超古代の施し系TSオリ主の話   作:全手動創作Bot

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人権鯖は嫌だ、人権鯖は嫌だ……

 「おお、いいね。この機構は芸術的だ……こっちもセンスがいい」

 

 結局、来歴については石碑以外に情報がなく、ひとまずザヴァングというのは古い神霊の類という結論に落ち着いた。

 少なくとも現状はカルデアの味方であり、それを戦力として運用できるのであればサーヴァントというだけでその恩恵は大きい。

 しかし本来であれば当人の自己申告により能力等が分かるところ、当の本人が自分の名前すら知らないという有様だ。それゆえにまずは調査からということで裸に剥かれてベッドに寝かされ、某天才の知的好奇心を満たす格好の材料とされていた。

 

 『裸くらい、同性だしいいだろう?』そう言い放ったダ・ヴィンチちゃんはとてもいい笑顔だった。

 同性。そうかな……そうかも……。

 

 メカニカルなボディが何やら彼、彼女(?)の琴線に触れたらしく、喉元以外のパーツをそれはもう詳らかにされているところである。

 ただ腕に頬ずりしたり太ももに指を這わせたりとこう、いけないことをしている感が凄い。いや生身だったらそういうことしてるわこれ。もしもしアラヤメン?

 そんな背徳的な検査を終えたダ・ヴィンチちゃんはどこか艶やかになっていた。

 

 「おそらくフレームはオーロラ鉱と煌星のカケラの合金だね。動作機構には無間の歯車、黒獣脂が冷却液に使われてるし、魔術的な素材の塊だ」

 「ドロップ目的で乱獲されそうですね」

 

 そんな呟きにダ・ヴィンチちゃんは苦笑いを浮かべた。

 

 「確かに貴重な素材がこれでもかと使われているけど、サーヴァント一騎をそれなりまで再臨したらこれくらいにはなるよ。しかし、その体を作った人物はよほど君にご執心だったと見える」

 

 一名ほど、造形物を見てこの辺がセクシー……エロいっ!! みたいな反応する奴に心当たりがあったが、そいつも魔術的な心得はなかったはずだ。というか俺の生きてた時代には魔法も魔術もなかったし、そもそもまさか型月世界とは思わなかった。

 なんやかんやで検査から解放され、続いてはシミュレーターを使った機能テスト。所有してるかもわからない宝具をどう検証するかというと、令呪を使う。

 

 カルデアの令呪はパスをつなぐのが主目的で、それ以外の機能のほとんどが魔力リソースとしての能力に割り振られている。そのため絶対的に順守される命令は「ストップ」くらいのもので、それ以外になると「なんか嫌だな」とかそんな意識で弾けるほどに緩いらしい。

 とはいえそれでもそこそこ程度の強制力があるため、これを使う。なんでもドクター曰く、素直な性格の酔っぱらいに命令するくらい効くらしい。わかるようなわからないような例えだ。

 

 「機材の準備終わったよー、いつでもどうぞ」

 「令呪を以て命じる! ザヴァング、宝具を!」

 「おー? なんか思い出してきた気がする」

 

 そんな強制力でも、素直に身を任せればアシストを受けているような心地だ。確かにこれは、何だろう、体に染みついた行動を寝ぼけて行うような感覚とでもいうのだろうか。

 

 「二十五の楽園より、歩み始めた者たちへ祝福を。ワタシを与え、ワタシが奪う――古き過ちは遅きに失し、至るべき姿を忘れ去る」

 

 生前、それ以前から感じたことのない未知の感覚が体表を撫でる。

 槍を振りかざし、それを巻き上げ、体が動くままに任せて祝詞を紡ぐ。

 

 「我らの栄華は光に浴し、天へ至れど翼を焦がす。運命の針は刻限を指示した」

 

 「マシュ、防御準備!」

 「はい!」

 

 性能どころか機能も不明。そんな状態だというのに、取り敢えずビールよろしく取り敢えず宝具使ってみようかと言い出したマスターは思い切りが良すぎる。

 

 「そして、沙汰が下るだろう(ユア・ネーム・イズ...)

 

 何やら光が煌めいて、それは終わった。気が付けばシミュレーターの外にはじき出されている。

 自害系の補助宝具ですねこれは。来歴的にもそれっぽい感じだ、記憶にないけど。

 演出が一瞬輝くだけで終わりなのは周回適性高そう。人権鯖は嫌だ、人権鯖は嫌だ……。

 

 『わあ、すごいねこれ! 藤丸くん、見たまえよこの強化幅。ほとんど倍だよ倍! しかも宝具使えるくらい魔力のリチャージもできてる』

 『え、アルトリアのカリスマでも2割とかなのに!?』

 

 人権鯖ァー!!!

 機材をセットしてモニターしていたダ・ヴィンチちゃんの無慈悲な通告。NPチャージに能力100%アップとかぶっ壊れもいいとこやんけ! 嫌じゃ嫌じゃ! 周回地獄には落ちとうない!!

