超古代の施し系TSオリ主の話   作:全手動創作Bot

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前日譚 + なんか雑多なアレソレ
知らんうちに喪失していた系オリ主


 チートをもって転生したぜ!過去にな!!

 これで知識チート無双は俺のもんだ!!!

 

 なんて思っていた時期がありました。

 原始時代、それもクルミを割るのに石を使うレベルの石器時代。それは石器と言っていいのか?

 そんな疑問を呈しても、それに答えてくれる人はここにはいない。なんなら周りの同族を人と呼んでいいのだろうか。

 原始人である。そりゃもう、猿と人の中間種と言われて見たこともないくせに想像できちゃうそんなビジュアル。

 

 言語もろくに発達してない。

 何かを伝えたければ対象を指さして、ウホウホキャッキャ言うのが関の山。

 それでも何やらふんわりしたニュアンスの違いはあるらしく、手に取るのと指さすのはたぶん別。選ぶと対象にとるくらい違う。同じじゃねえか!

 

 そんな連中の集落に、俺は生まれてしまった。

 垂乳根極めたママンと顔面毛まみれのパパンが構ってくれたのは弟が生まれてくるまでだった。

 確かにこう、愛情的なサムシングを感じないでもなかったが、この時期の人類は多産多死。体がどうやら強かったらしい俺のことは早々に放り出し、たくましさに劣る兄弟たちに構うようになるのはある種必然と言える。

 

 そんな放置プレイを受けて健やかにすくすく育った俺は、周りよりも頭二つくらい大きく育った。

 というのも栄養状態からしてそもそも差がある。未来人の知識チート、こんなところで面目躍如である。

 

 まずこの集落の主食はカブトムシの幼虫みたいなデカい芋虫。それしかなければ食べざるを得ないが、現代っ子の魂が骨の髄までしみ込んだ俺は食べたくない。キモいもの。

 分かりやすいたんぱく源は春先から夏にかけてのそれくらい。あとはなんか植物の茎を齧ったり、コストパフォーマンスを考えるとマイナスになるレベルで野生動物をひたすら追い回す狩りをしたりで、お世辞にもいい状態とは言えなかった。

 

 この辺に魚のいる池、あるらしいっすよ。

 じゃけん罠張って野生動物捕えましょうね。

 

 そんなノリで生活用水を汲んでいた池の端を枯れ枝で区切って罠を作り、魚を追い込めば釣り人すらいない時代の魚。スレるどころか純粋無垢なそいつらは余りにも容易く捕まった。

 魚類だが安定して動物性たんぱく質を摂取できる環境を整え、次は植樹である。流石に品種改良された未来の作物にはとても及ばないが、この時代に気持ち程度の甘味を得るには果物は外せない。ほかにあるのは蜂蜜くらいのもの。

 蜂蜜なんて気合の入ったやつしか採ろうとしない。理由は言わずもがな、誰だって刺されるのは嫌なのだ。

 

 そうこうやっているうちに繁殖適齢期。それなりに長い原人生活で同じ集落の連中に愛着こそ湧いたが現代人。

 原始人に発情するのはむずかしく、お相手がいないまま生涯を終えるのだがこればかりは仕方ない。

 

 そんな俺の活躍というか、未来に現れる先人の知恵とかいう矛盾極まった知識無双によって集落の規模はどんどん大きくなっていった。相変わらず多死多産で、兄弟の何人かが死んでしまったことはちょっと堪えたけれど。

 それでもほかの集落と比較すれば明らかな文明というものが感じられるくらいに発展したのではないだろうか。

 

 いくら探しても穀物の類を見つけられなかったのは残念だったが、農耕民族になったことで人類は安定性と引き換えに不幸になったという説もある。今後集落の規模が大きくなれば供給が揺らぐかもしれないが、俺が死んでからしばらくくらいなら問題ないだろう。

 

 大雨で近場の川が氾濫したり、生け簀が流されたり、果樹が駄目になったりしたものの文明の大枠くらいは整備できたのではないだろうか。

 

 推定年齢25歳に達した頃、俺の立場は集落の指導者兼記録者となっていた。

 なお書いている媒体は粘土板。紙なんてものは存在しないし、製造するには現状の文明力ではコストがかかりすぎる。そんなわけでメソポタミアに倣って粘土板に刻むことにした。

 

 平らな石の上に木枠を置いて、そこに粘土を流し込み平らに均す。

 そしてある程度乾いたものに文字を刻む、という手間がかかるものだが紙作りはもっと手間だ。保存も手間だし、管理を間違えると記録と一緒にダメになる。

 

 暦を制定し、一年の区切りを明確にして記録は月に粘土板一枚と現代からすれば舐めているのかと思うようなペースだが、この時代にそんなに記録する事柄などないのだ。

 時折起こる災害や教訓は別途刻んで割り込ませる形をとる。

 

 そこまでやって、俺は我に返った。

 

 やることが多かったから誤魔化されていた退屈が、顔を出したのである。

 そう、現代人にこの娯楽のなさは辛い。それはもうつらいさんだ。

 

 まず、簡単なものから普及させた。

 

 白い面と黒い面があればいいオセロだ。これは枝の切り口を焦がして切り落とし、次を焦がして切り落とす。そんな風に輪切りにしていくと結構簡単に作れる。誰でも作れる。

 瞬く間に流行したが、ずっとオセロというのもつらい。ついでになんかすごく頭のいい連中が頭角を現し始めてちょっと驚いた。さてはこいつら俺より地頭がいいな?

