少しでも面白いと思っていただけましたら作者が喜びます。
それでは、どうぞお楽しみ下さい。
日は落ち、夜に生きる者たちが動き出す時間。
そこに鳴り響いた次なる刺客への依頼の音。
大きなコートを羽織ったゲヘナの生徒は静かに次の開演を承諾する。
「えぇ、その依頼。承りました」
ガチャンッ
「…新しい依頼よ、しかも企業依頼!報酬が凄く良いの!」
「へぇ~、次はお偉いさんの猫ちゃん探しかぁ」
「なっ、違うわよ!えっと、アビドス高校?の制圧らしいわ。早速準備しなくっちゃ!」
「この間の一億はまだ足がつきそうだから手つけられないもんね〜、それまでの身入りにはなるかも」
便利屋68。孤高のアウトローを目指す陸八魔アルを社長としたゲヘナの四人組。
実力はあるものの依頼達成率は芳しく無く、実際は何度も財政難に陥り、引っ越しを繰り返す貧乏会社である。
そんな折に入ったキヴォトスでも随一の規模の企業からの依頼。社長のアルは浮かれきり、それをニコニコと眺める幼馴染のムツキ、しかし課長のカヨコは渋い表情をしており、社員のハルカはそれを疑問に思う。
「アビドス…ねぇ…」
「ど、どうかしましたか、カヨコ課長?」
「いや…なんでもない」
ーーー
「えー、ハクヤは来ないの?」
「水族館なんて水だらけな所、ごめんだね。俺水苦手なんだって」
「水って…お魚を眺めるだけですよ?」
「パスパス、俺は学校に残って掃除でもしてるよ。お土産だけ頼んどこうかな」
[…そっか。じゃあ、ハクヤはまたの機会にしようか]
「そーそ。皆楽しんどいで。後輩ちゃん達には俺からお小遣いあげるから」
ピロンっ
「「多っ!?」」
先生が今回、皆が頑張ったご褒美と、息抜にと提案した水族館。しかし、ハクヤは頑なに行くのを拒否すると、スマホから適当な金額をアヤネとセリカに送金する。
かなりの金額が送られ、二人は驚いて目を丸めるが慣れたように一同は水族館へ向かう。
「じゃあ、留守番はよろしく。ハクヤ」
「本当に行かないの…?」
「行かないよ〜。楽しんどいで」
6人は少し尾を引きつつも出発する。窓から出発するところを確認したハクヤは、静かに銃を構え、そのまま虚空へ向かって放つ。
「人払いは済んでる。出てこいよ…"タキシード"」
ハクヤは真っ白な礼服に身を包み、顔に当たる部分の中心に真っ赤な灯りが一つ灯った異形に向かって威圧する。
『フフフ…良かったんですか?放課後に親愛なる生徒達とお出かけ…貴方の望む青春の1ページなのでは?』
「誰のせいだと思ってんだよ」
『私のせいだとでも?』
「相変わらずムカつくな…で、今回はなんだよ」
『次の報酬はコチラです。内容はコチラを』
「また薬か…作用は」
『貴方の神秘を増幅させるもの。その説明だけで充分では?』
「前回は猛毒。前々回は小規模な組織の壊滅…。最終的な目的は何だ?」
『…いえ、何も?私は自らの研究意欲を満たしたいだけ。本当なら小鳥遊ホシノにも協力を仰ぎたいところでしたが、貴方でも充分。いえ寧ろ、肉体強度の面では彼女を遥かに上回る』
「もう良いよ、分かったっつの。それより金」
『いえ、前払いというわけにはーー』
ゴクンッカラン…
「…これでいいか」
『フッフフ…!Excellent!!それでは、約束のものです。お納めください』
