魔王バルドVS勇者セージ ~極悪非道なバーコードハゲ魔王をフサフサ勇者がやっつけるお話~   作:ナオ3

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多くの者たちが運命に立ち向かいます。


外伝 運命に抗う者たち

その王国に生まれた双子は、まさに“奇跡”と讃えられた。

 

兄――レオネル・アルトリア。

天性の剣才と智謀を持ち、十六で戦場に立ち、十八で隣国の侵攻を跳ね返した。

その剣は千の兵を凌ぎ、その声は民を癒す。

王家の誉れ。民の希望。名実ともに“理想の王子”だった。

 

妹――リエラ・アルトリア。

白金の髪に翠の瞳。

触れれば痛みを忘れ、言葉には祝福が宿る。

神殿の老神官でさえ舌を巻く回復の才を持ち、民から“聖女”と讃えられた。

兄とは対のように、美しく、穏やかで、優しかった。

 

そして――今日はその双子が二十歳を迎える日であった。

 

だが王都は沈黙していた。

鐘は鳴らず、商人は戸を閉じ、広場には誰もいない。

 

――それは“呪いの日”だからだ。

 

世界にかけられた、あの男――魔王バルド・コードによる絶対の呪詛。

二十歳を迎えたすべての者に課される、髪の運命。

 

男はバーコード。

女はうんこヘアー。

 

逃れられぬ絶望。笑えぬ悲劇。

それは容姿だけの問題ではない。

 

名声、尊厳、存在意義。

全てを一瞬で“見た目”という鎖で地獄へ突き落とす――それが“呪い”だった。

 

それゆえに、王国は賭けに出た。

 

王家の全権限を行使し、神殿と軍と魔術師団を総動員。

双子を王宮最深の**“聖域の間”に封じ、呪詛そのものを跳ね除けるための禁術結界**を展開。

 

いかなる侵入も許さず、外界の因果すら切断する魔術が発動された。

それはもはや“防御”ではなかった。

 

――祈りだった。

 

石造りの巨大な神殿の中心に、双子は背中合わせで立っていた。

光のない空間。だが彼らの立つ場所だけが、奇妙に温かかった。

 

 

「……兄様、震えてる?」

「……ばかを言うな。お前こそ、声が小さい」

「ふふ……緊張してるくせに」

「当然だろう。見ろよ……この国全体が、俺たちの頭の毛を心配してるんだぞ」

「……ねぇ、もし……もし呪いを防げなかったら、どうする?」

 

 

レオネルは答えなかった。

ただ、小さく笑った。優しく、哀しく。

 

 

「俺がバーコードになったら、お前が帽子をくれ」

「お前がうんこになったら、俺が毎日きれいに整えてやる」

「……え、それ優しさ? むしろ恥の倍プッシュじゃない……?」

「お前はどんな髪型でも綺麗だよ。うんこだって、黄金にしてやる」

「ばか……!」

 

 

互いに、冗談を言い合うしかなかった。

祈りは届かないかもしれない。

どんな結界も、あの魔王の呪いに抗えたことは、ない。

 

時刻が迫る。

術師たちが結界の外で刻を計る。

呪いの発動は誕生の刻、すなわち今日の正午。

 

刻限――あと、数十秒。

 

光が一層強まり、風が室内を撫でる。

双子の足元に敷かれた転写布がうっすらと震え出す。

 

 

「レオ……」

「言うな、リエラ」

「……うん」

 

 

最後の魔力供給。

術師たちが目を潤ませ、最後の詠唱を紡ぐ。

 

――だが、その瞬間だった。

 

空気が――凍った。

 

 

「……来る!!」

 

 

結界術士の絶叫が響いた。

結界が軋む。

光が揺らぎ、重力が反転するような感覚が王宮全体を襲う。

 

レオネルが目を閉じる。

リエラが手を握りしめる。

 

 

「……兄様、大好き」

「おう。」

 

 

時が――来た。

 

――運命の刻。

 

