第四話
トリニティへの恩返し
「それでは、次は私の番ですね〜★」
「はい。お願いします!私はこれからこの間学校で見つけた備品の査定をしてきますので、何かあったら呼んでください」
「頑張ってね〜」
ネフティスの令嬢という繋がりがあるノノミがトリニティへの挨拶に選ばれ、三人は学校へ向かう。
「……なんか、俺凄い見られてる気がする……」
「そういえばトリニティってお嬢様校だから男子生徒いないんだよね。珍しいのかな?」
「前に来た時は気にしてる余裕ありませんでしたから、ハクヤ君大丈夫です?」
「ブラマとは違うむず痒さがあるなぁ。別にいいんだけど」
「ていうか……学校まで遠くない?」
「お金持ちのスケールは俺等じゃ測れないねぇ。階段もなげぇ〜」
「貴方達、止まりなさい」
「ん?俺達?」
統制された黒い制服とハクヤが軽く見上げる長身、ハスミともう1人、薄く開いた糸目の生徒に声をかけられ三人は階段前で足を止める。
「はい、貴方です。何故トリニティにアビドスの方が?」
「なんでって……知り合いに用事があって。ミヤビとヒフミちゃんに」
「私達にそんな話は届いていませんが……」
「え、アポとか必要なの」
「あぁ!前回はヒフミちゃんが仲介してくれましたから、すっかり忘れてました」
「えー、んー。どうしよ、ここで待つからさ、話通してくれたりする?」
「いやー、別に門前払い等はするつもりはないっすよ。軽く持ち物検査をした上で、待合室へ案内するだけっす」
「なんだ、荒事になるかと思っちゃった」
「良かったです。えっと……」
「私は仲正イチカ、正実の2年っす」
「私は羽川ハスミ。正義実現委員会の副委員長です」
荷物を差し出すと、二人は軽く調べだした。
「お菓子……っすね。あと、手乗りの人形?」
「それ俺の力作。凄いでしょ」
「なんですか、このカバ?鳥?」
「ペロロじゃないっすか?一部では人気みたいっすよ」
「ふむ……まぁ、怪しいものは特に無いので大丈夫でしょう。イチカ、ミヤビ様とナギサ様に連絡を」
「了解っす〜」
ミヤビは所用で一時間程かかるようで、その間に学校の待合室へと案内される。
ソファへだらしなく寝そべるホシノと、その横に座って膝枕するノノミ、ハクヤはよくわからない調度品を見て首を傾げている。
「うへ~、おじさんクタクタだぁ」
「金持ち校の趣味はよく分からんなぁ。ごめん二人とも、ちょっとお手洗い」
「はいはーい」
「おじさん少し寝るねー」
ハクヤは広大なトリニティの学校内で、ミヤビの存在から男子トイレが一つくらいあるだろうと歩き回る。
昼休みの時間に重なっている為、廊下を歩くハクヤを皆が物珍しくチラチラと見ている。
(慣れねー……つかトイレどこだよ)
「誰かに聞いたほうが早いか?」
ザワザワッ……
「あれ?……おっ、ラッキー、お~い、ヒフミちゃ~ん!」
廊下からハクヤが教室内にいるヒフミを発見し、声を掛ける。
「え、あれ!?ハクヤさん、どうしたんですか!?また何か」
「あ、違う違う、今日はお礼しに来たの。もし良ければ今から時間ある?色々持ってきたからさ」
ハクヤは一礼して教室に入り、ヒフミに状況を説明する。親しげに話す彼を見た他の生徒達は興味深そうに質問する。
「ヒフミちゃんの彼氏!?」
「まさか。俺なんかにゃ勿体ないよ」
「どこの高校の方ですか?」
「アビドス。砂漠が観光名所だよ」
「ハクヤ様と仰るのですね。ミヤビ様以外の殿方がトリニティにいるのは初めて見ました」
「みたいだねー。アイツにも用事があるんだけどさ、今忙しいみたいだから待ってるの。あ、そうだ。ヒフミちゃん、はいこれ」
