魔王バルドVS勇者セージ ~極悪非道なバーコードハゲ魔王をフサフサ勇者がやっつけるお話~   作:ナオ3

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魔王様の運命も動きます。


四話 運命が動き出す、髪とともに。

 

魔王城・第七会議室——通称、“黒き円卓の間”その円卓を囲むのは全員ゲーミングヘアの幹部たちだった。

 

ネオンブルー、レーザーピンク、オーロラグリーン、レインボーのミディアムウェーブ。

部屋の照明を消しても明るい。明るすぎる。

 

ゲーミング幹部たちのテンションは低い。髪は明るいが心は沈んでいる。

今日も魔王の暴虐(バーコードハゲ)に耐えられなかった敗北者たちであった。

 

その中央。

魔王バルド・コードは静かに玉座に座っていた。

機嫌は相変わらず悪そうで、額のバーコードもゲーミング光で一段と輝いている。

 

会議はどこか停滞していた。

だが、そんな空気を一変させる出来事が、突然起きた。

 

ドンッ!!

 

会議室の扉が勢いよく開く。

駆け込んできたのは、情報収集部の魔族兵だった。息を切らせながら報告する。

 

 

「報告ですッ……緊急案件ッ……!」

「落ち着け、何があった……?」

 

 

兵は、深く頭を下げて言った。

 

 

「呪いが……発動しなかった者が……人間界に現れました!!」

 

 

その瞬間、会議室の空気が凍った。

 

ガタン。

誰かが椅子を倒した音が響く。

 

 

「……は?」「発動しなかった……だと?」

「いやいや、20歳以上になれば必ず発動するはずだろ?」「例外は存在しない……!」

 

 

会議室が騒然となる中——

魔王は、一言も発しなかった。

ただ、ゆっくりと目を見開いていた。

その目は、驚きと、信じがたいという色に染まっていた。

 

 

「…………バカな。」

 

 

幹部の一人が、おずおずと訊ねる。

 

 

「ま、魔王様……これはつまり、“呪いが破られた”ということでしょうか?」

 

 

魔王は、しばらく黙っていた。

そして、重く、低い声で呟く。

 

 

「……いや。

 私にも、呪いを解く術はない。」

 

 

空気が変わった。

今度は本物の恐怖が幹部たちの背筋を走る。

 

 

「そ、そんな……ご自身が発した呪いなのに……?」

 

 

「……この呪いは、“私の感情そのもの”を触媒にした。

 世界中に広がる魔力の根に、私の“絶望”を直接流し込んだ、不可逆の災厄だ」

 

 

魔王は、遠い記憶を見るような目で続ける。

 

 

「“笑われた者の痛み”と、“報われなかった怒り”……

 それを込めたのが、この呪いだ。

 一度放ったそれを、私でさえ止めることも、変えることもできない。」

 

 

幹部たちは、黙り込んだ。

 

あの時。

この世界は笑いを失い、自由を失い、そして“髪型”という形で支配された。

 

だがその呪いを、免れた者がいる。

 

 

「……名は?」

使者の一人が、静かに口を開く。

「セージ=クローネという男です。

 現在、国家の研究機関にて隔離・検査を受けておりましたが……」

 

 

「その者を……連れてこい。」

 

 

魔王は、ゆっくりと立ち上がった。

その顔には、かすかな苛立ちと——

 

ほんの少しの、期待があった。

 

 

「私の呪いを逸れた者が、存在するというのなら……」

 

「それは、“希望”なのか。“冒涜”なのか。」

 

「……それを、見極めてやろう。」

 

 

そして静かに、魔王城の床が震えた。

感情震度:4.5(混乱系)

幹部のひとりが呟いた。

 

 

「……とうとう現れたか、史上初の“呪い逸脱者”……!」

「しかも……フサって……」

 

 

ピカァ……。

ゲーミング幹部たちの髪が、哀しく輝いた。

 

 




魔王様にとって天地がひっくり返るよりも衝撃的ニュース。
誰かに会いたいなんてリリア事件以降初めてです。
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