ハッピーエンドを目指す男の子の話   作:初心者先生

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キヴォトスの子って太い子も多いけど細い子も多いですよね。もっとご飯食べろー!


ん、銀行を襲う!

「ここまで情報がないなんてありえません……何か妙ですね」

 

たい焼きを食べ終わり、真面目な話をしている。内容は、探し物についてだ。ここら一帯を歩きながらもくまなく探していた一行だったが、それらしきものは何一つ見つかっていない。だからこそ妙……なのだ

 

「ここまで来ると、意図的に隠されてるような気もするわね……」

 

「たしかにそうです。ですが、いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底してブラックマーケットを搭載するのは不可能なはず……」

 

「そんなに異常なの?」

 

シロコから、ふとそんな疑問が飛び出た。いくらここが栄えているといえど、連邦生徒会の自治区ですらないのにそんなことをするのが難しいのか……それがよくわからないからだ

 

「あの、異常というよりかは……普通ここまでやりますか?と言う感じですね。ここに集まっている企業、ある意味開き直って悪さをしていますから、変に悪事を隠したりはしないんです。例えばあそこ……」

 

そう言ってヒフミは大きな銀行を指差す。一見すると普通の銀行に見えるが……ちがうらしい

 

「あれがブラックマーケットで名を馳せる闇銀行です」

 

「闇銀行?」

 

「はい、ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つですが、色々嫌な噂があとを立たないんです。特にまずいのは、キヴォトスで行われている犯罪の15%の盗品があそこに流されているようです。様々な犯罪によって獲得した財貨が違法な武器や兵器に使われる……そんな悪循環が続いているのがここの現状です」

 

「……そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」

 

ノノミが驚きから声を上げた。銀行が犯罪に加担しているなんて、普通はないはずないんだからあたりまえだ。しかし、ここはブラックマーケット……そう言うことがあっても仕方ないのである

 

「その通り、まさに銀行も犯罪組織なんです……」

 

「……」

 

「ひどい!連邦生徒会は何をしてるのよ!」

 

少し話を聞いただけだが、それだけでもここの酷さがわかる。しかし、連邦捜査会が手を回せないのにも色々と事情があるのだろう。そこの実情を知った先生とイツキだったらなおさらだ

 

「まあまあ、連邦生徒会も忙しいんだよ」

 

「きっとどこも色々と事情があるんだろうねー」

 

「現実は思ったより汚れてた。私たちはアビドスにに気を取られすぎてて、外のことをよく知らなかったから……」

 

その言葉通り、アビドスのみんなは他の学校との関わりがほとんどない。かろうじてイツキがお金を稼ぐためにたまにゲヘナなどに行っているが、いってしまえばそれだけだ。みんな、アビドスのことを守るのに精一杯で外に出ることができない、そんな現状だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……と、会話を続けていたら、ドローンで周囲を見張っていたアヤネが焦った様子で声を上げた

 

「お話中に失礼します!こっちに武装した集団が接近中!気づかれた様子はありませんが、まずは身を潜めた方がいいと思います……」

 

「う、うわぁ!?マーケットガードです!」

 

「マーケットガード?」

 

「はい、先ほどお話しした治安機関の中でも最上位の組織です!急ぎましょう!!」

 

 

ガサッ

 

 

近くの物陰に急いで隠れる。……その数秒後、マーケットガードと一緒に少し()()()()()()トラックがやってきた

 

「パトロール?護送中のようですが……」

 

「あれは……現金輸送車!」

 

「あっちって……あ、銀行に入って行きました」

 

「どうしますか?」

 

少し怪しげな雰囲気を漂わせたトラック、つけてみるのが吉な気はする。そう思った先生は答えた

 

"少し近づいてみようか"

 

少しずつバレないようにゆっくりと近づていく。どうやら、トラックから降りた人が闇銀行の行員とやりとりをしているようだ

 

「今月の集金です」

 

