あんたのこと嫌い

ブルーピーコックに入社した新入社員は入社早々に先輩からの洗礼を受けた。
人間不信の彼女と訳ありの新入社員。2人の出会いと別れの物語。

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救国のスネジンカもアシュアも関係なくR18のイラスト見てたら出てきた一発ネタ?


嫌い、嫌い、大っ嫌い!

「あんたのこと嫌い」

 

ブルーピーコックに入社し、ダチカ班長達に挨拶した。荷物を置いてきなさいと言われ廊下を歩いていたところ、ばったりと出くわした彼女に会って早々、私は嫌われたようだ...なんだろう、身だしなみは8等級にしては整えられていると思ったのだが。顔か?鼻毛でも出てたか?

言ってきた件の彼女に話を聞こうとしたら足早に行ってしまった。名前もわからない。綺麗な長い黒髪、澄んだ黄色い目、可愛らしい顔文字の赤い髪留め...結構特徴的だから聞けばわかるだろう。

上司のダチカ班長に聞いてみた。早々に嫌ってきた彼女はリシチカというらしい。

あの子はいつも、初対面の人にすら嫌いと言うらしい、なら挨拶のようなものか...

どうやら優秀なスナイパーだけれども、連携が取りづらいとのことだ。ちなみにリチシカと言い間違われたりすると本当に怒るから気をつけなさいと念押しされた。

 

ちなみに顔は問題ないとのことだ。出された書類は問題しかないから書き直しなさいと怒られたが...

 

 

 

 

各部屋にあいさつ回りをしていく。ここはエクトルさんとリシチカさんの部屋か...

 

「こんにちは、私は..名前が長いからゼイリーって呼んでくれると嬉しい。リシチカさんで良いよね...?」

 

「そう...ゼイリー、何の用?」

 

そっけなく睨みつけられながら聞き返される。

 

「挨拶さ、お互い名前がわからないと困るし。交流しておいた方が連携も取れるだろ?ちなみに得意武器は同じくライフルだよ、まあ得意と言っても子供の頃から害獣駆除で使ってたくらいだけども」

 

「...そう、装備が被るなら別小隊だから連携もないじゃない。交流も必要ない、好き勝手しゃべってくるの嫌い、出てって」

 

「悪いね、おしゃべりが多いのが僕の悪い癖だ。あと、エクトル先輩にも挨拶したかったのだけど、どちらに?」

 

「...射撃練習場で練習してるんじゃない?」

 

「ありがとう、所で...そこの蓄音機とレコードは君の?いい趣味だね、僕も音楽が好きでね...気になっちゃった」

 

「これはエクトルの...私はうるさいから音楽は嫌い。あんた、ほんとおしゃべり、うるさくて嫌いだから早くエクトルのとこ行って」

 

「本当にごめんね、治さないとなあ。これからもおしゃべりゼイリーをよろしくね、失礼しました」

 

 

そうして呆れた顔をしたリシチカと別れた。さて、エクトルさんのとこに行くか...

 

 

再度リシチカの部屋にノックの音が響き、リシチカが顰め面で出てくる。

 

「またあんた、何?」

 

「射撃練習場ってどちら?ダチカ班長からは教えられてないんだよね」

 

彼女はハァっと大きなため息をした。

なんだかんだと言いながら連れて行ってくれた。ありがたい。

下級グレネードランチャーすら練習で撃ってるのに地下に作るのは安全面からさすがにどうかと思ったが。

 

 

エクトルさんとの挨拶も滞りなく終わった。エクトルさんは努力の塊のような人だ。趣味も合って話も弾んだものの、すぐに練習に戻っていった。上級兵よかくあれを体現している3等級の鑑だ。こんな人がこんな零細企業で埋もれてるのがこの国の限界か...まあ、そんなこと言っても8等級が何様のつもりだ...と言われるだろうが。

全く、自分が嫌いになるよ。

 

