騎士様のヒーローアカデミア   作:只の暇人

36 / 36
火事場泥棒は犯罪だよ!

保須市のビルの上

 

「………」

 

その下にはUSJとはタイプが違う複数の脳無がヒーローと対峙していた。

 

「脳無………『敵連合』が近くにいるのでしょうか」

 

眼下の戦闘に手の仮面の少年を思い出すキシノ。

 

「………今はこの災害を鎮火することを考えましょう」

 

頭を振って気持ちを切り替えるキシノ。

 

そして、目の前にいる『手足がナナフシのように長い脳無』を見やる。

 

「こいつもきっと黒幕が作った脳無でしょうね」

 

ナナフシ型脳無はキシノを見るや、『ビルごと腕で切り落とした』。

 

「『ナナフシ』と『刃物系』の個性。なかなかに驚異的ですね。まぁ私にはまだまだですが」

 

しかし、キシノはすでにナナフシ型脳無の背中に移動していた。

ナナフシ型脳無はキシノを見失ったらしくキョロキョロと見回している。

 

「『背中に乗られる』のは想定されてないですね。ま、それが貴方の敗因です」

 

SLASH!

 

キシノはナナフシ型脳無の両手足を全て切り落とした。

ナナフシ型脳無はなすすべなく地面にのたうちまわっている。

 

「早いとこ脳無達を無力化しないと」

 

キシノは弓に切り替え、脳無達に射る。

 

ドドドドドド!

 

「な、なんだ?」

 

関節を射抜かれまともに動けなくなる脳無達。

 

「無事ですかみなさん?」

「!君は!」

「今の矢はお前か!ヒーローにもなってない奴がしゃしゃり出るな!」

 

降り立ったキシノに1人目のヒーローは驚きの表情をしたが、2人目は憤慨した表情で叱りつける。

それを呆れたような顔で反論するキシノ。

 

「緊急事態にそんなこと言ってる場合ですか。今は1人でも多く助けませんと」

「ライセンスもないくせに何言ってやがる!とにかくここはオレ達ヒーローがやるんだからさっさと避難しろ!」

「…さっきまでやられかけたくせに。そんなことよりも他に被害の大きいところはどこですか?」

「おい無視するな!」

 

埒があかないとキシノは1人目のヒーロー、飯田を指名していた『マニュアルさん』に問いかける。

 

「あ、ああ。君のおかげでここはある程度大丈夫だ。あとあのエリアにもこの怪物が現れたって報告もあるが…」

「OK。そこですね」

 

キシノはグッと脚に力を込めて残りの脳無がいるであろうエリアへ向かう。

 

「………」

「おいマニュアルさん!なんなんだあの失礼な勘違い野郎は!見たところ学生みたいだが」

 

キシノに対して失礼なヒーローはマニュアルさんに問い詰める。

 

「………キシノ・ガーディアン君さ。プロヒーロー並みの実力を持つクエスター保有者だ」

「は?クエスター?あのヒーローもどきの?」

「もどきじゃない。彼女こそ、騎士道という誇りを持つヒーローだ」

 

 

 

 

 

別エリアにて

 

ドドッ!

 

「助けにきましたよ!」

「誰だよお前!民間人がヒーローの邪魔をするな!」

 

弓で援護したキシノだが、悪態をつくヒーローにムッとする。

するともう1人のヒーローがキシノに気づく。

 

「あ、あんたもしかしてキシノ・ガーディアンか!?」

 

キシノは頷く。

 

「よかった!感謝します!我々だけでは苦戦してました!」

「貴方は話がわかるようですね。私は次のとこで援護に回ります。あなた方も気をつけて!」

 

キシノは再び別エリアへ移動を開始した。

 

「………おい!お前アイツを知ってるのか?」

「逆になんで知らないんだよ!彼女はヒーロー界隈でも有名な『お助け騎士』だよ!」

「あの噂の!?」

「ああ!自分も含め彼女に助けられたヒーローは多い!彼女こそまさに英雄的ヒーローさ!」

 

 

 

 

 

さらに別エリアにて

 

「おや貴方は」

「むぅ、貴様は」

 

キシノは複数のサイドキックを引き連れたエンデヴァーと出会った。

ついでにグラントリノとばったり出会った。*1

 

「体育祭ぶりですね。もう顔は大丈夫ですか?」

「貴様に心配されるほどやわな鍛え方はしておらん!」

「それはよかったです」

「………」

 

体育祭以降エンデヴァーは複雑そうにキシノを見ている。

 

(むぅぅ、なぜこいつを見ているとオレの体がざわめいてくるんだ?)

