こんだけのガスであんな動き出来るわけないだろ!   作:山崎春のご飯まつり

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ジャンっていいキャラしてますよね。


6、

 

 

 

目が覚める。体を動かさず眼球のみを動かして周りを確認する。……どうやら医務室のようだ。

 

ドアが開く音が聞こえる。見るとシャーディス教官が入ってきたようだ。上体を起こして敬礼の姿勢をする。

 

「起きたか、アービス訓練兵」

 

「…はい」

 

「診たところ単なる脳震盪らしい、ガスを切らすとは全く情けない」

「巨人を殺す上で刃とガスの残量の確認は必須事項だ愚か者」

「あのままでは数匹殺してお陀仏だ、巨人の餌になりたくなければ念頭に入れておけ」

 

 

容赦のない言葉の数々が心をズタボロにする。もうお腹いっぱいだ…

 

「しかし、動きについては現状トップクラスだ。実戦を想定した動きであったことも評価しよう、励むといい」

 

そう言うと部屋から出ていってしまった。悪い所は悪い、良い所は褒める。一貫性があってとても好感が持てる教官だ。

 

入れ替わるようにクリスタが入ってきた。可憐だ、訓練で鍛えたのもあってか体幹が良くなってる気がする。

 

「あっ起きたんだ!シャーディス教官が出ていくのを見たからもしかしたらと思って見に来たんだ。無事で良かったよ」

 

「ごめん、心配かけて。もしかして運んでくれたのもクリスタ?」

 

「アルミンが先に駆け出して、私もその後に続く形でね。けど私たちだけじゃ限界で」

 

「私も運んだって訳」

 

ユミルがドアからひょっこり顔を出してきた。

 

「まぁ前回お前にも芋女を運ぶよう頼んだからな、借りを返すのも含めて手伝ってやったのさ」

 

「そうか、2人ともありがとう」

 

「うん!」

 

「次はねぇからな」

 

 

 

 

窓を見たらもう夜だ。散歩も含めて遠回りしながら宿舎に戻るか。

 

歩きながら今日の反省点を考える。どんだけ動けてもガスがなければ一巻の終わりってのは今回の一件で重々承知した。

 

得点に固執しすぎた。ここはゲームじゃない、現実なんだ。討伐した数よりも生存した時間の方がすごいとされる世界なんだ。

 

少し驕っていた自覚はあった、9才かそこらで巨人を殺したことで自信があった。だが、死ねばそこで終わりなのだと思い知らされた。

 

この世界の残酷さに思いをふけていると目の前にパーカーを着た金髪の少女がいた。フードを被っていて顔が見えない。夜も遅いため念の為声を…

 

「誰?」

 

かけるまでもなく気づかれてしまった。どうやら正体はアニだったようだ。

 

「あぁ、あんたはさっき運ばれてた…何か用?」

 

鋭い眼光が俺を突き刺す。かなり警戒してるようだ。どうにかして警戒心を解かねば…

 

「もうすぐ晩飯の時間だ。何より夜は物騒だからな、俺みたいな奴が数人がかりで襲ってくるかもしれないから声をかけようとしたんだ」

 

「…じゃあできるか試してみる?」

 

ファイティングポーズをとってこちらを睨みつけている。え…そうはならなくね?

 

「ちょいちょい!なんでそんな事になるんだよ!」

 

「フッ!」

 

制止の声を無視してアニがローキックを放つがかろうじて避け、風切り音のみが響き渡る。本当にローキックだよねこれ?

 

距離を取ってのハイキックも手で受け止める。

 

その後も所々受けはしたが何とかいなしてるとアニが止まる。

 

「…私の技をこんなに受け止めたのは兵団ではあんたが2番目だよ、誇っていいよ」

 

「こちとら病み上がりなんだよ。慈悲を込めろ、慈悲を」

 

「悪かったよ、少しイライラしてた。八つ当たりしてた自覚はある」

 

「よりタチが悪いわ、無差別すぎる」

 

「…別に相手は選んでるよ。昼のアンタの動き見ていけるって思っただけ」

 

「なんだそれ?暴論すぎるだろ」

 

 

 

「自覚ないようだけどアンタ、斬撃速度は多分一番速いと思うよ。本当に厄介になりそう…

 

