永い旅路を歩む春   作:レガシィ

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二十日ぶりの更新!!遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでしたぁ!!
言い訳になりますが、簡潔に言うと20連勤してました。
午前休とかあったから完全にではないんですが、この時期は畑やら店やらが忙しくてですね…。
ともかく一段落したので、これからは週に2回程のペースが実現できればと思います!よろしくお願いします!


時計じかけの花のパヴァーヌ編第2章
第一話 勇者の探検


「先生、ようやくのセーブポイントですね。今回のダイスはことさらに酷かった」

 

「お"ぇっ……!!」

 

「痛いですよね。見てるこっちも痛いですから」

 

 椅子に座った少女は、這いつくばって胃液を吐く先生を見下しながら冷徹に言い放つ。

 

「ハァッ……!だいじょぅぶ……!慣れで……ぎぁがら……!」

 

 しかしそれでも、先生は気丈に振る舞いながら笑ってみせる。ギリリと音を立てて少女は先生に再度、終わりを促す。

 

「……魂がすり減るような痛みを受けて、立つこともままならない、と。慣れでどうにかなる問題でもないでしょうに。もう、さっさと、諦めたらいかがです?」

 

「い……やだ!!」

 

「……そうですか。ミレニアムの問題を解決したいのなら、次の扉はあちらです。少々幕間を挟み、時系列は辿れなくなりますが、問題はありません」

 

「ありがとう……行って……くるね……!!」

 

 先生は次なる扉へとダイスを振って走り出した。

 

「…………願わくば……いえ、よしましょう。せいぜい頑張ってください」

 

 一人の少女は、再び椅子に座って目を瞑った。

 

 ーーー

 

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 ミレニアムプライスから暫く経った日。

 

 先生はゲーム開発部から次回作のインスピレーションが欲しいとのことで呼び出されていた。

 

 しかし、モモイとミドリの意見がぶつかりゲームの勝者の意見を採用するとのことで、2人は勝負を始め、アリスと先生はミレニアム内を探索することで新しいアイデアを探すことになった。

 

「先生と冒険です!アリス、ワクワクしてます!」

 

 [ゼンイやトモゼとは仲良くやってる?]

 

「はい!トモゼの膝の上はアリスの特等席になりました!ゼンイは……好感度が"最低"から、"友達"になりました!」

 

 [お、進歩してるね。何かイベントあったんだ?]

 

「一時期は"ゴミ"になりましたが、今は一緒に格ゲーで対戦しています」

 

 [ほんとに何があったの……?]

 

 二人でミレニアムを散歩、もとい冒険をしていると、様々な生徒に出会っていく。

 

 朝のジョギングをしている生徒、スミレと出会ったり……

 

「トレーナーも冒険運動をしませんか?まずは20kmほど……」

 

 [健康的でいいね。でも、今はアリスと探検中だから、また今度ご一緒させてもらおうかな]

 

「先生は非力なのに走れるんですか?」

 

 [まぁ……健康でいたいし、運動はしているよ。全盛期程じゃないけど、そこそこ走れるんじゃないかな]

 

「トレーナーの全盛期はどんなトレーニングを?」

 

 [う~ん……15kgの救急用装備と銃器で飛んだり跳ねたり走ったり泳いだりしてたかな]

 

「先生も戦えるんですか?」

 

 [生徒の皆に銃は向けないよ。皆とは出来る限り、対話でことを済ませたいからね]

 

 クエストという名目でお菓子を貰ったり……

 

「あれ?横にいるの大人……?」

 

「はい!先生はパーティのマスコットです!」

 

 [どうも、先生もといマスコットです]

 

「マスコット……わ、分からなくはないかも」

 

「あ、この資料運んでくれないかな?報酬はカップケーキ!」

 

「クエストですね!アリス、クエストは得意です!」

 

「あっ、ずるい!じゃあ私はこれ!」

 

 部活動をしておらず、制服姿のC&Cの二人、アスナとカリンに会ったり……

 

「あ、ご主人様にアリスちゃーん!リーダーが探してたよ?」

 

「先生、来てたんだな」

 

「ひっ……チビメイドはもうこりごりです!」

 

 そんな冒険をして、次の探索箇所へ向かう途中。予想だにしない二人の人物に出くわした。

 

「見つけたぞ、チビ」

 

「!」

 

 [ネルと、トモゼ?不思議な組み合わせだね?]

 

「ん?あぁ、ネルとはそこそこ普段から一緒にいるぞ。皆に言ってなかったか」

 

「う、うわぁん!相棒が裏切りました!」

 

「裏切りって……人聞き悪いな」

 

「んなことより、行くぞ」

 

 [へ、行くってどこに?私達今冒険中で……]

 

「冒険?んなことより大事なもんだよ」

 

「まぁ……付き合ってやってくれ」

 

 ネルに連れられて来たのは、近くのゲームセンター。

 

 ネルがおもむろに腰掛けると、コインを入れてアリスを対戦に誘う。おどおどと怯えるアリスだったが、トモゼが隣で話すこともあり次第に打ち解けていく。というより、彼女達はミレニアムプライス以降、何度か交流がありいつもこの調子だったらしい。

 

「ね、ネル先輩のコンボが繋がりません……」

 

「うっせぇ!おいトモゼ!むずいぞこのコンボ!!」

 

「強ぇの教えてくれって言ったのネルパイセンだろうよ。あっ、ほらまたレバガチャしてる」

 

「だーっ!!うるせぇ!!」

 

「……先生もやるか?」

 

 [……せっかくだし、隣でやろっか]

 

 1時間後……

 

「くそっ!もう一回!!」

 

「うぅ……アリスの空腹ゲージはそろそろ限界です……」

 

 ドガガガガガガガッッッ!!!

