ガノタ、ティターンズに就職するってよ   作:SW好きのガノタ

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視線の交差

 

 

「くっ…!」

 

 

サイラスの攻撃が苛烈さを増す。

俺はサイラスから放たれるビームを避けつつ、引いて体勢を整えようとする。

 

 

「そうはさせない!」

 

 

だが、俺の動きを見越したように移動した場所にビームが叩き込まれる。

やはり強化人間か…!

俺はサイラスの動きに舌を巻きながら、必死にハイザックを動かす。

 

 

「一回これで止まれ!」

 

 

サイラスが猛スピードで移動しているせいで相手のMSの判別すらできていない。

俺は一度攻撃を止める為にビーム・ライフルで近くの残骸を撃つ。

 

 

「嘘だろ…」

 

 

サイラスは残骸の爆発を最初から知っていたかのように悠々と避ける。

それでも爆発させた意味はあった。

 

 

「アッシマーかよ!」

 

 

俺の視界を遮るようにMA形態からMS形態へ移行した機体に思わず声が漏れる。

アッシマーの機動力とサイラスのスキルが合わさればかなりの強敵となる。

 

 

「墜ちろ!」

 

 

サイラスがビームを放つのと同時に回避行動に入りつつ、俺もウインチ・キャノンを撃つ。

 

 

「うっ…!」

 

 

衝撃を感じてモニターを見れば、片足が破壊された判定となっていた。

対してサイラスが搭乗するアッシマーは無傷だ。

パイロットとしての技量の差を見せつけられた俺は思わず唇を噛む。

 

 

「その程度じゃ…ないだろ! 俺!」

 

 

必死に自分を奮い立たせて、画面を睨む。

とは言え、俺もサイラスの動きがある程度見えるようになってきていたのは事実だ。

 

 

「そこっ!」

「うんッ!?」

 

 

サイラスの驚く声が聞こえる。

続けてビーム・バズーカでアッシマーの動きを一瞬だけ止める。

 

 

「アッシマーの弱さが出たな!」

 

 

俺が放ったビーム・ライフルの光はアッシマーではなく、残骸を貫く。

本来ならアッシマーにとって何の問題もない爆発。

 

 

「しまった…!」

 

 

だが、サイラスはアッシマーを再度MS形態へと変形させている最中だった。

爆発の衝撃と残骸の破片がアッシマーのフレームを叩く。

太いフレームの何本かが接触して、折れたのが見える。

 

 

「アッシマーは変形中が唯一の弱点ってね!」

 

 

Z本編でも変形の最中に攻撃され、撤退を余儀なくされていたシーンがある。

既にアッシマーは動けない状態だ。

 

 

「これで…」

 

 

そう言った次の瞬間、アッシマーが動き出す。

それも超高速で。

 

 

「何をしている?! その動きはアッシマーでも耐えられんぞ!」

 

 

思わず俺は怒鳴ってしまう。

 

 

「それでも…!」

 

 

冷え切った声と共に、サイラスがビーム・ライフルを放つ。

それと同時に俺もトリガーを強く押し込めた。

 

 

「相討ち…か」

 

 

画面には破壊されたアッシマーとハイザックが並んで映っている。

 

 

「ヨハン…中尉」

 

 

サイラスが微笑んでシミュレーターから出てくる。

俺もサイラスの操縦技術を褒めようと彼の顔を見た。

 

 

「…ッ!」

 

 

だが、彼の目を見た瞬間に俺は嫌悪感と忌避感を感じてしまった。

例えるなら、底が見えないほど深い海の中で泥の中に沈んでいるような目。

 

 

「どうしました?」

 

 

サイラスは俺の感情に気が付いてはいないようだ。

 

 

「なあ…サイラスはどこ"出身"なんだ?」

 

 

息を吞む音が俺の鼓膜を震わせる。

 

 

「僕ですか…? "一応"オーストラリア出身らしいですけど」

 

 

普通なら気に留めない回答。

だが、俺はサイラスの言葉に過剰なほど反応していた。

 

 

「一応? サイラス、君は…」

「おっと。これ以上ここで話すのは危ないですよ!」

 

