こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ!   作:山崎春のご飯まつり

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今回少ないわ、ごめん

ではどうぞ


24、

 

 

木にもたれ掛かり数分、息も整って来た所で徐々に痛みを感じるようになり体が動かしにくくなる。恐らくアドレナリンが切れてきたのだろう。

 

「そろそろ…行きましょう」

「も、もう動いて大丈夫なの…?」

 

 

慌てた様子でペトラさんから制止の声がかかる。

 

 

「…えぇ、今動かないと後々痛みで動けなくなって詰みます。それに本隊との合流もしないとですから」

「だが……オレ達は団長達の居場所なんて分からないぞ?」

「いえ、その件ついては俺が来る前に団長からの連絡を貰いました。森の西側で列を再結成する、と」

 

エルドさんの疑問に答え、痛む体に鞭打ちして立つと次はオルオさんがほふく前進しながら地面を這ってこちらに話してくる。

 

 

「…けどよ…こんな満身創痍じゃまともに行動できっかよ…さっき打った救援弾で助けを待った方がいいんじゃねぇか?」

 

その通り、それが得策だ

 

ここが巨人の居ない壁の中だったらだけど

 

「現実的じゃないですよ…ここ、壁外ですよ?」

 

俺の返答に気が悪くなったのか、声を荒らげて反論してくる

 

「っ、じゃあどうするってんだよ!てめぇ以外壊滅状態なんだよ!あんだけ啖呵切った上に…てめぇに疑いかけて…てめぇに助けられて…こっちのプライドはボロボロなんだよ!!」

 

「その上介抱される羽目になるぐらいならな……このまま兵士として死んだ方が「ふざけるな!!」っ!」

 

無意識だった。

気づいた時には近づいて、血の味を噛みながら同様に声を荒らげていた

 

 

「それでも助けたいって思ったんだよ!アンタの言ってること全部わかってる!誇りも、悔しさも!全部俺が踏み込めないものだって!」

 

 

唇を噛みしめ、緩くなる涙腺をどうにかする

 

 

「でも、それでもっ!俺は…助けたかった…ただ、ただそれだけなんだ…」

 

 

「…この行いも…言葉も…身勝手と思ってくれても構いません…死なれるくらいなら、嫌われた方が何倍もマシだ」

 

 

「…けど、俺がまだ、この体を動かせるうちは、生きてるうちは…目の前でそんな終わり方は、絶対させない、させたくない」

 

 

「だから、死ぬほうがマシだなんて…言わないでください…生きて、皆と笑って、生きててよかったって……そう思う、手助けをさせてください…」

 

 

一時の静寂が訪れる

拍子抜けな顔をしてすぐ、こちらから視線を逸らし、少し口を尖らせながら言う

 

「…ん、んだよ、それ……お前、よくそんな恥ずかしいこと言えるな…」

 

心做しか頬が赤くなってる気がする、後ろの2人も同じようだ。なぜだ…

 

まさか…この状況での頬の赤み、もしかしたら感染症の兆候かもしれない。傷の消毒も済んでないし、この時代のウイルスの可能性が高い。

急がねば…

 

ゴホンッ!だがその様子じゃ、何か策はあんのか?」

 

思考に浸っていると、エルドさんが咳払いをして策の提示を要求する

 

「え?まぁ、あるにはあります…俺がペトラさんとオルオさんを運んで、グンタさんがエルドさんを支えながら行ければ…おそらくは可能です。頼みの綱であるグンタさんの意識が戻っていれ「いや、それに…ついては…問題ない…」っ!」

 

上から声がして視線を上げると、グンタさんが肋骨部分を支えながら枝からこちらを見下ろしていた

 

「グンタ!お前起きたのか!」

 

エルドさんが声を掛け、それに返答するように苦しげに応える

 

「あぁ…先程起きた…だが─くっ…!」

 

その声を最後に、次の瞬間にはバランスを崩して枝から転げ落ちていた。

 

カチカチッ

「なっ!?」

 

ボタンの音が聞こえたが、その全てが不発に終わる。……まさかっ!

