「………あんまり俺をイラつかせるな。崩してやろうか?」
「さっきの相澤先生の腕といい、触れたものを崩す個性かな?なら直で触れられなければいいし、こうやって捕まえていれば逃げられないよ」
「死柄木弔!」
敵リーダー・死柄木弔の右手を掴んで牽制するキシノ。
「…お前本当に………………」
掴まれた右手ではなく左手を構え始める死柄木。
が、途中で固まり、次第に顔を背ける。
「…俺はお前みたいな痴女とやり合う気はねぇよ」
「痴女?梅雨ちゃんはそんな娘じゃないよ!訂正しろ!」
(((違う!そうじゃない!)))
(…天然ね)
死柄木が顔を逸らした原因であるキシノは憤慨するが、
濡れて若干透け肌が見え隠れしている姿は健全?な男には刺激が強かったようだ。
「…こいつはオールマイト用に取っておきたかったが………脳無」
「っ!!」
ブォン!
殺気を感じたキシノは素早く体を逸らし回避した。
「…それが切り札ってやつ?」
「対オールマイト用の改造敵・脳無。オールマイトを倒すために作られた言わば人造敵って奴だ」
「そうですっか!!」
ドムゥ!
隙をついてボディブローを叩き込むキシノ。
しかし、分厚いタイヤに阻まれたかのような触感を感じた。
「言っただろう?こいつはオールマイト対策に作られた。ショック吸収で打撃は効かないよ。ゆぅっくりと抉り取るようにするなら別だけど」
「吸収?じゃあこれはどうかな?」
ズガッ!
キシノの回し蹴りが人造敵・脳無の顎を捉える。
「聞いてなかったのか?脳無は………なに?」
脳無に異変が発生した。
打撃に耐性がある脳無がフラフラと揺れている。
「体は人間ベースだし、脳を揺さぶられたら誰しもまともな判断は難しいんじゃない?」
そう、脳無はキシノの一撃で脳震盪を引き起こしていた。
これでしばらくは行動できないと思っていた。
「………おい脳無。こんなところで倒れんじゃねぇぞ。さっさと本気でやりやがれ!」
「!ゥオオオオオオアアアアアアアアアアアア!!!!!」
死柄木が命令すると嘘のように脳震盪から回復した脳無が雄叫びを上げた。
「…本気モードってやつだね」
キシノはいつでも行けるように構えを取る。
ゴォっ!
「っ!!!?」
一瞬にして脳無のボディブローがキシノの腹めがけて放ち、条件反射の如くキシノはそれをガードするが、オールマイト並みのパワーに大きく後退させられた。
「…オールマイト対策ってのはあながち嘘じゃなさそうだね」
シュッ!
「な!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
再び一瞬で現れ、今度はラッシュでキシノを追い詰めていく。
(物理攻撃が強すぎて反撃できない!)
全力で防御しても圧倒的パワーに防戦一方なキシノ。
「キシノさんっ…!」
「ま、待て緑谷!今行ったところでオイラたちに何ができるんだよ!」
「こればかりは同意するわ。勝てない戦いに無謀よ」
「………でも…!」
今にも飛び出したい緑谷に峰田と蛙吹が止める。
まだ未熟といえ自分達はヒーローだ。
そのヒーローが戦っている味方を見捨てて逃げるのか。
否!!
できるはずがない!
ましてや緑谷は困っている人を無意識レベルで助けようとする癖があるため、たとえ相手が格上であったとしても助ける以外に選択肢はない。
そして何よりも、
(友達が戦っているのに、黙って見ていられる訳がないだろう!!)
止めてくれる2人には悪いが、緑谷はすぐにでも飛び出そうとした。
「汚染種族め!死ねぇ!!」
「ケロッ?」
どこからかくれていたインヴェーダー兵が飛び出してきた。
3人ともキシノの戦いに集中していたため油断してしまった。
(しまった!蛙吹さん!!)
(うわあああああ!!もう駄目だぁああああ!!)
(あ、私死ぬかも)
皆最悪の展開を予想しながらもインヴェーダー兵の剣を見ながら死を覚悟した。
ドドーン!!
「ぎょえー!?」
突如インヴェーダー兵が爆発に巻き込まれた。
「親玉がいんのはここかぁ!?」
「お前ら無事か!?」
「かっちゃん!切島君!」
どうやらさっきの爆発は爆豪の個性のようだ。
一緒に飛ばされた切島も合流する。
「見つけたぞ汚染種族………って冷たい!」
「下手に動くなよ。凍死したくなかったらな」
「轟君!」
今度は轟がインヴェーダーを凍らせながら合流する。
「もっと仲間を集めろ!汚染種族どもを殺せ!」
「…さっきから汚染汚染うるせぇんだよ!!この敵野郎が!!!」
「…いい加減目障りになってきたな」
「うおおおお!!男切島!ここで負けるわけにはいかねぇ!」
「よ、よーし。あいつらぐらいなら援護してもいいよな?」
「危なそうな敵ならいいわ」
「………………」
次々とインヴェーダー兵が現れるも、爆豪達の活躍で雄英側は優勢に立っている。
「た、隊長…」
「思ったよりもやるな。できれば脳無と協力してオールマイトという汚染種族を殺す計画だったが…」
苦戦を強いられている状況にインヴェーダー隊長は決断を下す。
「このガキどもを殺せば多少はいけるか。ミノタウロスを出せ」
「は!」
副官インヴェーダー兵が取り出したスイッチを押す。
すると天井から轟音と共に大穴が開き、それが雄英チームの近くに落下。
「ブモォオオオオオオ!!!」
巨大な両刃斧を手にした赤く二足歩行の二本角を生やした怪物が現れた。
「う、牛ぃ!?」
「こいつが本丸かぁ?少しは出来そうだな」
「なんであろうと凍らせるだけだ」
ミノタウロスを前に応戦の構えを取る面々だが、緑谷はチラチラとキシノを心配していた。
(どうしよう………このままじゃキシノさんが…)
未だに脳無の攻撃を防御し続けているキシノ。いずれ限界が訪れて瓦解する可能性があるゆえに目の前の戦いに集中できないでいた。
………そんな時だった。
ピコーン!
現状から似合わない謎の音が聞こえた。
『レベルアップしました』
そして機械的な声が聞こえた。
ドドォッ!!
遠くから強い衝撃がドーム全体を揺るがした。
そして発生源を見ると、キシノが赤いオーラを放ち、長い髪を逆立たせながら敵達に言う。
「さぁ、ここからが反撃開始だよ」
イメージとしてはドラクエのスーパーハイテンション。