こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ!   作:山崎春のご飯まつり

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難航しました。

対戦よろしくお願いします


5、

 

 

 

どうやらエレンは無事合格を貰ったらしい。破損状態で耐えられるならば既に上澄みだろう。

 

そんなことよりこの後の立体機動の訓練だ、ミスったら普通に死ぬって教官も言っていた。気引き締めないと。

 

 

──────────

 

 

訓練の内容は一見簡単だ、スタート地点から立体機動でゴールに向かうものだ。

 

ただその道中に教官が大木の後ろから模型を出して進路妨害をしてくるため、それを避けながら進んでいくのだ。

 

教官の合図で始まった。

 

ボタンを押して2つの木にアンカーを突き刺す。ワイヤーを巻き、その慣性で空中に投げ出される所を体勢を整えて枝に着地する。

 

模型にぶつかったり速度を遅めて慎重に進んだりする人もいる中、やはり異例の動きと言うべきか、アニやミカサといった上位組は慣れるのが早い。俺は念の為中間地点まで様子を見ながらガスを温存しておくことにする。

 

中間地点が見えた。どうやら補給ができるらしい、ガスを補給して飛び立つ。

 

前半と違ってガスを小刻みに放射して早くかつ緻密に動けるようにする。出てきた模型には体勢をうつ伏せにして下を潜るようにガス噴射して避け、また上昇する。

 

木を蹴って避け、ガスの噴射方向を微調節して速度を緩めずに加速し続ける。

 

不思議とこうすれば早くなるのが分かる。

 

加速し続けた視界は情報を受け取らせず流れていく。

 

最低限の情報を得るために目に集中し、模型と木の幹以外の認識を無視する。

 

視界の一部が赤くなる。額のところが少し切れたのだろう、構わずガスを噴射して速度をあげる。

 

─左から来る

斜め下に吹かして躱す

─右から来る

奥にアンカーを刺してそこを軸に下から回る要領で躱す

─右から来る

木を蹴り体をくねらせてギリギリ躱す

 

ゴールが見える。地面に浅い角度で降り、足の負担を減らしながら地面を削り静止する。

 

「はぁ…はぁ…」

 

低酸素で空っぽの肺に思いっきり酸素を入れる。視界がクリアになってきたところで自身の状態を確認する。体が少し痛い。

 

額を触ると切り傷のように一ノ字に血の跡が付着している。恐らく木の枝が掠めたのだろう。

 

ガスメーターを見るとギリギリ間に合ったみたいだ。試しに少しガスを吹かすとすぐに切れる音がした。

 

先に到着した奴らはベルトルトやミカサ、アニなどがいる。恐らく初手からスピードを緩めずに行ったのだろう、才能だな。

 

次いでライナー、ジャンと到着する。ジャンが俺より後なのは意外だった。

 

しかし、この吹かし方を実践に投入するのは最後の最後にしよう、使ったらあとがない。しかも体への負荷が重い。

 

座っているとエレンに話しかけられる。

 

「なぁセラス!さっきの動きどうやったんだ!?」

 

「ん?あぁ、あの吹かし方はオススメしないよ、あまりにも短期決戦向けだし、すぐにガスが切れて巨人の餌だ」

 

「そうなのか…どうにも速度が上がらなくてな。気に食わねぇがジャンにも頼んでみたが下に見られて終わっちまった…」

 

「それはそれは…ベルトルトとかどう?俺より早くついてたし」

 

「そうしてみるよ。ありがとなセラス!」

 

この時はまだ少年って感じなんだな、願わくばそのままでいて欲しいが。

 

 

 

 

 

血を洗い流すのも兼ねて水場にいくと、ライナーとクリスタが話していた。確か2人ともいずれモテランキング1位になるんだっけ?

