こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ! 作:山崎春のご飯まつり
毎度誤字報告と感想評価ありがとうございます。楽しく読ませていただいてます。
調査兵団の幹部が密集する部屋で息苦しく思ったのを感じ取ったのか、ハンジさんが声をかけてきた。
「君を呼んだのはリヴァイの指名だからだよ。だから多分お叱りとか規則を破ったとかじゃないから安心して」
「は、はぁ」
兵長が俺を?
何故だ…何があの人の気に引っかかったんだ?
さっきの派手な入室か?いや、それならもっと他の…王政の犬に指名されるべきだ。
「おいクソガキ、お前は後だ。」
唸っていると、隣から声がしてくる。
く、クソ…ガキ?
「あはははは…リヴァイは昔から口が悪いから、この先やってく上で気にしないのが吉だよ」
すかさずフォローをしてくるハンジさん。
そして後ろから付いてきたミケさんは背後から匂いを嗅いできた。
「すんすん………ほぅ…」
…ヒストリアに介護されてたとはいえ、10日間まともな風呂入ってない体を嗅がれるのは堪える。
しかもなんで貴方は嫌な顔するでもなく納得した顔するんですか気持ち悪い。
「この大柄の人はミケといって、よく人の匂いを嗅いで鼻で笑う癖があるんだけど…君はその枠に当てはまらないようだね」
存じておりますよ、屈指のトラウマ場面ですからね。
気持ち悪い貴方を助けようにも、特技があまりにも人並み外れてるから。皆の成長に繋がらなくなるから。後の展開を大きく変える能力を持っているから。
俺は、この人を知ってて見殺しにする。
───ぃ……く……き
貴方の死があまりにも重要な役割を担い過ぎているから。
───ぉい
貴方を助けると、ウトガルド城の人達を救えなくなるから。
俺は…俺はっ…「何度も呼ばせんなクソガキ」
「……えっ?」
「エレンとの話はついた。次はお前の番だ」
ヒスってるうちにかなり時間が経ったようだ。何度も呼ばせてしまったようで、かなりイラついてる顔をしてる。
兵長が向かい合って座っている。
「まずはテメェの希望兵団を聞こうじゃねぇか」
「一応調査兵団ですけど…」
机にある紅茶の入ったティーカップを持って、口に寄せて啜る。
「ほぅ、それは上々だ…ならお前には俺の班に加わってもらう」
「…………は?」
何言ってんだこのチビ。
「"急に何言ってんだ"と思うかもしれねぇが、お前が調査兵団を希望する際の決定事項だ」
「エルヴィンには話を通してある」と付け加えて説明する、それを"はいそうですか"で突き通せるわけがない。
「…異論はありませんが、理由を聞いても?」
リヴァイ班の救済が比較的容易になるから断る理由はない、だがそれはそれとして理由が気になる。
「報告書を見た。…どうやらこの巨人化するガキとほぼ変わんない量の巨人を生身で倒したようだな?」
そ、そんなに倒したか?待てよ、えっと…
壁破壊時に1体、その後班行動時の3体のうち2体、ミーナで1体、拠点までで3.4体?で、補給拠点内で1…いやサシャの取りこぼしで2体か。
んで午後の遊撃で4.5体、ジャンの援護で2体、最後の捨て身で4体だから……
まぁ20体ぐらい……結構殺ッてんな俺。
「えぇ…まぁ、多分そんぐらいだと思います」
「だがテメェ、ガスの扱いが素人以下らしいじゃねぇか。しまいには、俺が着く頃にはガスが空っぽで諦め顔ときた」
やべぇめちゃくちゃ厳つい顔してるじゃん…どうしよ、一応身構えといた方がいいか?
