超古代の施し系TSオリ主の話   作:全手動創作Bot

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コミュ強種族ホモサピ

 ようこそマスター。このような僻地にまで来てくださるとは……感激だ!

 おや、マスターのご友人? 素敵だ……ならば私にとっても友人同然です。新しいご友人……楽しい時を過ごしましょう。

 

 「か、歓迎されてるのはわかるのですが、様子のおかしな人です先輩!」

 「それがダ・ヴィンチちゃんのおかげで喋れるようになったからテンション高いみたいで……」

 

 ねっとりヴォイスで歓迎の意を示せば、マスターの後ろをついてきていた後輩ちゃんが困惑の声を上げた。言葉は丁寧で友好的だし、部族内じゃ俺は誠実で直実(オーネスト)と評判だったのに……。

 

 唐突だが、現生人類……ホモ・サピエンスは肉体的に優れている。

 なんだてめえ、動物要素がバリバリ残ってて力の強いほうが強いに決まってるじゃねえかよ。力こそパワーだろうが。そう思う人もいると思うが、ほかの人類よりも手先が器用で賢くて燃費が良くて物知りなだけではないのだ。いや普通にこの時点で結構すごいな?

 

 あまり注目されない点だが、発声能力というのもホモサピが持つ高性能な部分だ。

 

 それこそ旧人との比較でもこの部分、結構な差がある。直立二足歩行が発達するにつれ、頭部の重心が地面に対して垂直になると同時に首も曲がった状態からまっすぐに変化した。

 

 それに伴って声帯も同様に短く、単純化したのである。

 

 複雑なほうが機能を盛り込めそうな気もするが、これに関しては複雑なものより単純なものの方が出せる音の種類が増える。声量など、場合によっては古い人種のほうに軍配が上がるかもしれないが、この部分はどうしたって敵わない。

 結果として何ができるようになるかというと、発声を利用した言語の習得である。言語を習得できるというアドバンテージは、そのままコミュニケーション能力の向上につながる。

 指をさしてウホウホ、手に取ってキャッキャする以上に意味が伝わるのは言うまでもない。声がデカけりゃコミュ力があるわけではないのだ。

 

 「発声言語は楽でいいね、流石は現生人類」

 

 マスターこと、藤丸立香と出会ったその日。俺は口から管楽器の音を出した。

 このふざけてるとしか思えない出来事は、声帯の差による言語の違いによるものだった。

 

 原始人の声帯では言語を利用できるほどの種類の音を発することができない。

 ではどうやって会話していたのかというと、ジェスチャーが主になる。リンゴを指さして、鳴き声を発して、食べる真似をする。すると『このリンゴ、食べる』という2つの意味合いに鳴き声によるイントネーションが乗ることで『このリンゴ、食べていいか?』とか『このリンゴ、食べるか?』などに派生するのだ。

 ここにさらに首を振る動作が付くと『このリンゴ、食べるの、よくない』になり、付属する鳴き声次第で更に意味合いが付与される。

 それもジェスチャーで同じ意味合いを表現することもできるあたり、鳴き声に関してはほとんど声掛けに近い。

 

 まあそんな言語を使っていた連中だ。技術が進歩しても使っているユーザーが合わせて進化するわけではない典型例で、文字を覚えてもそれと音を結びつけることがなかったのである。何せ自分たちは発声できないのだから。

 加えてそれを広めた本人も原始人。結果として頭の中では音として読み取っていても、それを伝える手段もなければ、伝えられたところで使われることもない。

 

 結果として、俺……ことワタシに実装されていた機能は綺麗な音色でそのイントネーションを表現するというものだった。設計としては破綻していないのだが、妥当な末路である。

 ほかにも口を動かせる速さに差があるとか、神経経路が違うとか、声帯の位置が違うとか、いろいろ理由はあるようだが。まあ、要は言葉を発するという動作がそもそも想定されていなかったのだ。

 それを見抜いた技術顧問ことダ・ヴィンチちゃんがちょちょいのちょい……どころで済まない苦労をして、ようやっと口頭による会話機能の実装と相成ったのである。その苦労たるや、もう頭が上がらない。

 

 そりゃテンションも上がろうというものだ。

 

 ちなみにここまでの説明、全部そのダ・ヴィンチちゃんの受け売りなんですよお客さん。

 万能の天才を自称するだけあって、自分以上にチートを体現しているといっていい。人生一周であれとか、敵う気がしない。こちとらサーヴァント含めれば3周目なのにな。

 

 「悪ふざけはさておき、どうされました?」

 「それなんだけど、ダ・ヴィンチちゃんがそれらしい文献を見つけたっていうから知らせに来たんだ。資料としては数がないというか、ほとんど都市伝説みたいなものらしいんだけど」

 「あー、ワタシの原典の……」

 「おかげで冬木のランサーさんのお名前も判明しました。ザヴァングさんで間違いないと思います!」

 

