「茶番は終わったか?」
「あぁ…とっととテルティナ様を返してもらうぞ!」
『森の皆もね!!』
『特権発動・TCGバインダー!』
ユーゲスと呼ばれた男にロゥジー・ミストとボルキャンサーは攻撃を始める。対してユーゲスはフォルダから大量のカードをばらまき始めた。
「触れれば封印されるカード…だが、触れなければ何の問題もない!第五聖剣…
『その通り!!』プクッ…ボボボボッ
ロゥジーは鉄扇から風を吹かせ、ボルキャンサーはハサミからシャボン玉を作ると自身を包み込み、そこから泡の弾丸を放ち散らばるカードを包み込む封印を無力化させる。
「怖い怖い…だが俺のカードは封印するだけじゃないんだぜ?
「何!?モンスターを召喚し…ぐぁあああ!」
「ロゥジー!」
ユーゲスのカードから呼ばれた魔物はロゥジーを襲う。
『よくもレッドの仲間を…!』
「ミラーモンスターのお前には…これだ!『ソロスパイダー』!」
『ADVENT』
さらにユーゲスはズボンのポケットから取り出したカードを宙へと投げる…中から緑のクモ型ミラーモンスター『ソロスパイダー』が現れた。同じクモ型でもディスパイダーと異なり、2足歩行でボルキャンサーと変わらない大きさである。
『…ゴハンダ。900ネンブリノ…ゴハンダ。』
『ミラーモンスターも出せるの!?』
「男とカニに用は無ぇ…ソロスパイダー!さっさと片付けちまいな!」
『ゴハン…!』だっ
「おい!?何してんだソロスパイダー!!」
「ひぃ!?」
しかし、ソロスパイダーはユーゲスの指示を無視して鉤爪の構えると、近くにいたザフラへと迫り…
『ザフラ、危ない!』ガチンッ
「ボ、ボルちゃん…」
『早く逃げて!コイツはボクが抑える!』
『ゴハ…!!』
『こっちに来い!』プクゥ
間一髪の所にボルキャンサーが間に入り守る。そして、ボルキャンサーはミラーワールドにつながる巨大なシャボン玉を作るとそこへソロスパイダーを押し込み、自身もそこへと移動した。
「アイツ…森の民を狙ってた!…あんた、どこまで外道なの?」
「…知らねぇよ。そこのカニに使えって1枚渡されただけで俺の能力じゃねえし。」
「つまり…ミラーモンスターを出せるカードはアレ1枚しか無いってことね。ならアイツはボルキャンサーに任せて私が相手よ!食らいなさい!曇天焦がす炎精の鉄拳!イフリート・ブロウ!」
今度はイドラ・アーヴォルンが拳の形をした炎をユーゲスへと飛ばす。しかし、ユーゲスはカードを1枚取り出すと…その魔法をカードに封じ込めた。
「悪手だったな…ふぅん、レアな魔法じゃん。」
「はぁ!?あのカード、魔法も封印できるの!?」
「
「きゃあああ!」
炎の魔法はイドラへと返された。
───
一方でミラーワールドにてボルキャンサーとソロスパイダーは続く。ハサミと鉤爪…互いの武器がぶつかり合い火花が弾かれていた。
『おりゃ!えいっ!やっ!』ガキンガキンッ
『…ナゼジャマヲスル?オマエハオレトオナジミラーモンスターダロ?アジンヤニンゲンヲタベナケレバイキラレナイ…』ガキンガキンッ
『そんなこと無い!ボクはそんなの食べたこと無いけど…生きてる!』
『…ナラ、オマエヲクッテヤル!』
『出来るものならやってみろ!はぁっ!』ボボボッ
そして、ボルキャンサーはそのまま泡の弾丸を飛ばすも…ソロスパイダーは鉤爪をクロスさせた状態で突っ込んでくる。
『ソンナヨワイコウゲガ……ナッ!?』ボヨッ
ソロスパイダーの身体に突然柔い感触が襲う。それは大きなシャボン玉だった。勢いのまま突っ込んでいたソロスパイダーはシャボン玉に弾かれ身体が宙へと浮いていた。それは体勢が思うように動けない状態…そこにボルキャンサーが2本のハサミでソロスパイダーの首と腰を挟む。武器である鉤爪もハサミに挟まれているためソロスパイダーに抵抗する手段は無い。
『どうする?2度とエルフを食べないか…ボクに食べられるか?』
『ソンナノ…オレガオマエヲクウ…』
『残念だよ。』
ジャキ…
ボルキャンサーがハサミに力を込めた次の瞬間、ソロスパイダーの身体が3つに別れ、辺りに青い血が飛び散る。そしてボルキャンサーは…それらを全て食らった。
───
「アーヴォルン!何がなんでもテルティナ様だけはお救いしろぉおおお!」シュウウン
「ロゥジー!!」
「聖剣の勇者…超レアだけど男だからいらね。次はお前な。」
