こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ! 作:山崎春のご飯まつり
かなりかかった。多分次の投稿まで少し遅れます
トロスト区に出てしばらく、既に巨人の方が優勢に見える。というかそうとしか見えない。
知り合いもそうでない人も食われる姿を見てしまい、少し気持ち悪くなってしまう。
訓練兵時代は極力生存する人物としか接して来なかったが、人が食われる姿は誰であってもトラウマの対象に成りうるというのが分かる。
「大丈夫かセラス?」
コニーが肩に手を置いて呼んでくる。…訓練時代はガスが無くならなければ死ぬ可能性は少なかったが今は違う、ガスを消費する前に死ぬ可能性があることに恐怖を感じる。
「…何とか」
深く考えるのは止めよう、さっきの討伐も正直あまり考えてなかった。深い思考はその場の判断を鈍らせるに違いない。切り替えて戦場に集中する
「ユミルが偵察で様子を見てるらしい、合流しよう」
「様子はどう?」
2人と一緒にユミルと合流する。
「様子も何も、見なくても分かるだろ…戦況は最悪だ。恐らく前衛部隊は全滅、今も尚入ってくる巨人。どうしようもねぇよ」
「そ、そんな…」
悲観的な顔で前衛方向を見つめるクリスタ。その時コニーが突如声を張り上げる。
「お、おい!あれを見ろ!巨人が3匹近づいて来るぞ!」
2体ならまだしも…3体は流石にきつい、どう割振る?2.2で分断して俺の方で2体対処するか?いや、現状のユミルとクリスタは実戦経験なし、コニーがさっき巨人と接触したことを加味すると…
「…2体は俺が引き付けてやる、3人で残り1体をやってほしい」
「っ!さっきも言ったが無茶苦茶すぎるんだよお前は!本来なら巨人1匹に3.4人体制で狩るのが普通なんだよ!」
「どの道1体倒したくても残り2体が気づく、なら3体倒す想定でやるのが最善だ。さっきも単独で倒せた実績がある、1体は頼んだ」
あの3人なら行けるだろう、確証はないが誰かが欠ける可能性は低いだろう。なるべく消費しないようにガスを吹き、通常より遅いスピードで目標の巨人に近づく。
「おい!ったく…あいつを信じるしかない、2人とも行くぞ!」
「仕切るんじゃねぇよチビ、行くぞクリスタ」
「……うん」
ちょうど2体の巨人がこちらに気づいた、あの3人から遠ざけるように誘き寄せる。走る系統のようで追いつかれ、大きい手がすぐそこに来る。
片方のガスだけ噴射して体を回転させ、その勢いで親指以外の指を切断する。直後一瞬だけガスを下向きに大量に吹かして巨人の腕に着地する。顔目掛けて腕を辿って走り、両目に斬撃を入れる。
『ウヴォォォ!』
即座に離れ、巨人が自身の目を押さえてるうちにうなじに向かい削ぐ。
「フッ!」
絶命し体が傾く巨人から降りて屋根に着地する。途端、俺のいる付近のレンガに影が付く。瞬時に横に転がると、元いた場所に大きな手が刺さっていた。
「…あっぶな」
刺さってる手に飛び乗り腕へと伝って右目を切る。
『アアァァ”ァ”ァ”!』
失明させてる方から回ってうなじを削ぐ。
「…はぁぁ」
詰まった息を吐く。流石に焦った、もし横に回避してなかったと思うと鳥肌が立つ。
息を整えて3人の様子を見ると、ユミルがうなじから屋根を飛び移るのが見えた。どうやらユミルがトドメを刺したようだ。
立体機動を使わず、屋根を飛び移って3人と合流する
「そっちは怪我ない?」
「お前こそ大丈夫だったか!?さっきそっちからデカい音が聞こえたぞ!」
どうやら聞こえていたようだった。事情を説明すると、理解してくれて胸を撫で下ろす仕草をした。
「安心は終わってからにしろよチビ」
ユミルが顔に飛んだ血を手で拭いながら話に入ってくる。クリスタもその言葉に呼応する。
「そうだね…みんなで生き残らなくちゃ」
その後は中衛部隊の巨人掃討に参加したり、負傷者の護送だったりをして支援をした。
しばらく経った時、遠くないところから叫び声が聞こえる。
『あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁ!』
「この声は!アルミン!?」
「あっちの方向からだぞ!」
…間に合うか?恐らくあの班の奴らはアルミンの声が響いてからの間に食われるはず…いや、考える暇は無い
「っ…!先に行く!」
「おい!…あいつまた1人で行きやがった!俺達もアルミンの所に向かうぞ!」
「だからお前が仕切るなって…まぁいい」
「……………」
ガスを飛ばして最高速で声の発生源に向かう。途中に遭遇した巨人はすれ違いざまに目を切って撒いていく。
