7年ぶりに、少女は村に帰還する。
雪屋春海 森林/蛇動岩付近 前日14:00:04
いままで、山道を走っていた車が、森林の中に隠すように停車される。
車の前方は、坂になっていて少し危ない。
「ここなら見付からないだろう、この前下見した時には誰も来なかったし、儀式を行う場所も近い」
森岸蓮という男の言葉に春海はうなずいて返事をする。
蓮とは、ネットで知り合い彼がカメラマンとして羽生蛇村を調べたいというのを知った。
最初は疑いもあったが、村の話しやここまで運転したことを考えると少しは信用出来るようだ。
何よりも、村で再び儀式が行われる話しを聞いたら、いてもたってもいられなかった。
「それなら、夜まで交代して仮眠をとりましょう」
春海がそう言ったときであった。
ガタン
そんな音が、車のトランクから聞こえた。
二人はすぐさま車より出てトランクの前に立ち、蓮がゆっくりとトランクを開けた。
「うわーー」
そんな声と共に、女性が両手を上げてトランクから飛び出て来た。
「平賀さん、どうしてここに?」
「ごめん春海ちゃん、心配になって勝手について来ちゃった」
トランクにいたのは、春海のクラスメイトである、平賀葵であった。
葵は、春海が見知らぬ男性とともにどこかに行くのを知り、こっそりと忍び込んだのである。
「なにか勘違いしてるみたいだけど、私は夏休みを使って故郷である村に行こうとしただけ」
ハァーとため息をつき、話しを続ける。
「それにこの人は、カメラマンとして村にきたいだけ」
「えっ!そうなの」
自分が、なにか早とちりしていたのを知って、葵は項垂れたがすぐに何も心配ないのだと知り、明るい表情になった。
「それなら私も付いていく、もともとそのつもりだったし」
「帰りなさい」
春海は、いきなり大声をだし葵を帰らせようとした。
「いきなりどうしたの春海ちゃん?」
「訳のわからないことを言うことになるけど、はっきり言ってこの村は危険なの、死にたくなければ早く帰りなさい」
葵の質問なぞ聞かず、春海は無理にでも帰らせようとする、そんな時である。
「今から帰ろうとしたら日がくれて危険だ、そっちの方が死んでしまう」
いままで黙っていた蓮が話しに入ってきたのだ。
そして、自信の提案が危険と言われ、春海はそれに対して何も言えなかった。
「・・・わかりました」
「なんだかごめんね春海ちゃん」
その後、春海と蓮は交代で仮眠をとり夜まで備えた。
葵はというと、トランクできつい体制を取ったためか疲れ、夜までずっと寝ていた。
雪屋春海 森林/蛇動岩 前日23:29:50
木々があいた広い場所には、村人が大勢あつまり、儀式を初めようとしていた。
春海は、その近くの木に隠れ様子を伺っている。
(さすがにここからだけじゃわからない、他のところからも見ないといけないか)
そして春海は、動き初めた。
アーカイブNo.1 蛇動岩を入手
終了条件 誰にも見つからず周囲を回る
春海は集中し、7年ぶりの視界ジャックを行った。
村人の視界を確認し、自分が通るところの逆方向を向くとその後ろをこっそりと進む、それを繰り返していた。
ジャックをしながら話しを聞こうとするも、なかなか重要になることを聞けないでいた。
しかし半周以上を回ると、ある人物が目に入った。
蛇動岩の前にいる2名、求道師の服を着た男性と求道女服を着た女性を、春海は気になって見初める。
(あの二人なんだろう、村の重要人物かな?)
そんな疑問もあってか二人が話しだすと、それを聞く為に視界ジャックをしようとする。
だが、近くから足音がする為、そちらにジャックを集中する。
「村のことだから見回りに来たけど、理空はしっかり寝てるかしら」
そんなことを言う女性は春海の近くで止まっていたが、しばらくすると、女性はその場から去っていった。
再び蛇動岩の方を見るも二人はいず、離れた場所に求道女を見つけ顔も確認できた。
(あの顔、誰かに似てる)
何故か名も知らぬ女性が誰かに似てるいるような気がしてしょうがなかった。
その女性は、何を思ってか森の方向へ足早に進んで行く。
それを見て、春海も見付からないように急いでそちらに向かう、何故なら女性が進んだ方向は春海達が乗ってきた車があるのだから。
そこにはまだ、葵と蓮がいる。
二人が心配になり、春海はその場をあとにした。
終了条件達成
雪屋春海 森林/蛇動岩付近 前日23:58:55
「春海ちゃん」
前方から、葵が鞄を持って駆けつけて来た。
「平賀さん車にいたんじゃなかったの、それに誰かに会わなかった」
「いや、春海ちゃん以外とは会ってないよ」
先程の女性はどこかで迂回したのだろうかと考える。
「それより大変だよ春海ちゃん、森岸さんはやっぱり怪しいよ」
葵は、慌てた声で話しだした。
「どうしたの、何があったの」
「あの人の鞄の中にこんなのがあったから、こっそりと脱け出して来たの」
そう言って葵が鞄から出したのは、なんとボーガンであった、鞄の中には矢がたくさん入っていた。
春海は最初は驚いたものの、この村のことを考えると武器を持ってくるのは間違いではないと思った。
だが、ただのカメラマンが羽生蛇村を調べただけでそこまでの危険を知ることが出来るのかが謎である、蓮にたいする信用が薄れ、不安と疑問が溢れてくる。
しかし、春海のその思考は突如としておきた地震により止めざるえなくなった。
「うぁぁ」
「キャーーー!」
二人は、そんな悲鳴をあげるも、地震はすぐに止まった。
しかしすぐに、なんとも言えない不思議な感覚が脳に直接繰るような気がした。
「・・・これは」
春海が何かを言おうとした時である、時間は0:00:00と日付変更時間となり、
ウゥゥゥーーーーーー
村にサイレンの音が響き、二人はその場で気を失ってしまった。
そう、その音とともに新たな、どうあがいても絶望な物語が始まるのであった。