先程の手荷物検査の際にポケットに入れていた、アビドスの校章が腹に描かれたペロロの人形を取り出して渡す。
「わぁ、ペロロ様!しかも見たこと無いグッズです!」
「まぁ手作りだしね。尻尾引っ張ってみなよ」
言われたとおりに引っ張ると、机の上をぺちぺちと歩き出す。
「わぁ〜!これを手作り!?凄いです!ありがとうございます!これでアビドスも活気が出ますね!」
「それはどうかな……それより、オマケで作ったものにそこまで喜ばれるとなんだか複雑だなぁ」
「まぁ!ハクヤ様は小物づくりに長けていらっしゃるのですか?」
「ちょっとした特技でさ、昔から手先が器用なの」
「私にも何か作ってくださらない?」
「針と何か生地があれば出来るけど……」
ハクヤの承諾を得て、生徒の一人はソーイングセットを取り出し、何枚かの生地をロッカーから取り出して渡す。それを受け取り、ハクヤはチクチクと縫いながら話し始める。
「君も趣味でなんか作るの?」
「授業で使うものなので、常備しているんですわ」
「家庭科かぁ。お菓子づくりも楽しいよね」
よどみない手つきでものの数分でハクヤは小さな猫の人形を完成させる。
「はい完成。こんなんでいい?」
「まぁ可愛い!ありがとうございます!」
それを見て羨ましかったのか、他の生徒達もハクヤへお願いし始める。物の良さも勿論だが、男子生徒が作ってくれたというのに価値があるようで、皆一様に喜ぶ様を見せる。ハクヤはもともと陽気なのもあり、少しも嫌がる素振りを見せずにプレゼントしていく。
「♪〜♪〜……ほい完成」
「まぁ、ありがとうございます!」
「次は、私にも作ってくださいませんか?」
「勿論良いよ〜、何か希望はある?」
次に注文してきたのは、ピンクの髪に抜群のスタイルを持つ女子生徒。ハクヤは楽しくなってきたのか、余裕を見せながら針に糸を通す。
「では、☓☓☓なんていかがでしょうか?」
「??……ん……??……???ん??ごめん、聞き間違い?もっかい言ってくれない?」
「☓☓☓!」
「う、浦和ハナコ……あなた何を……?」
「……君は……ハナコさんっていうんだね?君は……君は何を口走っているのか理解してる?」
「あら、では☓☓☓☓でも、もしくは貴方の☓☓☓☓でも……」
「待て待て待て!!おかしいって!んぅ!?おかしいよな!?嫌だよ!?」
しかし、希望を聞いた途端、ハクヤの頭は真っ白になってしまい、声を荒げて断固拒否をする。
「あら~、でしたら☓☓☓……」
「2分!2分待って!」
ハクヤは大慌てで生地に針を沿わせ、これ以上彼女の口から卑猥な言葉を引き出さないために全力で小物を作る。やがて出来たのはデフォルメされたハナコの手乗り人形。
「あら可愛い」
「これ!これが限界!待って、純情な男子生徒にはその言葉を女の子がいうの毒だから!」
「ふむ……これ、服は脱げな……」
パンッパンッ!
ハナコが自らの人形のスカートを掴んだところで、2度柏手が鳴る。視線の先にいたのは仮面の先でも分かる困り顔のミヤビと、明らかに機嫌を損ねているホシノとノノミだった。
「お嬢様方。お客様の前ですよ。トリニティ生たるもの、淑女らしく、声を荒げるものではございません」
「は、はい、ミヤビ様」
「あら、ミヤビ君のお友達だったのですね」
「ハナコ様、貴方様の正直な所は美徳でございますが、時と場所、お相手はもう少し選ぶほうがよろしいかと思いますよ」
「うふふ。それではまた今度、ミヤビ君が付き合ってください」
「お手柔らかに願います」
ハナコはそれだけ告げると教室を出ていき、その間にハクヤは正座させられ二人にお仕置きされていた。
