普通の高校生たちによるクトゥルフのリプレイ 作:白痴イア
目が覚めたら、白蛆がその大きな口から長い舌を ティアに巻きつけ、飲み込もうとしていた。
何を言ってるのかわからないだろうが、僕も何が起こっているのかさっぱり分からなかった。
分からない、が。取りあえず。
「……ティアを離せッ!」
花見夢【『こぶし(パンチ)』50→27/成功】
飛び起きた僕は咄嗟に拳を握り、殺意を込めてルリム・シャイコースを殴る。
だが──ボイン、という思っていたものとは違う音を立てて、ブヨブヨした肉に跳ね返される。
「チッ、それなら!」
何かいい武器は無いかと部屋を見る。
花見夢【『目星』55→34/成功】
すると、一部の破損していたベッドの足がいい具合に刺せそうな武器で使えそうだった。
「これだ」
駆け寄った夢はそれをがっしりと掴み、ルリム・シャイコースへ再び襲いかかる。
「死ね、蛆虫が」
花見夢【『こぶし(パンチ)』50→36/成功】
ルリム・シャイコース【HP:45→40】
ベッドの破片が、ブヨブヨとした肉に突き刺さる。
白蛆の肉を破ると、そこから吹き出すように腐食性粘液が飛び出した。
「うわぁ!?」
花見夢【『回避』22→61/失敗】
思ってもみなかった現実に反応が遅れた夢は、もろに粘液を食らってしまった。
花見夢【HP:16→6】
「ぐ、ぅう……! 痛い……でも、慣れてるんだよ、この程度の痛みなんてな! 持病の方が辛かったぞ!」
未だ飲み込まれかけているティアを吐き出させるために、再度夢はルリム・シャイコースへ攻撃を仕掛ける。
できる限りの力を込めて、ルリム・シャイコースへ振りかぶり──
花見夢【『こぶし(パンチ)』50→5/
自分でも、上手くいけたと感じた。
それぐらい、今の夢の攻撃は鋭かった。
ルリム・シャイコース【HP:40→32】
そして、先程のように傷口から飛び出る粘液。
「二度も同じ攻撃は食らわないよ」
花見夢【『回避』22→7/成功】
大袈裟に後ろへと下がり、夢は粘液を避けきった。
『…………』
するとルリム・シャイコースは忌々しげに夢を睨んだ後に、口に咥えていたティアをぺっ、と吐き出す。
「うおっ!? ティア!」
「うぅ……」
夢がティアに駆け寄るのを他所に、ルリム・シャイコースはズルズルと部屋から去っていった。
「はぁ……なんだったんだ……それよりティア! 君、大丈夫かい!?」
「……ん? あ、花見くん。おはよう。ルリム・シャイコースをなんとかしてくれたのね」
「あ、うん、おはよう……じゃなくて、平気なの?」
「まあね。だけど、正直どうしようかと思ってたから助かったわ」
「すごく冷静に見えるけど……」
「これでも私は長いこと生きてるのよ? 大したことじゃ慌てないわよ」
「そんなものなのか……」
だからといって、丸呑みにされそうになって冷静なのはどうなんだろうか。
「さて、そろそろ寝ましょう。私まだ眠いわ」
「……え? 待ってくれないか? 襲ってきたやつがいる場所で、二度寝するの?」
「細かいことは気にしなくていいわ。それに、あの傷なら今夜また来ることはないでしょうね」
「あの、それと……」
「どうかした?」
さっきから、ずっと言おうと思っていたが言えていなかったこと。
「ルリム某に飲み込まれそうになってたせいで、その……君の体中がベトベトだけど、それはどうする?」
「…………ああ、なるほど」
「確かにこれは嫌ね」と呟いたティアは何かの呪文を唱えると、一瞬にしてベトベトとぬたついていたルリム・シャイコースによる汚れがなくなった。
ティア【MP:15→12】
「……今のも魔術?」
「ええ、そうね。汚れを除去する、〈無垢なる光〉という魔術よ。前に便利そうだと思って覚えておいたの。さ、そろそろ寝ましょう。私、まだ眠いわ」
「はぁ……警戒心とかないのかな。ま、いいや」
もういいや、どうにでもなれ。
そう思い始めた夢は、ベッドで再び寝ようとしているティアの後を追った。
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花見夢【HP:6→16】
ティア【MP:12→15】