「…妙に多いな」
『お得意様なのでね。次もよろしくお願いしますよ』
タキシードと呼ばれた異形の者は対策委員会室の扉を開けて出ていく。その後にハクヤは消臭スプレーと塩を撒いて払う。
「はぁ…怠…。また毒かこれ…?にしても水族館ねぇ…行きたかったなぁ…ん?」
ハクヤは校門の方から人の気配を感じて視線を向ける。
外には、十数名の傭兵と思しき生徒達と、見覚えのある一人の生徒。挨拶に行こうと窓から飛び降り、リーダーの四人の前に立つ。
「おはよう。一応確認するけど、転校希望の子たちだったりする?もしそうなら歓迎するよ」
「え?えっと…」
「あ、そんなナリしてるのにそういうジョークにゃ疎い感じ?そりゃあごめん」
完全武装の便利屋と傭兵達に、軽薄な様子で歩み寄るハクヤに困惑を隠せないアル。そして溜息をつくカヨコ。
「はぁ…やっぱり」
「や、カヨコちゃん。久し振り。半年振りくらい?それとも、この間ぶり?」
「え…カヨコの知り合い?」
「うん。っていうか、この間見たでしょ。それに、ブラックマーケットの界隈では知らないほうが珍しいんじゃない?」
「へ?」
カヨコの視線の先の傭兵達は、男女問わずザワザワと噂話をしている。やがて、一人の女子生徒がハクヤに駆け寄って質問する。
「ねぇもしかしてあの人…」
「やっぱりそうだよね。右腕につけてる銀のバックラーと古いショットガン…」
「あ、あの!」
「ん、どしたの?」
「が、"ガルダ"…ですよね…?」
「んー?…あぁ、まぁ、そうだけど…」
「やっぱり!!すいません、サイン下さい!!」
「あっ、ずるい俺も!」
「私は握手してほしい!」
あっという間にハクヤの周りを雇われ兵達が囲み、過去の栄光を何とか物に残そうと懇願する。
「カヨコちゃん?どゆこと?」
「…半年前、"グレッグカンパニー"っていう雑用メイン…まぁ、ウチみたいな会社あったでしょ。凄い勢いで大きくなって、あっという間に汚職やパワハラで潰れたとこ」
「え、えぇ覚えてるわ。そこに何度も依頼取られたもの。それに、事実は"あの傭兵"が潰したって噂にもなってたし…」
「そう。で、潰したの全部彼だよ」
「な…ななななっ、なんですってぇぇ!?じ、じゃあ、彼が!?」
「そう。たった数ヶ月で数々の功績を積み立て、ブラックマーケットの超重要リストに入り、霧のように消え去った幻のアウトロー、"宵のガルダ"」
「その名前、別に俺がつけたんじゃないけどね。消えた理由も別の働き口見つけただけだし。まぁ、なんでも良いけどさ」
サインや握手を終え、ハクヤはカヨコの言葉に捕捉を付け加える。アルは幻とさえ謳われた人物が目の前にいることで興奮を隠しきれていない様子。
「わぉ。それで?カヨコっちはそのビッグネームとなんで親しげなの?もしかして…そういう関係?」
「バカいわないでムツキ。私の弟がハクヤと仲が良いの。その繋がり」
「弟…あぁ、あの風紀委員の?良い子だよね」
「カヨコちゃんは見たとおりだけど、アオは元気?」
「一応私達は敵対してるし、そんなに会う頻度は高くないよ。それより、他のアビドス生は?アンタ一人にヘルメット団がやられたって話も充分現実味あるけど、流石に違うでしょ?」