「ご苦労様、早かったな。では、この集金確認書類にサインを」

 

「はい」

 

「いいだろう」

 

「では、失礼します」

 

ブロロロロロロ……

 

一通り話を終えたようで、トラックに乗っていた人はここを去り、現金を受け取った行員は銀行の中へと入っていった

 

「あの人って………」

 

「十中八九、うちに利息を回収しに来る銀行員だろうな」

 

何度も見ているはずなのだから、間違えるはずがない。毎月毎月アビドスへと利息を回収しに来るあいつ。先生も今日の朝にみんなが利息を渡す現場にいたのだからわかるだろう

 

「ほんとだね」

 

「え、えぇっ!?」

 

「カイザーローンがブラックマーケットに……すこし気になりますね」

 

「カイザーローン!?」

 

さっきから驚きっぱなしのヒフミ。そんなに驚くことあったか?……と、少しだけイツキは困惑している

 

「ヒフミちゃん、知ってるの?」

 

「は、はい。カイザーローンといえば、あのカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です……」

 

「「え、そうなの?」」

 

シロコとイツキの反応が被った。カイザーローン、今までずっとそこに払っていたがそんなことしょーじき、全然知らなかった

 

"なるほど……ってことは、そこも犯罪行為を行なってるってことであってるかな?"

 

「あ、いえ……カイザーグループ自体は犯罪を起こしていません」

 

"ありゃ"

 

「しかし、合法と違法のグレーゾーンでうまくふるまっている多角化企業なんですよ。カイザーは私たちトリニティの区域にもかなり進出しているんですが、生徒への悪影響を考慮してティーパーティも目を光らせています」

 

「ティーパーティー……あのトリニティの生徒会が、ねぇ」

 

トリニティも警戒している、それによりホシノの中でのカイザーの危険度は跳ね上がった。カイザー……彼女にとっては入学当時からの付き合いだが、そこまで厄介なものだとは思っていなかった。そう考えると、ここで知れたのは収穫かもしれない……そう思った

 

「ところで、皆さんの借金とはもしかして……アビドスはカイザーローンから融資を?」

 

「借りたのは私たちじゃないんですけどね……」

 

それもそうだ。借りたのはノノミ達ではなく、昔の生徒会。状況が状況だったとは言え、そのまま逃げて行った人も多いのでもどかしい

 

「話すと長くなるんだよー。………アヤネちゃん、さっき入っていった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」

 

「わかりました、少し待っていてください」

 

慣れた手つきで調べていくが……彼女の手が止まり、表情が少し曇った

 

「……だめですね。全てのデータをオフラインで管理しているようで、全然ヒットしません」

 

「やっぱり、そっか」

 

「『やっぱり』って、ホシノはわかってたのか?」

 

「うん、なんとなくだけどね」

 

彼女もわかっていたのだ。いやそもそも、この程度で情報がすぐに見つかるものだったら今こんなに苦労していないはず。わかるのも当然かもしれない

 

「……あっ、そういえばいつも返済は現金だけでしたよね。それってつまり……」

 

「私たちが払った現金が、ここに横流しされてた?」

 

「じゃあ何?私たちはブラックマーケットに販売資金を提供してたってこと?」

 

「「「「「………」」」」」

 

なんともまあ、胸糞悪い話だろうか。自分たちが汗水流して稼いだお金を犯罪資金として使われていただなんて

 

「……ま、まだそうはっきりとは……証拠もありませんし、あの輸送車の動線を把握するまでは……」

 

"あ、さっきの集金確認の書類……あれを見れば証拠になるんじゃないかな?"

