SCP機密学園──確保、収容、保護、あと時々破壊── 作:nikupower
こんにちは!
……いや、もう少し控えめにしたほうがいいかな。
初めまして、私は
セキュリティクリアランスはまだまだ2だけど、いつかは[削除済み]先輩とか[削除済み]さんとかみたいに……博士は……無理かな、って言うのはダメか。
うん、自分で無理とか言うべきじゃないよね。
「待ってくれっ! 話っ!!話をっ!」
バキュン
えーっと、で、こっちの人はカイザーの兵隊さん!
多分それなりに偉い人なんだと思う、いっぱい部下の人連れてたし。って言っても、もう全員倒しちゃったけどね。
「えーっと、話って何だっけ」
「わっ、私はカイザーPMCの大尉でっ、理事長に面会させていただくこともおごっ」
「ごめんなさい、ちょっと静かにしといて。えー」
うろ覚えだけど……何だっけ。この人達が持ってたやつ、時間停止……いや、加速だったっけ……まあいいや、後で誰かに聞こう。
まあ何にせよ、オーパーツって言うのかな、出所不明のオブジェクトで悪さをしてたから回収しにきたんだった。
「そうだ、そのヘンテコなタイマーを取りにきたんだった」
「っ…」
大尉さんの顔色がサッと変わった。うーん、やっぱり見ず知らずの人に渡すのは抵抗があるよね。えーっと、こう言う時は確か
「大尉さん、そのタイマー、使う度時間断絶?とか言うので身体を壊していくらしいよ?なんか原子がズレるとか、大分無理してるみたいだしやめた方がいいんじゃない?」
「……それが」
おっと、雲行きが怪しくなってきた。うーん、これは私失敗したかな。
とりあえず、銃はしっかり押しつけておこう。
「……どうしたっ」
大尉さんの姿が消える。ありゃ、一応脅したのになぁ。
そうして、次の瞬間に私は呆気なく吹き飛ばされた。ズドン、と、壁を貫通して木の葉みたいに身体が吹き飛んでいく。相変わらず厄介、避けようがないよこれ。
「お前らなぞに邪魔立てをされてたまるかっ、クソっ!」
あー、あー、めっちゃ銃乱射してるし。普通に痛いんだけどなー、これ。
もー、怒った。温厚平和なスズちゃんも怒りました、ちょっと痛い目に遭ってもらおう。
《Everhart Resonator起動 残時間 5:00》
かるーく地面を蹴って、手を支点にしてくるっと一回転。そのまま大尉さんの死角に潜り込む。
「クソッ、クソッ、クソッタレがあああああぁぁぁあぁぁあああぁ
……あ?」
大尉さんは随分とマヌケな声で当たりを見回していて、うん、これだけでかなり溜飲が下がる。でもズドーン。
「あっ、がっがあっ!」
腕と、足、胴体は狙わず確実に四肢を吹き飛ばす。ついでにタイマー君も拾い上げておく。我ながら結構いい動きじゃない?
「やめろっ、返せっ」
「えーっと、なんかごめんなさいっ」
謝るが返さない、だって私が怒られちゃうし。
「クソがっ、何故っ、何故ここにお前らがっ!」
「私に聞かないでよ、スパイとか居るんじゃない?」
知らないもん、普通に。私だって何をどうやったらこんなに情報が集まるのか知りたいよ。
「っ、三ツ矢の悪魔がっ」
「えー、何その呼び方、いつの間に出来てたの?」
悪魔という響きにちょっとかっこいいと思ってしまったのは、勿論ナイショだ。
「んー、まー、なんにせよこれでさよならかな。あんまり時間使いたくないんだよねー、この後約束があるから」
「っ!……この、我々をどこまで愚弄すればっ、あ……」
「だからーーおやすみ!」
記憶処理ウィルスをネットワークを介して送りつける。人間もこうして処理できたら便利なのになぁ、と、以前博士がぼやいていたのをフッと思い出す。
あと数分もすれば記憶は跡形もなくなくなって、カバーストーリーを刷り込まれた上でいつものように何の疑いもなく帰還していくだろう。ふんふふんふふーん、と、私は上機嫌にビルの外壁を駆け下り……
「……あれ、時計、もしかしてずれてた?」
街中の時計と腕時計を見比べて、それから自分の間違いに気付いたのでした。
──じゃない、急がないとっ!!