 そんなことを考えたせいなのだろうか。そこで実験を終えてデータをある程度まとめたときに、それは起きた。

 

 ダ・ヴィンチちゃんとマシュの強制退去である。

 

 これが実戦だと何を意味するか。言わずもがな即死だ。

 おそらく先ほどのバフにデメリット効果があったのだろう。シミュレーターの中だから退去だけで済んだが、実際にレイシフトした先であれば大問題だ。

 そして変化はこちらにもあった。

 

 シミュレーターから退去した二人と入れ替わるように転移し、体はごく自然な動作で槍を振り上げていた。力が漲り、抑えが利かない。令呪とは別の、宝具を最後まで完遂しようとする霊基が起こした行動だ。

 

 「決別せよ。星の船に、乗るがいい(クムシュ・トゥル・テムン)

 

 

 投擲。

 

 

 光が尾を引き、再現された大地を抉る。

 そして、気づけば全員でシミュレーターの外に放り出されていた。

 

 

 「うーむ、これは……我ながら使いづらいな!」

 「威力は凄いけど、使うと全滅しちゃうから奥の手だね……」 

 

 使うと全員で仲良く自害&全滅する宝具とか使いようがないやろこれ。そうであってくれ。

 マスターも苦笑いを浮かべ、精いっぱいのフォローをくれているがそんなもの必要ないくらい清々しい。今のワタシは宝具の内容よりも人権鯖を回避した喜びでいっぱいだ。

 サーヴァントの屑とでも呼ぶがいい。ワタシは紅茶を傾けながらエルメロイ二世が過労死する様を眺めさせてもらうぜ。

 

 「藤丸くんも一緒に外に出てるってことは、たぶんみんな一緒に全滅してるから一人の時じゃないと使いようがないのかな?」

 「ならマスターには外から指示を出してもらって、ワタシが一人でシミュレーターの中に入りましょう」

 

 テイク2と題しまして、再びシミュレーターの中で宝具開帳。発動方法は覚えたので今度は自力だ。しかし一向に効果が発動しない。

 令呪も使ってもらったが、どうやら何か使用条件があるのか発動する気配がない。わかったのは詠唱パターンに差分はないらしい、ということくらいだ。

 

 「これは……強化対象がいないと発動しない?」

 「そのようだね。悪いけどマシュ、一緒にシミュレーターに入ってくれるかな」

 「了解しました。なんだか難解な宝具のようですね」

 

 テイク3を終えて、大体の性能が判明した。

 まずワタシが戦闘不能となり、味方に魔力チャージと攻撃力向上バフが付与される。ゲーム的な倍率でいえばどちらも100%と破格の性能だ。ここで終わっていたらバフ付与からの自力退場で人権鯖待ったなしだったが、次に問題があった。

 

 しばらくするとそのバフをワタシが回収して復活し、回収された人物は戦闘不能になる。

 おそらく味方全体、全員が戦闘不能だ。宝具を1度使えればいいような猶予はある。

 そして復活したワタシがその回収したバフをすべて合算した強化状態で自滅宝具を放つ。というのが一連の動作らしい。

 

 いやー、困っちゃうなあ。強いのに高速周回に不向きすぎて困っちゃうなあ!

 

 流石に現実としてはそんな鬼のような素材周回はまずないようだが、それでも戦闘は重労働。槍を持っていても、そもそも戦闘担当の人材ではなかったのだ。というか王様が剣を持って騎士してるほうがおかしいと思うんですよ。俺のは剣じゃなくて権なんで……。

 

 ゲーム的に表現するのなら発動すると戦線を離脱して、味方を超強化。その後1ターンの猶予を挟んで味方を退場させ、強化状態で復活し、敵全体に強力な攻撃といったところか。

 システマチックに考えれば使いようはある気はするが、ここは現実である。どう考えても戦闘不能になった味方を巻き込む仕様だ、使いようがない。

 

 「仕方ない。なにか解決策が見つかるまで宝具は使えなさそうだ」

 

 

 そんな喜びも束の間の出来事。

 

 「スキルでも2回くらいで宝具使えそうなくらい魔力供給できてるね」

 

 スキル検証において、ダ・ヴィンチちゃんが発した言葉にワタシは膝から崩れ落ちた。

 宝具使わなくていいタイプだったかぁ……。




色々調べものしていて遅くなりました。資料が少なすぎて大丈夫かの確証は(ないです)
感想、評価、ここすき等ありがとうございます。見ると数字を追いたくなるため、見ないようにしていましたがランキングになんか居てね……
感想についてなのですが、申し訳ありません。数が多すぎて返す余裕がないので、何か不都合などでなければ対応しません。許してくださいなんでもしますから……
でも乾燥いただけるのは励みになりますので、ありがたく読ませていただいております。ありがとうございます

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