普通の高校生たちによるクトゥルフのリプレイ   作:白痴イア

9 / 15
第九話『全力で走りなさいッ!』

 今、僕は落ちている。

 そんな事実を、空気抵抗が僕の体に訴えてくる。

 

 だが、軽く考えている自分もいた。

 

 この世界で目覚めてから、デタラメなことばかり。それに先程一度死んだような気がするし、もう一度死んでも誤差の範囲だろう。

 

 そう思っていないとやってられない。

 

 そんなことを頭の中で考えていると、ティアの声が耳に入った。

 

「巨木、夢くんを受け止めて!」

 

「めぇ〜」

 

 ティアの言葉に応えて、巨木は落ちてきた夢の身体を受け止めた。

 

「……こわ、かったぁ」

 

 思わず本音が漏れてしまった夢を見て、ティアは安心したかのような顔をする。

 

「死なずに済んだわね……」

 

 ようやく一息つける……そう夢が思った瞬間、崩壊する氷山から強烈な冷気を感じた。

 

「…………ティア」

 

「ルリム・シャイコースじゃないわ。もっと、異質なナニカよ」

 

 その重圧を感じてなお、夢は冷や汗を垂らしながら振り返る。

 

 夢に見えたのは崩壊する氷山だけではなかった。

 

 そこには、灰色の太陽があった。

 

 灰色の太陽は、周囲の熱を奪い急速に凍結させていく。

 

 海だけでなく空気も氷付き、氷の大陸が迫ってくるように見えた。

 

花見夢【『正気度ロール』63→73/失敗】

 

花見夢【SAN:63→53】

 

 ルリム・シャイコースのものとは格が違う冷気は、遠く離れているのにもかかわらず、夢達へ襲い掛かる。

 

「……ッ、逃げないと!」

 

「分かってるわ! 巨木!」

 

ティア【『DEX対抗』35→52/失敗】

 

「っ……」

 

 徐々に凍っていく自らの身体に、ティアは僅かに震えた。

 

ティア【HP:8→7】

 

ティア【CON:12→11】

 

ティア【APP:18→17】

 

 その震えが寒さによるものか、それとも怖さによるものか。それは、彼女自身にも分からなかった。

 

 ただ、逃げなければ。それだけを考えて、巨木に再び指示を出す。

 

「全力で走りなさいッ!」

 

ティア【『DEX対抗』35→7/成功】

 

 ティアの必死な声を聞いた巨木は、自身の体を凍らされながらも、この冷気から必死に逃げる。

 

 冷気に触れた先から、表皮が砕け、身体が割れ落ちていく。

 

 すると、目の前に陸地が見えた。

 

 巨木は、最後の力で触肢で夢とティアの二人を掴む。

 

「へ?」

 

 困惑した声を出す夢を無視して、巨木は二人を陸地へ向けて放り投げた。

 

 その直後、追いすがる冷気によって完全に凍結してしまった。

 

「うわぁあああああああッ!?」

 

 すぐさま自分が宙を舞っている現実に追いついた夢は、ただ叫んだ。

 

花見夢【『跳躍』25→63/失敗】

 

ティア【『跳躍』75→11/成功】

 

「ぐぁっ」

 

「……ふぅ」

 

 上手く着地できずに奇声をあげる夢とは違い、ティアは完璧なフォームで上手く着地を成し遂げた。

 

 もしこれがたくさんの人に見られていたら、ティアに向けて拍手が捧げられるだろう。

 

 ……この世界はすでに滅びているので、人なんて何処にもいないのだが。

 

花見夢【HP:16→15】

 

ティア【HP:8→11】

 

「ってぇ……冷気からは逃げられたか」

 

 地面に打ち付けた身体を擦り、夢は立ち上がる。

 思っていたよりも怪我は無く、骨が折れているなんてこともなさそうだ。

 

 そして振り返れば、そこには氷漬けになってしまった巨木を見て、夢は呆然としてしまった。

 だがすぐに正気に戻り、助けられないかと巨木に近づく。

 

花見夢【『応急手当』55→99/致命的失敗(ファンブル)

 

 夢の病院生活は長い。その影響で手当に関しての知識はそれなりにはあったが、それでも巨木に対してできることは無いと察した。

 

「巨木から離れなさい!」

 

 ただ、そんな夢の行為を、巨木に何か怪しいことをしようとしていたのかと勘違いした者が一名。

 

ティア【『跳躍』75→81/失敗】

 

ティア【『マーシャルアーツ』51→41/成功】

 

ティア【『キック』75→92/失敗】

 

 随分と不格好なティアの蹴りが、夢に向かって放たれる。

 

「え──ゲボッ!?」

 

花見夢【HP:15→8】

 

 ティアの脚が夢の腹に食い込み、一瞬呼吸ができなくなった夢は思わず咳き込む。

 

 何の意味のなく無駄に蹴られた夢は地面を転がり、うめき声を出す。

 

「……巨木に何をしようとしたの?」

 

「まだ何とかできるかと思って近づいただけなんだが!? 確証のない思い込みで人を蹴らないでほしいんだけど!」

 

「あら、そうだったの? それはごめんなさいね」

 

「…………もういいよ」

 

 ここで怒ってもどうにもならない。

 

 そう感じた夢はひとまず、自分に対して応急手当を施すことにした。

 

花見夢【『応急手当』55→99/致命的失敗(ファンブル)

 

 だが、ティアに蹴飛ばされたことで移動していた夢が立っていた場所は、凍りついている地面。

 

「あ──」

 

 やってしまった。

 そう思うのと同時に足を滑らせて、地面と同じく凍りついている巨木へ向けて派手に転倒。

 

「ぐはぁ!?」

 

花見夢【HP:8→4】

 

「……何してるのよ」

 

 ティアに呆れた目で見られた夢は、その何処に向ければいいのか分からない怒りを、取りあえずルリム・シャイコースに向けることにした。

 

 おのれ、ルリム・シャイコース。




【キャラクターシート】
 名前:アフーム・ザー
 HP84/84
 STR70 CON98 POW48 DEX20 APP-- SIZ80 INT20 EDU--
【技能】
 炎の接触45
【装甲】
 アフーム・ザーに接触する通常の物体は3d10のダメージを受ける。
 差分がアフーム・ザーへのダメージになる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。