ぼろ布のほつれ(切り札の相棒ヤリモンを試合で温存してたら病んだ件) 作:もう助からないゾ♡
天井知らずの相棒、1進化止まりのオイラ
オイラはヤリモン。名前はチケープ。黄色・青色のツートンやわらか丸々ボディだ。…腕はまだ無い。
どこで生まれたのかは全く見当がつかないけど、民家の薄暗い地下室に臥していたことは覚えている。
オイラはここで相棒、のちにトレーナーとなるフッ太と出会った。
おかっぱ小太りな少年で、夢は例に漏れずヤリモンマスター。要するに世界で一番ヤリモンバトルが強いトレーナーになりたいってことだな。
…あと、めちゃくちゃ性欲が強い。10代の若さ故か、一日10発以上発射することだって珍しくない。まぁ、主にティッシュ相手なんだが。
冴えない風貌も相まって、その性欲に反して悲しいほどにモテない。
…兎も角、相棒に出会って以来、オイラはパートナーヤリモンとして居候しているってわけだ。
ところで、相棒はここ最近ずっと、落ち込んでいる日が多い。
理由は仲のいい友達が旅に出たり、母親が出稼ぎに行って家に居なかったり、高慢ちきな
一番の根本的な理由は、ヤリモンと意思疎通し仲間にするためのアイテム、「スター鉱石」を光らせることができないことだろう。
捕獲機であり命令伝達装置でもある「スターディスク」の最重要パーツ、「スター鉱石」を起動させることができなければ、野良のヤリモンを捕獲し手なずけることなど到底不可能だ。そして、公式戦は
少なくとも相棒の周りには、スター鉱石を光らせられない人は一人としていなかった。それだけ、相棒の住む世界では普遍的な資質。周囲の中で悪い意味で唯一の例外だった相棒は、同世代の人間からよくいじめられていた。
最近なんてヤリモンバトル中継や、ヤリモン生態動画、戦術本とかもあまり見なくなってしまった。
…オイラ?オイラはなんかよくわからないけど、相棒とスター鉱石無しで会話できる。尤も、相棒以外の人間とは話せないし、相棒もオイラ以外のヤリモンとは会話できないらしい。というか、普通のトレーナーはパートナーヤリモンと会話なんてできない。
そんな一連托生のパートナーヤリモンたるオイラがついてるんだ。相棒は何も心配することはない。
オイラが三体分の働きをして、今度こそ相棒に胸を張らせてやる!
取り敢えず今日のところは、あの高慢ちきなメスガキとそのパートナーヤリモン、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オイラはチケープ。つい先日進化して、くたびれたマスコットキャラクターみたいな風貌になった。腕も短いけど生えた。
件のメスガキとバリバリスには、オイラの「
チートタックルの説明?
オイラが相手に体当たりする。絶対先制技で相手は死ぬ。(戦闘不能的な意味で)
そしてあの一戦以降、相棒のスター鉱石が光り始めたのだ。光り始めたということは、オイラ以外とのヤリモンを仲間にできるようになったということだ。
相棒は今嬉々として、ヤリモン達を収集している。
バトルシティで会った相棒の幼馴染の「レオ」も、少し前向きになった相棒を見て随分喜んでいた。
ヤリモンバトルの戦績もオイラがチートタックルを習得してからは連戦連勝だ。
戦い方としてはとてもシンプル。手持ちのうちオイラ以外の2体のヤリモンで相手の手持ちを2体以上削り、3番手のオイラが残った最後の一匹を必殺技で華麗にフィニッシュ!
最初っからオイラの必殺技で3タテすればいい?
そうしたいのはやまやまだけど、どうも必殺技を使うとダルくなってしまう。具体的には、必殺技は1試合に1回。それが現状の限界。
故に相棒の戦術は、如何に相手の手持ちを同数以下に削るかに集約される。
手持ちで出せるヤリモンは3体までだから、同数以下まで削れば、3番手のオイラの必殺技でほぼほぼ勝てるって寸法だ。
最近他のヤリモンも育ってきたのもあってか、オイラの出番が回ってくることが少なくなった気がする。…もちろん、一番のパートナーヤリモンはオイラだけどな!必殺技の使用回数制限も直ぐに克服してやるぜ!
