ウドゥド遺跡にてアジールは自身の手鏡からミラーワールドにいるエビルダイバーへと視線を向けていた。そこに執事のような格好をした男が現れる。
「どうやらユーゲルもギミックも敗北、ミラーモンスターたちは消滅したようですね。」
「『ヴィダン』か…すまないなエビルダイバー。君の同族たちが…」
『気にすることは無ぇよ、アジールの旦那。俺、どんなミラーモンスターが解放されたかも知らねぇし。それに解放されてすぐに何か食えなきゃどっちにしろ死んでたよ。まっ、エルフのいる森でさえ使われなきゃ旦那の心配することは起こらねぇさ。』
エビルダイバーはアジールへと言葉を返すものの…アジールはエビルダイバーが何を言っていることは分かっていない。
「…慰めてくれているのかな?ありがとう、エビルダイバー。ヴィダン、君が連れてきた傭兵とミラーモンスター達はよく働いてくれたよ。」
「役に立ったかは疑問ですがね。」
『そもそも俺はまだ何もしてねぇし。』
「この状況を作ってくれただけで十分だよ。エルフにも森にも被害を出さずにラーニヤと戦える。」
「できる限り犠牲者を出さないため…ですか。何とも甘く回りくどい。振り回させる私の苦労を分かって欲しいものですね。」
「君には感謝しているよ。この魔力の種を入手してくれたのと…エビルダイバーに会わせてくれたことに。」
『へへっ!そこは俺も一緒だぜ!』
「…。ここにいては邪魔になりそうですので、私は先にククジャに戻っております。良い結果を期待していますよ…アジール様。」
「あぁ。」
ヴィダンはそういうと…溶けるようにその場から去っていった。
『あーあ、ヴィダンの旦那も帰っちまったか。旦那、アイツらが来る前に…アレをくれよアレ!』
「ん?腹が減ったのか?ほら…」
エビルダイバーの反応をみて、アジールはトーブの中からあるものを取り出して鏡の前まで持ってくる。
『んめぇ!!はぁ…解放された時に初めて食ったけど…何度食っても飽きねぇよコレ!もっとくれよ!』ガツガツ
「…こら、ダメだ。残りはこれから仲間になるミラーモンスターの分だ。…君
『仲間になる予定のミラーモンスターね……んじゃ、食った分は働くとしますか!!』
「さて…そろそろ来る頃か。人の上に立つものして…成すべきことを成そう。」
そして、アジールとエビルダイバーは戦いへと備えた。
───
「アジィィィイイル!!」
バイクに乗ったアメンが叫びながらアジールの前へと現れる。後ろにはキズナレッドもおり、そのままバイクでアジールへと突っ込もうとしていた。
『旦那!』
「分かってるよエビルダイバー。ラーニヤ、相変わらず仮面の君は激しいね。」
アジールは首にある魔力の種を開花させ…
『特権掌握・ウアス!』
砂の怪物を召喚した。砂の怪物は召喚と同時にアメンとキズナレッドが乗っていたバイクに触れて砂へと変える。すぐにアメンとキズナレッドは距離を取った。
「これがアジールの特権魔法か……なっ!?足場がアリジゴクの巣みたいに…!」
「僕の
そう言いながらアジールは自身の口へとアメを放りこむ。
「転がり溶かされ噛み砕き飲み込まれる…全ては僕の気分次第さ。」
そのまま、アジールはアメを噛み砕く。対してキズナレッドは自身を飲み込もうとする砂からターボ円陣を使い飛び上がり、アジールへと拳を向ける。
「だったらよく味わいやがれ!濃厚な敗北の味をな!」
「そういえばそれも異世界由来の物らしいね…そういうのはいくつあってもいい。君の力もいただくとしよう。」
「…」ズォオオ…
「やべ!アレに触れたら砂にされちまう…だったら!バーニング・キズナパンチ!」ドンッ
しかし間に砂の怪物が入ったことで、キズナレッドは構えた拳を自身の真下へと叩き込み、砂煙を上げた。
「運命の相手を撃ち抜け!縁結ビームガン!!」エンダンショット
そして、銃による遠距離攻撃で砂の怪物を攻撃する。
「なるほど…直接は触れない攻撃か。その武器も便利そうだ…」
「余裕ぶっこいていられるのも今の内だよ!」ジャッカル!パッチアップ!