「テメェの尋常じゃねぇ生存能力の低さ、自身の命を勘定に入れねぇ動きが、これからの作戦を乱す種になんだよ」
……ぐう
「だが……何も巨人共を殺す能力までも否定してる訳じゃない。寧ろ逆だ、エルヴィンが言うには、戦況を変える何かにも成りうるとの事だ。だから爆弾にも希望にもなるエレン同様に不安定なお前は、俺の監視下に置いとくのがベストと判断した」
……そこまで扱いにくいのか俺。
念の為団長の方を向くと、肯定するように相槌をうってくる。あ…そうなんですね…
「では俺もエレンの護衛をするということですか?」
「形式上はな、だがテメェはまずテメェを守るのに専念しろ」
「は、はい…」
……しばらくエレンとふたりぼっちかぁぁ。
「リヴァイ、本当に良かったのか?」
「………何がだ」
セラスとエレンを除いた幹部は部屋に残っていた。エルヴィンを皮切りに会話が広がる。
「彼──セラス・アービスの監視についてだ。確かに彼の行動は作戦実行において今期で目立った卒業生の中でもエレンの次に不安要素が高いと思っている。…だが何もお前が担当する必要もないだろう、私としてはミケで十分だと思っている」
この場に幹部として共にいるミケ・ザカリアスは調査兵団の実力においてはリヴァイに次ぐ実力者。この場にいる誰もが、たかが初陣で活躍した新兵に割くほどではない、もっとエレンという明らかな人類の希望にリソースを割くべきだと考えるというのは至極当然の話だ。ただリヴァイを除いて。
「あぁ、お前の判断は間違っちゃいない。この決定は俺の判断によるものが大きい」
「リヴァイ、お前は兵団で一番最初にトロスト区に入って彼の様子を見たのだろう?何がお前をそこまで警戒させるんだ」
一拍置くようにリヴァイは机にある紅茶を口に近づけ、戻して口を開く。
「オレが着いた時には、あのクソガキは1人で4体の巨人を殺していたと分かった」
周りの目が少し開かれる。というのも、調査兵は必ずしも討伐を単独で可能とするほどの技量が全員備わっている訳ではなく、ツーマンセルやスリーマンセルといったチームアップでの討伐が基本だからである。故にセラスの行動は調査兵の基準を遥かに超えた結果であったことに、驚きを隠せなかったのだ。
「…だけど、それだけで君が直々に見るほどなのかい?ミケに加えて他のベテラン兵を付ければ─」
分隊長ハンジ・ゾエがその場で代替案を提案する。だがそれをかき消すようにリヴァイは言い捨てる。
「それが同時討伐だとしてもか?クソメガネ」
「……どういうことだい?」
ハンジの目が鋭くリヴァイを貫く、だが構わず続けるように話をする。
「死んだ4体の巨人の蒸発状態がほぼ同じなんだよ」
「「「っ!」」」
「あのクソガキは、4体をほぼ同時に殺しちまったってわけだ。そんな芸当、調査兵団の中でできちまうのは俺ぐらいだ」
「だがガスが切れりゃただの蟻に成り果てるがな」と受けた衝撃を緩和しきれない一言を付け加える。
それでも、ガスが十分なら一瞬だけリヴァイと同等以下の戦力を発揮できることに驚きを隠せない一同に爆弾を投下するように追撃をかける。
「あの後にクソガキの手当をしたとき、あいつには外傷が見当たらなかった。ひとつもだ」
「……つまり、自傷行為を経てあの動きを可能にしてる、というわけかい?」
「さぁな、それは本人に聞いた方が早いだろ。ただあいつには自傷の躊躇いがないことは念頭に入れておけ。でねぇとあんなボロ雑巾みてぇな体にならねぇからな」
リヴァイ伝手で彼についての情報を聞いてエルヴィンは少し考える仕草をする。そして決心したように口を開き、
「…リヴァイ、お前の考えは理解した。我々も彼への認識を少し、いやかなり改める必要があるらしい。」
セラス・アービス───彼の逸脱した行動、戦闘力、精神性が調査兵団上層部の考えを大きく変えることになるのは言うまでもない。それに加え、その自傷に対する回復能力にも疑問を持つ者が現れるのも仕方の無いことだ。今、兵団幹部の彼への注目度は、良くも悪くもエレンと差し支えない程までに上がってしまったのであった。
「ぶぇっっくしゅい!!!っだぁ"ぁ"…」
あー、花粉か?そんな木見たこともないんだが…
「おいセラス…こっち向けてくしゃみしてくんなよ。移っちまったらどうすんだよ」
「あぁごめんごめん。治りたてでもしかしたら体弱ってるのかもしれない」
「………いや、そうなっちまったのもオレのせいか…気づけなくて悪かった…」
急にしおらしくなるなよ気持ち悪い。
「別にいいよ、お前のためにやったのは事実なんだし。お前が謝ったら俺の行動が報われなくなるんだよ」
「……そうかよ………ありがとな、セラス」
だから気持ち悪ぃんだよそれ、俺じゃなくてミカサにやっとけ。
完結目指して頑張るので、少しマイペースにやらせて頂きます
是非感想と評価、よろしくお願いします!
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