 

こうして見ると中々お似合いなんだけどなぁ…金髪同士だし、ただ2人共お互い相容れない存在だからなぁ…ライナーは鎧だけでなく恋愛も脆いんだね。今のうちに信頼発言してボロボロメンタルの時に掘り返して心も壊してあげようかな、なんてね。

 

にしても結構ぱっくりいったなこれ、手当が少し大変だ。母さんも俺が怪我した時はこうやってくれたんだよなぁ。いや、基本内側の怪我だったから母さんと言うよりかはお医者さんが多かったか。

 

そう考えていると目がぼやけてよく見えないが金髪の人物が近寄ってくるのに気づく。もしやクリスタか?あぁ、なんて優しさなんd

 

「おい、お前怪我してるじゃないか。大丈夫か?」

 

ゴリライナーかよぉ。

 

 

雑だが手当をしてもらった、頼んだら割とすんなりしてくれたから助かった。

 

 

────────────

 

 

「ふぅ…」

 

今日も疲れた。横たわる丸太に腰掛けていると隣に誰か座ってくる。ミカサだ。

 

「ミ、ミカサ!?…エレンはどうしたの?」

 

「エレンはライナーたちとトレーニングしてる」

 

脳筋共がよぉ…

 

「サ、サシャとかは?」

 

「サシャは教官の食料庫に入って叱られてる」

 

あいつバカじゃないの??

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

とても気まずい…

 

「…今日の立体機動の訓練であなたの動きを見てた」

 

「あぁ、そう」

 

「…セラスは昔、突然強い力に目覚めたことはある?」

 

あるにはあるが、どう答えたものか。馬鹿正直に答えるのも現実味がない。

 

「まぁ、あるけど…」

 

「っ!その時どう感じた!?」

 

ミカサが急に声を張り上げる。感情の起伏どうなってんの?

 

「い、いやどうも感じなかったけど。なんならその後の生活不便になったし」

 

「不便?」

 

「目覚めたっていうか体のリミッター外れたせいか体ボロボロになりやすくなったというか」

 

それを聞いたミカサは考える仕草をし、すぐに口を開くと、

 

「私は力が湧いてなんでも出来そうな感覚を覚えた。あなたは違うの?」

 

「俺は無意識になったからな、セーブしてないとボロボロになる。さっきの速さだって結果的にゴールしたが、体が痛くてあの後戦闘すらできない自信がある」

 

「…それはセラスの吹かし方が無茶苦茶すぎるから。ガスの使用も雑、それに人によってはあの速さは失神する。始めたてでする速さじゃないと思う」

 

正論すぎる。才能がないんだよ勘弁してくれ。

 

「けれど、セラスの動きは見習える所もあった。感謝してる」

 

「あぁ、うん…どういたしまして」

 

「…今日はありがとう、知りたいことが知れて良かった」

 

そう言うと立ち上がって宿舎に戻っていく。やはり苦手だ。アッカーマンは気難しい人が多いのだろうか。

 

ん?影から馬っぽい顔がこっち向いてたな。脱走したのか?

 

 

────────────

 

巨大樹の森とまではいかないものの、なかなかに大きい木が集まった森に、訓練兵が集められた。

 

「これより戦闘訓練を行ってもらう!この訓練を突破できぬ奴は巨人の周りを飛び回るハエでしかない!そんなハエどもには巨人どもの囮にしかなれない!何も出来ずに死にたくないのならば心してかかるように!」

 

『はっ!』

 

 

内容はこうだ。森に設置された巨人模型の各部位に的が付けられており、それを削ぐことで得点を競うらしい。

 

皆がそれぞれ装置の確認をしていて、かくいう俺も念入りに見てると肩を叩かれる。顔を上げるとジャンがいた。

 

「なぁお前、昨日ミカサと2人きりで話していたよな?どういう関係性だ?」

 

見てたのか。あぁ、あの馬面はジャンだったか。納得納得

 

「同じ地獄を見たよしみだ、それだけだ」

 

「…じゃああの死に急ぎ野郎と同じシガンシナ区か…お前も調査兵団志望か?」

 

まぁそうでしか目標は達成出来ないからな。

 

「あぁ、その予定だ」

 

「はっ、そうかよ。お前はあいつと違ってもう少し現実を見るべきだな」

 

