永い旅路を歩む春   作:レガシィ

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イベント 失踪!?小さな姫と八咫の鳥!
第一〜四話 八咫烏と小さなお姫様


 プロローグ

 

 D.Uシラトリ区、いつものように銃撃と神秘、生徒達でごった返す日常の一コマ。

 

「イブキ〜……ほら、イブキお待ちかねのアイスだ……ぞ……」

 

 万魔殿議長、羽沼マコト。彼女はお忍びと称して丹花イブキと共に限定のアイスを食べに来ていた。

 

 二人だけがいいとマコトが駄々をこね、護衛を置き去りにして私服で出かけた。それがミスだった。

 

 ボトッ……

 

「イ……イブキが攫われたーー!!」

 

 最愛の小さなお姫様が、ベンチから居なくなっていた。

 

 失踪!?小さな姫と八咫の鳥!

 

 第一話 こんにちは!

 

 [いやぁ、DUはいつ来ても賑わってるなぁ]

 

 先生は久々の休日に外に出てDUを散策していた。

 

 キヴォトスに来てから日が立ち、様々な生徒と顔を合わせたり、色んな噂が立ったことで先生は街を歩けば声をかけられるほど有名になっていた。

 

「お!シャーレの先生!この間は助かったよ!」

 

 [いえいえ、当たり前のことをしただけですよ]

 

 [先生、先日はお世話に……]

 

 [いえいえ、無事で何よりでした]

 

 先生は露店を回りながら知り合いに挨拶を交わしていく。その中で、一際目立つ二人の人影を発見する。

 

 黒い執事と鴉の仮面姿、トリニティの執事、桐藤ミヤビ。その彼の腕で、幸せそうに限定のアイスをなめる金髪の幼女。小さなツノと揺らめく尻尾から、ゲヘナと悟り、不思議な組み合わせに先生は声をかける。

 

 [ミヤビ!]

 

「おや、ご無沙汰しております、先生」

 

 彼は左手を胸に当てながら、少女を気遣い小さな所作で礼をする。姿勢を正した状態で腕に乗せるイブキの腰には、彼のものであろうクラバットが巻かれており小さな気遣いを先生は感じる。

 

 [……と、君はゲヘナの……?]

 

「あっ、んしょ……!はじめまして!ゲヘナ学園の丹花(たんが)イブキです!今はミヤビさんのお手伝い中です!」

 

 [お手伝い?]

 

「えぇ。市場の調査をしていたのですが、普段こういった場所にはあまり立ち入らないもので、イブキ様にご指導いただいているところでございます」

 

 [なるほど……]

 

「もしお時間などが許すのであれば、先生もいかがでしょう。私一人より、シャーレの先生……大人が付き添うほうが、イブキ様にとっても安心でしょう」

 

「えー!先生もイブキ達と一緒に遊んでくれるの〜!?」

 

 [はは、そうだね。一緒に、お手伝いをしようね]

 

「あっ!えと、うん、お手伝い!」

 

 イブキはうっかりといった様子で口をつぐむが、ミヤビは聞かなかった振りをし、三人でD.Uを散策し始めたのだった。

 

 第二話 しょっぴんぐ!

 

 3F、商業フロア

 

 [そういえば、市場調査って何を調べてるの?]

 

「そうですね。大雑把に言ってしまえば"流行"を探しています。トリニティは格式高い学園ですが、その分伝統に縛られやすいのも事実。なので、お茶会や、謝肉祭などのイベントを通じて新たな流行を取り入れるため、主の命でまずは私が出向くこととなりました」

 

「えっと~……?」

 

「失礼。少々難しい話でしたね。もっと簡潔にいいますと、"楽しいこと"を探しています」

 

 ミヤビの簡潔な説明、恐らく本来の目的とは違うだろうと先生は気付きながらも、それに歩幅を合わせて相槌を打つ。

 

「あ!それならお買い物が楽しいって先輩達が言ってたよ!」

 

「おや、それなら……テナントがいくつかありましたね。そちらに向かいましょうか。流石です、イブキ様」

 

「えへへ~、イブキ偉い?」

 

 [うん。お手柄だね!]

 

 ショッピングモール

 

「休日ですから人が多いですね。先生、はぐれないようにお気をつけください」

 

 [大丈夫だよ。ミヤビが良い目印になるから]

 

「うん!ミヤビさん大っきいから凄く高い!」

 

「お力になれて光栄です。お二人は、何か買いたいものなどございますか?」

 

「う~んとね……イブキはね……」

 

「金銭のことならご心配なく。これはお仕事の中の些細な買い物。必要なことなのですから、それに、お手伝いをする良い子には、ご褒美があってしかるものですから」

 

「いいの?」

 

「はい。お好きなものを」

 

「えっとね!そうしたらね〜、あっち!」

 

 イブキが指差す方向は、一般的な服のブランドのテナントだった。

 

 [服屋さんだね。イブキ、可愛い服を着たいの?]

