「お前達に仕事がある」
神妙な面持ちでオーディルが言う。
「唐突ですね。内容は?」
「ヒーロー殺しだ。知っているか?」
「………クラスメイトのご家族の事で」
キシノは暗い表情の飯田を思い浮かべた。
「それはすまない。とにかく、奴は主に保須市を活動しているとの情報がある。上手くいけばうちの収入は増えると言っても過言ではない」
「そっちが本音でしょうね。でもそこにいった友達も気になりましたし、いきましょうか」
「私も行く!」
こうしてキシノ達はヒーロー殺しがいるであろう保須市へと向かう。
その道中新幹線にて
「おや緑君じゃん」
「緑お兄ちゃん」
「わっ!キシノさん!?」
別の研修に行ってた緑谷と背の低い杖をついた老人とであった。
「緑君も別の街でヒーロー活動ですか?」
「う、うん」
「………こやつがのぅ」
キシノはじっと見つめる老人が気になった。
「貴方は?もしかして緑君の新しい教官的な?」
「え?教官?」
「なぜそう思うんじゃ?」
「見た目に騙されがちですが佇まいと貫禄と言いますか長い間戦いを経験してると言いますか」
「ホッホッホッ、なかなか見る目があるのぅ。それもクエスターの経験かの?」
「自慢話はあまり」
聞いた老人は愉快そうな表情で笑う。
「成程の。俊典と小僧が称賛するわけじゃ」
「………緑君。もしかしてだけどこの人が?」
「あ、はい。オールマイトの教導を担当していた『グラントリノ』です」
「ああ、あのビビリマイトが半殺しにされたと言うあのグラントリノさんですね」
「ビビリマイト!?っていうかキシノさんさっきからオールマイトに対して変なあだ名つけてますよね!?」
「私は見たまんまの名前をつけだけですよ。あ、バイブレーションマイトがよかったでした?」
「バイブレーションマイト!?」
「カッカッカッカッ!!笑い殺す気か嬢ちゃん!」
オールマイトのあだ名に老人・グラントリノは大ウケだ。
「ちなみに一番のお気に入りは『筋肉モリモリマッチョマイトの変態先生』です」
「ブブォッフォァッッッ!!!!?」
「グラントリノォ!?」
ドツボにハマって大きく咽せてしまったグラントリノ。
「ヴェっ!ゴホッ!ごはっ!………本気で笑い死ぬところだったわい」
「大丈夫おじいちゃん?背中さすってあげようか?」
「いや〜すまんのぉちっちゃいお嬢ちゃん」
コヒメに対して緩みきった表情のグラントリノ。
孫娘に戯れられている祖父のような顔だ。
「俊典もこんくらいの素直な
「誰のことか分かりませんが、姫様は結構アグレッシブなんですよ」
「ははは、ガキに翻弄される未来が見えるわ。そう思うだろ小僧」
「そ、そうですね」
弾む2人の会話に緑谷は苦笑いを浮かべつつスマホを弄る。
「座りスマホ!これだから近頃の若者は」
「お爺さんの時代では立ちスマホが主流なんで?」
「いやそう言う意味ではなくな」
2人の会話をスルーしつつLINEを見る緑谷。
飯田に送っていたが、いつもは返してくるのに既読がついただけで返事がない。
嫌な予感がよぎったその時だった。
『緊急停止します。ご注意ください』
突如新幹線が急ブレーキをかけてきたため緑谷が慣性に従って前に飛び出し、
ガンっ!
「あいたっ!」
「大丈夫ですか?」
キシノの鎧に弾かれた。
CRASH!
「っんだ、こいつ!」
「ひ、ヒーロー?」
今度はボロボロのヒーローが現れてできた穴から脳みそが剥き出しの怪人が現れた。
細部が違うがUSJに現れた脳無だと確信した。
「小僧!座ってろ!」
「グラントリノ!」
グラントリノが突進で細身の脳無を新幹線から追い出す。
その時街から爆発と火の手が回り始める。
「…飯田君」
位置的に保須市と考えた緑谷は友達を思い浮かべ、
「………ごめんコヒメちゃん、避難してて」
「気をつけてね」
「あ、おい!」
静止を振り切って緑谷も飛び出した。
キシノがすでにいなくなっていたことに気づかないまま。