 

「おぉ、先生今のコンボ何?すげぇ」

 

 [トモゼも凄いよ。使いにくいキャラで有名なのにコンボが綺麗に繋がってた]

 

「お前等当てつけかよ!?」

 

 二人の横で物凄いコンボを繰り出す二人を見たネルは怒りで叫ぶ。

 

「[?]」

 

「先生はユズと同じくらい強いです。アリスも先生の本気に勝てたことないです!」

 

「……前から思ってたがよぉ。先生って何もんなんだ?ただの教師じゃねぇだろ?」

 

 次のコインを入れる手を止めた二人はネルの問いかけに耳を傾ける。

 

 [……まぁ、ちょっとね。昔はやんちゃだったし、戦闘の経験もある。キヴォトスの皆みたいなものじゃなかったけど、危ない世界ではあったかな]

 

「「……」」

 

「先生は歴戦の戦士ということですか?」

 

 [はは、違うよ。私はヒーラー。ちょっとだけ戦えるだけのね。それより、ネル。君は後ろを見たほうが良いんじゃないかな]

 

「あ?後ろ……あ」

 

 ネルが振り向いた先には、メガネの奥から目を光らせ、怒りの表情を向けるアカネがいた。

 

「部長。今日は会長からの任務の通達があると、前からお話してましたよね?」

 

「あ……忘れてた……」

 

「戻りますよ!」

 

「待ってくれ!あともう一回……」

 

「ゲームは1日1時間!行きますよ!」

 

「うわぁぁ……」

 

 ゲームに熱中していた二人の背後に現れたアカネに、わずかばかりな抵抗をしながらも連れて行かれたネルの後を、先生とアリスに挨拶をしたトモゼはついていった。

 

 ーーー

 

 すっかり日も暮れた頃、部室へ戻る前にアリスは先生へと話しかける。

 

 [それにしても、二人とも仲良くなれたようで良かった。やっぱり、"仲間"になったからかな?]

 

「はいモモイは、今はネル先輩は弱くなっていると言っていました!」

 

 [……それ、ネルに言っちゃダメだからね?]

 

 変わらないアリスのゲームで学んだ比喩の表現に苦笑しながら、先生は小さな教えを説く。

 

「ネル先輩は仲間です。一緒にゲームをする仲間です。一緒にゲームをする間、冒険が出来ないのは困りますが……先生と冒険する今日だけは……その……」

 

 [……私は今日の冒険、とても楽しかったよ。ユズからのクエストは半分未達成のままだけど、アリスにとってもいい経験だったんじゃないかな?]

 

「そうですか?」

 

 先生の言葉にアリスは目を輝かせて問い返す。

 

 [もちろん。君のミレニアムでの生活……彩られた青い春。これから先も、続けていける。今日の経験はその為に必要だった]

 

「?」

 

 [はは、ごめんね。こっちの話。要するに、凄く楽しかったから、また誘ってね、見習い勇者]

 

「はい!勇者は一人じゃ魔王を倒せません!アリスのパーティには先生が必要です!」

 

 意味深な先生の発言。それを誤魔化されたアリスは無邪気にレトロゲームの例えで会話し、暮れた夕陽を背にミレニアムの部室に帰っていった。

 

 [……さて、準備しないと]

 

 ーーー

 

 数日後、ヴェリタスから緊急の連絡が入る。

 

 マキが戦争が世紀の大発見をしたと興奮気味に話したのをきっかけとして、コタマとハレは冷静に先生を呼ぶ決断を下したようだった。

 

「やっほー!先生、どうしてここに?」

 

 [やほ。ヴェリタスに呼ばれてね。皆も?]

 

 ヴェリタスの部室に向かう途中、マキに呼ばれたゲーム開発部の一同と出逢った先生は軽く挨拶を交わしながら共に向かう。

 

 道中、引きこもりのユズには辛かったようだが皆に支え られて部室へ辿り着く。

 

 [や、皆。お待たせ]

 

「来たよ!それで、早速だけど面白いものって?」

 

 ヴェリタス部員達との軽い挨拶の後、ハレが奇妙な形のロボットを見せながら本題に入る。

 

「全てミレニアムの郊外で見つかったものです」

 

「ここにある5体で全部じゃないよ!20体以上はあった!」

 

「見た目キモいね……。なんか深海魚っぽい?」

 

「少なくともミレニアムで作ったものではないよね。名簿にこんなものなかったし、個性的な見た目すぎて絞れないね」

 

「び……びっくりしたー!想像してたのと全然違うんだけど!コメディの感覚だったのに急にホラー展開になった気分!」

 

「これ、どんな状態なんですか?頑張ったら起動できたり……?」

 

「残念ながら、色々手は打ってみたけど電源も接続ポートも、表面に繋ぎ目すらない。そもそも、本当に故障なのかさえも分からなくて……」

 

 [……アリス?]

 

 生徒達がロボットについて談義を交わす中、アリスがロボットに近付いていくのを見て先生は疑問符をつけて彼女の名前を呼ぶ。彼女がロボットに触れるその瞬間、聞き覚えのある音と共にロボットが起動する。

 

「お姉ちゃん、ゲーム機起動してるよ?」

 

「あれ?本当だ。今まで起動しなかったのに……」

 

 ーー私の、私の大切なーー

 

「……アリス?」

 

「起動開始」

 

 ロボット達が起動し、アリスの様子が一変する。

 

「起動した!?なんで、コタマ先輩なんかした!?」

 

 ーー私の大切な……よーー

 

「……コードネーム"AL-1S"起動完了。プロトコル、ATRAHASISを起動」




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