超古代の施し系TSオリ主の話   作:全手動創作Bot

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協調:果てを目指す者たち_01

 「ああ、しかし、さて……。私からのお話は後に回し、まずはご用件を伺いましょう」

 

 先ほどのそわそわした様子はどこへやら、思い出したかのようにティアマトに視線を向けた。

 基本的には好々爺然とした振る舞いだが、切り替わりが激しい人(?)だ。

 

 「藤丸が、ザヴァングを気にしているから、会わせてあげて」

 

 しかしどうやらティアマトは対応には慣れているらしく、気にした様子もなく要件を切り出した。

 

 「ふむ、……それであれば問題ないと思います。紹介状を書きますので、しばらくお時間をいただけますかな」

 

 言うが早いか戸棚からペンと公用紙を取り出し、慣れた手つきでペンを走らせる。

 時間にして物の数分で書き上げると、フクロウの姿をした使い魔を召喚し足に括り付けた。

 

 「中央教会へお行きなさい。ザヴァング様の関係者ですので、神官長に直接届けてもよいでしょう」

 

 窓を開け放ち、指示を出す。すると使い魔は頷いて、音もなく窓から飛び立った。

 そうこうしていると、エルキドゥが淹れ終わったお茶を差し出した。

 

 「給仕の真似事なんてやらなくていいって、ギルは言ってたけど……やってみるとなかなか面白いものだね。はい、出来たよ」

 「ありがとうございます、御使い様」

 

 妙に様になっているのはなぜなのか。顔面偏差値が高いからかな?

 しかしこのマグカップ、やっぱりザヴァングの持ってるのと同じデザインだ。聖杯出現事件と天草四郎退去事件で見たから形はよく覚えている。

 エルキドゥからお茶を受け取ったセモスは口に含んで味わうように飲み下した。

 

 「さて、ではこちらのお話をさせていただいてよろしいですかな?」

 「はい。取次、ありがとうございます」

 「いえいえ、お構いなく。それでは」

 

 そう言うと、セモスは咳払いをしてテーブルに置いた経典らしい本の表紙を撫でた。

 

 「これは、我らに与えられた英知を書き記したものでしてな。一人の指導者が残した数多の知識、知恵、そういったものをまとめただけのものです。大げさに聖典と呼ぶ者もおります」

 

 我々は、これを理解しきれていない。

 それなりに分厚いとはいえ、たった一冊の本を前にセモスはやり切れない様子でそう呟いた。

 

 「事は急を要します。そういった意味では、齎すものと同等の存在が現れたことは僥倖でした。原初の神と、御使い様は静観の構えでいらっしゃるようですので」

 

 何やらものすごい期待を向けられている気がする。

 

 「セモス。藤丸も、あなたと同じ。あまり、相手に頼りすぎては、だめ」

 

 それが肥大化しすぎて手に負えなくなる前に否定しようとしたが、先んじてティアマトが釘を刺した。

 

 「ええ。ええ、存じております。しかし、我らにとって齎すことが可能なものは貴重なのです」

 「あの、さっき俺にも言ってたその、齎すものというのは?」

 「失礼。どうにも先が短い故か、話を急ぎすぎる」

 

 齎すもの。

 それはこの文明において、新たな概念を文字通り齎すものを指すという。

 奇妙な話だが、この文明の人類は新しいものを思いつく能力が非常に乏しい。しかしそれでも時折、突然変異的にその能力を有した個体が生まれて来たり、長い歴史の中ではどこからともなくやってきた存在に新しい何かが齎されたこともあるという。

 何であれ、自力で思いつく能力がない中、唐突に表れる新発想を齎す存在。それが齎すものだという。

 

 「セモスも、ほかの子と比べて、ちょっぴり頭がいいのです」

 「そう仰っていただけるとは、光栄でございますな」

 

 セモスは嬉しそうに笑って見せた。

 

 「さて、話を戻しましょう。我々の文明は、齎すものが現れぬことには先に進めない。逆を言えば、それがどこへ行きつくか、ご存じでしょう」

 

 それは今まで、幾つも乗り越えてきた。

 

 「先のない、剪定事象」

 

 はい、その通りです。

 セモスは確認するように頷いた。

 

 「我々の文明は齎すものが存在しなければ、剪定事象がいつ起きても不思議ではないのです。とはいえ、現状においていうのならこれは後の課題。……直近の滅びはあと半年と経たぬうちに、天上の世界よりやってくるのです」

 

 セモスは上を見上げた。

 

 「それゆえに、私たちは脱出するほかない。これは遥か遠方より飛来し、交差する星。これまで周期的に24の空の大地を揺るがし、この文明を幾度となく滅亡の淵へと追いやった存在。このまま座して待ったのなら、いま私たちが住む空の大地は引きちぎられ、我々は死に絶えるほかないでしょう」