…ちなみに相棒は試合後の「支払い」でも全戦全勝だ。
「勝・即・犯」がルールとはいえ、多い日は20人相手だったりと、とんでもない精力を発揮して、オイラも正直驚いている。
というかそれだけの数勝負を挑まれているくらいには、相棒って見た目で侮られているんだな…
最近よく見る夢、エネルギーがどうとか、新生物とか…
相棒も同じ夢を見てるし、まったくわからん。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
オイラはチケープ。以前の進化から一月ほどたったが、姿はくたびれたマスコットキャラクターのまま。…もしかしたら、もう進化できる先はないのかもしれない。
相棒は絶好調。…それはもう、すごく絶好調だ。
並み居る各地の実力派トレーナー達を、黒星一つ付けられることなく、次々撃破した。
…例え、相手がスタートレーナーであっても。
ヤリモンバトルにおける各属性の「奥義」を伝承するジムリーダーは言わずもがな。
1歳の頃からヤリモン使いとしての英才教育を受けてきた
変態教祖に頭を弄られるも、バトルの強さは未だ健在の闇属性使い、漆黒のアヤ。
コンカフェのキャストでありながら、超一流の水属性使い。デートの賭け試合は向かうところ敵なしのミズキ。
変装の技術に長けた天才爆乳忍者、トトロ。
和の里シンエイ流当主であり、新進気鋭の若手トレーナー、ナナセ。
同じ和の里里長の娘姉妹にして、最強の配偶者を探していた闇属性/炎属性のプロフェッショナル、黒姫と桃姫。
予知能力により試合を
頭脳明晰な名探偵にして、相棒の親友(+)を自称する男装女子、アキラ。
ルインズシーカー公式コスプレイヤーにして、歴戦の冒険者、クエム。
一線こそ退いていていたものの、未だ屈指のヤリモン使いとしての実力を誇るヤリモン研究者、ルナ。
ヤリモンと魂の研究を続ける闇属性のパイオニア、魔女のブリトラ。
ハジメムラNo.1のグラマラスにして、かつてトーナメントを席巻した実力派トレーナー、サナエ。
他のスタートレーナーと比較しても頭一つ抜けた実力を有する女プロレスラー、白銀のタイガ。
…そして、トレーナーとして成長目覚ましいフッ太の幼馴染二人。
ルナの娘でフッ太(とオイラ)にだけ当たりの強いツンデレメスガキ、青い稲妻のヒカリ。
昔からの親友でチャンピオンを姉に持つ、実は女の子だった系ボーイッシュ女子、紅蓮の超新星レオ。
そんな、世界でもトップクラスの実力を持つ奴らを、旅に出て2か月足らずの相棒が鎧袖一触と言わんばかりに撃破した。そして、それらの戦いにおいて
1番手だけで、相手の3体を圧倒する試合だって多い。もはや、2番手を見せることすら少なくなってきた。それが今の現状。
…ここまでなら、相棒の育成したヤリモンが並外れて強かった、ってだけで済んだのかもしれない。
でもつい先日のこと、相棒とオイラは、以前懸賞で当選したチケットを使いリゾート島へバカンスに出かけた。
…そして、相棒はそこで開かれていたある大会に参加した。そこでは、手持ちのポケモンは使えない。使えるのは、参加者共通のレベルで統一された、大会運営から指定されたレンタルヤリモンだけ。競われる部分は、選択したヤリモンとの相性、そして純然たるヤリモントレーナーとしての技量。
…無論、図鑑に載っていないオイラは参加すらできない。
そして、相棒は優勝した。スタートレーナー達、果ては歴代最強のチャンピオン「アテナ」さえ撃破して。
相棒は強い。試合の流れを終始コントロールし、相手の強みを殺し、自分のヤリモンが最大限力を発揮できる環境を手繰り寄せる。アテナとの戦いでも、同条件の上で、試合の主導権を常にリードしていた。
相棒のトレーナーとしての実力は既に、チャンピオンの頂きを制する域にある。…改めてそう思い知った。
一方、今のオイラの出番は、他トレーナーとのバトルにおける、出番のない「三番手」、そして人目のないところでの「ヤリモン捕獲要員」だ。成熟したヤリモンは、野生下では繁殖期を除いて基本的に群れないものが多い。故に未だ一戦に一回しか使えないオイラの必殺技でもほぼ確実に捕獲できる。
…その役目すらも、人目のある所では
「どうして、バトルでオイラを使わないのか?」と思わず問い詰めてしまったときもある。
相棒は、「チャンピオントーナメントに向けて、
そのあと、相棒から「チケープが先発の方がいいなら、それ用に戦術組み直すけど」と申し出てくれたのを、反射的に断ってしまった。…嬉しかったけど、やっぱりオイラだって相棒が戦いやすいように戦ってほしい。
…でも、オイラは必殺技を除けば凡庸なヤリモンだ。腕力も、タフさも、スピードも基準値以下。だから必殺技を覚える前は、ヒカリのバチバリスに99回も負ける破目になった。その必殺技も未だ1バトルにつき1回しか使えない。
それに比べて、現在の相棒のパーティーのスタメンはあまりにも強い。
相棒が初めて捕獲したヤリモンにして、素早い機動と鍛えた技で相手を翻弄する猛禽、ガルドリー。
先制攻撃で敵の出鼻をくじき、敵を倒すごとに攻撃が鋭くなる全身刃物ロボット、ゴーゴーギン。
ガルドリーに匹敵するスピードと、一度倒れても尾羽の灯の奇跡で再び起き上がる不死鳥、ファルックス。
多彩な状態異常攻撃と、鋭い嗅覚で相手の弱点をこじ開ける大狼、ガルルガン。
堅牢な耐久力とシチュエーションによらない安定性を有する仕事人、ビルドーマ。
…そして、オイラと同じく外来のヤリモンにして、3タテを量産する現在の相棒の絶対的
みんな、あらゆる状況下に対応できる力を持っていて、
…だから考えないようにしても、考えてしまう。相棒にとって、弱いオイラなんてとっくに要らなくて、お情けでおいてもらっているだけなんじゃないかって…!