 光が満ちた。

それは希望に似ていた。

呪いの気配は断たれ、結界は正しく機能し、魔力の流れも安定していた。

 

 

「……成功、か?」

 

 

誰かが呟いた。

 

 

「呪いの気配が……消えた?」

 

 

術士たちは顔を見合わせ、司祭は天を仰ぎ、王妃は膝をついた。

そして、王が立ち上がる。

 

 

「レオネル! リエラ! よく耐えた!」

 

 

歓声が、弾ける。

 

結界の中心、双子の背に光が差し込む。

その光はまるで祝福のように彼らを照らし、世界がようやく彼らを赦したかのようだった。

 

――だが。

 

それは“溜め”だった。

 

その瞬間。

 

ゴオォォォォォォォォォォォォオオン!!!!

 

――爆発音。

 

いや、“爆髪”だった。

 

兄・レオネルの頭部が、炸裂する。

まばゆい光が王宮中に広がり、直後、金色の髪が降り注ぐ。

 

 

「っ……!?」

「な、なに!? 光が……頭からッ!!?」

「まぶしっ……見えないッッ!!」

 

 

バーコードだったはずの額に、**“バーコード状の金の光”**が出現。

しかもそれは静止していない。

左右から生えた極細の金線が、高速で“情報”のように点滅している!

 

 

――“バーコードフラッシュヘアー”!!!

 

 

「う、目が……!」

「情報過多ッ!! 網膜が焼けるッッ!!」

 

 

魔術師の目が潰れ、神官が失神し、

隣国の占星術師が自宅の天球儀を真っ二つに割った。

 

王国全土に金の閃光が走り、レオネルの名を刻んだ騎士団の紋章すら更新された。

今や彼は「光の王子」ではない。

 

“閃光のコード皇”と称される伝説の始まりである。

 

そして。

 

兄の光が炸裂したその時――

 

妹・リエラもまた、うねり出した。

いや、髪が。

 

 

「グルグルグルグルグルッッ!!?」

 

 

音がした。確実にした。

髪が、物理法則を無視してらせんを描きながら立ち上がった。

 

 

「えっ……これ……どう見ても……!?」

「ドリルだあああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

――天穿ドリルヘアー、爆誕。

その鋭利な渦巻きは、空気を裂き、結界の天井を貫いた。

 

ドガァァアアアン!!

 

 

「バ、バリア貫通したぁぁぁぁ!!?」

「ちょっ、ドリル!? ドリルってなに!? 髪ってなに!?」

「彼女、魔術師じゃなくて建設業者なの!?!?」

 

 

一撃で聖域の天井に巨大な穴が開く。

神殿の屋根に突き刺さるドリルヘアー。

スカートが風でめくれるのも気にせず、リエラは顔を紅潮させながら叫んだ。

 

 

「お兄様! 私、やっちゃいました!!!」

「よくやった妹よ!!! それは最早、呪いを超えたアートだ!!!」

 

 

全王国が黙祷した。

 

――呪いに抗った代償。

それは、ただの髪型ではなかった。

 

全世界が記録し、恐れ、讃え、崇める“神話的髪型”の誕生であった。

 

こうして、王子レオネルは**“フラッシュコード皇”として、

王女リエラは“天穿聖姫”**として、歴史に名を刻む。

 

それは呪いを防げなかった物語ではない。

 

呪いを超え、芸術として昇華した伝説である。

 

 

 

 

 

魔王城、黒曜の間。

そこは世界でもっとも静かな暴威が支配する場所。

そして今――その空間を満たすのは、笑いを堪える沈黙だった。

 

報告を終えた参謀の声が、未だ壁に反響している。

 

 

「……王国アルトリアにて、双子の王子および王女が呪詛の発動に対し、“一時的抑制”に成功したとの報です」

「……続けよ」

「は。結界術、儀式魔術、信仰干渉、因果封鎖など、計四十七系統に及ぶ複合術式により呪いの干渉波を遮断。  その結果、発動予定時刻を約八十秒遅延させることに成功――」