なんか最後ら辺聞こえなかったけど、いいや。そんなことより足が痛てぇ…

 

足を抱えて蹲っていると手を伸ばされる。

 

「…私も悪いと思ってるよ。ほら、食堂まで肩貸してあげるから」

 

ではお言葉に甘えよう。後ろから首に腕を回して半身を密着させる。いい匂いがする。

 

「アニさ、あの動き教えてよ、将来使うかもしれないし」

 

「…なんで。アンタらは巨人を相手にするんだから対人格闘技なんていらないでしょ?」

 

「(将来憲兵とも戦う可能性が高いから)敵は巨人だけとは限らないからな」

 

「っ…!」

 

途端に酷い顔をし始める。体調でも悪いのだろうか。

 

「おいアニ、大丈夫か?…動くなよ」

 

回した手を外して額を合わせる。

 

「ちょっ…!」

 

アニは俺が知ってるところまではずっと硬質化の中で生きてるはず。生きてる主要キャラが後の展開に意味を持たせないなんて考えられない。

 

だとすれば今回の不調の原因は恐らく俺が起因してると考えられる。見積もりが甘くなければ、起因した俺1人が解消させれば相殺されて大幅に原作に外れることはないだろう。

 

「っ…もう大丈夫だからもう離れてっ」

 

目を見るといつもの眼光に戻っている。どうやら言葉に嘘はないようだ。ただ少し頬が赤い気がする、おたふく風邪だろうか。

 

「それよりさっさと戻るよ!」

 

そう言うとグッと手を引いて肩を貸してくれる。簡易検査とはいえ気持ち悪いことした自覚はあるんだが、優しい。

 

なんでこんな子が人殺してんだろ。

 

 

 

 

 

 

 

食堂に着くと、アニは引いた手を離し席に着く。俺も空いてる席につくと、

 

「あ、ジャン」

ジャンがいた。

 

「あ?…なんだ、死に急ぎ野郎2号じゃねぇか」

 

「えっ何その呼名」

 

「言葉の通りじゃねぇか、言ったそばから死にそうになってんだかんな」

 

…それもそうだな。ぐうの音も出ねぇや。

 

「だが、俺には一応死んだ母さんがくれたセラスって名前があるんだ」

 

「……そうかい。でセラス、俺になんか用か?」

 

「あぁ、感謝をしに来た。あの時は助けてくれてありがとう」

頭を下げて感謝を連ねる。

 

ジャンは呆れた顔で

「本当だぜ?目の前で血溜まりなんて見たきゃないってのに…今回は特別に助けてやったが、そのせいで点数が下がるのはごめんだからな?次は気をつけろよ?」

 

「あぁ、善処する。今回は助かった」

 

「ところでよ、お前アニと入ってきたよな?何してたんだ?」

 

「え?森の前で見かけて声掛けたら急に襲われて足怪我したからアニに肩貸して貰ってた」

 

「…なんだそれ。まぁお前も苦労したんだな」

 

鼻で笑うような、しかし同情のような目にも見える。この馬面は何を考えているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

飯が終わり座ってるとアルミンが話しかけて来た。

 

「ぐったりしてるね…大丈夫だったかい?あの後アニに襲撃を受けたって聞いたけど」

 

「襲撃?…うーん、まぁ襲撃、なのか、な?まぁ大丈夫ではあったよ。足は悪化したけど」

 

「あははは…災難だったね。けど、アニはかなり人を寄せ付けないイメージがあるから話を聞いた時少し驚いたよ」

 

俺も血気盛んな性格とは思ってなかった。思いのほか愉快な性格なのかもしれない。

 

「ところでセラスは明日の休養日、何か予定はあるのかい?ちなみに僕はミカサとエレンに座学を教えようと思うんだ」

 

休養日か、特に何もすることないし足を休ませながら街探索でもするか

 

「いや特にないから、トロスト区の商店街をのんびり探索しようと思う」

 

「そうなんだ。トロスト区といえばさっき、コニーとサシャも明日トロスト区に行くって言ってた気がするよ。もしかしたら鉢合うかもしれないね」

 

サシャとコニー、か。あまり接点がないから少し期待しておこう。明日が待ち遠しい。

 

 

 

 

─────────────

 

 

 





あったけえ感想待ってます。

ヒロインって誰がメジャー?

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