近くに着いて周囲を見渡すと、叫び声が聞こえる
「いやあぁぁぁぁ!」
「…っ、ここか!」
声を辿って角を曲がると、大泣きしてるミーナが巨人に持ち上げられて噛まれる寸前の所を見つける。
あの巨人はミーナに意識が向いてるらしく、俺に気づいていない。アンカーを巨人のうなじの奥の建物に刺し、すれ違いざまにうなじを削ぐ。
「ハッ!」
巨人が倒れ始め、ミーナは掴まれていた手の力が弱まり、落下し始める。すかさず体を翻しミーナをキャッチして屋根に着地する。
「大丈夫?」
「……ぁ…」
自分が助けられた事に気づいたのか、顔を上げて大粒の涙を流しながら言葉を連ねる。
「…うっ…わたしっ…たすかったの…?いき…て…る…?」
「あぁ、生きてるよ」
俺の言葉に安心したのか、ボソボソと小声で心の内を話す。
「…わたしっ、あのまま1人で死んじゃうって思って…寂しくて…怖く…てっ…」
ミーナが服を掴んで顔を胸に埋める。
「だから…ありがとうっ…セラス…!」
背中を撫でて落ち着かせる。……彼女の死が誰かもしくは何かのターニングポイントにはなっていないはず…強いて言うならばアニ自身のもつ罪悪感を増やしただけだろう、それぐらい俺が補填すればいいだけだ。
道のりは遠い、アニやライナーには嫌な思いをさせてしまうかもしれないが…最終的に笑いが増えることに注力するだけだ。とりあえず今は巨人が少ないところに連れていこう。
「ミーナ、立てる?」
立つよう促すが、足を見ると震えている。
「ご、ごめんセラス…さっきので腰抜けちゃって…ひゃっ!」
動けないミーナを横抱きにして皆と合流する。周りを見ると巨人との距離が近くなっている気がする、ここに居続けるのは危ないな。
「抱きつく感じでなるべく密着してほしい、空気抵抗を減らしてガス消費を極力抑えたい」
「う、うん…よろしく…」
好きでもない異性と密着する所業をさせて申し訳ないが、この世界が悪いということで。とにかく屋根移りの割合を増やしてガスを温存しながらアルミン達のいるところを目指すか。
…アルミンたちを見つけた、全貌を見渡せる高台に行ったのは正解だった。周囲の巨人の数を加味して、いないルートから合流する。
到着し、ミーナを降ろしてるとコニーが駆け寄って来る。
「セラス!無事だったか!」
「あぁ、ユミルとクリスタは?」
周囲を見渡すと2人が居ないため行方を聞くと、
「あいつらなら後衛からの物資援助の申請をしに行ったぜ。…見つかったのはミーナだけか?」
「あぁ、ミーナを見つけたのも叫び声で気づいてどうにか。」
「…そうか、お前とミーナが生きてくれて良かったぜ」
コニーが悲痛な表情で俺の話を聞いていた、仕方がないと割り切りジャンのところへ移動する。
「ジャン…」
座って俯いてる顔をこちらに向けて言う。
「あぁセラスか…生きてたんだな…」
「…状況は?」
「…あれを見ろ」
ゆっくり奥の建物を指さす、補給拠点のようだ。人が入ってるようで多くの巨人が包囲している。
「撤退命令が出たっていうのにガス切れで壁を登れねぇ、そんで死ぬんだろうな全員…あの腰抜け共のせいで…」
手を顔に当て、絶望な表情で拠点の方を見る。
「気持ちは分かるけどよ…俺たちへの補給任務を放棄して本部に籠城はねぇだろ…!案の定巨人が集まって補給するどころか近づけねぇよ…」
ミカサはまだだろうか、そろそろ来る頃だと思うが…そう考えてるとライナー達が近づいて来た。
「お前ら、無事だったか」
「ライナー、そっちは大丈夫だったの?」
「いや、俺ら3人以外全滅だ」
わかっていたことだが流石に優秀だ。ライナーは少し焦っているようだが他の2人は余裕があるように見える。感心してるとアニがライナーの後ろから出てきて近づいてくる。
「アンタ、頬が切れて血出てるよ。…拭うからじっとしてな」
ポッケから綺麗なハンカチを取り出し、俺の頬に当てる。そういやこのハンカチって…
「前に街で買ったやつ。使ってくれてるんだ、ありがとう」
「…別に、あったから使っただけだよ…」
そっぽを向きながら頬を流れる血をハンカチに吸わせる。なんかベルトルトがすごい顔でこっち見てるし、ライナーも珍しく慌てているし。
「ァ、アニ……」
「お、おいベルトルト…今はそんなこと考える場合じゃあないぞ、しっかりしろ」
今まで冷静だったベルトルトが焦る。そういやアニメでアニのことをゲスミンに言われた時に動揺を隠せてなかったな…使えるかもしれない、記憶の片隅に入れておこう。あ、どうやら拭い終わったらしい。