────────────
「スズ、こんにちは……って、大丈夫?」
「ふーっ、ひーっ、ひ、ひゃい」
危ない危ない、今日はシャーレの担当日……って言っても、私はそんなに頭が良いわけでもないから、あんまり役に立たないかもだけど。と、不安げな顔をちょっぴり見せていると、先生はそれにいとも簡単に気づいて
「ああ、そんなに気張らないで。難しいことは頼まないから」
と言ってくれた。
「あ、ありがとうございます」
やっぱりシャーレの先生は凄いなぁ……じゃない!
手伝いに来たのに気を使わせてどうすんのさ、私!
「で、でも、だいたい何でも手伝います」
と申し出てみる。だいたい、なんて予防線を引いてしまうのは私の悪い癖だ。
「その心意気だけで嬉しいよ」
と先生は言うけれど、本当に心意気があったかどうかは行動からしかわからない。から、せめて出来る範囲では頑張ろう。
そうして奥のデスクにちらりと目をやり……
やり……
えっ?
「ところで先生……あの山、何日分ですか」
「今日届いたやつだね、あれは」
へ
「アビドスの始末書と、カイザーの不正弾劾報告と、後諸々の会計資料と、ヒナから引き継いだゲヘナの細々した認証資料と……」
聞いてて頭が痛くなってきた。え、他の学園の仕事も引き受けてるの?お人好し過ぎない?
「スズには……とりあえず、書類の仕分けをお願いしようかな。このマニュアル通りに仕分けをしてくれれば良いから」
「分かりました、ましたけど、先生……本当に大丈夫なんですか?」
「最悪十二時までに終われば大丈夫だよ」
何もだいじょばないよ。
「いやー、なんか最近眠れなくて……多分色々あったせいで体が少しおかしくなってるんだと思うけど」
「病院行きましょう」
────────────
作業開始から約一時間、私一人黙々と作業をやっています。そろそろ終わりそうかな。
え?先生は何をやっているのかって?
ここでモモトークを見てみよう。
【ごめん、ちょっと
何があったんだろう。出ている固有名詞が軒並み財団データベースの要注意分類で見た記憶があるのは、多分気のせいじゃないんだろうな。
過労死しちゃうよ、そんな調子じゃ。
でもまぁ、突っ込んだって仕方ない。先生はそういう人で、だからこそカイザーをギャフンと言わせて窮地の学校を救えるんだから。博士は尊敬しているし機密学園は凄い組織だと思うけど、やっぱり表舞台に立つのはあの人のほうがよっぽど向いてると思う、多分。
そんなふうに考えていると
がしゃーん
何の音か、ガラスが割れる音だ、いや何で?
「あ、スズ、ちょっとそこの書類貸して、それ」
「え、あ、はい」
先生は何とゲヘナ風紀委員長に抱き抱えられて登場しました。
「ありがとぐぇ」
「ごめん先生、なるべく優しくする」
あ、一瞬でいなくなった。去り際に「終わったら自由に帰ってー」と言っていたのだけ聞き取れたが、先生は果たして書類仕事を終わらせることができるのだろうか。いや、多分どうにかして終わらせているのだろう。で無ければこの部屋はとうに書類で埋まっている。
うーん、やっぱり真似できないな。せめて先生が最大限活動できるよう、私もちゃんと仕事をするとしますか。
地面を醜く這いずる化け物を踏み潰す。可視光では見えない、生物の精神を蝕む化け物──しかし、タネが割れて仕舞えばこの程度。
可聴域の外に絶叫が響き渡るが、そのまま上から拘束具をつける。よし、多分これでOKなはず。
SCP-966
「よいしょっ、と」
大きめのカバン……に偽装した可搬収容セルに突っ込むと、流石に観念したようでぐったりとしている。試しにペンで突いたけど、うーん無反応……じゃないわこれ、センサーがめっちゃピーピー言ってる。思いっきりこっちに電磁波撒き散らしてきてるわ。
「こら」
一発急所を外して打ち込んでみる。9ミリだから多分大丈夫だろうと思ったけど、ありゃ、血を流しちゃってる。うーん、やっぱ外のアノマリーって
あー、なんかダメな感じに苦しんでる。早く連れて行かないとやばいかな。
ま、死んじゃったらなんか適当に言い訳しよう。
そんな適当な考えで、私は【帰ります、先生も元気で】と打ち込んでシャーレを出たのでした。
────────────
「さて、スズ君。エバーハート共鳴器を許可なく使用し、ビル一棟の二フロアと外壁を不必要に破壊し、未収容のアノマリーを銃撃して損傷を負わせた件について、何か言い訳は?」
やっべ。
出しといてなんですけど、当分は大々的に既存scpが出てくることは(多分)ありません。