こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ!   作:山崎春のご飯まつり

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あと少しでアニメ1期分が終わります、長ぇよ。




27、

 

 

「と、とりあえず帰還後から今までに起こったことを教えてください」

 

内心ビクビクしながら目の前にいる兵長に訪れた本題を問う。

 

「…あぁ。まずは、エレンを中央政府に引き渡すことになった、3日後にストヘス区を経由してだ。お前にも伝えとく」

 

ティーカップのふちを鷲掴み、口に運びながら続ける

 

「…それと、女型の正体がほぼ確定した。残ったのはひとりだ。…テメェにとって、他人じゃねぇはずだ」

 

左手の人差し指だけ解き、こちらに指さし言う

 

「…アニ・レオンハート。テメェと同期の憲兵で、大量殺人の容疑者だ。そしてオレの仲間を何人も殺した、クソ女の名前だ」

 

知ってたよ、残念ながらね

 

「…そうですか」

 

「落ち着き払ってやがるな。エレンと違って、取り乱す様子もねぇ。……ま、現場でピンときたってところか」

 

「…まぁ、そんなところです」

 

カチャッと音を立て、再度ソーサーからカップを持ち上げる

 

「だが調査兵団として、エレンを連中に易々と差し出す気なんざ、これっぽっちもねぇ」

 

そう言って兵長はカップを傾けて紅茶を口に含み、喉仏が脈を打った後に続けざまに話す

 

「…だから当日、エレンを中央から逃がすって建前で、ストヘス区に女型を誘き寄せる。そこで捕獲を決行する。――以上が、テメェが寝てた間に起きたことと、決まったことだ」

 

言い切ったかのように前かがみを辞め、背もたれに体を預ける

 

 

どうやら原作とはあまり差異がないらしい

唯一あるとするならば、作戦決行までの時間が伸びたぐらいか?あまり覚えていないが一応聞いておくか

 

「……しかし、中央政府は余裕そうですね。随分とこちらに猶予を与えてくれるじゃないですか」

 

「あぁ。遺体の処理に手間取ったって名目で、エルヴィンが申告した。おかげで、ほんの少し時間をもらえた」

 

「……ん?巨人に追いつかれなかったんですか?」

 

俺が一目見た時は巨人はまだ追ってきていたはずだ。原作なら荷馬車にある死体を捨てて巨人の追手を振り切るはず

 

「……追いつかれかけたのは確かだ。だが、理由もわからねぇまま、奴らは急に止まりやがった。不気味なくらいにな」

 

「…………………は?きょ、巨人が……止まった?…全く面白くない冗談ですね…」

 

「嘘をつくほど暇じゃねぇ。現に遺体は全部持ち帰れた、それが答えだ」

 

 

なんだよ…それ

これまで原作通りじゃなかったのか?

何がそれを引き起こしたんだ?

 

…もしや獣の巨人か?作中で巨人を操る描写があったし召喚する描写もあった、つまり現状最も可能性が高い。けど…いや、どう考えても早すぎる。あいつはラガコ村付近の出現が初登場だったと記憶している。

けど巨人を操るのには意思疎通の行為が必要のはず、つまりその場に居ないと操ることは不可能。索敵兵が余程節穴じゃない限り逐一違和感のある巨人に気づいて報告するはずだ、それに何より出征時は索敵兵にライナーとベルトルトはいなかったしスルーされることはほぼ不可能と考えていい。

 

ならばエレンの早期的な力の覚醒か?だがそこら辺の仕組みはよく分からなかった…なんであのダイナフリッツの巨人に触れた時だけ座標ってやつを発動できたんだ?恐らく座標ってやつが巨人を操る始祖の巨人の元なんだろうけど…「おい」

 

「え?!あ…はい、どうしました?」

 

「ッチ……どうしましたじゃねぇだろ、こっちのセリフだ。回復しきってねぇなら来るんじゃねぇ」

 

 

イラついた様子で腕を組み、指をトントンと規則的に叩きながらこちらを睨みつけてくる。ピリピリしているが兵長なりの心配だろうか

 

 

「…少し考え事を。寝起きなので少し寝ぼけてるかもしれません。心配、ありがとうございます」

 

「……ったく。周りを察せるなら元よりそうしろ」

 

 

指トントンを止め、紅茶を飲む。

その時、何かを思い出したかのように動きを止めてこちらに問いかけてくる

 

「おいクソガキ。テメェ寝てる最中に嫌な気分になった記憶はあるか?」

 

「…い、嫌な気分?なんですかそれ?」

 

それを聞いた兵長は近づける手を止め、訝しげな顔でこちらを睨みつける

 

「…身に覚えがねぇのか?気絶してたエレンですら何かを感じてたのにか?」

 

「え、えぇ…特に何も。強いて言うなら今でも頭痛が酷いくらいで…」

 

「……そうかよ」

 

兵長はそれ以上の言及を辞め、カップの中身を見ながら当時の出来事を思い出すかのように考え込み、話し出す

 

「………オレが冷や汗をかくなんざ、そうそうねぇ。目に見えねぇ、クソみてぇにヤバい何かがいた気がした。確証はねぇがな」

 

「や、ヤバい何か、ですか…」

 

やけに口数が多い兵長に驚愕しながら、

 

リヴァイ兵長という人物が言うからこそ、ことの異常さがわかる…これは明らかにおかしいと。

 

これまでの改変具合はまだ軌道修正が可能な範囲だった。巨人が増えたり、イベントの早期回収で後に繋がるイベントが遅延したりと、まだ俺一人で片がつく量だった。

 

これからはもう少し念入りに進めることが求められるということか…俺が壊れるのはいいが彼らの人生が壊れるのは避けたい。はぁ…考えることが増えたな…やり甲斐しかないけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、テメェはどうしたい?」

