こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ! 作:山崎春のご飯まつり
当初は"ジャンに元の票+作者の1000票入れて1位になりました"とかいう八百長をしようと思ってたんですけど、普通に作者補正つけてもヒストリアに抜かされる運命でした。強スギィ!
アニにもそこそこやっぱ入ってて、一番の驚きは女型の巨人に200票近く入ってること。つまり読者の中に200人の異常性癖がいるということでした。あなた達とは話が合いそうです。
長くなりましたが、今回の最後にもアンケートを設けさせて頂きました。投票よろ!
ではどうぞ
実験体の巨人2匹が殺された。
見回りの駐屯兵が来た時には2匹とも、うなじをぱっくりいかれてたらしい。
それをモブリットさん越しに聞いた時のハンジさんの顔は、今でも忘れられなかった。
今、俺はフードを被ったエレンとその現場に来ていた。既に事件発生からしばらく経っていたのか、巨人の骨格のみが残されていてその骨もまさに蒸発の真っ最中だった。
もちろん犯人の目星はついている。だが言ったところで逆に怪しまれるし、何より今回の件はアルミンが解決しなければならない要件だ、流れを壊す訳にはいかない。
「誰がこんなことを…」
隣でエレンが小さく嘆いている。ハンジさんの話を夜通しで聞いたあとだ、感情移入しているのも無理はない………いや、それは無いか。
とにかく、周囲は犯人探しの雰囲気を醸し出している。立体機動装置の点検は俺も受けるのだろうか、事故発生時は一応特別作戦班と行動してたから疑いは晴れると思うんだが…
後ろから巨体の男性が近づいて来る、振り返ると整髪料で髪型をガッチガチに固めた団長だった。
「エレン。君には何が見える?敵はなんだと思う?」
「は、はい?」
……鋭いな。意図的に巨人化できるエレンを対象にすることで、間接的に君と同様の能力を持っているor巨人の正体を知られると困る人物であるのではないかと、エレンの反応を伺いながら聞いてる辺り、エレンの真意と同時に彼自身の意見も聞けるような問いかけ方でとても理知的だと感じた。
「いや、引き止めてすまない。もう行って大丈夫だ」
そう言われたのを最後に、我々リヴァイ班は元の根城に戻っていった。
城に戻った我々は変わらず日課である馬の世話をしていた。ヒストリアのお陰で馬の世話も大分楽になった、看病もしてくれたみたいだし、何かお礼をしたいが…何をすべきか。
「よォセラス、やってるな」
「ん?…あぁ、エレンか。遅かったな」
「わりぃ、新しい箒をリヴァイ兵長から貰うの忘れててよ。ほらお前の分」
遅れてきた彼に思考を傾け、両手に持っている箒の片方を貰って馬の周辺の枯葉を掃く。途中で馬がちょっかいをかけてくるがもう慣れたことだ、撫でて落ち着かせる。
それを不思議に思ったのか感慨深く思ったのか、神妙な顔つきでエレンがこちらを見てきた。
「どうしたの?」
「いや大した事じゃねぇけど、訓練兵の時のお前の馬術の訓練を思い出してよ」
「あぁ、最初の時のか。あの時は本当に大変だった」
馬にだけは初見で唾吐かれたぐらいには嫌われてた自覚があった。ヒストリアの手助けがなければ本気で"馬なし調査兵"とかいう何の役にも立たない兵士になってたって今でも思う。
「そんな奴が今や馬と戯れるまでになったと思うとな。お前よくあの状態から立て直せたよな」
「…クリスタとの練習のお陰だよ。しかも俺を看病してくれたのも彼女らしいし、感謝してもしきれないよ」
「…あぁ、あいつだったのか。まぁなんにせよこれで調査兵として一緒に貢献出来て嬉しいぜ」
「そ、そうだな」
眩しい笑顔が、掃き掃除していても視界の横端から集中線のようになっていて嫌でもわかってしまう。なんでそんな顔できるんだよ。
「セラスはいるか?」
外から会話を中断するかのように、馬小屋の中開きの扉からエルドさんが顔を出して声をかけてくる。それに呼応するように返答する。
「はい、ここにいますよ」
「丁度良かった。お前にさっき起きた事件での立体機動装置の点検が義務付けられた。馬の準備をしてオレと一時的に訓練兵所に戻ってもらうぞ」
「俺一応リヴァイ班の皆さんとここに居たので疑いはないはずなんですが…」
「それについてはオレも聞いたんだが…頭の硬い奴らだ、何を言っても聞く耳を持ってくれなかった。だから念の為、もし疑いがあった場合のアリバイ要員としてオレも同行することにした」
「わかりました、助かります」
この気遣いがあるから彼女できるんですね貴方。完全に納得しました、世の中顔だけじゃだめなんですね。
「ところで、セラスお前体は大丈夫なのか?包帯を巻いているようだが」
早馬で兵所に向かっている道中、エルドさんにそう聞かれた。
「あぁこれですか、怪我自体はもう塞いでると思いますけど、折角綺麗に巻いてくれたので勿体なく感じてしまって」
「…にしても綺麗な巻き方だな。さぞ大切にされてるんだな」
エルドさんは横目で見やりながら俺の体に巻いてある包帯の様子を伺う。
大切かどうかは…まぁ、少しは好感度上がってて欲しい気持ちはあるけど…俺のエゴで勝手に助けただけだし、救われた笑顔が見られればその矛先が誰であろうとどうでもいいことだ。
