こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ!   作:山崎春のご飯まつり

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色が付きました。

ありがとうございます。完結できるよう頑張ります


トロスト区奪還作戦
12、


 

あの後キッツ率いる駐屯兵の集団に厄介払いされ仕方なく街のベンチでコニーと座って話していた。

 

「俺達この後どうなるんだろうな」

 

コニーのぼやきを聞き流しながら街にいる兵士に目を向ける。素人の俺でも奴らの心理は分かる。ただ一つ、恐怖の感情がほとんどを占めてる顔だった。

 

「生き残れっかなぁぁ」

 

今朝の巨人に遭遇した時の焦りや恐怖は既に鳴りを潜め、今ではこの忙しい状況にため息混じりの些細な不安が漏れてしまう。というか昼に巨人と遭遇すぎなんだよ、アイツらは空腹だろうが俺らは満腹なんだよ。

 

この後に行われるトロスト区奪還作戦を考えると、より気が滅入る。さっきエレンを護送してた時に味わった鼻を貫く死臭で最悪だった。あそこにまた戻ると考えるだけで頭痛が痛い。

 

この後おそらくある招集まで時間があるだろうし少し歩こう。机に突っ伏してる丸刈りを前に立ち上がって街の中を散歩する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行き場を失った両手はとりあえずポッケに入れて人気のない所で一息つく。

 

「はぁぁぁぁぁ」

 

これが終わったら何始まるんだっけ?ガキの頃に貰ったメモ帳に書いたはずと、胸ポケにあったメモを開いて見る。えーっと、あ、そうだそうだ壁外調査だ思い出した。まぁそこは女型に遭遇しなけれ…ば……、、リヴァイ班救えないンゴね…。そこは未来の自分に任せるか。

 

今日の戦場で巨人と対峙することが多かったからか、神経がすごく過敏になってしまい後ろからの駆け足に気づいて振り向く。そこには下ろされた金髪が靡いている美少女がいた。微かな笑みをしているが普段より目を開いておらず、何事にも無関心な顔をしている。

 

「…クリスタ」

 

「セラス、ここにいたんだ。皆の所にいなくて探してたんだ」

 

何故俺を探す必要があるのだろう。あぁ、同じ班だったからか、納得納得。胴体を回してクリスタの方に向くと不思議に思ったのか、胸を指さして質問をしてくる。

 

「ねえセラス、シャツの胸らへんに人の顔みたいな濡れ跡あるけどどうしたの?」

 

あ?あーこれか、あの芋女が顔面の穴という穴から出た体液を全部つけたやつか。まじで次会ったら同じことしてやろうかな、いやセクハラで白い目で見られるからやめとこ。

 

「…これはサシャが泣きながら抱きついてきたやつだよ、着替える暇がなくて仕方なくそのままにしてる」

 

「……じゃあ、その下のへそ付近の濡れ跡は…?」

 

これは…あの頭齧られ未遂のやつのだ…アイツの涙めちゃくちゃ不揮発性すぎじゃない?

 

「…………それはミーナのやつだな…結構経ってるはずなのになんで乾かないんだろう?」

 

「……………」

 

いつものプンプンって効果音が幻聴しない、割とマジな顔で軽蔑してる気がする。なぜだ

 

「…なんか怒ってる?」

 

「…別に」

 

今までやってた微かな笑みを完全に辞めてそっぽをむいてしまう。

 

「……なんで俺と2人きりだとやめるの?」

 

「…な、何を?」

 

思った疑問をそのまま口にしたら、こちらに向き直って動揺しながら懐疑的な目で見てきた。その目には気づいて欲しいけど気づいて欲しくない対極な気持ちが混ざってる、複雑な目をしている気がする。深堀りするのを諦め話を切り上げる。

 

「…やっぱなんでもない、変なこと聞いてごめん」

 

距離の詰め方をミスったと思い謝るが、彼女の顔には観念したように

 

「………ううん、私も自分が変だって思ってる。セラスだってユミルと同じく気づいてるんでしょ?」

 

逃げられないような、諦観した目のままカラ元気な笑顔で笑いかけてくる。辛そうな表情が堪らなく気持ち悪い。

 