ユーゲスと戦っていたロゥジーとイドラだったが…解放された罠にはまりロゥジーがカードに封印されてしまったのだ。
「(ロゥジー…最後までテルティナ様のことしか考えてなかったわね。だけど、あんたの執念のお陰で勝機がみえたわ!)」
箒を掴むイドラ。風の魔法を使おうとすると…
「ごっ…!な、ん…だ?」
「え?私まだ何も…?」
「王女を巻き込まない約束だろ…契約違反だ。」
突然にユーゲスが倒れる。混乱するイドラだったが…倒れるユーゲスの背後に1人の男がいて、その男が背後から貫手をしていたことに気づく。
「あちゃあ…心臓に刺したつもりだったけど、今は爪は無かったな…」
「あんたは…ネオス!?」
正体は太陽の森に入る直前にあった商人の男ネオスだった。そして、ネオスは宙へと散らばったカードの1枚を掴む。
「無事か?」
「…ふぇっ!?え、えぇ…ありがとうございます…」
掴んだのはテルティナ王女が封じられたカード。そして、テルティナはそこから解放され…ネオスにお姫様抱っこをされた状態になる。
「あの…」
「それじゃあ、後はよろしく。魔力の種を回収するのだろ?」
「は…はい!」
『特権解放・
「ヴォオオオ!!」
「来た来た来たー!!」だきっ
テルティナの魔力の種から簒奪の銀狼が召喚され…気絶したユーゲスを食らう。ネオスはテルティナを優しく下ろし…簒奪の銀狼へと抱きついた。
「ネオスさん!?何を…」
「ふふふ…これこれ…あ、出来るだけ長く出しててくれない?封じ込められた怨み晴らすくらい。」ぐりぐりぐり
「…そうですね。簒奪の銀狼、よく噛んでお食べなさい!」
「ヴォオ!」ボリボリボリ…
「ギャアアア!!」
「うーん、もっふもっふ♪」すりすりすり
夢中になって簒奪の銀狼に抱きつくネオス。テルティナは唖然としながらもその様子を見守る。途中で目が覚めたユーゲスの悲鳴が聞こえたが…いつもより時間をかけて魔力の種を回収した。
「助かったけど…何だろ、この消化不良感…」
「何故彼が助けてくれたのか分かりませんが…あの光景にどこか既視感が…」
「テルティナ様ぁ!あの男に変なことされませんでしたか!?テルティナ様をお姫様抱っこなど…生かしておく訳にはいけません!」
そのままテルティナの元にイドラとロゥジーが合流する。
「ロゥジー、彼は私達を助けてくれたのですよ。そんなことしてはいけませんよ。…それより、レッドさん達は大丈夫でしょうか?」
「ドラグレッダーがいるから大丈夫かと。ボルキャンサーが戻ってきたら私達も向かいましょう!」
「あのカニ…ちゃんと勝ってるだろうな?」
「それも大丈夫。ボルキャンサーの視覚を共有して確かめ……うぷっ。バラバラにされたミラーモンスターの姿が…」
「おいアーヴォルン!テルティナ様になんて事を聞かせて…」
「大丈夫です。それにしてもイドラさん…いつの間にそんなことを?まさか、ドラグさんにも?」
「……そうなります!早速…あー、ドラグレッダーとは共有出来ませんね。流石に遠過ぎるとダメみたいです…」
『みんな、お待たせ!ボク、あのミラーモンスターに勝ったよ!早くラーニヤの所に行こ!』
突然、目の前に現れたシャボン玉からボルキャンサーが出てきた…口元が青い液体で汚れた状態で。その光景にロゥジーはすぐにテルティナの目を手で覆った。
「ほ、ほらね。ちゃんと戻ってきたでしょ?」
「では我々もアサガキトウゴを追うとしよう。テルティナ様、あちらです。」
「そうですね。ボルキャンサーさんも戻ってきたので簒奪の銀狼に乗って…あら?ネオスさんは?」
「…いない。んー、私も気になりますけど…今はレッドたちの方を優先するべきかと。」
「そうします…では、後2つある魔力の種の回収に行きましょう!」
『おー♪ラーニヤ、今行くからね!ボクはイドラの手鏡に入ればいいんだっけ?』
「そうね。でもボルキャンサー、その前にこれで自分の口元を拭いてくれないかしら?」
『…あ。ごめんね…ちょっと、汚いね。』キュッキュッ
「ドラグレッダーといいその手でよく普通にタオルを使えるわね。ミラーモンスターって全員器用なのかしら?」
『少なくともボクは違うかな。最初は何でも切っちゃってたから苦労したよ…』
ボルキャンサーも合流し、テルティナが簒奪の銀狼の方へと目線を向けるとネオスの姿は既に無かった。それを引き摺ることなく、4人は簒奪の銀狼に乗るとウドゥド遺跡へと向かった。