さらにアメンはスピードに特化した『ジャッカルレリーフ』へとフォームチェンジをする。
「砂漠を支配できるもあんたでも…本体は何の変哲もない人間!ならば、砂では捉えきれない速度で翻弄し、本体をぶっ叩く!」
「その通りだぜ!」
『ジャカジャカ…ジャック・ザ・ループ!』
『エンダンショット!』
アジールを守る砂の怪物へ放たれるアメンの高速移動によるラッシュとキズナレッドによる銃撃。それにより、砂の怪物の動きが鈍り…2人はアジールへと迫る。しかし、その瞬間…2人に電撃が走る。
「ぐぅぅぅ!」ビリビリ
「これは…電気か!?でも、どこから…」ビリビリ
『おいおい、お二人さん…俺を忘れてもらっちゃあ困るぜ!』
「エビルダイバー…電撃を使う…ミラーモンスター…」
「ドラグから聞いてたのに…完全に忘れていたんだぜ…」
『旦那、大丈夫か?』
「…心配性だね君は。感謝はするが…必要では無かったよ。」
『ありゃありゃ…そいつはすまねぇな。』
「でも本当に感謝はしてるんだよ。コレがやりやすくなったからね。ウアス…
「「──っ!?」」
自身の手鏡へと話しかけ…トーブへと仕舞うアジール。そして、アジールが左腕を上げるとアメンとキズナレッドの動きが止まる。アジールは2人の間を歩いて通り抜け…背後にある倒れた柱へと腰を掛けた。次の瞬間、砂の怪物の手がアメンとキズナレッドを捉えていた。
「もう少しやれると思ったんだけどな…この程度かい。異世界の力は?」
「今のは一体…何をしやがった…!?」
「分からねぇ…まるで時を止められたようだった!ふざけるな!ターボ円陣…フルスロットル!」バッ
2人は混乱する中、キズナレッドは何とか砂の怪物の手を破壊して逃れる。
「…やるね。」
「1つ分かったことがあるぜ…あんたの力、生物は砂に変えれないみたいだな。」
「御名答。」
「けど俺たちの装備を砂にしなかったのは何故だ?」
「…ふっ、いずれ僕の力になる装備を砂に変える訳ないだろ?」
『旦那になら4つの力も全て使いこなせるに決まってらぁ!』
「…4つだと!?魔力の種、アメン、キズナレッド……後、1つは何だ!?」
エビルダイバーの言葉に驚きを隠せないキズナレッド。しかし、それはアジールも同じであった。
「まさか…エビルダイバーの言ってることが分かるのと言うのか!?」
「あぁ!ドラグもボルキャンサーも分かる……じゃねぇ!後1つは…何なんだよ!」
「…ボルキャンサーもか。だが、君が知る必要はない。ウアスの"悠久"がある限り、僕は絶対に負けない。」
「答えになってねぇよ!…あんた、ヤベーな。完全に魔力の種に染まってきているな。」
「…どういうことだ?」
「魔力の種は宿主の力を超えたり倒されたりすると…宿主を取り込んで魔獣化しちまうんだ!」
「種が僕を…取り込む…?」
『…その後に魔獣化だと?アジールの旦那、それ俺は初耳だが…』
アジールの顔が一瞬、青白くなったものの何事も無かったかのようにエビルダイバーへと指示を出す。
「…エビルダイバー、まずはアメンの力を手に入れる。赤いの方の相手を頼む。」
『おい待て、旦那!何もう引き返せないみたいな顔をしてんだ!今知ったなら知ったでちょっとは考え直せよ!力で支配する筈の旦那が種に支配されて魔獣化とか笑えねぇよ!』
「早くしろ!エビルダイバー!」
『…さっさと片付けてくる。旦那、俺が戻るまでに魔力の種に負けんじゃねぇぞ!おら!こっちに来やがれ!』バッ
「がはっ!」ドンッ
「キズナレッド!!」
手鏡から現れたエビルダイバーがキズナレッドの腹へと突進し、その勢いのまま、別の場所へと連れていった。
「…追わないのかいラーニヤ。」
「あんたと話すことがある。その魔力の種を…今すぐに手放せ!聞いただろ!それは危険な物なんだ!」
「最初から危険の可能性があるとは思っていた……当たり前の話だ。僕の理想がリスクも冒さず成し遂げれるとは思っていない!…思ってはいないんだ。種に…種にさえ…負けなければ…!」
「アジール、あんた…!?すぐに目を覚まさせやる!」
アメンとアジールのタイマンが始まった。