ガノタ、ティターンズに就職するってよ   作:SW好きのガノタ

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ジムのお時間です

 

 

「はあ!?出れない?」

 

 

俺の声がMSハンガーに響く。

何人かの整備兵が何事かとこちらを見て、直ぐに申し訳なさそうにする。

 

 

「ええ、ハイザックHWSは調整中で…」

「ええい、いつ終わるんです!」

 

 

流石に敵がすぐそこまで来ている状況で、俺一人が出れないのはマズイ。

 

 

「こっちでも急いでるんです…ただ、あと30分は…」

「クソッ!」

 

 

俺は毒づく。

 

 

「おい、クゥエルなら出せるか?」

 

 

ブルクハルトがふわりと飛んでやってくる。

俺がジム・クゥエルに…?

 

 

「俺、飛ばせませんよ…」

「大丈夫だ、ジムに乗っていたんだから慣れる筈だ」

 

 

ブルクハルトのよく分からない説明に乗せられて、俺はクゥエルの前まで飛ぶ。

デカいのは当然だが、威圧感が凄い。

 

 

「対人を主任務としているからかな?」

 

 

俺は呟いたのち、地面を蹴ってコクピットまで飛ぶ。

ハイザックの物とそれ程変わりはないコクピットに満足する。

 

 

「ヨハン、行けるか?」

「ハッ、行けます!」

 

 

ブルクハルトからの通信に頷きながら、返答する。

すぐさまコクピットに入り、電源を付ける。

 

 

「よし、いつもとそれ程は変わらんな…」

 

 

マニュアル通りにセットアップを行う。

 

 

「ヨハン中尉、いい感じです!いつでも出撃できますよ!」

 

 

整備班からも出撃準備が終了したことを告げる無線が入る。

 

 

「了解、ブルクハルト隊出るぞ!」

 

 

すぐにブルクハルトのアドバンスド・アレックスが艦から射出される。

 

 

「ヨハン、急げよ。…アレクサンダー、ハイザック・カスタム出るぞ」

 

 

アレクサンダーの声を横目に、俺もジム・クゥエルを移動させる。

 

 

「よし。ヨハン・アーレ、ジム・クゥエル出ます!」

 

 

一気にカタパルトで宙へとジム・クゥエルが射出される。

ハイザックとは違う加速に、一瞬戸惑う。

 

 

「全機、そのままの隊形を維持しつつ前に出るぞ」

 

 

ブルクハルトからの通信を聞きつつ、ゆっくりと画面を見渡す。

まだ、レーダーにも何も反応はない。

 

 

「気を付けろ、この辺りは暗礁宙域にも近い。デブリに紛れている可能性もある」

 

 

デブリ、それはここ最近の連邦軍を悩ませている問題だ。

MSといえどデブリにぶつかればただでは済まないし、ましてや輸送艦などは大変なことになる。

 

 

「全く、軍に入ってやる事がデブリの掃除かよ…俺だったら気が滅入りそうだぜ」

 

 

アレクサンダーが軽口をたたく。

とは言え、俺だって連邦軍に入ってまでデブリ除去をしたいかと言われると同じような反応だ。

 

 

「分かっていると思うが、この付近でも連邦軍は活動している。誤射に気を付けろ」

 

 

実際、連邦軍一般部隊の士気が低いのはデブリのせいでもある。

ジオンと戦えると思って入隊したら、戦うのはデブリ相手だ。

そりゃ士気も下がる筈だ。

 

 

「アレクサンダー、何か映っているか?」

 

 

ブルクハルトの問いに、アレクサンダーがすぐに答える。

 

 

「何も。見えるのはデブリだけってところです」

 

 

ちらりと暗礁宙域の方を見ると、大小さまざまなデブリが浮かんでいた。

ゲルググの残骸に、ジムの足。それに何の部品かも分からないほどにボロボロの物。

一年戦争の亡霊たちが新たな仲間を誘っているようだ。

 

 

「嫌なものだな…」

 

 

亡霊たちがこちらを包囲しているかのような錯覚に陥りそうになる。

 

 