 

キシノを見ていてなぜが自身の体が緊張し、こころがザワザワと落ち着かなくなる。

 

「ところでふと思ったのですが『まだオールマイトこと考えてますか?』」

 

キシノから質問された瞬間体が極度に緊張し、ざわめきが強くなる。

それでも表に出さずぶっきらぼうに答える。

 

「………貴様には関係ないことだ」

「そうですか。まぁいいですけど」

 

話題を打ち切ったことにエンデヴァーは心から安堵した。

 

(!?なぜオレが安堵などと!?)

 

自身の変化に戸惑いを隠せないエンデヴァー。

が、そんな戸惑いをかなぐり捨てて命令を下す。

 

「よし!ここは任せる!俺はヒーロー殺しを追う!」

「ワシもついていくかの」

「なら私は………?」

 

エンデヴァーとグラントリノが移動する中、キシノは路地裏で見覚えのあるものを見た。

 

「なぜアイツらが?」

 

キシノは気になって路地裏に入り、コソコソ動き回っている不届き者へ成敗する。

 

「御用だ御用だ!神妙にお縄につけぇい!」

「げっ!?が、ガーディアンだ!」

「見つかった!」

 

不届きもの・インヴェーダー兵達がキシノを見て驚愕する。

 

「もうそれはいい!目的は達した。退却する!」

 

隊長の号令で現れた転移ゲートへそそくさと移動するインヴェーダー兵達。

 

「また会おうガーディアン」

 

そして隊長もゲートへ移動し、ゲートは消滅した。

 

「ぅ………」

「大丈夫ですか?」

 

捨て置かれたヒーローは気を失っているが大した怪我は負っていなかった。

 

「あのインヴェーダー達はヒーローに何しようと?」

 

インヴェーダー達はヒーローを誘拐して何かしようとしていることに危機感を募らせる。

 

「………後ろ髪を引かれますが、今はこの人を運んでみんなと合流しないと」

 

とりあえずキシノは気絶したヒーローを秘密裏に病院へ運び、エンデヴァー達が向かったエリアへ向かう。

 

 

 

 

そして現場に辿り着いた時、

 

「──偽物が蔓延るこの社会も、徒に力を振りまく犯罪者も、粛清対象だ……」

「全ては…正しき…社会の為に……!!」

 

頭を切られ死体と化した脳無と、緑谷と轟と飯田。そしてプロヒーロー達。

およそ瀕死の人間とは思えないプレッシャーがその場の空気を殺した。

 

「贋物……正さねば、誰かが……血に染まらねば……!」

「英雄ヒーローを取り戻さねば!!」

「来い。来てみろ贋物ども」

「俺を殺していいのは本物の英雄・オールマイトだけだ!!」

 

かなりボロボロなのにも関わらずたくさんのヒーロー達に立ち向かうヒーロー殺し・ステイン。

彼の放つ覇気に飲まれ、戦意が萎縮していくのが見て取れた。

 

そして、だからこそ…

 

「それが貴方の信念ということですか?」

「キシノ…さん」

 

キシノが降り立ち、ステインの前に立つ。

 

「貴方は本物の英雄(オールマイト)以外を許せないんですか。ですが、かの英雄は己の信念を賭けて戦い続けてきました。別に『彼のようになりたいとは思いません』が、その信念には敬意を払います。だから私も、『私自身の信念を持って』戦います」

 

両手を大きく広げ、真正面からステインのプレッシャーを全てを受け止めるかのような力強い姿勢を示す。

 

「………………(はぁ………やはりそうだ)」

 

ステインは意識朦朧としながらもキシノの力強い『目』を見ていた。

初めて出会った時、彼女の目の中から何かを感じ取ったステイン。

そして再び出会った時確信した。

幻視だろうか。キシノの背後に『本物の英雄』のような面影を見たのだ。

 

「お前………こそ……しん………の………えい………ゆ………ぅ………」

「え?」

 

一番近くにいた緑谷がステインの言葉を聞き取った。

そしてステインは『ついに見つけた』と言わんばかりに口角を上げたまま気を失った。

 

「………」

 

手を下ろしたキシノは静かにステインを見つめる。

そして胸に手を当て、ステインに『お辞儀』をした。

 

(な、何をやってるんだ!?)