「俺は留守番中なのよ、皆はお出かけ。それより、君達は?まさかここを落としに来た?」
ハクヤは滑らかに警戒態勢に入るが、実力を噂と結果で知っている雇われ兵達は戦うのを全力で拒否する。しかし、アルが目指すはアウトロー。ここで引こうとはしなかった。
「そっ…そうよ!私達は依頼をこなしに…!」
「いや、やめとこう社長。ハクヤを相手にしたところで時間も資源も無駄になるだけ」
「さすが、カヨコちゃんならそう言ってくれると思ったよ〜」
「ありゃ、カヨコっちが完全拒否なんて珍しいね」
「うん。てことで、帰って別の依頼を探そう社長」
「え…えぇ?でもそうしたら今月の家賃が…」
「ち、ちょっと待ってくれよ!私達の報酬はどうなるんだ!?」
「そうだそうだ!」
「…サインもらえたんだし、それじゃ駄目?」
「うぐっ…で、でも、準備しちゃったし…」
頭が先ほどの薬でクラクラしているハクヤは、戦闘が無いことに安堵する。そしていざこざを避けるため、先ほどの報酬を適当に計算し、皆へ提案する。
「あ、じゃあ皆学校の掃除してってよ。報酬も出すから。面倒だから便利屋は家賃分で、皆は最低時給の2割増で」
「え!いいの!?やるわ!」
「お、俺達も!ついでに、少し話を聞かせてほしいっす!」
「私も!!」
「じゃあ契約成立ってことで。改めて、俺は鷲ハクヤ。よろしく。さて、皆の分の掃除用具あるかな」
「……」
アルの表情は一変して提案にすぐさま乗り、傭兵達もハクヤの威光にあやかろうとして笑いながら校舎へ戻っていく。しかし、一点の陰りが見えたカヨコは僅かな違和感を覚えた。
「じゃ、一階と三階はよろしく。二階は俺やるから」
「え、一人で!?」
「普段から生活してるスペースだからね。終わったらお茶でも淹れようか」
人数も人数なため、ほんの1.2時間で校舎の清掃はほとんど終わりかける。
「…って、なんだかアウトローじゃなくない?」
「別に良いんじゃない?幻のアウトローに恩を売るって考えておけば」
「そういうものかしら?」
「掃除終わったこと報告してくる。社長も来る?」
「え?えぇ、行こうかしら」
対策委員会室でハクヤは膝をついていた。思った以上に先ほどの薬が効いていたらしく、立つのも辛くなって膝を付き、冷や汗もかいていた。
(大丈夫、大丈夫だ…収まれ、収まれ…)
コンコンコンッ…
「ハクヤ、入るよ…!ハクヤ!?」
「ちょっ、酷い熱…!いつから!?とにかく安静な場所に寝かせないと…!」
「…良いのか社長さん。ターゲットが弱ってるぞ…今なら軽く…」
「馬鹿言わないでちょうだい!!そんなの私の目指すアウトローじゃないわ!!」
「………」
「待ってて、今氷嚢をーー」
ガララッ
「アンタたち、何してるの…?」
開いた扉の先。水族館に行ったはずのアビドス生と先生は絶句する。浅く咳を繰り返し、無敵とさえ思えた彼が目の前で倒れ伏し、その周りを他校の生徒が囲っている。
ガチャチャチャッ!
「動くな!動けば撃つ!!」
ホシノの声は荒れ、部屋の中の空気が一気に氷点下の如く冷たくなり、シロコとセリカも銃をアルとカヨコに向ける。
「ちょっ、待ってちょうだい!」
「何がどう違うのよ!早く先輩から離れなさい!!」
「悪いけど、加減は出来ない…!」
パァンッ!!