 

「……急ですね。何がですか?」

 

兵長から貰った紅茶を飲みながらまったりこれからのことを考えていたら、その本人から意味のわからない問いを投げかけられる。

 

 

「作戦の件だ。参加してぇのかしたくねぇのかだ、さっさと言え」

 

「…そりゃ同期ですし、聞きたいこともありますから参加するつm「その身体でか?」……何が言いたいんですか」

 

包帯まみれの俺の胴体に向けて指をさし、鋭い眼光でこちらを突き刺してくる。それに対しこちらも負けじと目を細めて注視する

 

 

「さっきみてぇに他人の機微には気づく癖して、テメェ自身のことは一切気づかねぇのか?」

 

気づかないんじゃない、気にしてないだけだ。

俺を変人扱いするな脳筋アッカーマン

 

 

「…そんなの気づいてますよ。怪我だって殆ど治ってますし、その上で大丈夫と判断しただけのことです」

 

「だとしてもだ。それでまたボロ雑巾みてぇになるまで人命救助か?テメェ……何のために命懸けるんだ?」

 

机越しにこちらへ手を伸ばし、胸ぐらを掴まれる

 

 

 

「……どういう意味ですか」

 

「言葉通りの意味だ。目に見える成果があろうが、死に急ぐ部下を平然と送り出すようなバカじゃねぇんだ、オレは。さっさと言え」

 

 

死に急ぐ部下、ねぇ…

間違ってないけど…もう少し言葉選べないのだろうか、やっぱりアッカーマンは野蛮。これじゃエレンと区別がつかなくなるじゃないか

 

 

それに、命を懸ける理由?

そんなのあの時から変わってない

 

 

「……大切な人達に幸せになって欲しい、それだけです」

 

「────っ」

 

 

俺の発した言葉に一瞬だけ目を細め、すぐさま戻して言う

 

「……だからって、身体ぶっ壊してまでやるってのか? 誰に頼まれたわけでもねぇのに」

 

「それで自分の理想に近づくのなら、何度でも」

 

 

掴まれる力が弱まっていき、とうとう手が胸ぐらから離され、お互い背もたれに勢いよく寄りかかる形となった。

 

そのまま頭に手を当てながら兵長は言う。

 

 

「なら…テメェに助けられた奴は、死にかけのテメェを見てどんな顔すりゃいいんだ?」

 

「……さぁ。そりゃ実際何度も見てきましたから…こっちだって辛いですよ。俺なんかのために泣いてくれる人も居ましたし」

 

「なら尚更「だけど」……」

 

「…それじゃダメなんです、身勝手ってのは分かってます。…それさえも恐れて、止まって、救えたはずの大切な人達を見殺しにしたら………絶対…後悔する。そんな物語、俺は絶対に認めない。認めてたまるか」

「アイツらが不幸せになる筋書きを認めるぐらいなら………その未来ごと、俺の命で塗り潰す」

 

 

 

 

 

 

「─────」

「あぁそうかよ、そういうことかよ。テメェは…」

 

兵長はそのまま顔を真上に向け、しばらくの静寂がこの部屋を支配した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side リヴァイ

 

 

コイツは───昔のオレだった。

 

 

なんでも出来ちまうと、なんでも守れると勘違いしちまった、クソガキだった頃のオレだと、そう思っていた。

 

 

これまでコイツの行動の節々から感じた嫌悪感は、過去の自分を見ていたからだと理解しちまったし、納得もしちまった。

 

 

芯は違えど身勝手で、けど仲間は大事で、掃除にも手を抜かない

 

 

強いて違いを挙げるとしたらただ一つ

 

されど致命的なもんだ

 

 

 

 

覚悟の分岐点で

 

コイツは間に合っちまって

オレは間に合わなかった

 

ただそれだけのこと

 

 

 

だからコイツは、後悔を恐れて、自分を壊せばなんでも救えると思い込んじまった。

 

だからオレは、後悔を恐れずに、これまで多くの仲間を自身の選択で見殺しにしちまった。

 

だからコイツは、理想を求めようとした。

 

だから俺は、理想を全て捨てざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その比較もここまでだ。

 

真意がはっきりした今ならわかる

 

コイツはおかしい。

地下街のあの屑野郎共みてぇな後天的なじゃねぇ、根本からだ。

 

それでいてなにかに執着してるようにも見えた。異常なまでにな。

 

 

その標的が何なのかはわからねぇ。だがペトラやエレンらに向いていたのは確かだ。……オレも例外じゃねぇかもしれねぇが

 

 

だが決して直視してる訳じゃない。オレらを見ながら、オレらとは違う、別のモノを見ている。

そんな感じだ

 

あの目で見られるのは心底不快だ

 

 

 

(あの野郎……まだ他に何か隠してやがるな…)

 

 

裏切り者だとかそんなのが可愛く見えるぐらいの何かを、な。

 

だが唯一信じられるコイツの言葉は、エレン含むアイツらの幸福を願うこと。ただそれだけだ

 

 

こちらに何か不利益をもたらすもんじゃねぇだろうし、今のところエレンと離反する予定も、エルヴィンの方針にはない。つまり触れる必要はねぇってのが現状最適解だ。

 

 

 

だが最悪、万が一でもオレ達と対立することになったら………タイマンでコイツを止められるのは兵団の中でオレだけになることも否めねぇ、まぁしねぇだろうけど

 

 

(……その時が来たのなら、オレがケリをつける。お前を信じるって選んだ以上、どんな結末でもな)

 

 

 

(だから──オレに、お前を殺すような真似はさせんじゃねぇぞ。……セラス)

 

 







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