(ヒーロー殺しにお辞儀?)

 

キシノの行動に理解できない表情をするヒーロー達。

 

ヒーロー(まだ学生)が敵に対してお辞儀をするなど前代未聞の行動だ。

 

「………何が何だか分からんが、確保だ!」

 

いち早くプレッシャーから復帰したエンデヴァーはステインの確保に向かう。

 

こうして保須市の事件は幕を閉じた。

 

キシノは連れていかれたステインをずっと見続けていた。

*1:
「ワシだけ雑か!」




もうちっとだけ続くんじゃ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【どうしたら】魔法少女に変身させられたけど放置された【いいと思う?】(作者:名無しの魔法少女)(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

転生者たちが脳内掲示板でわちゃわちゃするn番煎じのよくあるやつ。▼日夜、悪の組織と魔法少女たちが戦うある意味平和なニチアサ的世界に転生したイッチ。▼マスコット的サムシングの押し売りに負けて変身するも、いろいろな要素が悪い方向に作用して、マスコットは絶叫して逃走。▼おいてけぼりを喰らったイッチはしゃあなしに、転生者たちが集う脳内掲示板に助けを求めるのだった。▼…


総合評価:3556/評価:8.47/連載:5話/更新日時:2026年09月13日(日) 12:00 小説情報

【2章完結】女性だけが戦う世界で、脳内の特撮オタクが俺に「ヒーロー」を押し付けてくる(作者:maki@)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼【 ――いいから黙って変身しろ! 俺の考えた最高のヒーローを見せてやる! ―― 】▼若い女性だけがその生命を燃やして戦う世界。▼『魔障対策局』の雑用係・神代蓮は、戦う力を持たない無力な男として、非日常を虚構に貶める日陰の仕事を淡々とこなしていた。▼だが、彼には誰にも言えない秘密があった。▼その脳内に人類の敵、【魔障】を飼っているということ。▼『戦う力』が欲…


総合評価:5418/評価:8.88/連載:25話/更新日時:2026年09月24日(木) 20:00 小説情報

マコラマコマコ 異戒神将ミサカ!(作者:モリーマ)(原作:とある科学の超電磁砲)

前世の記憶を持ったまま、なぜかミサカシリーズの一体にTS転生してしまった主人公。▼しかも、転生したその日は――絶対能力進化計画によって、一方通行と戦う予定の日だった。▼逃げ場なし。▼勝ち目なし。▼転生特典らしきものも、特になし。▼追い詰められた主人公は、半ばヤケになって一方通行を挑発する。▼「ミサカは転生チートの恐ろしさを知りやがれと白髪モヤシを挑発します!…


総合評価:10521/評価:8.22/連載:15話/更新日時:2026年11月01日(日) 11:30 小説情報

ええっ!?この世界ってグラブルじゃないの!?(作者:ざいざる嬢)(原作:乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です)

▼モブせかにグラブル主人公ジータ(転生者)をぶち込むという暴挙。▼自給自足かつ思いつき、息抜き作品なので、更新は不定期かつ不明瞭です。ご了承ください。▼26/8/21 日間1位獲得しました!▼【挿絵表示】▼


総合評価:9999/評価:8.54/連載:28話/更新日時:2026年11月03日(火) 19:00 小説情報

どうやら凌辱系エロゲの世界に転生したようですが、俺は今日も平和に生きたい。~なのでBADエンド回避のために殺します。理由はもちろんお分かりですね?~(作者:岳鳥翁)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

「えぇ……ここ、凌辱系エロゲの世界かよぉ……」▼嘘だどんどこどーん、の邂逅まであとゼロ秒である。


総合評価:13661/評価:8.42/連載:21話/更新日時:2026年10月21日(水) 18:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>