翌日、ドラグレッダーたちはシャウハ・シェムハザールと共にテルティナ王女の住むアヴァルロスト城へと来ていていた。
「「…」」モジモジ
そんな中、気まずそうに目を合わせれない浅垣灯悟とイドラ・アーヴォルンの2人。そこに…
「もしかしてお二人…"絆創合体"されました?」
「テルティナ様!?」
テルティナが爆弾を落とす。
「だってそのギクシャクとした雰囲気…うっかり成り行きで"絆創合体"しちゃって、気まずいからなんじゃないですか?」
「なんですか!成り行きで"絆創合体"って!?」
『ロゥジーよ…"UNITE VENT"とは何だ?』
「私に聞くな!?アサガキトウゴ、貴様が答えろ!」
「えぇ!?俺ぇぇ!?"絆創合体"ってのはその……男と女がその…もっと絆を深めることと言うか…」
『…既にお前たちの絆は十分だと思うが?』
「そうだけどそうじゃないんだぜ!ロゥジー!俺だけじゃ無理なんだぜ!」
「そういえば、昨日貴様は突然にいなくなったな…まさか、本当に…」
『いや、風呂場で裸のイドラと一緒にいただけだったが?』
「ドラグゥッ!?」
「貴様!やはり、あの魔導士と"絆創合体"を…!」
「違うんだぜっ!?」
「裸って…やっぱり、成り行きで"絆創合体"したんじゃないですか。」
「してません!」
『絆を深めるか…ロゥジー、お前も俺と"UNITE VENT"をしてみるか?』
「…っ!やめろ!次に言ったらこの場で斬り殺すぞクソ龍!というかさっき、アサガキトウゴが男女でと言っただろうが!」ゾワッ
『ぬぅ…そうであったな。なら、その間だけ俺は女ということで…』
「無理があるだろっ!」
『むぅ…お前がダメなら俺とテルティナとで"UNITE VENT"を…』
「第二聖剣…」
「落ち着けロゥジー!俺が後でちゃんとドラグに説明するからさ!!剣を下ろしてくれだぜ!」
『…男と女で"UNITE VENT"と言うならば男と男、女と女であれば何と言う?』
「ドラグ!お前はもう喋らないでくれ!!」
「アイツら…謁見の間の前で猥談とか正気か?」
シャウハに呆れられながら…ドラグレッダーたちは皇帝のいる部屋へと入った。
───
「お久しぶりですお父様。」
「よくぞ帰ったなテルティナよ。そして、魔王族の出現については報告を受けている。」
テルティナは自身の父である皇帝『ゴーティス』へと挨拶をする。後ろでは灯悟とイドラとロゥジーが膝をついており、ドラグレッダーも身体を床へと降ろしていた。
「…」
「ちっ…放浪娘が。」
「…」
ゴーティスの隣にはシャウハと第一王子『ダリエル』、騎士団団長の『レグルス・マッハヴォルト』がおり、その様子を眺めていた。ゴーティスは言葉を続ける。
「魔王族が関わっているとなれば看過は出来ん。種の所有者には即刻破棄するよう厳命を下そう。だからもう、お前が危険な旅をする必要はない。」
「お言葉ですがお父様、中には危険な物と分かっていてもその物がもつ力や価値から手放すことを拒む者もいるはず…それに使用された魔力の種を除去できるのは私の特権魔法だけです。なので我々は厳命に刃向かい、種を所持する者から種を回収する旅を続けたいと思います。どうか旅を続けるお許しを頂けますでしょうか?」
「うむぅ…」
少し言葉を詰まらせるゴーティス。
「…良かろう。だが、くれぐれも気を付けるのだぞ。」
「ご心配ありがとうございますお父様!」
しかし、テルティナの旅を許したのだった。
「なんだ良い人じゃん王様。」
「…えぇ、皇帝陛下は、ね。」
『…?』
疑問に思うドラグレッダーと灯悟だったが…イドラの言葉をすぐに理解することなる。
「良いのですか?そんな便利な物を安直に処分してしまっても?」
「ダリエル…魔力の種には魔王復活の原因となる恐れがあると報告にあったであろう。」
「魔王など…復活すればまた倒せば良いのですよ!幸いに我々には聖剣の勇者に……『龍の冒険者』がいます。」
「『龍の冒険者』?」
「私も初耳だけどおそらくは…」
『俺のことのようだな。』
ドラグレッダーへと指さすダリエル。さらに言葉を続けた。
「魔力の種を軍事利用し、『龍の冒険者』と共に亜人連合国を打倒して属国に加え、今こそ我が皇国が世界を統一するのです!さすれば、魔王の1体や2体復活したところで…」
「恐れながらお兄様、魔王族には魔力の種に干渉する力、さらにはドラグさんを完封したミラーモンスターがいました。それらを、軍備に加えるのはどう考えても愚策です。」
「ならばどちらも干渉されぬように改良すればよい…なぁ、シャウハよ。」
「魔力の種の方は完全制御が可能になるまで配備の許可は出来ませんが…改良実験の方は進んでおります。」
「なっ!?」
シャウハの言葉にイドラが言葉を詰まらせた。
「ミラーモンスターの方はどうだ?此方でコントロールできれば『龍の冒険者』並みの…さらなる戦力となる。」
「…推奨は出来ません。仮に研究のために1体だけ解放したとしても…どのような被害が出るか…想像するだけで…」
「ならばこそ
『…あぁ、事実だ。』
「『龍の冒険者』よ、貴様にはシャウハらの護衛を命ずる…解放時にまたここに来い。」
「そんな、勝手に…」
テルティナが反論しようとするもドラグレッダーがそれを制止させる。
