「ドラグレッダーさん、エイの魔物についてですが…」
『あぁ、恐らくは俺の世界にもいたミラーモンスターだろう。名は『エビルダイバー』。電撃を操る力を持っていて…』
「なるほどなるほど…」
「これが私の使う『精霊魔法』ね。詠唱することで自身に宿っている精霊に魔力をあげて発動する…」
「凄いね!じゃあ、次は私たちの使う『刻印魔法』について説明を…」
「いくぞ!『縁結ビームガン』!」ユイノウバースト
『…ふっ!結構重たい一撃だね…』ガキンッ
「これも効かないのか…」
話が終わった後、各自交流を重ねていた。ドラグレッダーはラーニヤとミラーモンスターについて情報共有を、
イドラ・アーヴォルンは族長代理のアフロの男こと『モンジャバディ』と同じく族長代理の女性『ファナン』、モンジャバディの妹『ザフラ』らと互いの魔法の見せあいを、
浅垣灯悟はキズナレッドへと変身してボルキャンサーと手合わせをしていた。そして、ボルキャンサーはキズナレッドの銃から放たれたチャージショットを背中の甲殻で受け止め、ハサミを構えてキズナレッドへと迫る。
「『握手カリバー』!」ブンッ
『ぐっ!は、速い…!ボクの攻撃が当たらない…』スカッ
「そう言うお前は中々の頑丈さだな!『ビクトリー・キズナバスター』も試してみたいぜ!」
『分かった!やってみて!ボクは完全に受けきってみるよ!』
「来い、『ビクトリー・キズナバスター』!イドラ……は忙しいそうだな。ドラグ!ロゥジー!テルティナ!こっちに来てくれ!」
『ラーニヤよ…少し席を外すぞ。』
「えぇ、分かりました。」
『来たぞレッド……いや、大丈夫かコレ?ボルキャンサーを殺してしまわないか?』
「貴様はまた奇っ怪なモノを…」
「これは…異世界の武器でしょうか?初めてみました!」
『…今回はこの位置か。とりあえず、これを掴むぞ?いいよな?』
そのまま、例の必殺武器を取り出し…キズナレッド、ドラグレッダー、ロゥジー・ミスト、テルティナ王女がそこへと集まり、各トリガーを掴む。
「いくぞボルキャンサー!『ビクトリー・キズナバスター』!」
赤、赤、青、白色の4つのVの字のビームがボルキャンサーへと飛んでいく。
『ボクの堅さ…見せてやる!』
『GUARD VENT』
対してボルキャンサーは近くの窓から出てきた大きな盾をハサミで器用に持ち、ビームを正面から受け止める。
ドカーーン
『おいレッド!おもいっきり爆発したぞ!?ボルキャンサーを殺していないだろうな?』
「予想以上に容赦の無い攻撃ですけど…ボルキャンサーさん…本当に大丈夫ですよね?」
「テルティナ様、ご心配は無いかと。奴は私の聖剣の一撃をも受け止めました…この程度の攻撃…」
「いえ、明らかに今回の攻撃の方が威力高いんですけど!?」
「お?煙が晴れてきたんだぜ!」
煙が晴れると、そこには無傷…ではないものの煤により少し黒くなったボルキャンサーの姿があった。身体全体が後ろへ引き摺られた跡がビームの威力を物語っているが、ボルキャンサーは2本の足で立っていたのだ。
『…ケホッ。ちょっと圧されちゃったな。』
「凄いなボルキャンサー!正面から受けて立っていられたのはゼンエンダー幹部以外だとお前が初めてだぜ!」
『そうなの?えへへ…褒められるのは嬉しいな…』
「「ちょっと、待て(ください)!」」
テルティナとロゥジーが再び、唖然とした顔になっていた。首を傾げるキズナレッドとドラグレッダーとボルキャンサー。
「2人してどうしたんだぜ?」
「どうしたんだぜ…じゃないだろ!さっきまでキシャキシャ言ってたカニが人の言葉を喋ってるだろうが!」
「そうですよ!ボルキャンサーさん、何で急に喋れちゃってるのですか!?」
『ボルキャンサーが…人の言葉を喋ってるだと?そうなのか?』