 

「イブキもミヤビさんと同じのをつけたい!」

 

「同じもの……と申しますと、ネクタイや手袋ですか?」

 

「ううん。その仮面、イブキも同じものをつけたい!」

 

 [か、仮面……個性的だね]

 

「イブキ様。この仮面は生活を想定して作られていないのです。イブキ様の食事や呼吸を著しく妨げてしまうものかと……」

 

「イブキ、プリン食べられなくなっちゃうの?」

 

「残念ながら……。それに、貴方様の非常に愛らしいお顔が見えなくなるのは勿体ない」

 

 [そ、そうだよイブキ!女の子なんだから別のオシャレをしよう?]

 

「うぅん……じゃあイブキ、我慢する」

 

「申し訳ありません。ですが、その代わりといってはなんですが、5分程時間を私にください。必ず、ご満足いただけるものをご用意致します」

 

「?」

 

 [何か考えがあるの?]

 

 イブキと先生を連れてミヤビは服屋のテナントへ入り、店員と交渉して裏の作業場へ入っていく。

 

 [何をするんだろうね?]

 

「イブキ、迷惑かけちゃった?」

 

 [ううん。そんなことないよ。彼も私も、誰かに尽くすのが好きなんだ。だから、一杯頼ってくれると嬉しいな]

 

「大変じゃない?」

 

 [世の中には大変な方が楽しいと感じる人もいるんだよ。鬼ごっこも疲れるけど楽しいでしょ?]

 

「うん!分かった!ありがとう、先生!」

 

 〜5分後〜

 

「イブキ様、こちらを貴方様に」

 

 ぽすりとイブキの頭に麦わらの帽子が被せられる。

 

「わぁ!麦わら帽子!」

 

 [編んだの!?]

 

「出来ればそうしたかったのですが、いかんせん材料の確保が難しく、断念いたしました。その代わり、帽子の側面をご覧ください」

 

 イブキが帽子を外して言われた通りに観察してみると、ミヤビの鴉の仮面に、イブキの特徴が反映されデフォルメされたワッペンがついていた。

 

「わぁ!すごーい!今作ったの!?」

 

「これなら、お顔を隠すことなく、イブキ様の願いも叶えられると思ったのですが、ご満足いただけましたでしょうか?」

 

「すっっごく可愛い!ありがとう、ミヤビさん!」

 

「お喜びいただけたのなら何より。このミヤビ、感慨無量の気持ちでございます。それでは、案内をお願いできますか?小さなお姫様」

 

 ミヤビが差し出した腕にイブキは軽快に飛び乗り、先程までと同じように再び次の場所へ移動を開始した。

 

 第三話 ゲームセンター!

 

 5F、ゲームセンターフロア

 

 [次の場所……ゲーセンなんてどうかな?]

 

「ゲームセンターですか?イブキ様もそこで宜しいですか?」

 

「うん!イブキもゲーム好きだよ!1日1時間って先輩達に言われてるけど、今日はまだしてないから大丈夫!」

 

 [言われたことを守ってて偉いね。私も見習わないと……]

 

「せんせ~もゲームは1時間?」

 

 [先生はお仕事が沢山あるんだよ……]

 

「?」

 

「ん"んっ……失礼。少々咳が。そんなことより、私はゲームセンターについての知識が少々浅く、良ければどのゲームが人気なのか、ご教授いただけませんか?」

 

「うん、いいよ〜!」

 

 イブキが指差す方向に移動する間、ミヤビは仮面越しの瞳で先生に注意を促す。

 

 [ごめんね、ちょっと不注意だったね]

 

「いえ……私も神経質すぎたかもしれません」

 

 本人は気にしないだろうが、イブキに大人の余計な暗さを見せまいとした二人は、こそこそと耳打ちで話す。やがて、辿り着くのはクレーンゲームのコーナー。

 

「これは一体……?」

 

「んとね〜、見てて!」

 

 イブキは小さながま口の財布から小銭を取り出して投入口へ入れ、プレイし始める。興味深くそれを眺めるミヤビにと、イブキに向かって頑張れと後ろから声を掛ける先生。

 

 結果は……。

 

 ポトンッ

 

「あー、ざんねーん!もうちょっとだったのに〜!」

 

「なるほど……お菓子やぬいぐるみの売買という行動に、ゲーム性を持たせたもの……ということですね」

 

 [そう。まぁ、殆どの場合1回じゃ取れないんだけどね]

 

「はい、ミヤビさんもやってみて!」

 

「!わ、私はあくまで……」

 

 [ミヤビのカッコいいところ、見てみたいな〜]

 

「見てみた〜い!」

 

「……ご期待に添えてみせましょう」

 

 二人の期待に押され、ミヤビはイブキから手渡されたコインを投入口へ入れ、プレイし始める。

 

「この角度なら……」

 

 ゆらゆらとクレーンをわざと揺らし、小さなぬいぐるみのタグに器用に引っ掛けて見事に取り出し口へ落とす。

 

 [え、凄っ]

 

「すご~い!やったね、ミヤビさん!」

 

 イブキは笑って両手を差し出し、二人はハイタッチを交わす。難しめの台だったこともあり、先生は素直に驚いていた。

 

 [やったね、ミヤビ。ゲームの才能あるよ!]