「……なんだか…セラスなら、私を見てくれる気がして…今まで騙してたのに烏滸がましいよね……」

 

俯いてボソリと発するその言葉に驚いてつい彼女を直視してしまった。

 

彼女は今なんと言った?救いを自ら求めたのか?そんなの原作で…いや迷うまでもない。

 

「ん…何してるの?」

 

驚いた顔でこちらを見てくる。手がクリスタの頭の上に置いてることから、どうやら無意識に頭を撫でていたようだ。手を払ってくる様子はない。涙腺が熱いのを感じる。

 

「いや、本音を吐露してくれたのが嬉しくて、ね…嫌なら払って構わないから」

 

「っ…別に嫌じゃないけど…」

 

心が踊る、原作キャラクターの幸福を上げてるのが嬉しい。キャラが幸せになる過程に自身が関わっている、この気持ちで脳内を占めている。あぁもっと他の人を笑顔にしたい、救いたい、もっと、俺の好きな世界で幸せになった笑顔を俺に見せて欲しい。

 

「クリスタ、少しずつでいい、俺の前で演じないで欲しい。もっと本当の君を知りたいから」

 

驚いた顔でこちらを見る、どういう感情なのか分からないし理解するつもりもない、ただ本心を伝えるだけだ。だってこれが彼女を救う近道だと知っているから。

 

 

 

もう少しだ。

 

 

「──てないの…?」

 

「…ん?」

 

「っ!貴方は…!私に軽蔑してないの!?今までのクリスタは全部嘘で、いい人って思われたかっただけのただの悪女なのに?それが全部演技で誰彼構わず、貴方にもただいい人って思われたかっただけで騙したのに?こんな独りよがりな気持ちのために皆の好意を蔑ろにしたのに!?」

 

俺の言葉が気に障ったのか大声を出してこちらに怒鳴りつけてくる、内容はただのノイズに過ぎなかったが。

 

 

「そんな前提必要ない、俺が欲しいのは君の心からの笑顔だ、君の幸せそうな笑顔を見たいんだ」

 

 

「っ…バカ!」

 

そう言って後ろを向いて駆け出してしまう。失敗した、攻めすぎた。

 

瞬間、4~5歩走った彼女の足が止まり、こちらを俯いたまま振り返ってくる。

 

「…なんでっ…」

 

狭い路地裏で発せられるその声が反響する。

 

 

「なんで貴方は…私を見つけようとしてくれるのっ…」

 

 

「なんで…貴方は私を…私のままにさせてくれるのっ

 

 

彼女の瞳から決壊したように大粒の涙が流れ出す。

 

 

あと少しだ。

 

 

 

「なんでっ………こんなっ…いい子のクリスタじゃないと何も無いなのに…?こんなにいらない子なのにっ…?」

 

「生まれて来る子に罪は無い。それに、何もないと思うのならこれから是が非でも見つけてみせるよ」

 

「……ぁ………ぁうっ…」

 

嗚咽を抑えるように唇を噛み、距離を詰めるように走ってこちらに抱きついてくる。

 

「………ひっ、く……ぁ…あなたは…私を見てくれるの…?…必要としてくれるの…?」

 

首を縦に振る。

 

「…っ!…ぅん……!…うん!見せるよ…貴方には

 

背中に腕を回され強く抱きしめられる。

 

「……だからセラス…私がいることに…私が生まれたことに…一緒に意味を……」

 

胸に顔をうずめてきて、涙でシャツを濡らしながら笑顔でこちらの顔を下から覗き込んで言葉を紡ぐ。俺はその顔と言葉に高揚感を覚える。

 

その目と顔だよ、その未来に希望を抱いているその目が見たかったんだ。この絶望な世界で見ることが出来なかった、その、救われた顔をもっと見せてくれ、クリスタ…いや、

 

 

 

 

ヒストリア。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ごめん、少し取り乱した。シャツも、その…」

 

しばらく経って冷静になったのか、ヒストリアは恥ずかしがりながら謝罪をして俺のシャツを自身のハンカチで拭いている。ちなみに俺の今のシャツは現状上から

 

ヒストリア

サシャ

ミーナ

 