…ジャンの思ってることは分かる。現状を打開する可能性がない今、巨人に勝てるビジョンなんて想定出来ない。ならば生きる可能性の高い内地に行くことが現実的だ。ただ、

 

「理想を追うのも、悪くないだろ?」

 

「……それは強い奴が考える思想だ。まぁいい、精々死なねぇように足掻くことだな」

 

手を振って立ち去るジャン。さて、俺もそろそろ集合場所に向かおうかね。

 

「制限時間は10分だ!10分以内に削いだ部位で得点を競ってもらう!では始め!」

 

木と木の間をすり抜け、目標を見つける。

 

ゲームであった足から狙って足足腕腕項の順で連続で攻撃するスキル。それをイメージする

 

足を狙う。現在地と足の一直線上にある木にアンカーを刺し、ガス噴射して足を削ぐ。

 

すかさずアンカーを外し、ガスを噴射して急上昇しながらうなじを削ぐ。

 

ぎこちないができた。無理な動きをしたから体は痛むし、腕の負担を減らすために加速でガスを結構使った。本物なら肉にアンカーを刺せるしもっと緻密に動けるだろう。

 

再現出来た高揚感に惑わされ、すぐに空中で回転し体勢を整え次の標的を探す。

 

的を見つけると近くにはエレンやジャンがいる。

 

先の出来事で気分が最高潮に上がっていたのもあり高速で狙いのうなじを刈り取る。

 

「なっ!」

「早すぎるだろっ…!」

 

─的を見つける。削ぐ。

─的を見つける。削ぐ。

 

周りの驚愕の声は一切意識になく、その時既に俺の中にはガスの心配なぞ、とうに考えていなかった。

 

 

 

 

暫くたったのだろうか。

教官の声が響き、それに意識が傾く。

 

「中間成績を発表する!

3位、ベルトルト・フーバー!

2位、ミカサ・アッカーマン!

1位、セラス・アービス!」

 

「え!?」

 

想定外の事実に動揺してしまい、アンカーを外してしまった。

 

「やべっ体勢を整えねぇと。……………は?」

 

カチッカチッ

 

ボタンを押す音がするだけだ。まさか。

 

メーターを見る。

 

…既に空だった。

 

「かはっ…」

 

急いでどこかの木にアンカーを刺そうと前を見ると、太い木の枝に頭がぶつかり、視界が歪み、体勢を崩す。

 

…頭にすごい空気抵抗を感じるから、恐らく頭から落下してるのだろう。

 

頭上を見上げる。いや、見下げると言うべきか。高さは恐らく2~30mと言ったところだろうか。

 

脳震盪のせいか、体が上手く動かせない。どのみちガスもないし落ちるしかない。即死か、よくて植物人間だろう。

 

 

目的をひとつも達成出来ずに死ぬ。しかも訓練中とか、なんとも空虚な人生だろうか

 

アルミンやクリスタとかに申し訳ない。

 

せめて即死するように。そう願いながら目を閉じてると、足を掴まれる。目を開けるとジャンがいる。

 

「ジャ、ジャン!?」

 

「お前よぉ…!言ったそばから死にそうになってんじゃねぇよっ!」

 

思いっきり持ち上げられ、低空飛行の時に投げ出される。助かった。

 

すぐに教官が寄ってきて事情を話す。演習の続行を提案されるが傷を鑑みて辞退した。

 

数分後に教官の合図を最後に演習が終了する。最終成績を発表され、内容を見ると7位で34点だった。

なかなかいいのではないだろうか。

 

1位は当然ミカサで54点。2位でアニの47点と続いている。

 

演習を終えた安心感か、頭の痛みもあって徐々に体の力が抜ける感覚に陥る。

 

視界が揺れ、体に痛みが走る。アルミンが駆け寄って来るのを最後に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 





一番好きなキャラがジャンなんですが、結構複雑な心理なんでかなり迷いました。まぁ入れたんですけどね。

暖かい感想待ってます。

ヒロインって誰がメジャー?

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