「女の子に囲まれて随分楽しそうでしたね?」
「やっぱりハクヤも男なんだね〜、私達を置いてナンパに勤しむなんて、薄情な男だねぇ」
「あの……ホント、すいません。ちょっと楽しくなっちゃって……」
「えぇ、えぇ、さぞかしたのしかったでしょうね。私達にはないようなものをたっくさん持っていらっしゃるトリニティのお嬢様達にチヤホヤされるのは」
「すいません……すいません……あの……こんな所で泣きたくないので……そろそろ……」
「泣きなよ。べそかいて情けない姿見てもらおうよ」
「ピィ……」
「ホシノ様、ノノミ様。お怒りもご尤もでございます。しかし、ハクヤ様にも悪気があったわけでは無いのでしょう。慣れぬ環境に、彼なりに馴染もうとした結果。そのような顰め面より、お嬢様方には溢れるほどの笑顔がよくお似合いでございます。でしょう?ハクヤ様」
「……ま、元々お礼しに来たんだしね。ハクヤ」
「はい……」
「アビドスの皆は?」
「世界一可愛いです」
「もう一声」
「慈愛に満ちた美しい方々です……」
「良くできました」
「アリガトウゴザイマス」
ホシノとノノミは言わされた感のある台詞ながら恐らく本心ではあると分かり、納得する。
「みっともないところをお見せしました……それ、俺達からの些細なお返しです……」
「ありがとうございます。アフタヌーンティーにヒフミ様もご招待して頂きます。よろしければ、皆様もいかがですか?」
「ありがたいけど、遠慮するよ。おじさんにはそんなお洒落なもの勿体ないしぃ」
「紅茶がお好きでないのなら、煎茶や和菓子の準備も出来ますが、よろしいですか?」
「おぉう……なんでも出てくるな」
「主の要望に応えるだけでは二流。桐藤家の執事たるもの、あらゆるトラブルや願いにお応えする準備は出来ております」
「折角ですが、今日はご遠慮しておきます。この後、別の用事があるので」
「ふむ……それでは校門までお送り致しましょう。ささやかながら茶菓子も包んでおります。お持ちになってください」
「え、悪いよ。おじさん達がお礼にきたのに……」
ミヤビは丁寧なお辞儀のあとに告げる。
「いらぬ世話とは存じております。しかし、我々使用人は奉仕し、笑顔と喜びをいただくことこそ至上の喜び。どうか、私にお礼をというのなら、受け取っていただければ大変嬉しゅうございます」
「こ、断れねぇ……分かったよ、貰う、貰うから……先生みたいな奴だなお前……。男の俺でも傾くわ。あと……」
「?」
「今回は流されてやるけど、次はちゃんと俺からお礼するからな、受け取れよ、ミヤビ」
「……ふふ。えぇ、楽しみにしております。ハクヤ様」
その後に校門前まで三人は土産を渡され、送られる。
数人の女子生徒が、先程のミヤビとハクヤの絡みを見逃すまいと見送りに行ったのだが、ハクヤは怖くてそちらを見ることはできなかったようだ。
第五話
連邦生徒会への恩返し
「では、シロコちゃんにバトンタッチです!」
「ん。ノノミはこれからどうするの?」
「DUで欲しいものがあるので、ショッピングです!」
「ノノミちゃんらしいね〜。じゃ、次なる恩返しは……えっと、ミカド君だっけ?ハクヤの友達だっけ?」
「そう。俺の戦闘技術は半分あの人から教えてもらった。このバックラー作ったのもあの人だし」
「どうやって会ったの?」
「昔不良同士の喧嘩を無理矢理仲裁してたらまとめてボコボコにされた」
「ん。よわハクヤ」
「いやあれは反則だろ……基本こっちの弾丸尽きるまでノーガードなんだぞあの人。しかもノーダメージだし」