…違う。相棒は「エースのチケープ」と言ってくれたんだ。
オイラはその言葉を信じる。そして、もしトーナメントで出番が回ってくれば、それに相応しい活躍をする!
だから、こんな辛気臭いことばかり考えずに、最近楽しかったことを思い出そう!
うんうん、リゾート島で相棒と一緒に食べたパフェは美味しかったな!
オイラの頼んだイチゴパフェはもちろんだけど、相棒が分けてくれた桃とマンゴーのパフェも絶品だった。
…横で、
…ジェイリアンは、
人目に付きにくいそんな場所にいたヤリモンの位置がどうしてわかったのか、相棒に尋ねたところ「助けて」と弱弱しい声が聞こえてきたそうだ。
…それが幻聴だったのかはさておき、新種の生態が分からないヤリモンに近づく相棒の不用意さはどうにかしてほしい。…でもそうじゃなかったら、オイラも相棒に助けられていなかったか。
そこから2週間ほど、クリオネ擬きのラブジェルは相棒の下、すくすく進化を重ね
…話題を変えよう。
最近も偶に夢を見る。…別に相棒に捨てられる夢じゃない。
夢に出てくるのは、狭い部屋に幽閉された白髪の少女「フレア」と、そのお世話をするメイドロボット「T-03(テレサ)」、そして、フレアに抱きかかえられる、オイラと同じ姿をしたヤリモン。
フレアは、民衆の魂エネルギーを利用可能なエネルギーに変換するために欠かせない実験体らしい。そして、エネルギーの枯渇した夢の中の世界ではその実験が必要不可欠で、彼女も望んで協力している、らしい。
少なくとも、「セントラル」…ヤリモントーナメントを主催する企業でもある、が各世帯に十分なエネルギーを供給する現実世界では考えられない話だ。
見知らぬ人間達が毛頭知らないことについて話している。そこにオイラと見た目の似たヤリモン?がいる。
まだ見ぬ同種なのか、あるいは…
少なくとも、オイラの記憶には無い。
そして夢の内容についてこれ以上深く追求する気もない。
なぜなら、相棒のヤリモントーナメント決勝の日が近づいているからだ。
旅行から帰ったあと自宅の相棒のパソコンには、未読メールが山のように積み重なっていた。
その中には、決勝トーナメント出場依頼の知らせも…。
返信期限を超過しており出場停止の憂き目にも遭ったが、ヒカリ達他の出場者が強く「推薦」したようで事なきを得た。
(そのあと、ガン詰めしてきた幼馴染達に相棒は平謝りで謝っていた)
…全く、相棒をけなしたいのか、好きなのか、未だによく分からない幼馴染達である。
Q.なんでDLC2にしかいないジェイリアンを態々起用したの?
A. 可愛いらしい見た目で、強力な専用技持ち。リゾート島の開拓が進んでいない原作ではチケープと同じく新種で、図鑑での説明でも、出自が結構謎めいている。(情報戦でもアドがとれる)
特性も強力で、ストーリー進行中に出現したらバランス崩壊レベルで強い。(多分チケープ第二形態とタイマンはったら、技構成次第ではチートタックルありでも普通に勝てる)
…あらゆる意味でチケープのアイデンティティを崩壊させるのに適任だったわけです。
パーティーバランス的にも実はチケープと相互補完性がありますが、立証する機会も少なく、チケープは気づいていません。その他の理由は追々。
Q.チケープの一人称ってオイラ?
多分記憶を取り戻すまでは、原作での記載はなかったはず。
「オレ」でもよかっただろうけど、レオと被りそうなのでやめました。…心なしかパイモン味がする。