超古代の施し系TSオリ主の話   作:全手動創作Bot

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序章:霊長の境界_終

 「さあ、わからないこと、知りたいこと。母になんでも、聞くといい。あ、でもエッチなのとかは、ちょっと……」

 

 二言三言、喋るたびに自分の中のティアマトのイメージが音を立てて崩れていく。

 あの子供たちに裏切られ、悲嘆と哀愁に暮れた原初の母はどこへ行ったのか。

 

 「なんですか、その目は。母では不満ですか」

 

 口を開くほどに、その印象は残念なものへと変わっていく。

 そこにいたのは割とポンコツな創世神だった。なんかこんなサーヴァント他にもいたような……。

 

 「じー……」

 「いや、不満じゃないよ。すごく心強い」

 

 ジト目でじっと見つめられ、何か返さなければとそんな言葉が口を突いて出た。原初の神霊でビーストで母だもの。そりゃ味方になるなら心強いよ。

 自分の発言に思わず突っ込みを入れるが、それに反応する人はここにはいない。エルキドゥは微笑ましいものを見るかのように笑みを浮かべているし、ティアマトに至っては表裏なくその言葉に喜んでいる。突っ込み役(マシュ)が、不在……!

 

 「そうか、そうか。なら、いい。心細くて泣きそうな子を励ますのも、母の役目」

 

 いい子いい子。そんなことを言いながら背伸びして頭に手を伸ばしてくる。

 現状に少しホームシックに陥って参っていたのはどうも見抜かれているらしい。

 

 「そろそろ、いいかな?」

 

 しばらくされるがままにしていると、エルキドゥがようやっと口を開いた。

 

 「そうだった。不安な藤丸のために説明すると、今は人類史が始まるずっと前。藤丸の時代からすると、200万年、くらい前かな?」

 「200万年前!?」

 「ずーっと、長い時間をかけて、繁栄してきた古い人類。その文明が、この時代」

 

 曰くここは200万年前の特異点であり、その文明は現生人類以前の人類が興したものだという。

 最初は優れた指導者が知恵を授け、文明を押し進めたらしいが、その没後に残った知識をやりくりして、数万年かけて今の形にまで発展したらしい。気の遠くなる話だ。

 ……どこかで聞いた話だな。

 

 藤丸の脳裏に、一人のサーヴァントの姿が過ぎる。

 

 200万年前のサーヴァントで、文明を興していて、人々に知恵を授けた。

 そんな詳細不明のサーヴァント、いましたね。

 

 「もしかして、ザヴァングのいた文明……?」

 「ザヴァング。ええ、いますよ。ザヴァング。知っているなら話も早いから、案内しましょう」

 「……え?」

 

 ティアマトに手を引かれ、どこへとなく連れていかれる。

 そんな馬鹿な。ザヴァングは文明を興した当人だ。見てきた限りの範囲で、ここまで発展するのに100年200年では利かないだろうことは想像に難くない。

 それかまさか、神霊だからそこからまだ生きている……?

 

 「この時代のザヴァングはまだ生きてるの?」

 「生きていますよ? でも、あの子も孤独なので、藤丸も友達になってあげてね」

 

 ちょっと話が見えてこない。

 生前の本人か、あるいはサーヴァントなのか。そう、サーヴァントだ。

 

 「そういえば、ここに来る途中のあのサーヴァントは一体?」

 「あれはゴーストライナーから金型(クラス)の概念だけを抽出したデミ・サーヴァントだね。この時代に英霊や神に類するのはザヴァングと一部の司祭だけだから、クラスと力の概要を降ろすことしか出来ないらしい」

 

 エルキドゥ曰く、どうやらこの時代にはアラヤはまだ存在しないという。しかし人類が存在するため、それに伴って人類史は既に存在し、人類史に付随した境界記録帯(ゴーストライナー)は既にあるのだという。

 そこからクラスと概要を降ろし、生きた存在に付加することでその特徴と力の一部を付与できるらしい。エルキドゥが確認した限り、現状ではランサー、ライダー、アサシン、キャスター、バーサーカーの5騎のクラスが降臨しているとのこと。先ほど戦っていたのはランサーとライダーで、後から来たのがバーサーカーだとか。

 

 「あれ、でもエルキドゥやティアマトは何で現界できてるの?」

 「それは母も、エルキドゥも、ガイアに類するからです。ガイアのほうが、アラヤよりも、年上なのです。それに、わたしは原初の生命のお母さんなので、この時代にも存在しました。えっへん」

 

 改めて聞くとこの母、タイムスケールが凄い。

 

 足を進め、道を行く。

 相変わらず周囲の人々は喋らない。石畳の道を行き、通行人とすれ違い、横断歩道を渡る。

 街路樹や公園、その他の配置やデザインが妙に日本チックなのはどういう意図があるのだろう。カルデアに戻ってザヴァングに聞けば何かわかるだろうか。

 見える風景に相変わらず懐郷を感じながら、足を進める。

 