本来、私はダチカ班に配属するはずは無かった。男女で別班で構成されるのがこの会社でも基本であった。だが、1班10人の定数を満たしておらず、ダチカ班のスナイパーが件の問題児であったことから男女混合のスナイパー2人体制の変則的な班が結成された。もう1人を探しているが、戦争の長期化に伴う人手不足でなかなか募集に集まらないようだ

おかげで1人で部屋を使えるのは塞翁が馬と言えるが。

とはいえ、大好きな音楽が聴けないのは残念だ。都市部ならどこかしらでレコードなり映画なり観れたし聴けたんだが...あっそうだ、エクトルさんとこにレコードあったな、聴かせて貰うか。

練習場でも聴きに来なさいなと言ってくれたし。とても博識で魅力的な人だったなあ。

 

エクトルさんの、部屋に行き扉をノックしようとした...ところ、扉の先からはクラシックが流れていた。ジャフェットの交響曲5番、いい曲だ。エクトルさんが聴いているのだろう。軽くノックしたが反応もなく、せっかくだから室内で聴こうと中に入...る

 

入って瞬間、目に入ったのはエクトルさん...ではなく...バスルームから出てきたばっかりのバスタオル姿のリシチカだった...あっ、隠れ巨乳なんだな...髪から水が滴っていてなんとも扇情的だ...やっぱり美人だなあ、リシチカ

 

「はぇぇ...すごい...」

 

「えっ...ゼイリー...」

 

私が見惚れてしまっていると彼女がこちらに気づいて目が合った。みるみる間に顔を真っ赤にしてすごい形相で見てくる。あっ、まずい...

 

「何見てるの!出てって!誰か!のぞきがいる!」

 

「あっ...ち..違う!誤解なんだ!エクトルさんに会いに来たんだ!」

 

私は事実とはいえ、苦しい言い訳を口にする...がもちろん聞き入れられる訳がない。周囲からダチカ班の班員が集まり、逃げることをしなかった私は即座に拘束された。さすが零細とはいえPMCだけあって人を制圧、拘束するのは手慣れたものだ。そのまま、会議室へ連れられた。

 

「...ゼイリー、来て早々こんなことをするなんてね...申し開きはある?」

 

真正面に座ったダチカ班長からはもはや人を見る目をされてない。周囲の同僚達も同様だ。発言を間違えてしまえば比喩ではなく人生が終わるだろう。これは人民裁判にいるのと同じだ...

 

「言い訳でしかありませんが、言わせて下さい!エクトルさんに誘われて音楽を聴きに来ただけでのぞきになったのは偶然です!悪意と故意はありませんでした!リシチカさんには申し訳ないことをしました、すみません!」

 

「...本当なの?エクトル」

 

「...ええ、この蛆虫さんも音楽鑑賞が好きだと聞きまして、良かったら聴きに来なさいとはいいました...音楽かけた後にお酒がないことに気づいて、取りに行って帰ったらこんなことになってたのには驚きましたが...」

 

「そうなの、でも..ゼイリーは部屋に勝手に入っていたとリシチカは言ってるけど...そこら辺は?」

 

ダチカ班長から再度質問が飛ぶ

 

「ノックはして入りました!音楽がかかっていたから返事はないのも自然だと思い、聴きたかったのもあり入ってしまいました...」

 

「...筋は通ってるわね。もし、リシチカをのぞくつもりなら音楽がかかっていてエクトルがいるだろう部屋には入るわけもないか...逃げようともしなかったようだし、でも女性の部屋にいくらなんでも返答がないまま入ったのは問題ね...」

 

班長は納得したようで周囲の反応を伺う。茶髪の髪をワンサイドに編み込んでまとめた女性、アブレック補佐官が質問を飛ばす。

 

「リシチカちゃんからは、じっと裸を見られたと言われたけどそれは本当?」

 

「...急に出くわして、驚いてしまっ「嘘ね」...綺麗でつい、見惚れてました...すみません」

 

「最低...大っ嫌い」

 

「蛆虫...」

 

「あらあら」

 