「……そして?」

「――爆発いたしました」

 

 

玉座に座る男が、ほんの少しだけ、口角を上げる。

 

 

「詳しく」

 

 

「王子の頭部からは金の閃光が走り、全土に降り注ぐように髪が拡散。

 最終的にはバーコード状に“光”を定着させた閃光髪型――通称:バーコードフラッシュヘアーへと変質」

 

「……美しいな」

 

「はい。なお、王女は回転を伴う螺旋髪型へと進化し、

 空中に天穿ドリルを形成。神殿天井を突き破り、上層の魔術師数名に軽傷。

 以降、“天穿聖姫”の呼称で呼ばれております」

 

「……よい。完璧だ」

 

 

報告を終えた幹部は、額に汗をにじませながら頭を垂れた。

 

 

「報告……ご確認いただけましたか」

「応……“見事”だった」

「……ですが、陛下。双子が抑制に成功した事実は――」

「成功などではない。“猶予”だ。しかも、結果は反動強化」

「奴らは呪いを解かなかった。形を変えただけだ」

 

 

沈黙。

誰も、何も、言わない。

魔王の心がどう動いたか――それは、髪一本の揺れでも狂気に変わるのだ。

 

だがそのとき。

その沈黙を破ったのは、静かな――笑い声だった。

 

 

「フ……フフフ……」

 

 

バルド・コード。

世界に呪いを撒いた“絶対の髪狩り主”が、玉座の上で嗤っていた。

 

 

鋭い眼光が、眼前の虚空を射抜く。

 

 

「抗え。抗いたいなら抗え。

 呪いを止めたいなら止めてみせろ。

 否定したいなら、この私をも上書きしてみせろ」

 

 

部下たちの背筋が凍る。

 

 

「貴様らの涙も、血も、祈りも、愛も、髪には勝てぬ。

 それでも抗うのなら――その挑戦、“心より愉しませてもらおう”」

 

 

バルドは立ち上がる。

ゆらりと立ち、玉座の階段を一歩、また一歩と降りていく。

 

彼の周囲の空間が微かに軋む。

禍々しいのではない。

ただ、圧倒的なのだ。

 

 

「我が呪いは、祝福である。

 すべての者を平等に、“禿の未来”へ導く贈り物だ」

 

「それを拒むというのなら――

 その意志こそが、“反発の美”であり、“更なる禍福”を生むのだ」

 

 

魔王の声が、響き渡る。

 

 

 「王子レオネル。王女リエラ。

 君たちは誇っていい。

 君たちの反応は、今世紀最上級のデザインだった。

 ――“フラッシュコード”と“天穿ドリル”」

 

「次は、どの国の髪が燃えるか、楽しみにしておけ」

 

 

部下たちは、誰一人目を合わせなかった。

見れば――髪が抜ける。

魔王は、ただ立っていた。

だがその姿は、まるで万物の天秤を掲げる審判のようだった。

 

 

「さあ、抗え。世界よ――

 希望の名の下に、さらに面白い髪型を咲かせてみせろ」

 

 

――これが、髪の魔王、バルド・コード。

抗う者を咎めず、倒さず、拒まず。

**むしろ全力で歓迎し、より激しく“呪い返す”**覇王である。

 

次に呪いへ挑むのは――誰か。

そしてその髪は、どうなるのか。

魔王は、笑っている。

 

「全部、受け止めてやるよ……髪型ごと、な」

 

 

________________________________________

魔獣の咆哮が、地を裂いた。

 

黒き濁流のような群れが王都に迫る。

災厄の兆候は三日前から観測されていたが、ここまでの規模とは――

もはや侵略ではなく、審判だった。

 

無数の魔物が這い寄り、跳ね、空を覆い尽くす。

城壁はすでに突破され、王国の兵たちはなすすべなく蹂躙されていた。

 

そのとき――

 

王都中央、神殿の屋上に、二つの影が立った。

 

風を裂いてなびく白銀のマント。

その中から、煌めく光と渦巻く螺旋。

 

双子。

 

“閃光のコード皇”レオネル・アルトリア

“天穿の聖姫”リエラ・アルトリア

 

その名が、今、戦場を焦がす。

 

 

「兄様……いいですか?」

「……ああ。全開でいくぞ、リエラ」

 

 

レオネルが一歩前に出る。

額から突き出すバーコードフラッシュヘアーが、

金色の光を放ち始めた。

 

ビィィィィィイイイイイイン!!