『いいだろう…だが、シャウハらの身に危険を感じたならば、俺がそのミラーモンスターをその場で殺す。構わないな?』
「あぁ…構わない。こうして今、王家の杖と『龍の冒険者』に協力を取り付けました。魔力の種に対する厳命は"破棄"ではなく"接収"で、さらにはミラーモンスターを最終兵器としての"使用"ではなく制御するために"研究"を提案します。」
「……良かろう。厳命により魔力の種は接収とし、運用は
それをいうとゴーティスは玉座から立ち上がり…
「テルティナよ…少しこの者と話がしたい。部屋から出てくれ。」
「ドラグさんと…?はい、分かりました。それでは失礼しますわ。」
テルティナたちは部屋を後にした。その場に残っているのはドラグレッダーとゴーティス、レグルスらの3人。
「こうして会うのは初めてだな…『龍の冒険者』よ。」
『ギルドマスターより名前は聞いていた。…お前が俺の冒険を認めた者、で良いのだな?』
「あぁ…たくさんの民を助けてくれて…感謝する。」
『それは俺がするべきことだ…人間じゃない俺を冒険者にする特例を出した。お前が俺に礼を言うことではない。』
「いや、言わなければならないよ。普通の冒険者はどれくらいのペースでクエストをこなすと思うかね?」
『クエストにもよるが…Eランクであれば1日に1件くらいか?』
「Eランクの達成は平均で10日に1件だ。」
『そんなにかかるのか!?』
「ただでさえ人気の無いEランククエスト…依頼人がどれだけ困っていても、労働の対価が低い故に誰もやりたがらない。それをソナタは200件以上も達成してくれた。」
『人間じゃない俺にピッタリだっただけだ。掛け持ちも出来たしな…』
「死体の回収がソナタにより17人もの冒険者や商人などが生存して帰還出来た…ワシが礼を言う価値は十二分にある。」
『その件はそれまで生き残れた者らの実力だが…お前の感謝を受け取らせもらおう。そして、これからも………と、言いたいがしばらくはテルティナらと魔力の種を回収の旅でクエストを受けれなくなる。すまないな。』
「…構わんよ。ソナタに感化されてEランクを受ける冒険者も出てきた…これもソナタのお陰だろう。何かワシに出来ることはないか?」
ゴーティスの提案に少しドラグレッダーは頭を悩ませる。そして…
『魔力の種を全て回収し…またここに俺たちが戻ってきたら…肉を用意してくれ。俺の腹を満たせれるくらい大量の肉をな。』
「…ハハハ、いいだろいいだろ。それまでテルティナを頼む。…後はダリエルの件だが…」
『構わぬ。呼ばれればすぐにそちらに向かう。』
「…良いのか?」
『あぁ、俺の目的は──』
「何と!?…この事をテルティナや他の仲間には?」
『お前以外にはまだ話しておらぬ…』
「…で、あるか。ワシからは以上だ…改めて、テルティナを頼む。」
『あぁ。では…』
ドラグレッダーが窓から退室しようとすると…
「少しだけ待っていただけますか?」
『…?お前は?』
「レグルス・マッハヴォルトです。その、ロゥジー・ミストについて…少しお話を聞かせてもらえますか?」
レグルスに止められて、再び話を始めた。
『ロゥジーのことか?ふむ…テルティナを第一に考えている良き勇者であり…俺には負けたが強い男だ。』
「アナタ、ロゥジーと戦ったのですか?」
『あぁ。テルティナと旅をするのにふさわしいかと話になり…俺と戦うこととなった。聖剣を活かした重力波で俺を地面に貼り付けて、斬りかかったものの…俺の尻尾の一撃を叩きつけられ負けた。』
「…」
『…はっ!すまぬ!そう言う話を聞きたいのでは無いよな!えーと、えーと…アカリナの街で魔力の種を回収した話だが…先ほど、旅の仲間に赤い男がいただろ?アイツは浅垣灯悟と言って俺とは別の異世界から来たらしい。みんなからレッドと呼ばれてるが…ロゥジーはフルネームで呼んでいるな。レッドはロゥジーと絆を結びたいが…テルティナ以外には全然心を開かなくてな。だが最初にレッドがルルグアットの相手をしているのを観察して、次に戦った時には動きを理解して、レッドと共に見事なコンビネーションを決めてルルグアットを倒したぞ!』
「…ロゥジーと…コンビネーション?レッドという方はスゴいのですね…」
『実はこの話には続きがある。聞いていると思うがその後に魔力の種が暴走してルルグアットが肥大化してな…そのまま倒すのは不味いとなった。そこにレッドがキズナビースト…あー、お前らで言うゴーレムを呼び出して、空を飛んで肥大化ルルグアットを上空のさらなる向こう…俺とレッドの世界で"宇宙"と呼ばれる所まで運んだんだ。そこでそのゴーレムが使う剣をロゥジーに操作してもらって…それにより、スパッと一閃を決めてくれて暴走が収まって…ルルグアットの持っていた魔力の種を回収出来たんだ。とにかく、すごく活躍しておるぞ!』
「…ふふっ。ありがとうございますドラグレッダーさん。」
『…かなり雑な話になってすまないな。』
「いえいえ、とても良い話でした…再びここに来た時にでもまた話してもらえれば…」
『あぁ、いいだろう。では、今度こそ失礼する。』
「はい、引き留めてしまってすみません。お話ありがとうございました。」
ドラグレッダーはそのまま窓からミラーワールドへと帰っていった。