魔王バルドVS勇者セージ ~極悪非道なバーコードハゲ魔王をフサフサ勇者がやっつけるお話~ 作:ナオ3
魔王城・第七会議室——通称、“黒き円卓の間”その円卓を囲むのは全員ゲーミングヘアの幹部たちだった。
ネオンブルー、レーザーピンク、オーロラグリーン、レインボーのミディアムウェーブ。
部屋の照明を消しても明るい。明るすぎる。
ゲーミング幹部たちのテンションは低い。髪は明るいが心は沈んでいる。
今日も魔王の暴虐(バーコードハゲ)に耐えられなかった敗北者たちであった。
その中央。
魔王バルド・コードは静かに玉座に座っていた。
機嫌は相変わらず悪そうで、額のバーコードもゲーミング光で一段と輝いている。
会議はどこか停滞していた。
だが、そんな空気を一変させる出来事が、突然起きた。
ドンッ!!
会議室の扉が勢いよく開く。
駆け込んできたのは、情報収集部の魔族兵だった。息を切らせながら報告する。
「報告ですッ……緊急案件ッ……!」
「落ち着け、何があった……?」
兵は、深く頭を下げて言った。
「呪いが……発動しなかった者が……人間界に現れました!!」
その瞬間、会議室の空気が凍った。
ガタン。
誰かが椅子を倒した音が響く。
「……は?」「発動しなかった……だと?」
「いやいや、20歳以上になれば必ず発動するはずだろ?」「例外は存在しない……!」
会議室が騒然となる中——
魔王は、一言も発しなかった。
ただ、ゆっくりと目を見開いていた。
その目は、驚きと、信じがたいという色に染まっていた。
「…………バカな。」
幹部の一人が、おずおずと訊ねる。
「ま、魔王様……これはつまり、“呪いが破られた”ということでしょうか?」
魔王は、しばらく黙っていた。
そして、重く、低い声で呟く。
「……いや。
私にも、呪いを解く術はない。」
空気が変わった。
今度は本物の恐怖が幹部たちの背筋を走る。
「そ、そんな……ご自身が発した呪いなのに……?」
「……この呪いは、“私の感情そのもの”を触媒にした。
世界中に広がる魔力の根に、私の“絶望”を直接流し込んだ、不可逆の災厄だ」
魔王は、遠い記憶を見るような目で続ける。
「“笑われた者の痛み”と、“報われなかった怒り”……
それを込めたのが、この呪いだ。
一度放ったそれを、私でさえ止めることも、変えることもできない。」
幹部たちは、黙り込んだ。
あの時。
この世界は笑いを失い、自由を失い、そして“髪型”という形で支配された。
だがその呪いを、免れた者がいる。
「……名は?」
使者の一人が、静かに口を開く。
「セージ=クローネという男です。
現在、国家の研究機関にて隔離・検査を受けておりましたが……」
「その者を……連れてこい。」
魔王は、ゆっくりと立ち上がった。
その顔には、かすかな苛立ちと——
ほんの少しの、期待があった。
「私の呪いを逸れた者が、存在するというのなら……」
「それは、“希望”なのか。“冒涜”なのか。」
「……それを、見極めてやろう。」
そして静かに、魔王城の床が震えた。
感情震度:4.5(混乱系)
幹部のひとりが呟いた。
「……とうとう現れたか、史上初の“呪い逸脱者”……!」
「しかも……フサって……」
ピカァ……。
ゲーミング幹部たちの髪が、哀しく輝いた。
魔王様にとって天地がひっくり返るよりも衝撃的ニュース。
誰かに会いたいなんてリリア事件以降初めてです。