ハクヤは頭をポリポリと掻きながら、予め呼んでおいた待ち合わせの場所へ向かう。
D.Uの公園の一つに、ベンチに腰掛けながら本を読んでいる彼を見つけ、ハクヤは手を振って挨拶する。
「ミカドさーん。待ちました?」
「いや、そうでもないよ。改めて、そっちの二人には挨拶しておこうかな。連邦生徒会特攻室室長、皇ミカド、よろしく」
「よろしくね~ミカド君」
「よろしく」
「これ、俺達で作った菓子。1人には多いだろうし友達と食べてください」
「これは丁寧に。ありがとう、ハクヤ。相変わらず器用だね。二人と、他のアビドス生達もにもごちそうさまと言っておいてくれ」
「聞きたかったんだけどさ……ミカド君は当日、個人で来たの?」
ホシノの疑問にミカドは少し考えた後に答える。
「少し複雑な話だな……。今の私は室長という立場がある。私は主に、不条理によって学校が立ち行かなくなる問題に武力で対抗出来るようにと作られた委員会の室長だ」
「そういうのはシンプルで好き」
「でも、その武力を行使するまで色々と根回しや資料も必要だ。今回、ギリギリで間に合いこそしたものの、少しでもどれかが滞ってしまえば私は参戦出来なかった。君達の借金も知っていたが、厳しい言い方をしてしまうと自業自得。公的に関与は出来ない。言い訳になってしまうが、細々とハクヤを通して援助するしかなかった。申し訳ない」
「え……あっ、そういうこと?ハクヤの偶にあった依頼って……」
「あぁ、全てではないだろうが、基本私が手頃な鎮圧任務を室長として依頼、それを通してハクヤに弾薬の補充等をしていた……というか、伝えてなかったのか?」
「だって伝えちゃったら皆やるって言い出すでしょ。俺1人ならまだしも、ホシノちゃんとか大勢が絡んじゃったらそれは学校間の癒着になりかねないし」
「まぁ……そうも取れるか。だが安心してほしい、これからはアビドスの担当が先生を通して私に一任された。何かしらの問題があった場合や、援助が欲しい時は連絡を貰えるとこちらも安心できる」
「うへ~、今回お礼して回ってるのにおじさん達に幸運が回ってるよ〜、良いのかな?」
「ホシノさん、今まで君達は大変な思いと不運の連続だったんだ、その分が還った幸運と思えばいい。君達だけの青い春を、これまで以上に満喫してくれ」
「ん。連邦生徒会なのに良い人」
「コラコラ、そんな事言わないの」
「耳が痛いね……リンは少々外交向きな性格ではないんだ。不快な思いをさせたなら、私が代わりに謝ろう」
「良いよ別に〜。でも、ー昔、連邦生徒会を襲撃しようかと思ったけどそんなことしなくて良かったとは思ったなぁ」
「やめてくれ……もし今それをするなら私が迎え討つ事になってしまう。そうなれば手加減は出来ない」
一瞬滲んだホシノの強者の揺らぎに動じることなくミカドは困り顔で答え、彼の強さを目の当たりにしているハクヤは青ざめながらホシノの肩を掴んで止める。
「ぜっったい嫌だ。やめようねホシノちゃん」
「ん。襲う理由が出来たらやる」
「やめようって〜!」
「はは……良い友人だなハクヤ。それじゃ、私は業務に戻るよ」
「すいません、時間とっちゃって」
「気にしないでくれ、休憩には丁度いい」
ミカドはホシノとシロコにも挨拶をして、サンクトゥムタワーへと業務に戻っていった。
「あんなこと言ってたけど、根回しや資料なんて無くてもあの人は必ず来るよ。根っからの善人だから」
「うん、分かるよ。先生とおんなじ匂いがする」
「それじゃあ、良い時間。皆もそろそろ用事が終わる頃だと思う」
「じゃあ、お礼に行こっか。その先生に」
第6話
ハプニング?