大きな柏手を打った先生は冷静に、柔らかい口調で皆を宥める。
[はいストップ。落ち着いて皆、銃を下ろして]
「せんせっーー」
[二人とも無抵抗だ、銃も持ってない。まずは、君達が誰で、何をしていたのか、事情を聞かせてほしい]
「え、えぇ…」
ーーー
ハルカとムツキも呼んで事情を説明し、両者の誤解は解け、納得を得ることになる。
「便利屋…そうだったんだ…ごめん、突然銃を向けて」
「いえ、元々、私達は貴方達の学校を襲撃しようとしたんだもの。撃たれても文句は言えないわ」
「では…今回の件は水に流しましょう★最終的には学校のお掃除もしてもらっちゃいましたし〜」
「その件なんだけど私達、負けて従ってるとかじゃなくて一応彼に依頼されてるの。報酬は貰わないと」
「あら〜。ハクヤ君個人の依頼となると、私達が立て替えていいものではないですね」
「えぇ、確か、さっき彼の看病をしてる時、アタッシュケースが…」
アルがアタッシュケースを掴もうとすると、別室で寝かせていたハクヤは扉を開けてそれを制止する。
「あ、ダメダメ」
「ハクヤ君!身体はもう良いんですか…?」
顔色はだいぶ良くなっており、フラつきや目眩もなくなっている。
「傷や病気は寝れば治るよ、心配かけてごめんね。それより、そのお金は借金に充てるお金なんだ。返済方法が現金払いなものでね」
「あら、そうだったの。ごめんなさい」
「というわけではい、カヨコちゃん送金できてる?」
「多…あぁ、傭兵の分ね。うん、確認したよ」
「それじゃあ、契約の遂行は確認。ってことで、ありがとね皆」
少し無理をして笑っているようにも見えるハクヤだが、病み上がりという言葉で納得させる。
「にしても先輩、今回はどんな依頼だったの?ブラックマーケットの依頼ってそんなに稼げるわけ?」
「あぁ、今回は簡単な護衛依頼…」
「あれ?貴方、さっき半年前にブラックマーケット辞めたって…あっ」
アルは自らの失言に気づく。わざわざアビドス生に伝えてあるお金の出所がブラックマーケットのものだと誤魔化している彼の前で、そのお金の出所が別だと知らせてしまったのだ。
「ハクヤ、どういうこと?」
「…社長、私達は出ていこう」
「え、えぇ。ごめんなさい。失礼するわね…」
アヤネは二人を見送るが、依然としてピリピリとした空気感が部屋を包む。
シロコの言葉にアビドス生は一斉に目を向ける。隠し切れる雰囲気ではないと察したハクヤは真実を交えた嘘を吐く。
「あー、まぁ、うん。ブラックマーケット由来では…無いね…。あぁでも、そんなに危ないことはしてないよ、ホントに。金持ちの専属なんでも屋みたいなものだから、マジで」
「たまにボロボロなのとか、よく寝落ちしてるのとかも…全部?」
アヤネとセリカはハクヤのその姿を見かける機会が多く、心当たりがあるため、改めて言葉にしたことで不安が助長されていく。
「…八割くらいは。残りはちまちまとした依頼かな」
「そう…ねぇ、ハクヤ。今、私と約束して。今後その人からの依頼は全部断って」
「ホシノちゃん」
「先輩」
「…ホシノ先輩。自分で言うのもなんだけどさ、今の借金返済の額は殆ど俺が担ってるんだよ?今の借金…俺がもっと頑張れば、100余年で完済出来るくらいにはね」
「その為に、身体を壊す後輩をみて見ぬふりしろって?」
「そういうこと。心配ないさ、俺はあと200年は生きるつもりだから」
「ふざけないで…!真面目に答えてハクヤ」
「大真面目さ。6人で途方もない借金に苦しむくらいなら、俺1人がちょっと頑張りゃいいって話だって言ってんの」
「ちょっと二人とも…落ち着いて…!」
[ハクヤ、その考えは聞き流せない。君は冷静じゃない]
「何言ってんの、俺は冷静だよ先生、セリカ。それよりこの分からず屋を説得してほしいね。合法的に借金を返す最短の方法をやめろってんだからさぁ…」
段々と苛立ちを隠せなくなってきたハクヤは、先程までの軽薄さが薄れ、言葉を聞く余裕をなくしていく。体調がすぐれないことも要因だろうが、ヘイローもビリビリとノイズ混じりに心が不安定な状態なのが分かる。
バンッ!!