の泣き跡が付いている。トーテムポールかな?もちろんヒストリアも鼻水を流していたが、不思議と汚いという嫌悪感を感じない。これが清楚だぞサシャ、これが。

 

「うん、まぁ、自分を殺すよりかはマシなんじゃない?」

 

慰めの言葉が思った効果と逆に走ったのか、顔をムスッとしながら赤らめていく。拭く速度も早くなっていって摩擦で熱い。

 

「~~っ!」

 

「あっちぃぃ!」

 

「あっ!ご、ごめん!けどこんな私にした貴方が悪いんだから…」

 

シャツを見ると、ヒストリアの涙跡の部分が少し焦げている。え、どんな力で擦ったの?

 

「え、どういう力…」

 

「ごめんって言ってるじゃん…」

 

「………」

 

「………」

 

沈黙がキツく、口を開く。

 

「そろそろ皆と合流するか」

 

「……うん」

 

 

 

『ドォォォォォォン!!』

 

皆の所に行く途中、壁の隅の方向から砲台の音が聞こえてくる。

 

「な、何が起きてるの?」

 

「とにかく早く皆の元に戻ろう」

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってコニーと合流する。

 

「あ、セラス!それにクリスタも!」

 

「ジャンやライナーはどうしたの?」

 

さっきまでいた奴らがいないことに疑問を持つ。

 

「アイツらは砲台の音の方向に向かったぜ。なぁセラス、一体何が起きてんだ?」

 

今来た奴に聞くのかよ。どうせエレン関連だろうし招集まで少し待つか。

 

椅子に座るとヒストリアも隣に座ってきた、顔はいつもの上目遣いで見てくる。……あ、"貴方には"ってそういうこと?まだ周りの事気遣ってるんだこの子。流石に皆に打ち明けるのは王政復興くらいか。確かにまだヒストリアの心情は不安定だろう、家庭の件もあるし簡単に切り離せるわけない。完璧な救いはまだ先のようだ。

 

そう考えてるうちにジャンたちが戻ってきた。

 

「あぁセラス、戻ってたのか──ってお前のシャツ胸の部分また濡れてねぇか?しかも少し黒ずんでるところもあるしよ」

 

「あぁこれ?川沿い散歩してたら子供の水遊びを食らってね」

 

「にしちゃ顔っぽい気もするが…まぁそんなのは今はいいな」

 

「最近の子供は芸達者だからね…はは…」

 

ふぅ、切り抜けたようだ、焦げ跡を言及されなくて良かった。隣のヒストリアはすごい冷や汗をかきながら頬を少し赤らめてモジモジしてる、妹のやらかしを頑張って隠す兄ってこういう気持ちなんだな。いや待て、俺妹いないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやらエレン側のいざこざも終わったようで、今俺たち新兵含む兵士たちは駐屯兵団の指示のもと招集をうけている。周りは死んだ目で上の指示に従っているようだ。あとダズがすごい騒いでる、お前もう船降りろ。

 

『注もぉぉぉぉぉぉく!!』

 

頭上から響きのある声が聞こえ頭をあげる。そこには美女の巨人に食われたいという異質な性癖を持つpixivならぬピクシス司令が手を後ろに回して立ち、隣には駆逐駆逐と名高い駆逐ゼミことエレンが敬礼のポーズで立っている。暫く長くなるぞこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~壁の上にて

 

「巨人と戦う必要が無い?」

 

「す、すいません、一介の訓練兵が口を挟んで…」

 

ピクシス司令直属の参謀が発する疑問に対し萎縮してしまい、つい謝ってしまうアルミン。

 

「構わん、話を続けたまえ」

 

「…はい、巨人は通常より多くの人間に反応して追ってくるので、それを利用して大勢でおびき寄せて壁際に集めることが出来れば大部分は巨人から接触せずにエレンから遠ざけることができると思います。それに倒すのは後で大砲を利用して損害なくできると思いますし」

 

一拍おき、次言う言葉が重要かのように深刻な物言いで続ける。

 

「…ここでエレンを無防備にする訳にはいかないので、少数精鋭の班で彼を守るべきだと思います。それに穴から入ってくる巨人との戦闘も考慮しなければなりません、そこは精鋭の技量に掛かっています」