シャーレのビルに赴く一行。しかしその道中、1人の生徒が立ちはだかる。
肩にかけられ斑模様のコートに腰にかけた2丁の黒い見た目が同じ銃。白く短いネコの耳に紅い吊り目の瞳。
そして目を見張るのは、格子状の口輪をつけた女子生徒。
人通りが無いわけではない道の真ん中で確実にハクヤ達を見据えて待っていた。
「……ハクヤ、次はどんな女をひっかけたの?」
「いや本当に知らん……誰あの人……てかその言い方やめて……」
「顔がいいからって女遊びが激しいのはハクヤの駄目なとこ。直ぐに知らない女をひっかける」
「そんなことない……よね?」
「さぁね。鳥頭だから少し前のことも覚えてないだけじゃない?」
「ごめんてぇ……」
いつものようにハクヤをいじるシロコと、トリニティでの出来事を思い出して頬を膨らませて不機嫌になるホシノ。
その三人の元へ、彼女はヒールをコツコツと鳴らしながら三人の前に立つ。遠目で分からなかった彼女の身長は170強のハクヤを見下ろす程で、紅い瞳と閉じた口からは圧力を感じる。
「ナンノゴヨウデ……」
「…………私は、
重い口を開くと、とても低いハスキーな声が三人の耳へと聞こえ始める。
「やっぱりハクヤのツテだったんじゃん!」
「連絡事項は二つ。アビドス砂漠のカイザーを潰してくれて感謝する。そして、ブラックマーケットに来たなら顔を出せ。とのことです」
「……斑間?」
「はい。知らないのも無理はありません。数カ月前まで私は病床に伏せていたので」
「いや……いやいや……アイツから話は聞いてたけど……か弱くて護ってあげたい子って……」
「そんなことを……主は優しい方ですね」
「……うん、まぁ……分かった。じゃあ、俺から伝言で、近い内に会いに行くって言っといて。あと……なんで構えてるの?」
「主の命で、訛ってないか遊んでこいと」
「俺怪我してんだけど?」
「主曰く、ハクヤ殿の肉体は戦うことに関して神がかっていると。実は大して痛くないのでしょう?今日一日見てましたが、肉体が故障した時の動きをしていませんでした」
さらりと監視していた事実を告げられ、コキコキと片手を鳴らしながら、彼女は狩猟者の瞳でハクヤを見つめる。
「……!せめてハンデくれ」
「……まぁ良いでしょう。そこのお二人ですか」
「プラス!せんせー!!こっち!手伝って!!」
[?ハクヤ達、何かトラブル?]
「なるほど~ここシャーレの近くだもんねぇ。じゃ、頼んだよ先生〜」
「先生、よろしく」
[?ま、まぁ、怪我はしないようにね]
戦闘ー終了
「……流石の腕前です。宵のガルダ。そして、噂通りの噂以上です。シャーレの先生」
「アンタも大分強ぇよ……」
「いい動きだったねぇ」
「キリカ。これで私達は友人。何かあったら互いに助けよう」
「あぁ。近い内にまた会うことになる。その時はもっと穏便な方法で親睦を深めよう」
[距離詰めるの速いね……?]
「若者の距離感は掴みづらいね〜、せんせ」
「シャーレの先生も、また会うことになるだろう。では、邪魔をした」
ひらひらと手を振りながらキリカは夕暮れに消えていった。
第7話
先生、ありがとう!
[ところで、三人はどうしたの?シャーレに何か用事?]
「あーっと、俺達あちこちいって疲れててさ、シャーレに行こう。喉乾いちゃったよ。ね、二人とも」
「そうだねぇ、おじさんも疲れちゃった。お邪魔しても良い?」
[勿論、どんな生徒も大歓迎だよ]
四人はシャーレビルへと向かう。そして、入り口では他のアビドス生達が待っていた。
「あ!先輩達が来ました!」
[あれ?皆も来てたの?]
「遅いわよ、先輩、先生!」
「ほらほらーこっちです!」
[??]
皆に背を押され、先生はシャーレのエレベーターへ押し込められ、執務室の椅子へとアビドスの皆に囲まれながら座らされる。
[皆、本当にどうしたの?]
「鈍感だねぇ。こういうこと」
パァンッ!
「「「「「「先生!改めてありがとう!!」」」」」」
クラッカーを鳴らし、声を揃えて先生への感謝の言葉を口にするアビドスの皆。当の先生は呆けた顔をしているが、それを置き去りにするように6人は机を片付けて手作りのお菓子を並べ始める。
「今日くらいはゆっくりしよーよ、先生。ということで、おじさんからはこれホットアイマスク!よく寝れるよ」
「これ!ネクタイピンです、先生に似合うと思って買ったんです★」
「あ、私もこれ!白蛇の抜け殻のストラップだって!お金貯まるらしいわよ!」
「ん。私からはツーリングのカタログ。いつか一緒にキヴォトス横断しようね」
「私は、実用的なものが良いと思いまして、以前先生は字を書くのが好きだと仰っていたので、こちらの万年筆を」
「俺からはこれ。アビドスのミニチュア。作るの大変だったんだから、大切にしてくれよ、先生」
[……良い生徒を持って、先生幸せだよ。今日くらいは、仕事少し休んじゃおっかな]
「ハハッ、良いね先生!これも青春の1ページだ!」
ハクヤの作るアルバムに、新しい1ページが追加されたのだった。
砂漠の星から恩返しー完ー
番外編があるのでまだちゃんと終わりじゃないです〜