 

 調子に乗ってチェスを作った。

 こっちは頭のいい連中は理解してハマったが、ほかの連中にはウケが悪かった。単純さが足りなかったのだろうか。

 

 それじゃあ双六……は無理だった。ある程度のランダム性を担保できるサイコロを作れるほど工作精度がない。

 一部の職人染みた奴らが作れないこともなかったが、サイコロのためにその労働力を拘束するのはあまりにもったいないので死蔵した。だからおまえら教えたサイコロ作って半丁博打を始めるんじゃねえ。

 そうやってサイコロしか作れなくなるぞと脅したら内々で隠れてやるようになってしまった。やっぱり人類の祖先だよお前ら。

 

 あれよこれよと娯楽を供給していく中、気づいてしまった。

 俺は娯楽を消費したいのであって供給したいわけじゃないのだと。

 

 そんな日々を送る中、一部の連中が俺の使っている文字に興味を示し始めた。

 前々から徐々に言語を浸透させていたのが功を奏したのか、文字に興味を示し始めたのである。

 そう、文字に興味を示したのである。大事なことなので三回言った。

 

 そりゃもうこれだと思ったね。

 

 こいつらに物語を書かせれば良いのだ。

 手本になる話をいくつか書いて、あとはそれを読んだこいつらのインスピレーションに任せて制作された作品を俺が読み漁る。完璧な計画だ、永久機関ができちまうな!

 

 ともなれば、まず手本となる話を書かなければならないだろう。

 

 この時代、R規制や表現配慮なんてものも存在しない。それどころかキャンプファイヤーしながら大乱交をかます時代だ。オラワクワクしてきたぞ。

 性癖なんて多種多様、デカパイデカ尻、ロリも年齢的にまあ繁殖適齢期入ったばかりはロリだし、なんならふたなりからドラゴンと車……はこっちで概念を教えなきゃダメだ。男同士女同士は当たり前、なんなら俺の尻に熱い視線を送るやつもいる。ぶっ殺すぞ。

 

 そんなわけで頭のおかしくなった俺は記憶にある創作物から色々と拝借しつつ、いくつかの物語を書き上げたのである。

 

 

 

 

 

 "ザヴァング物語"

 

 それが発掘されたのは深海からだった。

 元はいくつもの破片に砕けた碑文で、内容はザヴァングというヒトから現れた神による文明勃興の物語。

 

 『偉大なるザヴァングは人々に魚を与えた』

 

 そんな出だしから始まり、彼、後の彼女の人生を書き綴った物語である。

 

 カルデアの書庫でその記録を見た俺は、銀色の義手で思わず目頭を押さえた。

 自分が導いた文明が石碑を建て、後世にその存在を残すに至った感動……であればどれほど良かっただろうか。

 

 古い時代、それこそ旧い時代とでも表現すべき遥か昔に存在した超古代文明。その文明の勃興に関わった現人神、ザヴァングという偉大な存在。

 なんのことやと思ったよね。名前もまあ、『水辺で魚を掴む』という意味でオノマトペもいいところな表現。

 

 ほーん、あいつらそんな頑丈な石に文字を刻めるとこまで行ったんか。

 

 そんなちょっとした感動は、その後読み進めていくにつれてどんどん薄まっていった。

 なにせ物語の中で知恵を与え、何を与え、与える存在として描かれている俺の手足は飢餓の際に食料として人々に与えられたことになっていたのだ。

 そして請われるがままに文明を発展させるため、与え続けたザヴァングは最終的に目玉も口もない、頭だけの存在になってしまう。ちょっと想像しにくいのだが、連中に与えた物語に混じっていたそういう系のがなにか琴線に触れたのだろうか。それとも何か逆鱗に触れるようなことをした仕返しだろうか。

 

 その過程で手足を失い、目を失い、耳を失い鼻を失い、まあとにかく色々失うのだ。男性を失った、とか書いてあったのには声を上げたよね。

 

 そして全てを与えたザヴァングを見て、与えられた彼らは後悔する。これでは遠い地で行われると聞く蛮行、生贄ではないかと。

 食料を収穫したあとに種を蒔くように、木を切り倒した後に苗木を植えるように、与えた者には相応の返礼をしなければならないと気付く。そして今まで与えられたものをすべて返した時、文明はザヴァングに収束して消えた――という内容だった。

 

 なんやこの喪失系拗らせた奴が書いた寓話といった感じ。

 

 ちょっと脳裏に一人そんなのを書きそうな雰囲気のあるやつの顔が浮かんだが、あいつは俺の尻に妙な視線を送ってきたホモだから多分違うハズだ。……いやでもTS要素入れてあるし、考えるだけ深みにはまるからこの思考はやめよう。

 そんな施しに施した結果、文明丸ごと一つを凝縮して返礼したら生まれたのが俺ってわけ。なんか自分の知らんうちに魔改造されて、知らんうちに神様に祭り上げられた挙句、知らんうちに座に誘拐されて、世界救って来いよってされてるの怖くない……?

 

 

 でもそんなことはどうだっていい。

 この世界が型月世界と知って頭を抱えたのに比べれば、まあ許せなくもない些細な問題だ。いややっぱ許さん。

 

 そんなわけでこのカルデアは本来の人理には存在しなかった超古代文明出身のTS施し系オリ主が同行する人理修復の旅と相成ったのである。

 

 大丈夫?

 ここ異聞帯だったりしない……?




話を書くのには大事なものがいくつかある
文章力、これはあって当然。これがなくちゃ始まらない
構成力、これは好き嫌いがあるからとやかく言わないよ、うん
そんでもって一番大事なのがね、気力だよ。そして俺にはもうない、以上だ

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