 

「…アルミン」

 

途端、それを聞いたミカサがある提案をしようとアルミンを見るが、彼も同じ意見のようでミカサを見て双方頷き、その意見を提言する。

 

「そこで僭越ながら1人、我々から精鋭部隊に推薦があります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、俺になったの?」

 

「う、うぅ…」

半目見つめる視線の先にはビクビクしているボブカットの金髪少年。なぜ俺がここにいるかと言うと、それは遡ること半刻前。

 

 

 

 

ピクシス司令の話が終わり、その後指定された位置に着くため移動しようとした矢先、駐屯兵の上官が俺のフルネームが呼んだ。

 

「セラス・アービス訓練兵はいるか!」

 

その指名を一緒にいたジャンが聞いて耳元で話しかけてくる。

 

「おいセラス、お前なんかやらかしたのかよ?」

「…そんなわけないはず、なんならジャンより素行は良いと自負してるぞ?」

 

そう馬面に一言返し、疑問を持ちながら上官の元へ走って前に止まり敬礼をする。

 

「ハッ!なにか御用でしょうか!」

 

「お前がアイツらの言うセラスだな、お前には別の部隊に配属してもらう。付いてこい!」

 

え、なんで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめん…推薦してなんだけど僕も悪いと思っているよ…けど君が居ると格段に作戦の成功失敗に関係なく班の生存率が上がるんだ。」

 

「うん、セラスは危なっかしいし、意味が分からない行動が多いけど実力は確か。信頼してる」

 

怒る暇なくマシンガンのようにアルミンとミカサからの謝罪と信頼の言葉で怒るに怒れなくなる。負けを認めたくないので一応嫌味を言っておこう。

 

「アルミン…これで死んだら末代まで呪うからな。今日まで髪があることがどれだけ幸せなのかを噛み締めるんだな」

 

「待って何を呪おうとしてるの?ちょ、ちょっと待ってよセラス!?」

 

アルミンの声を無視して精鋭の人達に会っておく。

 

「ん?あぁ、お前がアッカーマン訓練兵が推薦した兵士か、俺はイアン・ディートリッヒ。よろしく頼む」

 

出された手を握り返し、握手をする。身長たっか、少しください。

 

隣にメガネの銀髪ショートが話しかけてくる。

 

「私はリコ・ブレチェンスカ、アービス訓練兵だったか?暫くよろしく頼む」

 

リコの見た目がドストライクで暫く硬直してしまう、この世界ではあまり見ない低身長でメガネというレア複合個性が俺を狂わせる。

 

「オレはミタビ・ヤルナッハだ!よろしく頼むぞ小僧!」

 

突然頭を抑えるように撫でてくる髭もじゃな高身長ゴリラが自己紹介してくる、フランクだなこの人。けどこうも年上3人で囲ってくるといよいよ後輩いびりなのではと怖くなってくる。リコさんにならいいけど男2人は普通に巨人より怖いんでやめてください。

 

 

自己紹介も終わり、そろそろ作戦の開始の合図がくる頃だ。俺が今からすべきなのはまとめよう。抽象的に言うと、

 

1.エレンの護衛、及び失敗時のアルミン到来までの巨人からの保護

2.アルミンによるエレンへの荒療治の間、遊撃隊として巨人の討伐

3.岩を運び始めた時の壁までエレンに近づく巨人の掃討、おびき寄せ。

 

 

の3つだ。

 

まだ腕が痺れるが、やるしかない。

 





セラス・アービス
本作の主人公。主要キャラの幸せや救われた時の笑顔のためならなんでもするマッドマン。ヒストリアの苦悩を少し解放させた時に見られた彼女の救済された顔で内にある歪んだ快楽が表面化してしまう





あと2.3話ぐらいでトロスト区奪還作戦は終わると思います

感想、評価待ってます!

ヒロインって誰がメジャー?

  • ヒストリア
  • アニ
  • サシャ
  • ジャン
  • ミーナ
  • ライナー
  • アルミン
  • リコ
  • オルオ
  • (大穴)女型の巨人
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