「なんて火力だ…」
文字通りゲルググMを溶かしたビーム・バズーカの威力に俺は恐れすら感じていた。
一発撃つとクールタイムがあるのは欠点だが、拡散モードもある為明確な弱点にならない。
「そこ!」
回り込んでビーム・ライフルを撃ってきた最後のゲルググにウインチ・キャノンを放つ。
ドムのそれとは比べ物にならない程高威力な光がゲルググの装甲を破り、藻屑へと変化させる。
「よし、次はケンプファーを相手にしてみろ!」
ブルクハルトが容赦なく次の相手をモニターに表示させる。
高機動かつ爆発的な火力を持つケンプファーを相手にするのは骨が折れるだろう。
が、
「ケンプファーは点ならこいつは面だ!」
ビーム・バズーカを拡散モードにしてケンプファーの接近を阻む。
続いて低出力に設定したウインチ・キャノンで足を持っていく。
「機動力が落ちたな!」
足が無くなってバランスを崩したケンプファーに止めの一撃を放つ。
電流を放ち、数秒間硬直したケンプファーが爆散する。
「中々やるな! 流石は俺が見込んだだけのことはある!」
ケンプファーを撃破すると同時にブルクハルトが喋りながら敵を追加する。
今度の敵は…試作2号機!?
「艦長の伝手で追加してもらったんだ!」
整備チーフのギャロが誇らしげに語る。
ていうかこれヤバイな。試作2号機は核を搭載している。
つまり自爆だ~とかされれば終わりなのだ。
「しかもMLRS持ってんじゃねえか!!」
ナンデ俺はこんな敵と戦っているんだ…
「ちぃ!厄介な!」
MLRSの斉射による面制圧が辛い。
しかもミサイルも何発かに一発はクラスター弾の様なものが入っている。
「まずはシールドから!」
ビーム・バズーカを最大出力まで上げてサイサリスへ放つ。
この攻撃の目的は撃墜ではない。簡単に言えばシールドを破壊して、核攻撃を防ぐためだ。
「…あいつ、分かって?」
ブルクハルトが訝しがる声が聞こえるが、俺は目の前のサイサリス以外の事に気が回っていない。
目論見通りにサイサリスのシールドが破壊される。
「そこだ!」
怯んで動きが止まったところにビーム・バズーカを撃ちこむ。
「その動きは"見える"んだよ!」
間一髪で回避したサイサリスの行く先を予測して、ウインチ・キャノンを放つ。
ビームが命中し、片腕を一瞬で破壊していた。
「これで終わりだ!」
ビーム・バズーカをコクピットに向けて放つ。
「まさか…!」
だが、俺が撃つのと同時にサイサリスがアトミック・バズーカを放ったのが見えた。
ギリギリで回避ー
「…できない、か」
どうやらハイザックの足に当たったらしい。本来なら多少バランスが崩れる程度のもの。
だが今回の弾は普通の物ではない。
「核弾頭の威力…凄いな」
ハイザックが一瞬で溶けていた。
代わりにサイサリスもモロに食らって相討ちのような状態だ。
「…最後のテストだ」
ブルクハルトの声がコクピットに響く。
既にシミュレーターが終わったと思っていた俺は慌てて準備する。
「いいな? それでは始めよう」
モニターに相手が映し出される。
「蒼いガンダム…!? まさか!」
思わずコクピットの中で身を乗り出してしまう。
「最後は俺が相手だ!」
ブルクハルトがそう言うと同時に動き始める。
加速性能ではアドバンスド・アレックスの方が遥かに良い。俺は一瞬で姿を見失っていた。
「そこかッ!」
アドバンスド・アレックスの速度が落ちる瞬間にビーム・バズーカを放つ。
だが、俺を嘲笑うかのように悠々とビームを避けながらブルクハルトがライフルを撃ってくる。
「ハイザックで仕留めるには…一発で決めるしかない!」
俺はハイザックの増加ブースターを点火して、一気にアレックスとの距離を詰める。
アレックスにどんな改造が施されているのか知らないが、近接戦闘に強いのはポケ戦で実証済みだ。
「近接には弾幕を!」
そのままMSの近接戦ー
即ちバルカンとサーベル、そしてMSの質量で戦うという戦闘に突入するように見せかける。
「乗ったな!」
だが、俺はハナから近接戦を仕掛けるつもりはない。
そもそもこの改造ハイザックは出力が高すぎる。もし、サーベルの鍔迫り合いになったら…
ベテランのブルクハルトの事だ。適度に出力を絞ってハイザックを転ばせることも出来るだろう。
「堕ちたな!…ん?」
お互いがすれ違うタイミングでビーム・バズーカを確実に直撃させた俺は勝利を確信していた。
が、現実は違った。
「I・フィールド!? それは反則だろ!」
MAでもないアレックスにどういう原理でI・フィールドを載せたのかは分からないが…
そういえばTR計画機だとシールド・ブースターにくっつけてたっけ?
そんな事を考えて現実逃避を図る俺を許さないとばかりにアレックスの猛攻が始まる。
「ええい。機体が重すぎる!」
あらゆる戦闘スタイルに対応できるアレックスに対して俺のハイザックは一撃必殺を基本とする。
つまり、この距離での戦闘は本来ハイザックが苦手とする距離での戦闘だ。
「うわっ!」
油断した隙をつかれて片足を持っていかれる。
何とか追撃をバルカン砲で躱しながら距離を取る。
「ブルクハルト…これで決着をつけるぞ!」
俺は叫びながらアレックスに向かって全力で飛ばす。
アレックスがビーム・ライフルを撃つのが見えるが、改造ハイザックの速さに対応できていない。
俺は衝撃に備え、目を瞑った。
「クッ!」
疑似的に動くコクピットがしたたかな衝撃をシートに伝える。
アレックスもハイザックと正面衝突して、姿勢を制御できていない。
俺は生き残っている腕を動かしてビーム・バズーカを叩き込もうとする。
「撃墜判定…」
だが、俺が引き金を引く瞬間にアレックスがサーベルをコクピットに刺した。
ゆっくりとスコアやリプレイ映像がモニターに表示される。
「おーい、一回休憩にしよう!」
ギャロの声が無線から聞こえる。
しかし、俺の頭の中は悔しさと高揚感で埋め尽くされ、何も理解できなかった。
「おい、ヨハン。…いい操縦だったぞ」
コクピットが開放され、頭を上げるとブルクハルトが目の前で待っていた。
この人と戦えた…!
シミュレーターの中とはいえ、ガンダム世界のエースと互角に戦えた事に俺は感動して泣きそうになっている。
「一回休もう。そう気を張ることもない」
ブルクハルトの言葉に素直にうなずき、休憩室に行こうとハイザックから出る。
その瞬間ー
「総員第一戦闘配置、繰り返す総員第一戦闘配置」
近くのクルーがざわめきだす。
実戦だ…! 俺は素早くブルクハルトとアイコンタクトを取ると、ハイザックへ戻る。
「補給は完了している!」
ギャロの言葉に頷き、コクピットに入る。
さあ、生き延びてやる…
俺は緊張と興奮、僅かに湧く黒い感情を感じながら宇宙を睨みつけたのだったー
どうも、SW好きのガノタと申します。
シュミレーターっていいですよね。
筆者は所謂RTS系の戦場ゲーが好きです。
評価・感想くれると嬉しいです。