 

「ありがとうございます……ビギナーズラック、というものでしょうか」

 

 [そうかもね、でも楽しかったでしょ?]

 

「……正直、かなり心が躍っているのは事実です。しかし、私は執事。感情に左右されて仕事を疎かには致しません。イブキ様、こちらのぬいぐるみは差し上げます」

 

「え、くれるの!?」

 

「はい。そういった趣味のない私が持つより、イブキ様が持っている方がその縫いぐるみも喜ぶでしょう」

 

「わぁ!ありがとうございます、ミヤビさん!」

 

「貴方様の笑顔が私の喜びでございます。さ、次なるゲームは何に致しましょう?」

 

 その後、エアホッケーやプリクラなどを三人は楽しんでいた。

 

 ショッピングモール、倉庫

 

 複数の不良生徒と仲介役のロボットがコソコソと話していた。

 

「おい、手筈は整っているな?」

 

「あぁ、勿論。準備は万端だ。後は、ボスの合図を待つだけ」

 

「くくっ……始まるぞ、"鳥籠作戦"が!」

 

 第四話 危険な占い結果

 

 最上階、休憩エリアの庭園

 

 暫くゲームセンターで楽しんだ後、イブキのお手洗いの為、二人は芝生隣のベンチにいた。

 

 [座らないの?]

 

「コチラのほうが慣れておりますので、ご心配なさらず。それより一つ、お聞きしたいのですが、先生はなぜここへ?」

 

 [私はたまの休みだから遊びに出てみたんだけど……]

 

「でしたら、イブキ様を連れて直ちにここから離れてください」

 

 [……何か事件?]

 

「トリニティには、占術部なるものがございます。そこの部長の2年、那鳴(ななき)ユナ様……彼女の占いの的中率は八割を超えます」

 

 [は、八割……]

 

「とはいえ、かなり波がありご本人の性格もあるため手放しに信用は出来ないのですが……とにかく、彼女の占いで、この場所でテロが起きるという結果が出たのです」

 

 [そんなことが……あれ、イブキはどうして?]

 

「迷子になっていたようなので、一時的に保護したのですが、迷子センターの職員が居らず、行動を共にしていた次第です」

 

 [そんな事情が……じゃあ、ミヤビは遊んでた訳じゃなくて、その事件を調査していたんだね] 

 

「はい。騙すような形になり、申し訳ありません。自らの軽率さを恥じるばかりです。ただ、職員の数や規則的に動く複数の団体、その他の要素から今回の占いは当たっていると推測しました。これのら問題解決に当たります。荒事になるやもしれませんので、お二人は退避を」

 

 [待って、そんな危険なことを君一人にさせるわけにはいかない。先生として、大人としてね]

 

 先生は真っ直ぐに仮面に隠された彼の瞳に強く訴えかける。

 

「……退く気は、無さそうですね。先生の指揮能力はかなりのものと聞きます。どうか私に、そのお力をお貸しいただけますでしょうか?」

 

 [勿論!頼ってくれて嬉しいよ!]

 

「……噂通りのお方ですね。それでは、まずはイブキ様の安全を確保致しましょう」

 

 [あ、イブキ、こっちだよー!]

 

 バツンッ!

 

 トイレから出てきたイブキに、適当な理由を説明して二人はショッピングモールから出ようとする。

 

 しかし行動が一歩遅かったらしく、突然モール全体が停電する。ミヤビがいち早く二人を安全圏である男子トイレに抱えて避難すると、続いてアナウンスが鳴り始める。

 

【単刀直入に言う!このショッピングモールは俺達が占拠した!!各フロアには武装した俺達の仲間がいる上、出口の扉はシャッターが閉じている!痛い目に合いたくなければ大人しくするんだな!!】

 

 最上階でも正確に聞こえるアナウンス。トイレに避難したのは正解だったようで外からは銃撃と怒声が響き、次々と市民が拘束されている様子が分かる。

 

 [しー……静かに]

 

「怖い……大丈夫……?」 

 

「……大丈夫です、イブキ様。必ず、私と先生が貴方を無事にお家へお送りします」

 

 [大丈夫だよ、先生もミヤビも強いからね!]

 

「……うん、ありがとう!でも……イブキだけじゃなくて……」

 

「!気が回らず申し訳ありません。訂正いたします。このショッピングモールの皆様を無事に救ってみせましょう。桐藤家の筆頭執事、このミヤビにお任せください」

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