 

サイラスがそう言った瞬間、部屋に第2小隊の連中が入ってくる。

確かに彼が言う通り、ここで騒げば面倒なことになるだろう。

 

 

「…なのでデッキで話しませんか?」

 

 

俺も異論はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<新サイド6・ムーア近海 マゼラン改級戦艦"ラ・グロワール"MSデッキ付近>

 

 

 

 

「それで? 僕の出身地が分かったとか?」

 

 

サイラスが笑みを絶やさずに俺に質問してくる。

この笑みの下にある何かの正体ーそれを解き明かすことに俺は執着していた。

 

 

「ああ。…サイラス、君はニュータイプ研究所に居たんじゃないか?」

 

 

少しの沈黙。

離れた所ではメカニックたちが使う機械の音が響いている。

 

 

「…なぜ? 何故そう思うんです?」

「否定はしないんだな?」

 

 

理由を求めてくるサイラスの声を無視して話を続ける。

 

 

「ニュータイプ研究所出身者…いや強化人間とでも呼べばいいか?」

「他人の心に入ってくるのは…嫌われますよ」

 

 

サイラスが何かを言いたげな眼でこちらを見てくる。

 

 

「アッシマーの機体限界ギリギリを攻める操縦技術…そしてあの"プレッシャー"…」

 

 

元々アッシマーは比較的頑丈な機体ではある。

ただ、サイラスほど限界性能に近いところまで引っ張り出せるパイロットはいないだろう。

 

 

「へぇ…"プレッシャー"、感じるんですね」

 

 

サイラスがやや意外そうにこちらを見る。

俺だってビックリだった。こんなニュータイプじみた行為ができるなんて…

 

 

「ええ…そうですよ。 僕はニュータイプ研究所出身です」

 

 

あっけらかんと秘密を明かしたサイラスに俺は驚く。

もうちょっと勿体ぶるかと思ったんだがな。

 

 

「それで? 失望しました?それとも…」

 

 

サイラスの声がまた冷たくなる。

俺が次の言葉を発しようとした瞬間、アナウンスが入った。

 

 

「第1小隊は直ちにMSデッキに集合せよ」

 

 

俺とサイラスは顔を見合わせる。

思い違いでなければ作戦開始はまだ先のはずだ。

 

 

「…とりあえず向かいましょう?」

 

 

サイラスの言葉に曖昧に頷きつつ、俺のハイザックに向かう。

 

 

「お前たち、準備しておけ!」

 

 

ハイザックの近くでブルクハルトが待っていた。

 

 

「何があったんです!?」

「恐らく作戦が始まっている…!」

 

 

ブルクハルトもイマイチ状況をつかめていない様子だ。

その時、ヘルメットの中に艦長の声が響く。

 

 

「スノトラ作戦が発令されている。第1小隊は出撃に備えておけ」

 

 

スノトラ作戦とはティターンズが立案した12バンチに立て籠るジオン残党掃討作戦だ。

本来ならあと2時間ほどは猶予があった筈だが、前倒しになったらしい。

 

 

「本艦は旧12バンチから出てきたところを叩く。激しい戦闘が予想されるから備えろ」

 

 

ここは事前の作戦通りだ。

ティターンズのムーア小艦隊の主力が12バンチに奇襲を仕掛ける。

慌てて出港した残党どもを俺たちラ・グロワール部隊が待ち構え挟み撃ちにする。

 

 

「了解」

 

 

ブルクハルトが短く答え、アドバンスド・アレックスに搭乗しようとする。

だが、少し間をおいて、艦長が最後の言葉を放つ。

 

 

「それと新たに3隻の艦が加わる」

 

 

俺もブルクハルトもハッとして動きを止める。

 

 

「合流し次第、我々はティターンズ第一遊撃艦隊と改称される」

 

 

 

 

 

 

 

遊撃部隊ということは今まで以上にエゥーゴとの戦闘も増えるだろう。

俺は新たな戦いの予感を感じながら、暗い宙を眺めたのであったー

 

 





どうも、SW好きのガノタと申します。


更新遅れて申し訳ありません。。。
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