普通の高校生たちによるクトゥルフのリプレイ 作:白痴イア
飲み水を求めて、夢はティアの案内に洞窟を出てついていく。
そうしてたどり着いた場所には、黄色交じりの乳白色の泉があった。
「……なんだか、色がおかしくないかな」
明らかに飲める水ではなさそうで。
そのまま泉に夢達が近づいていくと、日頃ティアが訪れるときよりも、木々が一層ざわめく。
「……ん?」
大きく「めぇーめぇー」と鳴く木々は、のたうつ巨木のような胴体に、その太さに釣り合う山羊の足を持った異形だ。肢体から伸びているのは、よく見ると枝ではなく、薄黒いねじれたロープのような触手という方が的確に見える。
なんだこれ、カオスだ。
花見夢【『正気度ロール』78→63/成功】
花見夢【SAN : 78→75】
「やめなさい」
ティアのその一言だけで巨木達は、たちまち大人しくなった。
「あの、ティア……さん? あの、植物……と形容していいのか分からない者たちは何だい?」
「呼び捨てでいいわよ。それと、アレは私のペット」
「ペット!? ペットってこう、猫とか、犬とか、そういうのじゃないのかな!? 僕、少しビビったんだけど!?」
「あら、可愛いじゃない」
「君の"可愛い"は僕には理解できないかもしれない!」
「それよりも、飲まないの?」
「……え?」
ティアの言葉に、僕は固まった。
飲まないのって、何を? 見渡す限り、乳白色の液体しか見当たらない。透明な水なんて何処にも……まさか。
「あのー……この液体を飲めと?」
「それ以外の何があるの?」
「透明な水は無いの!?」
「透明? 水は乳白色じゃない」
水というのは乳白色なのが常識らしいティアに、夢は絶句した。
「嘘でしょ……」
「それで、飲まないの?」
「えぇ……」
仕方なく、泉の水を覗き込む。乳白色で、どこか見覚えがあるような気がした。
花見夢【『幸運』80→90/失敗】
「……気のせいか」
どこかで見覚えがあると思ったが、思い出せない。
「ほら、飲みなさいよ」
「ごぱぁ!?」
するとティアに蹴っ飛ばされて、泉の中に顔が入る。
ばしゃんと軽い音を立てて顔だけ泉の中に入った僕は、思わず乳白色の液体を飲んでしまった。
「……ぐ、ぁぃ……ッ!?」
すると、身体が焼けるように熱くなる。それはまるで、前に無理やり液体を飲まされた時のような感覚で。
花見夢【『POT対抗』45→6/成功】
「……くそ……ッ!」
なんとか耐えて、息を落ち着かせる。
花見夢【STR:13→20】
花見夢【SIZ:18→21】
「あら、急に苦しんでどうしたの?」
「この水を飲んだら、こうなったんだよ……ッ! ……ティアは平気なの?」
グビグビと普通だと言いたげに飲んでいるティアに、夢は絶句する。
「ええ、なんとも無いわよ」
「こっわ」
「それよりも、貴方の身体が大きくなってない?」
「ん? ……確かに」
言われた通り、立ってみると先程よりも背が伸びているような気がした。
「それより、これから夢はどうするの?」
「え? どうするって……どうしようかな」
当初の『病を治す』という目的は、経緯は
普通は家族に会いたいだとか、友達に会いたいだとかで帰ろうとするのだろうが……。
「……ハッ」
厄介者扱いしてよそよそしくしてる親に、大した感情はない。
それに、そもそも夢には友人すら居ない。必要ないと思っている節もあったのだが。
「……特に、無いね」
「それなら、この滅んだ地球を一緒に周らないかしら?」
「え?」
「私はずっとここにいたのだけれど、流石にそろそろ飽きてきたから他の場所に行こうかなって思ってたのよ。だから、良ければ花見くんも一緒に来ない?」
「……ま、暇になったしね。こちらこそよろしく、ティア」
夢とティアが握手をする。
「それなら、早速行きましょう!」
「行動力すごいね君」
そんな話をしていると、巨木の一匹が触肢でティアと夢を持ち上げる。
「……え? うわぁぁああああああッ!?」
そのまま巨木は二人を軽々と持ち上げ、自身の背に乗せた。
「よし、行きなさい! まずはハイパーボリア大陸までね!」
ティアの声を聞いた巨木は嬉しそうに「めぇ〜」 と一鳴きすると、山羊のような足を大股に広げ歩みだす。
「び、びっくりした……けど、案外乗り心地がいいね。それに、この速さなら移動時間は短くて済む。よろしく……でいいのかな、山羊さん?」
「……この速さでも、何日かは巨木の上で過ごすことになるでしょうね」
「だろうね。それでも、歩いていくよりも快適だ」
……こうして。
常識なんて存在しない、二人の旅は始まったのだった。
【キャラクターシート】
名前:黒い仔山羊
HP31/31
STR44 CON17 POW17 DEX17 APP-- SIZ44 INT14 EDU17
【技能】
触肢80 踏みつけ40
【特記】
しわがれた太い巨木を思わせる肢体に、黒くのたうつ触手をうねらせている。
表面にはいくつもの大きな口がついており、絶えずメェーメェーと山羊のような鳴き声を発する。