「…所属不明機を捕捉!距離500、暗礁地帯から来る!」

 

 

すぐさまジム・クゥエルのカメラを望遠にして相手を確認する。

成程、ゲルググLsか…

既に相手はやる気のようだ。

 

 

「ゲルググLの指揮官機仕様か。ヨハン、距離を取って戦うぞ」

 

 

一気にスラスターを吹かしてゲルググから距離を取る。

ゲルググも一気に距離を詰めてくるが、そこにアレクサンダーの狙撃が撃ちこまれる。

 

 

「敵機、一機だけか?」

「…そのようですが」

 

 

よっぽど腕に自信がある奴なのか?

思わず敵機を凝視する。

 

 

「何か変だ…グロワール、捕捉した敵艦はチベだったな?」

「こちらが捕捉したのはチベで間違いない」

 

 

ブルクハルトが黙り込む。

 

 

「何処かに伏兵が居る可能性がある。グロワール、警戒を頼む」

「了解」

 

 

短いやり取りを終え、再度目の前のゲルググを相手取る。

ゲルググLsは近接戦闘に特化した機体だ。

逆に言えば距離を保ちつつ戦闘をすれば安全だ。

 

 

「来るぞ」

 

 

ブルクハルトの言葉を聞いたと同時に俺たちは散開する。

ゲルググの物とは思えないほどのスピードで突っ込む敵機を避けながら、ビームライフルを連射する。

 

 

「やる…!」

 

 

ゲルググは僅かにバーニアを吹かしてビームを回避すると、一気に加速する。

まるで戦場から離脱するような形だ。

 

 

「どこに行く気だ?」

 

 

俺たちが呆気に取られていると、ブルクハルトが叫んだ。

 

 

「お前たち、急げ!あいつが向かう先には…」

 

 

俺もハッとした。

ここからそれ程遠くないところに一つ、コロニーがある。

 

 

「グロワール!付近の連邦軍にコロニーの警備を厳となすように伝えてくれ!」

「了解した!」

 

 

クルーからの応答を待たずに、俺たちはゲルググの後を追う。

 

 

「あれか…」

 

 

程なくして宙にポツンと浮かぶ、人工物が姿を現した。

旧サイド4、10バンチだ。

 

 

「一歩遅かったか…!」

 

 

ブルクハルトの悔しそうな声が聞こえる。

ちょうどゲルググがコロニーの中へと侵入するところだ。

 

 

「今撃てば…いや、無理か」

 

 

流石にコロニーに傷をつけるかもしれない行為は許されない。

だが、ここでみすみす逃す訳にもいかない。

 

 

「アレクサンダーはグロワールに戻れ。ヨハン、行くぞ」

 

 

コロニーからの正式な救援要請は届いていない。

とは言え、ジオン残党が侵入したのだ。

ティターンズが"治安維持"活動をするには十分な名目がある。

 

 

「こちらティターンズ第一遊撃艦隊所属、フォン・ブルクハルトだ。治安維持の為、立ち入らせてもらう」

「え、は、はい?」

 

 

コロニーの離発着ステーションの担当者たちが慌てているのが分かる。

だが、ここで押し問答をする気はない。

 

 

「10バンチにジオン残党のMSが侵入した。直ちに内部に入る必要がある」

「しかし…」

 

 

いくらティターンズといっても無茶はできない。

唇を噛みながら、ブルクハルトが説得するのを聞く。

 

 

「今のところジオンのMSは…待て、何の音だ?」

 

 

突然、無線が混乱する。

 

 

「ゲルググだと…ティターンズ、助けてくれ!」

 

 

担当者の悲鳴が俺の耳に入る。

 

 

「当然だ」

 

 

短くブルクハルトが答え、10バンチの中に機体を進める。

ビル群が立ち並び、少し拡大すれば街を行きかう人々が見える。

そんな日常の光景が一瞬で崩れていく。

 

 

「いた…」

 

 

 

 

ゲルググが、俺たちを待っていたー

 

 

 






どうも、SW好きのガノタです。

ジム・クゥエルを出してみましたが、本格的に動くのは次回からです…
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