「ゲルググLs、さあ行くぞ!」
俺は気合を入れて敵を睨みつける。
肌が焼けそうになる程の敵からの邪気を感じる。
「その程度…!」
邪気を振り払うようにしながら、ゆっくりとジム・クゥエルを進める。
「気を付けろ、敵が撃ってきたら攻撃開始だ」
ブルクハルトが冷静な声で指示を出す。
「了解」
短く答えて、再度ゲルググを睨む。
コロニー内での発砲は原則禁止だ。
もし誤射で外壁が壊れ、空気が漏れ出たら大変な事になる。
「とは言え、敵が撃ってきたらな…」
ジオン残党狩りという大義名分はあるが、流石に先制攻撃は非難を免れないだろう。
最悪、戦後の裁判で詰められる可能性もある。
無論、敵も分かっているようで時間だけが過ぎていく。
「ようやく市民の避難が完了したか」
ブルクハルトがコロニーの担当者からの連絡を受けて、言葉を漏らす。
確かに、ジオン残党が来た割には市民の避難のスピードは遅い。
「デラーズ紛争の恐怖すらも忘れた、という事ですかね?」
俺はコロニーの怠慢とも言える対応に思わず口が滑る。
おっといけない…
漏れ出た言葉を飲み込みながら、首を振る。
「近づくぞ」
ブルクハルトがそう言うと、アドバンスド・アレックスを一歩前に出す。
動かないなら、動かしてしまえという事だろう。
「嫌な感じだ…来るのか?」
ゲルググのモノアイが微かに光るのを見ながら、恐怖心を僅かに感じる。
これまで敵意を感じることはあっても、これ程までに邪気を感じるのは初めてだ。
「これ、外から見たらポケ戦みたいなんだろうな」
有名なポケ戦最終話のガンダムVSザクのシーンをふと思い出す。
奇しくもガンダムがアレックスというのもあるのだろう。
「ってそれじゃガンダム大破しちゃうじゃん!」
ポケ戦のラストはみんなのトラウマだよなぁ…なんて事を考えている場合ではない。
ゲルググのパイロットもエースだろう。ましてや近接最強クラスのゲルググLsだ。
「ヨハン、サーベルの出力を落としておけ。一気に行くぞ」
俺は慌ててモニターからサーベルの出力を落とす。
とりあえず50%ぐらいにすれば良いだろう。
「行くぞ」
ブルクハルトがそう言うと同時にスラスターを吹かして上昇する。
それと同時に俺もジム・クゥエルを斜め右に向かって動かす。
「全く、コロニー内戦闘のシュミレーターをやって良かった…!」
コロニー内での戦闘は繊細さが必要だ。
ZZの最初で高威力の火器を使用していないのはコロニー内での戦闘がいかに危険かを示している。
「俺だってティターンズのパイロットだ!」
60ミリバルカン砲をゲルググに対して撃ちまくりながら、サーベルをスライスするように出す。
バルカンで動きを止めて、一撃で仕留める戦法だ。
「クッ、やるッ!」
だが、ゲルググはバルカンを悠々と避けながら俺の方に向かってくる。
サーベルを横に切るように出した俺に対して、ゲルググはランサーを真っすぐ突き刺しにくる。
このままではゲルググにはサーベルの柄の部分しか当たらない。
「ヨハン、避けろ」
ブルクハルトの言葉にハッとして、左に機体を急回転させる。
次の瞬間、ゲルググのランサーの切っ先にアレックスのサーベルが当たる。
「助かりました…」
ブルクハルトに礼を言う。
「裏から狙え、それで終わりにする」
ゲルググと激しい鍔迫り合いをしながら、ブルクハルトが言う。
すかさず俺はゲルググの後ろに回り込んで、サーベルを突き立てようとする。
「お見通しかよ…」
慌てずに回避したゲルググに、思わず声が漏れる。
正直、ここから倒す方法が思いつかない。
「一旦仕切り直しか」
また、お互いに睨み合う時間が始まる。
ゲルググはランサーを、俺たちはサーベルを構えながら相手の出方を読み合う。
「コロニーの重力か…」
戦闘に全く関係ないことが口から出る。
ただ単にコロニーが回転しているのを見て、重力を思い出しただけだ。
「そういえば、ゲルググの推力でこの重力は厳しいんじゃないか…?」
一つだけ浮かんだ案を俺はブルクハルトに伝える。
このままでは決着がつかないと判断したのか、すぐにブルクハルトも乗ってくる。
「さてと、ゲルググのパイロットの実力を見せてもらおうか…!」
そう言うと、俺はジム・クゥエルを高く飛翔させる。
イカロス・ユニットなども装備していないジム・クゥエルでは滞空時間に限界がある。
ゲルググも分かっているのか何もせずにこちらを見ているだけだ。
「遅いぞ、ゲルググ」
ブルクハルトが一瞬で近づいて、ゲルググに格闘戦を挑む。
当然ゲルググがその動きに合わせて、格闘戦が始まる。
「本命はこっちだ!」
そう言いながら、スラスターを止める。
重力による落下が始まると同時に俺は一気にMSの加速させる。
「これで決める!」
俺は落下するジム・クゥエルを操りながら、ビーム・サーベルを構える。
ゲルググがアレックスの懐に入り込もうとするのが見える。
ここでアレックスがやられたら俺の作戦は失敗してしまう。
「その程度では俺はやられんよ」
呆れたようなブルクハルトの声が響く。
それと同時にブルクハルトが機体を急上昇させる。
「…開いた!」
思わずといった感じで前に倒れこむゲルググ。
俺はサーベルを刺しこむ。
「まだだ…!」
ゲルググは上手くバーニアを使いながら俺のサーベルを避ける。
だが、その動きは読めていた。
「整備班が付けてくれてよかったぜ…」
振り返ったゲルググに対して、俺は暴徒鎮圧用の散弾を放つ。
正確にはゲルググのコクピットに向かって、だ。
「脚部だけでなく、腰周りにも付けてくれるとは…魔改造に今日だけは感謝だな」
一斉に放たれた散弾がコクピットに命中する。
本来は低致死性のものだが、一点に向かって放たれた威力は相当だ。
「コクピットの中は…言うまでもないか」
フレームが崩れ、残骸が中に向かって深々と突き刺さっている。
ズームしなくても分かるほどに血が噴き出していた。
「うっ」
ゲルググのパイロットの魂のようなものを感じて、思わず嫌悪感が出てしまう。
だが、次の瞬間何か別の物を感じていた。
「だれかの…悲鳴?」
俺の声がジム・クゥエルのコクピットに広がる。
一体何なのだろうか、と俺は考えこむ。
「…こちらスルーズ隊!10バンチの影で…敵MAと交戦中!」
すぐに緊張感が戻る。
「後片づけは…しょうがない。先にスルーズ隊を助けに行くぞ」
ブルクハルトの言葉に頷いて、俺は一気にジムを上昇させる。
混沌は始まったばかりだったー
どうも、SW好きのガノタです。
ジム・クゥエル、好きなんですよね。
皆さんの好きなティターンズのMSは何ですか? よろしければ返信してください!