「だからって!!私にまた大切な人を失うかもしれない恐怖に怯えろって!?」
「そうならねぇように強くなったんでしょうが、アンタに負けないくらいに!!」
「人が死ぬ要因は戦うことだけじゃないんだよハクヤ!!!」
強く机を叩いたホシノの声と圧に対策委員と先生声が出せなくなる程怯んでしまうが、譲れない思いがあるハクヤも立ち上がってホシノに圧を飛ばす。
「……やめだ。時間を置こう、ホシノ先輩。お互い冷静じゃない。ごめんね皆」
「…そうだね、ごめん皆。怖がらせちゃって」
ハクヤは静かに退室し、静寂が教室を覆う。先生の視線に気付いたホシノは、席について静かに語りだす。
[ホシノ…]
「…ハクヤはさ、幼馴染なんだ。一個下の、可愛い後輩。あ、勿論、皆もそうだけどね」
「そう…だったんですか」
「あの子も私も、互いに昔の姿を知ってる。だからかな…ハクヤは自分を大切にしないんだ」
「心当たりは…あるわね…」
「それでね、昔の約束を、多分律儀に守ってるんだと思う」
[約束…]
「そう。"アビドスを護ってみせる"…ってさ。私より弱い、私がいつも護ってた中学生の時のあの子がそう言ったんだ。嬉しかったし…変わったことが少し悲しくもあった」
先生はハクヤとの会話を思い出す。
ーー皆に、"アビドス"に笑って欲しいーー
聞き間違えか言い間違えかと思ったあの時の言葉は、しっかり言葉の通りだった。
ハクヤにとっては、対策委員会の皆こそが"アビドス"なのだと、先生はハッキリと確信する。
[…皆ごめん。私、ハクヤのとこに行ってくるよ]
「先生、私も行きます」
「私も!」
「私もいきます!」
「ん。当然、私も」
「先生…私も、行っていいかな」
[勿論!皆で探しに行こう。ホシノ、こういう時、彼が行きそうな場所は分かる?]
「…多分、分かると思う」
委員会一行は日も暮れかけの黄昏を背にして大切な仲間を迎えに行く。
ーーー
ズーン…
ハクヤは沈みかける太陽に背を向けて木の陰で足を揃えてウジウジと座りこんでいた。
「あぁ…もうキノコになりたい…むしろ雑草に…いや生命なんておこがましい、いっそ大気を舞うチリに…」
「やっぱりここにいた。お昼寝するのにいい場所だもんね」
「あぁ…ホシノ先輩のーー」
「ちゃん」
「…ホシノちゃんの幻聴まで聞こえる…」
[酷いねこれは…]
「わ〜…これは…酷いですね★」
「ん。こんなに落ち込んだうじうじハクヤは初めて見た」
「先輩って意外とメンタル弱いわよね」
「なんだかじめっとしてる…」
言いたい放題な委員達の言葉で、ハクヤはさらに頭を深く木にめり込ませる。
「…ごめんね、ハクヤ。さっきはつい熱くなっちゃって」
「そんな、俺が悪いんだって…ホシノちゃんの気持ちのこと考えられなくて…」
「ううん。私達のことを思ってくれたんだって分かってる。でもね、私はハクヤがアビドス対策委員会の一員じゃないなんて考えたこと、一度もないんだよ」
「………」
「だからさ、借金や学校のことは皆で。ね?」
「ゔっ…ぅゔゔ…ボジノ"ぢゃ"ぁ"ん"っ"…」
振り向いたハクヤの顔は鼻水と涙でグチャグチャになっていた。いつもクールに荒事に対処し、余裕で隙のない彼の初めてみた姿にホシノ以外の一同は言葉を失う。
「うへっ!?ちょっと泣かないでよ!おじさんが悪いみたいじゃんか!!」
「だっ"でぇ"…ゆ"る"じでぐれるどおぼばなぐでぇ…」
[もしかして…昔のハクヤっていうの…]
「そう。凄い泣き虫なの。昔からメンタル弱いんだよねぇ。ほら、泣かない泣かない」
ホシノは号泣するハクヤを正面から子供のように宥める。ノノミも参戦してハクヤの頭を撫でながら笑う。「え〜…なんかショック…」
「あら?良いじゃないですか。隙がある方が可愛いですよ?」
「あはは…」
「ん。うじうじハクヤ。さっさと泣き止んで。私もホシノ先輩と戯れる」
「ごべぇ"ん"…」
[まぁ、これま青春…かな?兎に角、ハクヤは後で私のところに来てね、ちょっとお説教だから]
秘密や過去を共有した委員会はさらに強固な絆で結ばれた。この先、また大きな事件にぶつかることになるが、ひとまず、今日沈んだ陽は、再び黎明を待つことになった。