普通の高校生たちによるクトゥルフのリプレイ   作:白痴イア

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第十話『……これが、石化した人たちか』

「痛い……」

 

「だから悪かったわよ、何か企んでそうだと思ったの」

 

「もし死んでたらどうするのさ」

 

「ルリム・シャイコースに殺されても生き返ってたじゃない。なんとかなったわよ」

 

「適当だ……」

 

「それに、夢くんが一人で派手に転んだことに関しては私は関係ないじゃない」

 

「……それはそうだけど」

 

 そんな会話をしながら二人が辿り着いたのは、石像だらけの廃都だった。

 

 そこでは、多くの建造物や木々、かつて人だったであろう者達が石化している。

 

 石化した草木や石像からは、青白い球体の光が永遠と天へと上っていく。

 「幻想的な光景だな」と、夢は先程の出来事から目をそらして呟いた。

 

 崩壊した都市の中でも、辛うじて原型を留めているのは、神殿のような建造物だ。

 

 数キロ先には火山灰をまき散らす活火山が存在感を放っているのも見えた。

 

「……これが、石化した人たちか……なんだか不思議だ」

 

 石になっているとは言われていたが、それでもこの目で見てみると驚きがある。

 

花見夢【『目星』55→11/成功】

 

 そのたくさんの石像を見て回ってみると、僅かに光っている一体があった。

 

「お」

 

 そこで夢は、ティアによって〈魂の抽出〉という魔術を習っていたことを思い出す。

 

「……いけるか?」

 

 実はだが、夢は少しだけワクワクとしていた。

 

 何故なら、魔術を使えるのだ。

 病室にいた頃に、自分も元気に外を駆け回ることができるようになるような魔法があればと何度思ったことか。

 

 ……まあ、それに関しては理解不能(ワケワカメ)な経緯で達成されているのだが。

 

「ふぅ」

 

 息を吐き、ティアに教わった通りに夢は呪文を唱えた。

 

花見夢【MP:16→8】

 

 すると、体内に何かの異物が入ってくるような感覚がした。

 凄まじい違和感が体中を駆け巡り、夢はこれが〈魂の抽出〉を利用した感覚なのだなと感じる。

 

『……む? これは……』

 

「ええと、初めまして。僕は花見夢といいます。……状況の説明をしますか?」

 

『いいや、必要ないよ。大方、そういった魔術なのだろう』

 

「! ……理解が速いですね」

 

『これまでの間、ずっと意識があったからね』

 

「は?」

 

 そこで、夢の思考が止まった。

 

 ティアによると、人類が滅んでからはとてつもない年月があったという。

 その間、ずっと意識があった。目の前の彼はそう言ったのだ。

 

 ……意味が分からない。どうして正気を保てているのだ。

 

『長いようで短いような……いいや、確実に長かったな。だが、君が現れた。さて……どうしてこの私、模部山藻武夫(もぶやま もぶお)を呼び起こした?』

 

「……あ」

 

 呆然としてた夢は石像の男、藻武夫(もぶお)の言葉で気を取り直し、疑問になっていたことを質問することにした。

 ……素っ頓狂な名前については触れないでおこう。

 

「……どうして、地球がこんなことになっているんですか?」

 

『やはり、それか。……長くはなるが、話してあげよう』

 

 そうして、石像の男は地球が滅んだ経緯を話し始めた。

 

 それは、今から数万年前に遡る。その日、新しい星が観測されたのだ。

 この星には特徴があり、数光年離れた先からでも、一定のリズムを持った電波を発信していた。

 

 以降、地球には天変地異や奇怪な事件、奇病が頻発するようになった。

 

 人類が見つけたそれは、星ではなく神だったのだ。

 電波ではなく、目覚めの歌だった。

 

「……神?」

 

『ああ、そうだ』

 

 一瞬、夢は何を言っているのだろうかと疑問に思う。

 

 だがルリム・シャイコースのことを思い出し、一旦は話を聞いてから考えることにした。

 

 その星……いや、厄災の神は、グロースと呼ばれていたらしい。それは自身の歌を聴いた天体に吸い込まれるように近づいていく。

 

 太陽系に大接近した時、かつて地球を支配していた神々が全て目覚め、それらの力に抗えなかった人類は絶えることになったとのことだった。

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