『ん?ボク、何時も通りの筈だけど…』
「ラ、ラーニヤ!ちょっと、来て欲しいんだぜ!」
キズナレッドに呼ばれ、ラーニヤはすぐに現れる。
「どうされましたか…伝承の赤き戦士様。」
『長い呼び方だな…』
「レッドって呼んでくれ。それよりボルキャンサーが喋ったみたいでさ…」
「ボルちゃんが…喋った?」ギギギ…
機械のようにゆっくりとボルキャンサーに顔を向けるラーニヤ。ボルキャンサーは…口を開いた。
『ラーニヤ、ボクの言ってること…分かる?』
「ボボボ……ボルちゃぁん!!」だきっ
『わっ!?』
「分かるよ!分かる分かる…ようやく分かってあげられる!」
『ラーニヤ…』
「ごめんね。今まで分かってあげられなくて…本当にごめんね。」
『ううん。ラーニヤたちはずっとボクのことを分かってくれてたよ。だから…謝らないで。これからもよろしくね。』
「えぇ、勿論!」
「うんうん、2人の深い絆を感じるぜ!」
『いや、これって絶対にレッドが原因だろ?』
「だろうな…」
「ですよね…」
何はともあれ、ボルキャンサーは人語を習得した。
───
「ボルちゃん、本当に喋ってるね…」
「ははっ!これはいいっ!ボルの言ってることはある程度分かってはいたつもりだったが…最初から分かるとなればその方がいい!」
『みんな…改めてよろしく!これからもラーニヤのお母さんをして頑張っていくからね!』
「「「……え?お母さん?」」」
『うん!『ラーヴァン』も最初にそう言ってたでしょ?』
「いや…確かに言ってたけど…」
「本当にお母さんのつもりだったんだ…」
「これほど、ボルから直接話が聞けて良かったと思ったことは無いな。」
他のエルフの仲間たちに囲まれるボルキャンサー。衝撃の事実に空気が凍る。
「えーと、それでレッドの大技を受け止めてた、と。」
『あぁ。俺とロゥジー、テルティナの絆を考えれば……前に放った時よりも威力は高かった筈だ。…いや、それを受ける前に既に喋っていた可能性も。』
「ドラグレッダーの時はレッド以外だと誰が言ってくれたの?」
『ギルドマスターだ…まぁ、そもそもレッド以外と喋らなかったのもあり、何時から人の言葉を喋れたかは不明だがな。』
「んー、やっぱり法則が掴めない…面白いわ!」
ドラグレッダーから証言を記録するイドラ。研究家としての血が騒いでるようだ。
「…」
それらを遠くからラーニヤは眺めていた。そんなラーニヤへ灯悟は声をかけた。
「そんな寂しそうな顔して…どうしたんだぜ?」
「寂しそう、ですか。実は私、以前に仲良くしていた人間がいまして…」
「アジールって奴のことか?」
「え?何故それを…」
そのまま、ラーニヤのアジールの関係を聞く灯悟。2人は幼なじみでとても良い関係であったが…、今回のことで敵となったためアメンとしてアジールを倒すことをラーニヤは灯悟に宣言した。しかし…
「あぁ!その後で仲直りだな!」
「えぇ!?私の決意聞いてました!?」
灯悟はあっさりと仲直りしようと言う。1度敵対した相手と元の関係に戻れる訳は無いとラーニヤは返すが、灯悟は自身も親友と敵対した過去のことを語り…こうまとめた。
「絆は何度だって、どんな相手とだって結び直せる!だからアジールの奴をぶっ倒したら、何を考えてるかとっちめてやろうぜ!」
「…貴方は不思議な方ですね。言ってることは滅茶苦茶なのに妙な安心感と説得力がある。」
「それ、褒めてる?」
「…」ズンッ
『グルルル…!』ギロッ
「イドラさん、ドラグさん…目ぇ。」
イドラとドラグレッダーの2人は灯悟と楽しそうに話すラーニヤをずっと睨んでいた。それを指摘したテルティナだったが…突然頭上から落ちてきたカードを掴む。
「何ですかコレ………っ!?」シュゥゥン
次の瞬間、テルティナはカードの中へと吸い込まれた。