遅れてすみません!
それではどうぞ
戦闘が終わり、乾いた風がなびいている……
現在、不良生徒の制圧を完了し*1、リンに連絡をかけている
へこみだらけの道路、砕けた瓦礫の山、それらが先程までの戦闘の激しさを物語っている
"もしもし、シャーレの奪還が完了したよ"
連絡がつながり先生はリンに結果を報告する
『おつかれさまです、それはそうと先生、キヴォトスにきてすぐにこんなことを頼んで申し訳ありませんでした』
たしかに、ここにきたばかりの彼には大変なことだっただろう
だが、この男は気にすることなく彼女に告げる
"リン、気にしなくていいよ、先生が生徒からのお願いを聞くのは当然のことだから"
少しの間だけ沈黙が流れる
……リンの頬はすこし、ほんの少しだけ赤く染まっていた
『……そう言ってもらえると助かります、私ももうすぐシャーレにつきますので建物の地下でお会いしましょう』
"うん、わかったよ"
ツーツー……
ポケットに端末をしまい、先生は少し考えるかのような仕草をしてからみんなに伝える
"みんな、おつかれさま"
「先生も、お疲れ様です」
「先生の指揮、とても助かりました!」
各々が労いの言葉をかける
先程までの緊迫した場面とはうってかわり、穏やかな空気が流れている
"私もすごい助かったよ、……それと、話は聞いていたと思うけれどシャーレの地下に行ってくるよ、みんなは周囲の見張りをしていてくれないかな?"
そんな言葉に、
「せ、先生いいんですか?あの中にはワカモがいる可能性があるんですよ、見張りが必要だとしてもせめて1人は護衛につくべきです」
うんうん、とチナツの言葉にみんなは共感し、先生もたしかに、と納得したような表情をした
"わかったよ、それじゃあイツキがついてきてくれないかい?"
「え、俺?」
イツキは不思議そうな表情で彼に問いかける
"うん、君とはすこし話したいことがあるからね"
「?」
再度イツキは頭にはてなマークを浮かべる
他のみんなもなんだかわかっていないようだ
「と、とりあえず私たちは見張りをしておけばいいんですか?」
"うん、よろしく頼むよ"
***************
薄暗い廊下に、カーテンの隙間から陽の光が差し込んでくる、その中で、スタスタと歩く彼らは話し出した
「先生、結局俺と話したかったことってなんなんですか?」
シャーレの地下に行く途中、彼は先生にそんなことを聞く
"あぁ、ここにきてから少し気になったことがあってね、男子生徒は君しかいないのかい?"
先生は、気になっていた疑問をぶつける、最初はほんの少しの違和感程度だったが、ここに来るまで彼以外の男子生徒を1人も見かけていなかったもあり疑念が膨らんでいったのだ
「あー、それなんだけど正確には純キヴォトス人の男子生徒はいないよ」
"それってどういう——「先生、この中に誰かいる」むぐっ!?"
イツキはドアを少しだけ開け、誰がいるかを確認する
中では、キツネの面を被った少女———-ワカモが何かをしていた
少し遠くて詳しくはわからないが何かを手に持ち、いじっていることだけはわかる
「先生、中にワカモがいる、慎重に行こバァン!!"はじめまして!君がワカモかな?"
「ふぇっ!?」*2
先生が話の途中でドアを勢いよく開け、挨拶をする
……何やってんのこの人?
「先生何やってんじゃコラァぁぁぁ!!!!」バチィぃぃん!!
3人しかいないこの空間に、甲高い音が響き渡る*3
"いっっった!!!!!!!急に何するの!?"
「それはこっちのセリフだわ!!!!何急に飛び出してんの!?人の話最後まで聞けよ!!!ワカモがいるっていただろ!!……ってあれ?」
イツキがワカモの方を向くと、彼女はお面をつけていてもわかるぐらい顔を赤く染め、なおかつ、どこか落ち着きのない様子だった
それもそのはず、彼女は今、胸が高鳴りすぎておかしくなってしまいそうな得体の知れない感覚に陥っていた
……いわゆる、一目惚れというやつである
そんな得体の知れない感情が渦巻くなか、彼女は一つの選択をした
「し、し………」
「「し?」」
「失礼致しましたー!」
逃走、である
彼女は走ってシャーレを出て行ってしまった
……なんなのこれ?
"なんだったんだろうね"
「先生に一目惚れしたんでしょ」
'まっさかぁ!"
清々しいほどの声で彼はそう言う
……この男、普通にイケメンだし性格もいい*4から一目惚れしてしまうのも当然といえば当然なのかもしれない
***************
「お待たせしました、何か変なことは起きませんでしたか?」
ワカモが飛び出して行ってから数分後、リンがここに到着した
"いいや?特には無かったよ?"*5
彼女は少し先生に疑いの目を向けたが、気にしないことにしたらしい
「……そうですか、ここに、連邦生徒会長が残したものが保管されています」
がさごそと、机の引き出しから何かを探す
スッ
机の引き出しから取り出した、タブレットのようなものを見て彼女はホッと息をついた
「幸い、傷ひとつなく無事ですね」
"それは、一体なんなんだい?"
先生がそう彼女に尋ねた
一見すると、ごく一般的なタブレット端末に見える
「これは、連邦生徒会長が先生に向けて残した物、シッテムの箱です。普通のタブレットのように見えますが、実は正体のわからないものです。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが謎です」
彼女はシッテムの箱を手渡す
先生はそれを注意深く観察している
(どこかで見たことあるような……)
先生がそんなことを思っていると、彼はまるで知っていたかのように話し出した
「これが本物のシッテムの箱……へー、やっぱり普通のタブレットみたいだな」
"イツキはこれのことを知っているのかい?"
まるでこれのことを知っていたかのような反応をした彼に、先生は問いかけた
「へ?……あー!いやいや、別に知らないよ!!見た感じ普通のタブレットとあんま変わんないなあと思って……」
首を横にブンブンと振りながら否定をする彼の姿は、とても怪しい
"…ふーん"
少し怪しいけど、今はいい
先ほどからこちらに視線を向けているリンの話を聞くとしようかな
「……話を戻しますね、連邦生徒会長は、このシッテムの箱は先生のもので、これを使えばタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」
"私が?"
「はい、私たちも起動させようとはしたのですが、何をやってもだめで……それで結局、先生に起動させてもらおうということになったんです」
「なるほどな……」
彼女はシッテムの箱を見つめ、少しだけ不安を顔に抱き、先生に話す
「では、起動の邪魔になってはいけないので、私たちは少し離れておきますね。先生、お願いします」
"うん、わかったよ"
「先生、ファイト!」
そう言って、2人は離れていく
先生はシッテムの箱を見つめながら、初めて見たはずなのに何故か懐かしさを感じていた
(なんなんだ?私はこれを知らないはずなのに……まぁいい、とりあえず起動させないと)
彼は
シッテムの箱を起動させると、パスワードの入力画面が出てきた
……我々は望む、七つの嘆きを。
……我々は覚えている、ジェリコの古則を。
突然、脳裏にそんな言葉が浮かんだ
その言葉をパスワードに入力する
……。
接続パスワード認証。
現在の接続者は先生。確認できました。
『シッテムの箱にようこそ、先生。生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステム、A.R.O.N.A に変換します。』
脚注のやつ、ほぼワカモしかねぇ……
きっと!!!!次でプロローグ終わらせます!!
ここまで読んでくれてありがとうございました!
次の章はどれにしますか?(どれにしろ数話挟んでからのスタートです)
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パヴァーヌ編
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エデン条約編
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アビドスリゾート編