 後輩ちゃんことマシュは少々興奮したようにその名を口にした。

 聞いたことのない名前だが、なんとなくしっくりくる。気がする。いややっぱ気のせいかも……。

 

 「どのみちワタシに記憶はないですし、そう名乗ることにしましょう。立ち話もなんですから中へどうぞ。アイスティーしかないですが良いですか?」

 「ああ、ありがとう。おじゃまします」

 

 

 現在、カルデアが契約しているサーヴァントは15騎程度。それに対し部屋が余っているため、新参者のワタシにも個室が与えられている。

 ストレージから犯罪的によく冷えたアイスティーを取り出し、棚から適当なお茶請けを引っ張り出す。ストレージの中身は生前から引き継いでいるのだが、都合よく何かすごい物品が出てくる――なんてことはなかった。何せ現代のほうが物資的にはクオリティが高いもので、ドヤ顔で品種改良前のうっすい甘味しか感じられない果物をお出ししても仕方がない。種を鉢に植えてみる程度の愛着はあるんだけどね。

 結局、使用用途は相も変わらず荷物入れと冷蔵庫のままだ。チート、確かにチートなんだけどな……。

 

 「では、不肖マシュ・キリエライトがダ・ヴィンチちゃんに代わって報告します」

 

 それは海底の泥に埋もれていた石碑に刻まれていたらしい。

 年代測定の結果、少なくとも200万年は昔のものだとか。

 

 偉大なるものの話をしよう。

 偉大なるザヴァングは人々に魚を与えた。人々の空腹は満たされた。

 偉大なるザヴァングは人々に知恵を与えた。人々は果樹を探しに行く必要がなくなった。

 偉大なるザヴァングは人々に武器を与えた。人々は獣に喰われることがなくなった。

 

 偉大なるザヴァングは人々に――偉大なるザヴァングは――偉大なる――……。

 

 とまあ前半はなにやら身に覚えのある業績が列挙されていた。

 ただね、なんでお前ら性の喜びを与えたとか書いてんだよ。なんで特殊なプレイを列挙して後世に残したんだ、マスターが気まずそうに視線そらしちゃったじゃねえか!

 この場で一番かわいそうなのはそれを真っ赤な顔で読み上げているマシュなのだが、それ以上に申し訳ないのが翻訳者:レオナルド・ダ・ヴィンチである。頭が上がらないとかそんなレベルじゃない、どんな顔して会えばいいんだよ……。

 

 ただ、読み上げている内容が後半に行くにつれて雲行きが怪しくなる。

 

 『飢えた人々に手足を与えた。人々は命を繋いだ』

 

 この一文を皮切りに、続くそれらは生贄じみた凄惨さを見せ始める。

 

 『光無き者に光を与えた。光無き者は世界を知った』

 『鼓動を零したものに命を与えた。死したものは息を吹き返した』

 

 おそらくこれは寓話だ。さすがに事実に基づいたものではない。

 ただまあ、合わせる顔が物理的になくなったのは思わず笑ってしまった。笑ったせいで二人にすごい目で見られたのでダメージとしてはまあ、はい。

 

 『偉大なるものは失われ、人々は過ちを悟った。そして齎すものを求めた』

 『人々はザヴァングに与えた。偉大なるものは蘇り、人々は失った』

 

 そこで碑文は終わりだ。失われたのか、元から存在しなかったのか続きはない。

 

 ……あの集落は俺の死後、どれだけ続いたのだろう。

 少なくとも、今のワタシの体を作り上げるような技術は間違っても有していなかった。石に文字を刻むだけでも大きな進歩であり、肉体の移植や命の概念を教えた覚えはない。つまりそれは彼らが自発的に発明した概念であり、可能か不可能かはさておきそういった行いを夢想するだけの知識を得ていたことになる。

 

 サーヴァントという存在は、伝承によりその性質を変じる。

 

 例えば最速の英霊アキレウス。彼は吟遊詩人の詩に「足捷きアキレウス」と唄われたことで、その能力を獲得した。そういう意味で、ワタシの姿は彼らが夢想した人々――つまり文明を収束させた英知を象っているのだろう。

 

 ただそれと同時に、疑問も湧く。

 

 少なくとも手足を見るにこれは金属だ。しかも金や白金ではない。つまり金属加工まで技術階層を進めていたことになる。

 金属を使用し、肉体の移植という発想ができる程度には発展している。そんな文明が、競争相手のいない時代のどこに消えた……?




語録と下ネタでお茶を濁すしかできないふがいない私を許しておくれ
書き始めてしばらく経つと、面白いって何だろうな……となって書けなくなっていく病

『ザヴァング』の皮をかぶった『偉大なるもの』のガワを纏った『ザヴァングの元ネタ』とかいう非常にややこしい入れ子構造

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