過去アビドスのIFです。みてない人は先にそっちみてください
もしユメ先輩を救えなかったら……
「……どうなってんのこれ」
黒服による治療を終え、俺はアビドスに戻ってきていた
校門を通り、廊下を歩いて生徒会室の前に行く
だが、どこか様子がおかしい。いつもだったら見張りをしているホシノかユメ先輩が校門に着いた時点で飛んでくるはずなのに来ない。それどころか、人の気配が全くしない
それに、掃除をしていなかったのか砂やホコリがたくさん舞っている
おかしいな、ユメ先輩がいつも掃除してるはずなのに……
ガラガラッ
そう悩んでいたもしょうがないと思い、生徒会室のドアを開ける。
するとそこには、まるで生気を感じないホシノがソファに座っていた
「ほ、ホシノ?」
そんな言葉に反応したのだろう、ホシノが顔を上げてこちらを見てくる。見えた顔はとてもぐちゃぐちゃだった。髪は手入れしていないのかボサボサ、目元は隈とおそらく泣いていたせいで赤くなっている
「……え、うそ……」
か細い声でそんなことを口にするホシノ。何があったのかはわからないが、彼女のこんなひどい姿は初めて見た
「…い……、イツキなんですか?………」
「うん、そうだけど……ホシノ、大丈夫?」
ポタポタと彼女の目から溢れる大粒の涙が、とまらずに出てくる。本当に何があったのかがわからない。あんなに強い彼女がここまでボロボロになるなんて……
「…ぁ、あぁ……あ…… イツキ!!!!」
「……ホシノ」
俺の胸に、ホシノが飛び込んでくる。その姿はとても弱々しく、まるで母親を見失って迷子になった子供のようだった
***************
あの後、ホシノは泣き疲れたのか、寝不足だったのか、眠ってしまった。いや、ホシノのことも気になるが今はそれよりも大事なことがある。……ユメ先輩はどこにいるんだ?
ホシノがこんな状態になっているのにあのお人好しなユメ先輩が放っておくとは思えない。それにホシノがさっき『私のせいでユメ先輩が!!!』と叫んでいたことも何か関係があるのだろうか……
そんなことを考えていると、さっきよりも幾分かは顔色の良くなったホシノが起き上がった
「い、イツキ……」
「おはようホシノ、よくねむれた?……ありゃ」
また、さっきみたいにホシノが抱きついてくる
「イツキは……イツキだけは絶対にもういなくならないでください……
私が全部悪いのはわかってます……でも………また…イツキがいなくなったら……」
「なぁ、ホシノ」
肩を掴み、彼女を見つめる。ホシノの顔は今にも逃げ出してしまいそうな、不安そうな表情をしていた
「俺がいない間に何があったか、話してくれない?もちろん、無理にとは言わない。でも、何があったかわかっておきたいんだ。なんでホシノがそんな状態になっているのか……ユメ先輩はどこにいったのか、とかを」
俺がそう告げると、ホシノは決心したような表情をして、ボソボソと話し出した。俺がいなくなってユメ先輩に慰めてもらったこと、ユメ先輩に酷いことを言ってしまったこと、そして……ユメ先輩が行方不明になってしまったことを……
「……そっか、つらかったんだな…」
ホシノを抱き寄せ、頭を撫でる
「……」
「だけどこれだけは言える………全部ホシノのせいじゃないよ」
「…違います……私がユメ先輩にあんな酷いこと言ったから……」
「違わない!!それだったらそもそも、なんで酷いこと言ったんだ?俺がいなくなったからだろ。俺があの時いなくなったから……」
少し自虐風に言うと、ホシノが食いついてきた
「違います!!私が……私が…………」
「だったらもうやめよう、誰のせいか考えるのなんて……。ユメ先輩が喧嘩するのを望んでると思う?」
「それは……」
「ほら!じゃあ仲直りしよう」
そう言って、ホシノに手を差し出す。もうこんなことをするのはこりごりだ
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今は深夜、ホシノを寝かせてから自分の部屋のトイレにこもっていた
「おえぇぇっ」
自分自身に自己嫌悪が湧く。俺は2人が苦しんでいる間、何をしていた?呑気に眠っていただと……ふざけんな!!
2人にそんな思いをさせないために頑張ってきたのに、俺がその原因になってどうするんだよ!!……さっきホシノにはああ言ったけど、やっぱりだめだ。自分自身が許せない
ガチャッ
トイレのドアを開けて辺りを見渡すと、部屋に置いてあったしばらく手入れされていないナイフが目に入った。
嗚呼、そうだ責任取らなくちゃ。ユメ先輩を殺した責任を、俺が。
自分の喉元にナイフを突き立て、刺そうとする……その瞬間、ふと今まで過ごしてきた記憶が蘇る。
3人で宝探ししたこと、柴関ラーメンを食べたこと……ホシノに辛い顔をさせてしまったこと。
「ッッッッッ!!!ハァ、ハァ……」
そうだ……もし俺がいなくなったら誰がホシノと一緒にいてあげるんだ?2年後に先生が来てくれてなんとかなるのはわかる……でも、その間は?その2年間、誰がホシノの隣にいてあげるんだ………俺しか……いない
「ハハッ、まだ……死ねない………彼女を幸せにすることができたら俺もすぐそっちに行くから……待っててください、ユメ先輩」
俺は決意を固める。
絶対に彼女を幸せにしてみせる、俺が………どうなろうと。
それが少しでも……ユメ先輩…いや、2人に対する………贖罪になるのなら
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2年後……
「いやだ!!お願い、置いて行かないでよ!!!!」
赤く染まってしまった空、死の気配が充満し、瓦礫だらけになってしまったキヴォトス。
そんな状況の中、ホシノは彼を抱いて泣いていた
……そんな彼は血まみれになり右腕がなくなっているが……………
「……ほ、しの……」
「だめ!喋らないで傷が開いちゃうから!!」
彼女も気づいているのだろう……彼の命が…もう長くないことに。
それでも、ほんのわずかな希望にかけて、彼を治療しようとしている
「ご……めん…幸せに……できなくて………」
「そんなこと言わないで!お願いだから生きて!!いきてよぉ……」
彼はなくなってしまった右腕の代わりに、左腕でホシノの頬に触れる
「さ……ようなら……俺はずっと……きみのことが……」
やめて、それ以上は言わないで……その先の言葉を聞いてしまったら私は—————-
「大好きだったよ………」
あ…………
そんな言葉を遺して、彼の命の灯火は…………失われた
「……ぁ……あぁ…… ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」
彼女の悲痛な叫びは、誰にも聞こえることなく闇に落ちる。
彼女が愛していた彼はもう…………
***************
「ん、先生早く行こう」
「………」
もちろん、
赤くなってしまった空を見て、彼女は言う
「ごめんね、みんな。私がいたせいでこんなことになって……。後始末は私がするから」
彼女の名前は
読んでみてわかる通り、プレ先の世界です。少しの行動の違いでこんなに未来が変わる……ブルアカって、怖いですね
ちょっと補足
原作とは違いホシノは戦闘で死亡したのではなく、セリカと同じ行方不明という扱いになってます。
それと、周りから見たホシノとイツキの矢印は
ホシノ→→→←イツキだと思われてますが
実際はホシノ→→→→→→←←←←←←イツキって感じです
自分で書いといてなんですけど、プレ先の世界って救いないですよね。ここまで読んでくれてありがとうございました!!
次の章はどれにしますか?(どれにしろ数話挟んでからのスタートです)
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パヴァーヌ編
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エデン条約編
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アビドスリゾート編