 

「やばっ!」

 

無理やり体を動かし、ガスを噴かして何とかキャッチしたが、その衝撃で腕がビチビチッと中で鳴る音が聞こえ、直後に激痛が走る。

 

「いっっ!っつぅ……」

 

 

着地してすぐに地面に降ろし、膝まづく体勢で両腕を同じく地面に置く

 

痛みがさっきより酷くなっている。アドレナリンが切れてきたのも原因だろうし…

あーくっそ痛てぇ…

 

 

「だ、大丈夫っ!?」

「さっきので無茶してんだ!もう少し休んでからにするべきだ!」

 

心配の声が聞こえ、今にも駆け寄ってきそうなペトラさんを手で制止する。

 

「……っ、今は、それどころじゃ…ないんです」

「それどころって…あなたね!今自分がどういう状態かわかってるの!?」

 

同様に重症の人が何か言っている。

自分もめちゃくちゃ痛いのに、歪んだ顔で心配してくるなんて…優しい人だ

 

「はは…ペトラさんも人の事言えませんよ…貴女こそ、自分の身を案じてください」

「笑い事じゃ「俺は…いいんです」っ、何よ…それ…」

 

 

心配の声に被せながら、俯いた顔を上げてグンタさんの立体機動装置を見て指さす

 

「はぁ、はぁ…グンタさん…それ壊れてますよね…?精鋭が何もせず木から落ちるなんて有り得ないでしょうし」

 

 

それ聞いたグンタさんは少し俯き、悔しそうに言う

 

「…あぁ、恐らくさっきの女型のでイカれちまったんだ、面目ない…お前にも無茶をさせちまって済まない…」

「それについては、気にしないでください。オルオさん、立体機動装置はいいのでガスの残量の確認ってできますか?」

 

こちらの予想ではエルドさん以外強い衝撃を食らって立体機動装置はダメになっていることになる

 

「ぁ、あ?…ったく、今は従ってやるよ…………あぁ、多少漏れてるが一応はな…」

 

 

良かった。2人運ぶんだ、ガスも2、3倍必要になる。エルドさんのを貰って、もし足りなかったら森を永遠にさまようところだった

 

 

「上々です。では先程の運搬方法で本部を──ゴホッゴホッ

 

気管支に入った血を吐き出すように地面を不規則に赤く汚す

 

「おい!大丈夫か!」

「…口の中を傷つけた時の血でむせただけですよ。それより早く準備しましょう。グンタさん、マント貸してくれませんか?」

「あ、あぁ…」

 

貰ったマントに加え、オルオさんのも合わせて即席のおんぶ紐の完成だ。

 

 

これでオルオさんを背中に固定させて

「クソっ…こんなん赤ん坊じゃねぇか…」

「ふふっ。お似合いね、オルオ」

 

 

あとはペトラさんを横抱きにすれば

「…え?ひゃっ!」

「いや…変な声出さないで下さいよ…」

「だ、だって急にされたから…」

「お前だってお似合いだぜペトラァ?」

 

ほんとこの2人仲良いなぁ

 

 

「2人とも…仲がいいのは良いですけど、舌噛まないでくださいね?」

「それはオルオだけ。私も一緒にしないでよ…」

「おいおい…照れるようじゃ、オレの女房になるにはまだまだ足りブフゥッ!!

「……まだ飛んでないんですけど」

 

 

…シリアス足りてないんじゃない?吐血しとく?

 

 

 

「こっちも準備完了した、いつでも出発可能だ」

 

エルドさんとグンタさんの方も終わったようだ

 

「では森の西側へ行きましょう………………西ってどっちですか?