アブレックさんの吸い込まれるようなピンク色の目に全てを見透かされた気がしてしまい、事実を告げる。ああ、終わった...私の人生は終わってしまった。

 

「うーん、故意犯ではないけども、過失も0ではないけど大きくもない。でも結果として、のぞきはしたって事実もある...」

 

「ダチカちゃん、最後の可愛い嘘はどうかと思うけど、社則的には減給処分くらいが妥当じゃないかしら...」

 

「そうね、減給2カ月に練習場の整備をやりなさい、新米の仕事も兼ねてる。リシチカもいい?」

 

「ん、ダチカが決めたなら従う。でもあいつは下品だから嫌い」

 

「じゃあ...ゼイリー、以上で終わるけど2度目は無いからね...ただでさえ変則的な班なんだから」

 

「...はい、ご迷惑おかけしてすみませんでした」

 

ここカゾルミアでは秘密裏に処理されないだけマシだろう。私はどうやら許されたらしい。リシチカからも許されたね、ヨシ!

この後すぐレコード聴きに行ってもよいか確認した。エクトルさんは笑いながらバイタリティーは認めます、好きにしなさいと言ってきた。ありがたい。どんな時でも前向きにが私のモットーです!

 

 

 

 

 

 

 

 

外部射撃練習場にて

 

 

ダチカ班長に射撃技能の確認のためにスナイパー向けの射撃練習場へ連れてこられた。あっ

 

「6つ目の的に当てるのに3発ね...1発でやんないと。あんまり上手くはないのね...」

 

「本職ではないですし...あくまで狩猟の一環でやってただけですからね...でもダチカさん、5番の500mから急に850m先はいくらなんでも初弾ではキツくないですか?」

 

「リシチカはやってのけたわよ...なんで距離わかったの?」

 

「いや、標的のサイズわかれば銃の付属部品の長さ使えば計算できるじゃないですか...」

 

「出来るけど...精度おかしくない..?いや、そうね...なるほど...今からあなたを観測手としてリシチカ係に任命します」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

とある日の戦場、高台にて

 

「方位100.距離95.風速5.南東.数1 ...目標ロスト、次方位75.距離105.数2 ...OK いいよ...リシチカ、指揮官はもういない。あとは大型を掃討しよう。竹槍使いな、君は方位0から私は180から」

 

「ん」

 

今回は比較的近距離に指示役の兵士もおり、簡単に仕留められた。機械兵の指示が通らず、まとまった軍事行動を取れていない。後方に置いてある機械兵にはそのまま置物になって貰おう。

 

観測手兼スナイパーになってからは彼女とも打ち解けて来た気がする。

最初はのぞき魔と組むなんてあり得ない、嫌い、などと拒否されていた。だが、バディになりうるエクトルは面制圧のために中衛にいる必要があり、後衛のリシチカはポジションとしては浮いていた。

そこでさらに浮いていたスナイパーポジションの自分が観測手として補助+追加スナイパーとして活動することで後衛の火力の底上げを狙っていたらしい。

リシチカもスナイパーとしてのみに仕事が特化したことでより遠距離により正確無比に当てられるようになった。

学校での練習以外でまともに勉強せずに選抜射手に選ばれたとは聞いていたが...まさか、距離測すら感覚だけでやっていたとは思わなかった。スナイパーに必要なのは目標との距離、風速の他、敵の優先順位づけ、撤退や次の狙撃地点確保のための周囲の正確な地形把握など様々な知識や経験が必要だ。リシチカはそれらの知識がほとんどないことが判明した。あるにはあるが中等教育までの国民訓練で学ぶ基礎中の基礎のみであった。これまで、全部肌感覚でやっており、その類まれな才覚から成果を出していたようだ。

 

今からリシチカがそれらの知識を叩き込むのは時間がかかるため、私が観測手としてより遠距離の射撃を補佐するようにした。効果は抜群で1000m以上の狙撃が苦手(普通はその距離ではやらないため当たり前)だった彼女は私の補佐の下で練習し、かなりの高精度で当てていくようになった。