 

 

「――【バーコード・フラッシュ・ビィィィィイイイイイイイイム!!!!】」

 

 

発射。

 

瞬間、視界を焼き尽くす閃光が放たれる。

ただの光ではない。

“羞恥”と“尊厳”と“呪い”のすべてを束ねた神罰の光。

 

それは“線”ではなく“網”だった。

無数のバーコード状レーザーが対象識別攻撃で魔物の群れを根こそぎ薙ぎ払っていく。

 

――髪の形状記憶コードに、敵味方判別を登録済み。

つまり、味方には一切被害なし。

 

兵たちが目を見開いた。

 

 

「う、撃ち抜いてる……!」

「敵だけを……全部……“削ってる”……ッ!」

 

 

その名の通り、コードで掃除される戦場。

魔物の群れは、光の波に焼かれ、断たれ、蒸発した。

 

 

「続くぞ、リエラ!」

「はい……!」

 

 

妹・リエラが静かに、両足を開いて構える。

 

彼女のうんこドリルヘアーが、

空気を裂くようにギュオオオオオオッと回転を始める。

 

 

「――ここから先は、聖域です!」

 

 

背後にいるのは、避難できなかった民。

子ども、老女、赤子を抱えた母――

 

リエラの瞳が、燃える。

 

 

「――【オーバー・うんこ・ドリィィィィィィィル・インパクトぉぉぉぉぉ!!!!】」

 

 

 彼女の頭の双螺旋が天を突き、

そのエネルギーが彼女の全身に収束する。

 

ドリルを前傾に構えた突進――!

彼女の頭部が――音速を超えて射出される。

(※肉体ごと回転し、天と地を貫く技であり、うんこ型であることは最早どうでもよい)

地面が削れ、空気が震え、

魔物の触手が触れる前に渦状に破砕されていく。

 

 

 

ギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュッ!

 ゴゴゴゴゴ……!!!

ズギュウウウンンン!!!

 

 

「この……クソったれぇぇぇぇえええええええッ!!!!」

 

 

ドリルが地中から現れた魔獣の根を砕き、

天へ逃げた飛行型の魔物も、回転の衝撃波で切断される。

 

 

「お姉ちゃん……うんこ……すごい……!」

「ママ、あれが……聖女様の……!」

 

 

そう。

民は知った。

 

あの頭はうんこではない。

聖なるドリルなのだ。

 

そして戦場の中央、

二人の力が交差する。

 

バーコードレーザーと、回転式ドリルの乱舞。

 

敵は、逃げた。

だが、逃がさない。

 

レオネルが叫ぶ。

 

 

「逃げ場などない!

 この国の髪の自由と尊厳を――これ以上、穢させはしないッ!!」

 

 

リエラが突き上げる。

 

 

「“私たちの髪”で、守ります!!」

 

 

――その日。

王国史に新たな伝説が刻まれた。

“髪撃戦線・双光の反撃”と呼ばれる、最初の髪型超火力迎撃戦。

以後、魔物たちは王都に近づくことすらしなくなった。

 

なぜなら――

そこには、“爆光バーコード”と“爆貫ドリル”がいるからである。

 

 




この兄妹ノリノリだと思うでしょ? 無理やりにでもテンション上げないと必殺技が撃てないのです。
この後、この兄妹は悶え苦しみますwww

…リエラの必殺技、某天元突破なロボットの必殺技を思い浮かべてくれればいいかと
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