 「つまりそれまでに準備をしたいけれど、何か問題があるということですか?」

 「はい。皆様もご存じかもしれませんが、今この地では教会の派閥をいくつも巻き込んで魔術儀式が行われております。カルデアの方であれば、似たような物をご存じでしょう」

 

 その言葉に、エルキドゥが反応する。

 

 「クラスを降ろして殺しあっているアレかい?」

 「はい、彼らは跳躍の儀式と呼んでおります。優れたもの同士を戦わせ、生き残った者の要素を種族全体へと還元するのが目的の儀式です。それにより我々の進化の速度は飛躍的に加速しました」

 

 私も元は、もっと頭も悪く、背も低く、猫背だったのですよ。

 セモスはどことなく厭うように、自嘲するように吐き捨てた。何か、それによる不都合があったのだろうか。

 

 「さて、藤丸立香殿。私がお願いしたいのは、この跳躍の儀式を速やかに完遂するか、中断させることです。今はこのような行いをしている場合ではないのですが、まあ、いわゆるロートルの言うことを、若い者は聞かないものでして」

 「マスターが率いた僕たちを戦力として当てにしていると」

 「隠さず言えばそうなります。それに、カルデアはこれまで幾多の困難を乗り越えてきたと聞き及んでおります。それと比べたなら血気盛んな若造の相手など、後の世の英雄たちと比べるまでもないでしょう」

 

 「いいえ。だめですよ、セモス。藤丸は、あなたに協力する理由がない」

 

 ティアマトが再度、言葉を遮った。

 

 「あなたたちは、自立しようとしている。けれど、自立できてない。母は、これは、善意だけで手伝っていけないと、藤丸に言います。これは、セモスたちが、やらなきゃいけないことです」

 

 気づけば完全に会話からおいて行かれている。

 口を出そうにもティアマトはこちらを制するように視線を向け、エルキドゥも首を振っている。

 

 「ええ、その通りです。ですが私は私の目的のため、あなた方を利用させていただく。しかしそれを説明せず、ただ利用するだけであれば不誠実ですからな」

 

 ここにきて、セモスが悪い笑みを浮かべる。しかしすれは数秒で霧散し、元の好々爺へと戻った。

 

 「それに、カルデアの目的も存じております。特異点の修正、つまりその原因を解消、あるいは排除できれば良い。おそらくその起点となり得るのは、此度行われている跳躍の儀式でしょう。いかがですかな、利害は一致していると思いますが」

 

 悪くない、むしろ非常にいい取引だといえる。

 少し状況を整理しよう。

 

 「セモスさんは、跳躍の儀式をどうにか終息させて脱出計画を進めたいと」

 「はい、その通りです。無論、儀式を終息させるのに際して犠牲は少ないほうが望ましいですが……贅沢は言いません」

 「流石に俺もそんな力任せに、なんて考えませんよ。そして儀式の終息が特異点の修復にかかわるものである可能性が高いという事ですね」

 

 であるなら、利害は一致しているはずだ。

 今までの特異点や異聞帯を考えると、余りに親切だ。親切すぎる程に話が分かりやすい。

 

 「ええ、おそらくは。この世界が特異点と化すのであれば、それ以外の要因はないでしょう」

 「そうですか。それなら、協力させていただきます」

 

 それ以外の候補がないのであれば、協力するほかないという事情もある。

 その返事に、セモスはうれしそうに顔をほころばせた。そろそろ表情がわかるようになってきたな。

 

 「ありがとうございます。原初の神も、よろしいでしょうか。これは取引としてのものです」

 「ええ、いいでしょう。ですが、お互いに、頼りすぎないこと。特にセモス、あなたの文化は、藤丸と大きく違います。強いから、大きいから、無償で助けてくれるわけではないのです」

 「勿論でございます」

 

 ポンコツ神だったティアマトが何やら立派なことを言っている。

 神様というのはよくわからないな、などと益体もないことを考えながらエルキドゥの出してくれたお茶に口をつけた。めっちゃおいしいやん……。

 

 「では、さっそく作戦会議……の前に、そろそろ中央教会に使い魔が届いたころです。ザヴァング様にお会いしに行きましょうか」




遅くなりました、申し訳ありません。どうにか角ばった説明回をマイルドにしようとしたのですが、私の技量が足りませんでした

今後の流れというか、最後の方の見せ場でその後のメタトロニオスが茶番化しかねないやり取りの予定があってぅーぁー……
しかもちょっと矛盾点がぁー……

仕方ないのでこのまま押し進めて徐々に修正かけます
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