「………あっちだ」

 

方位磁針どっかに落としちゃった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く移動しただろうか、一向に変化しない景色に身体の痛みの方に意識が向いてしまう。

 

 

「おい、平気かよお前」

 

首に両腕を絡めてるオルオさんが話しかけてくる

 

 

「まぁ……目眩がしてきた程度なので大丈夫ですよ」

 

平気な意を込めて移動に支障がないことを伝えると、返事の代わりにため息が返ってきた

 

「はぁぁぁ……あのなぁ……人に言ったことをおめぇ自身が出来ねぇようじゃ、説得力がなくなるぞ?」

「いや、本当に大丈夫ですって、これぐらいまだ軽s「そんな訳ないでしょ」…」

 

────軽傷ですから

そう言おうとしたのに、あたかもその先がわかったかのようにペトラさんに声を被せられ、中断させられた。

 

「私たちの為にあんなに体張って、こんなに血だらけになって、十分重症よ。お願いだからこれ以上…自分を蔑ろにしないでよ…」

 

オルオさんもペトラさんも優しいな…そんなに気を遣わなくていいのに

 

「…そんな気落ちしなくていいですって、俺が勝手にやったことなんですから」

 

そう言ってどうにか気持ちを和らげようとしたけど……何故シャツを掴むんですか?しかも力強くないですか?

 

「…それでも、命の恩人なんだから…勝手に生かしておいて、勝手に死ぬなんて…絶対……絶対に許さないんだから

 

え、怖ァ……

なんでそんなドス黒い目で凝視してくるんですか…責任感も突き詰めるとこんなになるの?な、何か打開策を……

 

「ペ、ペトラ?」

「舌噛むんだからオルオは黙ってて。セラス、誓えるよね?もう無茶しないって、ね?」

 

 

くっそ!オルオさんが使えねぇ!この人でなし!

 

アニとかヒストリアとかも結構怖かったけど、ペトラさんが断トツで怖ぇ!悪いことしてないのに正体の知らない何かで詰め寄られてる恐怖がっ!

 

「ねぇ…?早k「おいお前ら!列が見えてきたぞ!」っち、間が悪い…話は後でじっくりと、ね?」

 

グンタさんの声でペトラさんの勢いが止まったが…無事処刑宣告されたようだ…これぞ不幸中の幸いというのだろうか

 

「痛っつぅ…!」

 

とりあえず助かったが…痛みが強くなってきたっ…

 

 

やばいぶっ倒れそう……けど2人をどうにか安全に降ろさないと…

 

 

誰か…

 

 

「セラス!!」

 

 

っ!金髪の小柄……誰だ…俺を知っている奴で…

 

いや…誰でもいい…とにかく今は着地にっ…!

 

 

安定ながらもガスを調節しながら高度を下げ、足に感じる痛みに耐えて2人に衝撃なく着地するのに成功する。

 

「降ろし…ますよ…」

「え?う、うん…」

 

面にペトラさんを置き、オルオさんを支えるおんぶ紐を無理やり解く

 

「痛ってぇ!」

 

尻もちをついて悪態をつくオルオさんには気にも止められず、目の前に走ってくる金髪小柄の子に近づく。

 

「セラス!」

 

あちらも走ってこちらに寄ってくる

 

々に距離が縮んでいき、目と鼻の先でその人物に覆い被さる。

 

「セ、セラス?!この傷はっ…君って奴はまた無茶をして…」

 

近くで聞くと、聞き覚のある声だった。

 

「誰だか知らないけど…悪い…ヘマした……後は頼む…」

「っ!あぁ…後は僕に任せてくれ。今度は…僕の番だ」

 

随分と頼もしい、馴染みのある声を最後

 

世界が暗転した。




後2、3話ぐらいで女型編終わるかな?
その後に区切りがいいから閑話を書くんでよろ

感想評価よろしくです、活力になります。

閑話何読みたい?

  • ライナーとの兵士ごっこ
  • ヒストリアとの馬術訓練
  • アルミンのシャウト事件
  • アニとのハンカチ
  • アニとの対人格闘訓練
  • 外伝Wall sina goodbye
  • ジャンとコニーとのガス吹き訓練
  • サシャとの狩猟体験
  • ユミルとの秘密の取引
  • リコイアンミタビの奢り飯
  • リヴァイとの掃除道具発明日記
  • 主人公の周りからの評価+α
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