連合軍の指揮官達は戦場を観測しながら機械兵に指示を出している。本来、狙われる筈がない安全な位置から顔を出して確認していたが、リシチカは難なく当てていった。

最近では数少ない敵国の捕虜からの聴取で見えない距離から命を刈り取ってくることでカゾルミアの死神などの二つ名を得ているようだ。

 

「...大型も掃討完了。下のみんなも小型だけだから余裕そうだね... 宛ダチカ、こちらゼイリー、大型の掃討完了、補助いるか?オーバー」

 

「こちら、ダチカ、いらない、偵察隊からはこれ以上はこないらしい、先に休んで、オーバー」

 

「了解、オーバー」

 

「リシチカ、休んで良いってさ、お疲れ、調子良かったね。次も頼むよ」

 

「ん...ほら、休憩だし...これ...」

 

「おっ蒸しパン?頭使うと糖分欲しくてね...いつもありがと」

 

「別に...食べようと思って買ったけど、買いすぎて余っただけだから...」

 

「結構大量に食べるんだね、蒸しパン...それで...なるほ、痛!蹴らないで、なんで!」

 

「わかってる、最低、デリカシー無いのホント嫌い!」

 

リシチカのある所をチラ見しながら言っていたら蹴られた。やっぱり視線に敏感なんだな...気をつけよう。でも男なら、男なら見ちゃうだろ!

 

 

まあ、そんなこんなで今日も無事終わった。明日も上手くいくといいが、ラジオやテレビではまた一層連合軍の攻勢が厳しくなっている様子だった。

蒸しパン美味しいな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、一段と攻勢が厳しい。

あまりにも私たちがスナイパーとして有名になりすぎたようで奴らも簡単には顔を出さなくなった。それに合わせ、こちらの防御を飽和させるように大量の機械兵を繰り出している。

それに戦術が変わったようだ。今まで扉や防御兵器を最優先に狙っていた機械兵達が前線の兵士を優先して狙うようになった、女性兵士すら標的にして攻撃している。

 

無線からはダチカ班の皆も周囲の班も苦戦しているのが伺える。こちらは可能な限り大物を倒し、前線の負荷を下げることしか出来ない。

 

 

 

 

私がそれに気づいたのもそれが飛び込んで来たのも偶然だろう。

 

次の敵をと周囲を見回すと小型自爆兵が彼女のリシチカの死角からまっすぐ向かっていた。

 

「リシチカ!!」

 

「え!?」

 

瞬間、爆音と衝撃が周囲に響く。耳がやられたようだ、耳鳴りのキーンとした音が響き周囲の音が何もわからない。土煙で視界も駄目だ。だが、間違いなく右手にリシチカが居るはずだ。よかった...

土煙が晴れ、リシチカが驚愕の表情でこちらを見た。無事でよかった...あれ?でも、どうしたんだろう、怒鳴っているようだ。耳鳴りも少しずつ良くなってきたが聞こえてないとジェスチャーで...あれ動かない...

 

「☓☓☓!...な☓で!...☓んで!...私を庇ったの、ゼイリー!」

 

よかった、リシチカは元気そうだ、無事だ...でも顔が血で汚れてる...拭いてあげないと...あ..汚れてるのは俺の手か...あれ、左腕の感覚が..俺の足も...血が...止めないと..あれ...頭が..回んない...な

 

「大...好...だ...から」

 

「何よ、それ!意味わかんない!タオル!、血を止めないと!エクトル!!誰か!来て!ゼイリーが!!」

 

何を言ったんだ俺は...もう、駄目...だな。腕から、足から血が止まらない。リシチカ...

ああ...最期くらい...本..のな..え.......好き...って...

 

あ...目..ま..暗...

 

「なんで笑顔なの!意味わかんない!嫌い!嫌い!大っ嫌い!」

 

残... ね...ごめ......




ようやく休めた週末の時間を小説に費やすようになった。
今度趣味の欄を小説にしようか...何の小説か聞かれたら答えづらいこと間違いなしだが。布教ついでにしゃべればよいか

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