「どうでしょうね。余計なお世話をしたかもしれないので、あんまだと思いますよ」
「ははっ、そんな気落ちするなって。ほらもうすぐ兵所だ。時間があったら同期と交流してもいいからな?待ってやるから」
……お父さんじゃん。
兵所に着き、担当の指示に従って移動する。
指定された控えの広場には、仏頂面のユミル、怯え顔のコニー、そして虚無顔のヒストリアがいた。
「……セラス」
「ど、どうした?」
「……なんでいてくれなかったの?わ、私の事嫌いになっちゃった?」
ジリジリと近づいて来るヒストリア。
その様子に、先日の突進で負った肋骨の痛みを思い出してつい後ずさってしまった。
ビクッと、その所作を見たヒストリアが硬直する。青ざめた表情のまま冷や汗をかいて涙を流す。
「え…あ、ち、違っ…!ご、ごめん、だから…は、離れないでっ……」
止まって手だけをこちらに向けて来るが、心做しか指先が震えてる気がする。
「え…本当にどうしたの?」
困惑しながら近づいて背中を撫でると、ズシンと少し強めに、だけど体を労る程度の強さで胸に顔を埋めてくる。すごい震えてるのが伝わってくる。
「…き…嫌いにならないで」
目いっぱい力で背中に手を回してホールドしてくる。困惑して正面を見るとそれとは真逆のコニーが青ざめた顔でヒストリアを見ている。
「あ、あんな怖ぇクリスタ見たことねぇ…昔皿を割って嘘がバレたときの母ちゃんの顔を思い出したぜ…」
コニーの怯えた声にハッとしたように、ヒストリアは俺から離れて、泣きはらした目のままいつものプンプン顔で人差し指を立てて言う。
「と、とにかく、次からは私にも一報入れてよね!心配したんだから!」
「……ユミル、これはどうなってんだ」
「っち、どうもこうもねぇよ。目が覚めたら第一声がお前の名前だよ、ったく…たまったもんじゃねぇよ」
どうなっているんだ?いや、とりあえず今は立体機動装置の検査だ。
点検ではアニの隣で、その隣にはアルミンがいた。
「アンタ、本当に無茶するんだね。流石に今回のはヒヤヒヤしたよ」
アニが巻かれた包帯を見て率直な感想を述べてくる。俺も俺みたいな人が同期にいたら多分同じセリフまんま言う自信がある、一応それぐらいには自覚があるからこそ、心配の声に少し胸が痛くなる。
「ごめんセラス…僕がもう少し考えていれば…君にあんな傷負わせなくて済んだかもしれないのに…」
「アルミン、過ぎたものを悔やんでも仕方ねぇだろ。それに、そいつは謝られるより感謝された方が性に合ってんだろ」
奥で馬面ジャンが話に入ってくる。流石ジャン、今何をすべきか理解しながら、俺の本心を代弁してくれている。その声に便乗するように話を切り出す。
「そうだよアルミン。ほら、もう殆ど治ってるんだし、全然大丈夫だ「お前はお前で反省しろ」あ、……はい」
叱られてしまった。解せぬ。
落ち込んでたら、隣から机の下越しにそっと小指だけを握ってこちらを見てくるアニと目が合う。
「アンタは……絶対に死なないでね」
口を噤み、揺れている瞳に映ってる俺は、アニにはどう見えるんだろう。立ちはだかる強敵としてか、それとも親愛なる同期としてか。
「あー、暇だ」
ようやく終わって広場でぼーっとしてる。因みにエルドさんは用事が出来たようで、俺が終わったのと同時に城の方へ戻って行った。終わり次第すぐに迎えに来てくれるようだ、お父さんじゃん。
よってその間暇なのでこうやって誰もいない広場のベンチでだらけていた。こんな感じの平和が続けばいいのに…なんで面倒事が近寄ってくるんだろ。
「あ、セラス。あの後すぐに居なくなったから心配しちゃった、隣いいよね?」
ほら来た。
「さっきはごめん…えっと…抑えきれなくて…」
両手でモジモジしながら口を閉じ開きしてると思ったら、出てきた言葉は謝罪だった。
「…また、ひとりぼっちだと思って、だから怖くて…問い詰めちゃって…」
なんだそんなことか、やばいことしちゃったのかと思ってヒヤヒヤした。
「…君を嫌うことなんてないから心配しないで、こっちこそ不安にさせてごめん」
「っ…うん!」
俺がキャラクターを嫌うなんてありえないから。
けど、思うがままに感情表現ができてるようで安心した。王政復興編までは生きたい気持ちはあるが、この調子じゃエレン奪還ら辺でぽっくりいきそうだし…悪いなヒストリア、この命は1人用のようだ。
そう考えていると、いきなり膝に頭を乗っけて顔を見てくる。犬みたいで可愛いので、試しに撫でてみるとすんごい笑顔でニヤニヤした顔を向けてくる。
「…えへへっ」
ユミルに見せてやりたい笑顔だ。どうにかユミルとも関係が深化させなければ…そうすれば、途中で俺が死んだ時のメンタルケアをユミルに全投げできるし。
あの後すぐ、エルドさんが迎えに来て城に戻った。戻る直前にヒストリアが寂しそうな顔をしていたので、すぐ会えるよとだけ伝えといた。ユミルもいるし大丈夫だろ。
帰って再会したエレンはすんごい疲れてる雰囲気をしてた。訳を聞くと、掃除が全然なってなくて何度も兵長にやり直しをさせられたらしい。ご愁傷さまだよ。
因みにあれほどまでにヒストリアが焦っていたのは後退りに加え、主人公の引き攣った顔を目撃したのも理由の一つです。可哀想ですね。
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