 すると、それは現れた。

 

 明確に他とは違うデザイン。

 白っぽいレンガ造りでアーチ構造が多い。どこかローマに通じるものを感じさせる。

 装飾や色味が白いところに現代の教会に近いものを感じるが、十字架のような宗教的なシンボルが存在していない。ほかと比べて高い尖塔が建っている以外、デザインが他と違う以上の特徴がない建造物。

 

 「ごめんくださーい」

 

 入口の前でティアマトが声を上げる。すると、しばらくして扉が開いた。

 扉の先にいた人物はティアマトを見て、優しげな笑みを浮かべ……て、いるのだろうか。

 

 そこにいたのは、法衣を纏った人間と猿の中間のような顔つきの老人。しいて言うなら猿の惑星に登場したあれだ。

 

 「ようこそおいでくださいました、原初の神よ。このような辺鄙な教会にどのような御用ですかな?」

 

 喋った。

 今まで見てきた通行人は、目の前の人物よりも人間に近い見た目をしていた。それこそ人種の違い程度の差しかないほどに。

 目の前の老人は、そんな程度では済まない明確な差異がある。だというのに、この老人は喋るのか……。

 視線がティアマトから、ゆっくりとこちらへ向けられる。そして、彼は驚いたように眼を見開いた。

 

 「……まさか、齎すものが降臨されるとは」

 

 齎すもの。これもどこかで聞いた気がする。

 

 「あの、はじめまして。藤丸立香といいます。ぶしつけな質問で申し訳ないのですが、その、齎すものというのは……?」

 「ああ、そうでした。申し訳ない、話を急ぎすぎましたな。ここで立ち話もなんですので、中へどうぞ」

 

 促されるまま、建物の中へ入ればそこはいかにもな教会だった。キリスト教のそれに近いだろうか。

 礼拝席が並べて設けられ、奥には十字架の代わりに聖遺物であろう槍が石床に突き刺さっている。なんというのだろう、元ネタからそれっぽい雰囲気を模したようなこの感じは。

 そのまま談話室に通され、座るよう促される。慣れた様子でソファに腰かけたティアマトの横に腰を下ろす。

 

 「さて、自己紹介が遅れて申し訳ございません。私の名はセモス。偉大なるものを祀る司祭をしております」

 

 司祭といっても、特にこれと言って偉いわけではございませんが。そう言いながら、慣れた手つきで茶葉を掬ってポットに入れ、お湯を沸かし始めた。

 

 「セモス。藤丸は齎すものではありません。カルデアのものです」

 

 ティアマトのその言葉に、セモスの手が止まった。

 

 「そう、でしたか……。カルデアの。つまり、いえ。やはりこの文明は剪定されるのですね」

 

 エルキドゥがその作業を引き継いで、セモスはどこか覚束ない様子で椅子に腰かけた。

 頭に手をやり、何か思案しているようだ。

 この時代が剪定される。その言葉はまるで、ここが異聞帯であると認識しているようで。

 

 「……我々は、霊長の境界を跨ぐことが叶わない、か」

 

 彼の口から不意に、そんな言葉がこぼれる。

 そのどこか悲嘆に暮れた様子から、ある程度の事情が察せられる。

 

 「藤丸立香殿。いいえ、あなたが予言にある星見の……我ら文明の、終焉の使者でしたか。しかし、構いません。いずれ立ち行かなくなることが分かり切っていた。最初から分かっていたことです」

 

 もはやそれは会話ではなく独白と言っていいもの。

 

 「原初の神がお連れになったのであれば、もはや疑う余地もございませんな。ああ、困った」

 「あの、俺は現状がどうなのかわからなくて……」

 「いいえ、申し訳ない。あなたを責める意図はございません。あなたが来たのであれば、説明せねばなりませんね」

 

 セモスは幽鬼のように立ち上がり、書棚から一冊の書物を取り出した。

 

 「藤丸立香。あなたに、お願いしたいことがあります」

 

 本の表紙には、魚と果樹が描かれている。

 

 「我ら異聞を汎人類史より切り離す計画。脱出計画に、ご助力を願いたいのです」




人類が存在する→人類史が存在している=境界記録帯は存在している
霊長の抑止力であるアラヤが存在している≠境界記録帯が存在している
この作品では霊長は人類種ですが、人類種は必ずしも霊長ではないという扱いとなっております

まだ色々決めていないのですが、この後リリムハーロットでティアマトが来ても藤丸は久しぶりーみたいな反応するんだろうなって

代わりと言っては何ですが、活動報告にセモス司祭の設定を放り込みましたので、考察のお供によろしければどうぞ

大変申し訳ありません、矛盾が出ました。時間かかります。
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