 

あの書類があればどこからお金を回収し、いくら渡したかなどがすぐにわかる。そうして証拠を手に入れることができれば、あとは簡単だ

 

そんな先生の意見に、なるほどとみんなはうなずいた………ヒフミを除いて

 

「それはナイスアイデアだね、先生」

 

ホシノは先生の意見に同意した。しかし、そんな彼女……もとい全員にヒフミが苦言を申す

 

「ちょ、ちょっと待ってください!ブラックマーケットの中で最も強固なセキュリティの銀行なんですよ!?それに、マーケットガードもたくさん……」

 

ヒフミの言う通り、銀行の前を何人かのマーケットガードが徘徊している。警備がとても頑丈そうで、問題もいくつかありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………だかしかし、彼女は知らなかった。このアビドスの、異常性を。

 

「うん、それならもうあれをやるしかない」

 

「えっ、やるって……なにを?」

 

「ん、それはもちろん……」

 

普段はあまり表情を出さない彼女だが、今は笑みを隠しきれていない。……ああそうだ。シロコがやろうとしてること、読者のみんなならわかるだろう。

 

 

 

 

 

さあそれでは皆様ご唱和ください、せーのっ———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀行を襲う!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はいっ!?」

 

少し固まったあと、ヒフミは今日一とも思えるリアクションで叫んだ。ちなみに、さらりと犯罪行為をすると言い放ったシロコは、満足そうな顔をしている

 

「でしょうねっ!」

「まあそうだよね、こうなると思ってたよー」

「わあ☆そしたら悪い銀行をやっつけるとしましょう!」

「はあ……まじ?まじなのよね?…………ふぅ、それなら…………とことんやるしかないか!」

「はあ……了解です。こうなったら聞く耳を持たないでしょうし…………先生、いいですよね?」

 

一応、念の為にアヤネが先生に確認を取る。まあここまできたら答えは決まっていると思うが……

 

"うん、今回は完全にあっちが悪いからね……思いっきりやっちゃおう!"

 

「そんな、先生まで……」

 

ヒフミは周囲を確認してみたが、もうすでに自分以外は全員覆面をつけてしまっている。頼みの綱であった先生も了承してしまったのだから、もう自分の味方は誰もいないんだということをわからされてしまう

 

「あ、ごめんヒフミ。あなたの分の覆面がない」

 

「うへ〜、ってことは、バレたら全部トリニティのせいだって言うしかないね」

 

「ええっ!?というか私、参加するなんて一言も……」

 

「ヒフミ」

 

イツキから肩に手をぽんと置かれた。その瞬間、彼女は救いの手が差し伸ばされたのか!と思ったが、すぐに考えを改めさせることとなる

 

「さっき約束したじゃん?だからさ……がんばろ!」

 

「え………」

 

「そうですよ!あ、あとこれどうぞ!」

 

「たい焼きの紙袋?おぉー、それなら大丈夫そう!」

 

「ちょ、ちょっとまっ——————」

 

ガサガサ

 

せめてもの抵抗をしようとしたが、ノノミの前では全くと言っていいほど無力で、紙袋を被らされてしまった

 

「ううっ……」

 

「気にしたら負けだって!それよりヒフミなかなか似合ってるよそれ」

 

「たしかに、なんだかいいね」

 

「そんなこと褒められても嬉しくありません……」

 

「よし、ヒフミも準備完了。それじゃあ先生、例のセリフを」

 

準備万端と表すようにグッドサインをしながら先生に向けて言った。

 

その肝心な先生も顔に張り紙をして素顔を隠している。本来は先生がこんなことをしていいはずがないのだが状況が状況なのだ、しかたない。そんな思いを心のうちに留め、みんなに聞こえるよう元気な声でそれを宣言した

 

"アビドス+ヒフミ!あの闇銀行に正義の鉄槌を下すとしようか!"

 

「「「「「「おー!!!!」」」」」」

「………」

 

 

そして、心の中で先生は思った

 

どんまい、ヒフミ。と……




文才が欲しい……

次の章はどれにしますか?(どれにしろ数話挟んでからのスタートです)

  • パヴァーヌ編
  • エデン条約編
  • アビドスリゾート編
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