「不本意とはいえ折角のハンカチを血濡れにしてしまったのは申し訳ない」
アニ自身に使って欲しかったので、俺に使わせてしまったことに罪悪感が湧いてくる。
「…いいよ、私が勝手にやった事だし。それに…アンタの血だったら別に……」
あ、ミカサが来た。
「…アニ!セラス!何となく状況はわかってる、その上で私情を挟んで申し訳ないけど…エレンの班を見かけなかった?」
「私は見なかったけど」
「…アルミンがあっちにいる、同じ班の人に聞いた方が早いだろう」
アルミンがいる方向に指をさしてそっちに行くよう促す。
「…っ!ありがとう」
指した方角に走って行き、彼と何かを話しているとアルミンは自分の班の戦死した名前を自暴自棄になってるように告げる。
もちろんその中にエレン・イェーガーの名前もいた。
告げられた名前にその者を知る者は驚き、犬猿の仲であるジャンですら目を丸くしていた。
ミカサの顔には一瞬の曇りが映るが口を噤んで虚ろな目でアルミンを立たせる。マルコの所に行って何かを聞いて、その後持っている刃を空に挙げて周囲に聞こえるように普段聞かない大声で言う。
「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い!」
「…ので私はあそこの巨人共を蹴散らすことができる…例え1人でも」
振り上げた刃の先端を他の同期に向け、言う。
「あなた達は…腕が立たないばかりか…臆病で腰抜けだ…とても残念だ。ここで指をくわえたりしてればいい…くわえて見てろ」
「無茶だミカサ!例えお前でも1人じゃできっこない!」
他のモブ同期が言う。その言葉にミカサは当然かのように反論する
「できなければ死ぬだけだ、戦わなければ勝てない。」
そう言って1人屋根を走って補給拠点に向かってしまう。
……名シーンなんだろうけど、目の前で聞くと語彙力の無さをゴリ押しで通しててシリアス感が抜けてしまう、やはりアッカーマンは脳筋を得意とする一族…関わらんとこ。
「残念なのはお前の言語力…あれで発破かけたつもりでいやがる…」
………………えっ、本気で思ってんの?好きな女性だからいい方向に捉えてる訳じゃなくて?
ジャンも直後に発破をかけ向かい始め、それに続くように他の上位陣も駆け出す。
一方、気を取り直して俺は……ガスのメーターを見て眉を顰める。ガスの残りは四分の一以下、さっき急ぎすぎてガスに気を回してなかった。
おそらくここが現状の危険度大のイベントだ。ガスがないのも合わせると生存は絶望的と予想される。
「………まじかぁ」
頭を抱えながら次々と向かっていく同期を見送る。……行くか。
一か八かにかけて覚悟を決めて立ち上がり一歩を踏み出すと、後ろから上着を引っ張られる。振り返ると引っ張った正体はミーナのようだ。
「…セラス、もし自意識過剰じゃなければだけど、そのガスの半分くらい私のために使ったよね?」
俺の立体機動のガスメーターを見つめている。盗み見は悪いぞ?なるべく悟られないように努める。
「いや、違うz「嘘よ」なぜそこまで食い気味に…」
「もう3年の仲よ?セラスったらいつも少し眉を下げるんだから」
随分と周りを見ている。クリスタのことを褒めていたが、ミーナもなかなか見ているようだ。
「巨人に食われるのは嫌。けどね、私のせいで誰かが巨人に食われるのはもっと嫌」
ミーナが自身のガスボンベを取り出しこちらに渡して来る。
「私のガスと交換して。私のは半分は残ってるはずだから消耗癖のあるセラスでもどうにか辿り着くと思うの」
「………ミーナはどうするんだ」
「私?私はセラスを待つよ。貴方ならきっと、私を助けに戻ってきてくれるって信じてるから」
「ははっ…信頼が重いな」
苦笑いしながら受けた言葉を飲み込む。するとミーナは小悪魔のような笑みでこちらに笑いかける
「あら?重い女は苦手?」
「いや、割とイける」
和んだ雰囲気が一変し、信頼の目でこちらを見ながら言葉を繋ぐ。
「信じてるから」
「…任せてくれ、絶対助けに来る」
貰ったガスを付け、代わりに俺の残り少ないガスを渡して後続に続くように走り出す。
後ろを振り返ると少しづつ小さくなっていくミーナが今も尚こちらを見ている。その事に安心し、ジャン達に追いつくためにガスを吹かす。
…これで死ねなくなった、恨むぞミーナ。是が非でも生き延びてやるからな。
次回はもうちょっと長くできるように頑張りたい。
評価、感想待ってます。
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