」

(またかっちゃんが弄られている。信じられない光景だ…。さすが雄英…)

 

笑いのネタにされた爆豪に緑谷は頭を抱えた。

 

「じゃ私も………考えて来ました」

 

お茶子も立ち上がり、照れながらヒーロー名を発表する。

 

『ウラヴィティ』

「シャレてる!」

「『麗日』と『グラビティ』を掛け合わせたんだ。いい名前だね『ウララ(・・・)ヴィティ』ちゃん!」

「………キシノちゃんラが一つ多いで…」

「え?何か言った?うららちゃん?」

「………もういいや」

 

 

 

 

 

「さて、あと残ったのは再考の爆豪くんと…飯田くんと緑谷くん、そしてキシノちゃんね」

「なら私が」

 

キシノが手を挙げ、前に出る。

 

「シンプルイズベスト。といえばこれですね」

 

『守護ヒーロー・ガーディアン』

 

「たしかに守護者(ガーディアン)ってことね。本当にその名前でいいの?」

「私のイメージといえばこれで十分です。それに………」

「?」

「姫様もこの方が覚えやすいですし」

「結局コヒメちゃん贔屓じゃん!」

「文句ある?(威圧)」

「イエ、アリマセン」

 

キシノに威圧されて上鳴は黙った。

 

次に飯田は悩むような表情をしながらも『天哉』とボードを見せた。

 

そして最後に緑谷は…

 

「僕はこれで」

 

『デク』

 

「えぇ緑谷いいのかそれ!?」

 

緑谷の出した名前にその意味を知っているクラスメイトが心配そうに言う。

 

「うん。今まで好きじゃなかった。けどある人に意味を変えられて、僕には結構な衝撃で嬉しかったんだ。だから、これが僕のヒーロー名です」

 

それを聞いた麗日はどこか誇らしげな顔になり、

 

「なるほどね。いい名前じゃないですか」

 

キシノは親指を立てて褒め称えた。

 

「緑谷には混ぜっ返さないのな」

「失敬な。私だって揶揄う相手は選びますよ」

「今まで揶揄ってたんかい!!」

 

そんなこんなでヒーロー名は決まった。

 

残った爆豪は『爆殺卿』と出して却下されたとか。




いくつか元ネタがあります。分かるかな?
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